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蠢女2(強制廃人)

2012/12/02 Sun 00:01

2蠢女



 その晩、鬼共が病棟にやって来た気配を感じた私は、慌ててベッドを飛び出し、隣で寝ている老婆のベッドに潜り込みました。
 老婆は死んだように眠っておりました。入れ歯のない口からは下水道のような口臭がもわもわと漂っていました。
 そんな老婆の骨と皮だけの体にしがみつきながら震えておりますと、いきなりそのベッドの布団がガバっと剥がされました。

「おまえ、今、この婆さんを殺そうとしてたな」

 黒い棒を持った一匹の鬼が、窓から注ぎ込む外灯の青い光に照らされていました。
 愕然とする私を見下ろしながら鬼は笑いました。太い腕に握られた鉄の警棒が黒光りしておりました。

「おまえを殺人未遂の容疑で連行する」

 鬼はそう呟きながら、鉄の警棒の先を私の尻肉のワレメにグイグイと食い込ませました。
 この鬼は、外部職員の中でも最も残忍だと言われている加賀谷という男でした。

「ほな、鎮静房に連れてきまっか」

 もう一人の鬼が、ゴムの靴底をキュッキュッと床に鳴らしながらやってきました。
 その男はアザラシのように愛くるしい顔をしておりますが、しかし、まるこちゃんの肛門に鉛筆を入れた張本人です。
 加賀谷は、いきなり私の髪を乱暴に掴み上げました。天井に向けられた私の鼻の穴に口紅サイズの催涙ガスを押し付け、ニヤリと微笑みながらそれをシュッと吹きかけました。
 瞬間に息が止まりました。喉の筋肉が一瞬にして縮まってしまったような、そんな苦しさでした。
 猛烈に咳き込む私を、彼らは慣れた手つきで押さえ込み、パジャマを毟り取り、パンティーを引き摺り下ろし、そしてそこに飛び出した尻をギュッと鷲掴みしながらケラケラと笑いました。
 瞬く間に全裸にされてしまった私に、もはや抵抗する気力はありません。この状態で逆らえるほど私は強くありません。
 二人は、慣れた手つきで、私の首と手首に皮の拘束具を装着しました。これは、首と手首とが鎖で連結されている物で、この状態で暴れれば自動的に首が絞まる仕組みになっていました。
 陰毛を曝け出したまま鬼達に連行されました。口にはピンポン球のような猿ぐつわが嵌められ、咳き込む度にその玉の隙間から大量の涎が糸を引きました。
 同室の者たちは、そんな私の悲惨な姿を見る事なく、布団の中に潜り込んだまま、ただただ震えて泣いているだけでした。

 隣の棟にある鎮静房には、A房とB房の二つのタイプの部屋がありました。
 A房は、平成になってから新たに作られたタイプの鎮静房でした。
 ここの壁と床は、暴れる患者が壁に頭をぶつけないように綿入りのビニールクッションが張られ、まるでソファーに囲まれているような部屋でした。
 便器や水道の蛇口は危険防止の為に取り外され、トイレは床にぽっかりと穴が開いているだけで、水道も天井からゴムホースがぶら下がっているだけでした。
 二十四時間体勢でカメラが監視し、少しでも具合が悪そうですと、すぐにスピーカーから「大丈夫ですか?」という職員の声が聞こえてきます。そんなスピーカーからは、常にバッハの『G線上のアリア』が流れていました。
 一方のB房は、この病院が開院した昭和三十年代に作られたままの旧型タイプでした。
 壁も床も天井もコンクリートが剥き出しで、その古いコンクリート壁全体に滲んでいるどす黒い模様は、まるで心理テストに用いられるロールシャッハの墨絵のようでした。
 ここは、主に倉庫として使われており、今ではあれをする時以外は、ここに患者を収容する事はまずありませんでした。
 あれというのはロボトミーの事です。ロボトミーは既に昭和五十年代に禁止されていましたが、しかしここでは極秘裏に続けられているのです。
 そんな違法な手術を隠蔽する為に、このB房の扉は余程の事がない限り開けられる事はありませんでした。
 しかし、今、私の目の前で、そんなB房の鉄扉がゆっくりと開こうとしております。

 鉄の扉が開くと同時に、中から凄まじい臭気と湿気が溢れてきました。
 その臭いはまさにカビでした。裏山に面して建てられている鎮静房は日当りも悪く湿気も多い為、普段閉ざされたままのB房はカビの巣窟となっていたのです。
 そんなジメジメとしたコンクリート床を裸足で歩く私は、既にその時点で失禁していました。
 全体的に貪よりと淀んだその雰囲気は、まるで違法の屠殺場のような不気味さを漂わせていました。
 部屋の真ん中には、歯医者で使われているようなリクライニング式の椅子がポツンと置かれていました。
 但しそれは、現在の歯医者に置いてあるような近代的な物ではなく、まさに十四世紀のヨーロッパで拷問に使われていたような、黒鉄と木材だけでできた不気味な冷たい椅子でした。
 私は未だ窒息しそうなほどに咳き込んでおりましたが、それでも鬼達は容赦なく私をその椅子の上に投げ下ろしました。
 ドスンっと私の体が落ちた瞬間、椅子に無数にぶら下がっている鎖がジャラジャラと鈍く揺れました。
 その鎖の先に付けられた皮の手錠が、首、腰、手首、足首、と、次々に装着されました。まるで産婦人科の分娩台のように股を大きく開かれたまま、身動き一つできません。
 コンクリート剥き出しの高い天井からは、黄灯をぼんやりと灯す裸電球がぶら下がり、無惨な私の姿を弱々しく照らしていました。
 その電球を吊るしている電線の上には、まるで吊り天井の骨組みのような巨大な蜘蛛の巣が張り巡らされており、その蜘蛛の巣の中心に、小ネズミほどもある大きな黒蜘蛛が堂々と張り付いていました。
 この黒蜘蛛は、ここでいったいどれだけの残酷なシーンを見続けて来たのでしょう。そう思いながら巨大な黒蜘蛛のイガイガした背中を見つめていますと、不意に、椅子に拘束されている今の自分が、蜘蛛の巣に引っかかった蛾のような気がして、凄まじい恐怖に襲われたのでした。
 そんな私を、ゾッとするような冷たい目で見ていた加賀谷は、その視線を私の陰部にそっと下しながら、「処女か?」と一言呟きました。
 ここに収容されている女達というのは極端でした。五十代の処女もいれば、十五歳で百人を相手にした娘もいました。
 ここには、中途半端な性経験の女はいないのです。病的な処女か病的なヤリマンのどちらかしかいないのです。
 だから加賀谷は私に聞いたのです。男を知らない狂人か知り過ぎている狂人かと。
 実際、私は処女でした。二十三年間、厳格な父に束縛されながら育った私は、セックスどころかオナニーさえも知らない病的な処女なのです。
 猿ぐつわを嵌められた私は、震える目をソッと加賀谷に向けながらコクンっと頷きました。

「あっそ」

 加賀谷はそう呟きながら、右手に持っていた鉄棒の先を私の陰部に押し当てました。そして、まるで剣道の突きをするようにして、一気にそれをそこに突き刺したのでした。
 言葉にならない悲鳴が頭の中に響きました。あまりの痛さで瞬間的に麻痺をしたのか、不思議とそこに痛みは感じませんでしたが、しかし、ぐりぐりと掻き回される冷たい鉄棒の感触が異様に恐ろしく、私は、歯医者でドリルを口に突っ込まれている小学生のように悶え苦しんでいました。
 あっそ、のたった一言で処女を奪われました。冷たい鉄の棒で一瞬にして引き裂かれてしまいました。
 私は、ぐりぐりされる鉄棒の恐怖に脅えながらも、「私は狂っていない!」と何度も叫びました。しかし、猿ぐつわをされているため、B房に響く私のその声は、まさに狂人の奇声でしかありません。
 加賀谷は鉄棒を膣から抜き取ると、血の滴るその先をクンクンと嗅ぎながら「赤さび臭せっ」と笑いました。
 そしてその鉄棒をもう一人の男に手渡すと、私の股の間で素早くズボンを脱ぎ、厳つく反り立った陰茎を私のソコに入れてきたのでした。
 加賀谷が腰を振る度に椅子にぶら下がる鎖がジャラジャラと鈍い音を立てました。
 鉄棒で麻痺している膣は何も感じず、ただただ筋肉の塊のような物が出たり入ったりしている感触だけが脳に伝わってきました。
 このままこれで終わってくれるのなら、処女を奪われた事などどうでもいいと思っていました。しかし、私の腹の上でハァハァと荒い息を吐く加賀谷とは別に、もう一人の男が何やら不穏な動きをしているのが視野の隅に見え、ふと、頭上の黒蜘蛛が「これで終わるわけがない」と囁いた気がしました。
 その男は、部屋の隅に置いてある木製の道具箱の中から、何やら金属製の器具をあれこれと取り出していました。それは金槌であったり、鋭いドリルのような物であったりと、身の毛もよだつような物騒な物ばかりでした。
 そんな男を恐る恐る横目で見ていると、不意に加賀谷が私の腹の上で「うっ」と短く唸りました。加賀谷の腰の動きが止まり、膣の奥に生暖かさを感じました。
 終わった、と思ったその瞬間、陰部全体に痛みが広がってきました。
 ヌポッと抜き取られた加賀谷の性器は、私の真っ赤な血と、自らの白い精液でドロドロに汚れていました。
 まるで、抜歯後の麻酔が切れてきたかのように膣はズキンズキンと痛み始め、私はそんな加賀谷の汚れた性器を見つめながら、痛さに顔を歪めていました。

「てっちゃんどうする?」

 加賀谷は部屋の隅にいる男にそう言いながら、汚れた性器をティッシュで拭っていました。
 そのティッシュには真っ赤な血が鮮明に浮かんでいました。それを見て、改めて処女を奪われた怒りを実感した私は、もし、この無惨な処女喪失をあの世の父が見ていたなら、きっと父はあの時私をもっと自由にさせてやれば良かったと後悔する事だろうと、なぜか父を激しく恨んでいました。
 加賀谷はそのティッシュを丸め、部屋の隅の屑篭にポイッと投げ捨てました。すると、その横で大きなドリルを磨いていたもう一人の男が、ゆっくりと立ち上がりました。

「面倒臭せぇから、とっとと手術を終わらしちゃおっか。俺はその後でゆっくりと楽しむから……」

 そんな男の言葉に、私の意識が一瞬飛びました。
「手術」という言葉を頭の中で復唱すると、唯ならぬ寒気が背筋に走りました。

「そんじゃあ、俺、こっちの用意するわ」

 加賀谷はそう言いながら、黒いバッグの中から白いポシェットを取り出すと、その中から一本の注射器を摘まみ出しました。
 加賀谷は、私のすぐ横にしゃがみながら、ペットボトルの蓋の中に少量の水を垂らし、そこにサラサラと白い粉を溶かし始めました。
 それが何の薬かは全くわかりません。しかし、その白い粉が入っているパッケージは明らかに製薬会社の物ではないため、きっと違法な薬物に違いありません。
 手術という言葉と、銀色のドリルと、そして白い粉。私の全身はガクガクと震え、あまりの恐怖で膣の痛みなどすっかり消え失せていました。
 そんな私をチラッと見上げた加賀谷は、ふっと鼻で小さく笑いました。

「心配すんな。この薬を打っておけば全く痛みはないから」

 そう言いながら、加賀谷はその白い粉を溶かした液体を注射器の中に吸い込んでおります。

「……お前は今日から俺達の性奴隷になるんだ。その為にもこの手術はやっといたほうがいい……そのほうがお前も楽だ……」

 加賀谷は針の先に水玉をプクっと作りながら笑いました。
 私は体の震えと同時に、何度も「いやいや」と首を振りました。もし、この猿ぐつわがなければ、きっと私は、この鬼畜に魂を捧げんばかりの卑屈な命乞いをした事でしょう。
 そう必死に首を振る私の性器から、そこに溜まっていた加賀谷の生温い液体がトロっと溢れました。
 いつしか私の泣き声は絶叫に変わっていたのでした。 

(つづく)

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