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ママ友6



 部屋に戻って再び飲み直した。さすがにあれだけ大量に射精すると、下半身だけでなく脳までも軽くなったような気がして、いつもより酒が旨く感じた。
 暫くすると、廊下から賑やかな笑い声が聞こえて来た。その笑い声は妻と中村さんのものだとすぐにわかった。そのトーンは明らかに酔っているようであり、二人とも呂律が回っていなかった。

「ただいまぁ……」と、妻は小声で静かに襖を開けた。二人はさすが母親だった。かなり酔っているようだったが、それでも子供が目を覚まさないように気を使っていた。

「楽しかったかい」

 俺は蛸のような赤ら顔の二人を見ながら笑うと、妻は「飲み過ぎましたごめんなさい」と、足をフラつかせながらヘラヘラと笑い、そのまま娘が眠る布団の脇にストンっと腰を下ろした。
 中村さんも自分の娘側にソッと腰を下ろした。そして頭部をふらふらさせながら、俺に向かって「ありがとうございました」と不安定なお辞儀をした。
 俺は、そんな中村さんの少しはだけた浴衣の胸元をチラッと見ながら、(こちらこそありがとう。随分と楽しませてもらったよ)と、心の中で微笑んだのだった。

 妻がスヤスヤと眠る娘の横にソッと添い寝した。「ごめんねマリちゃん……」と小さく呟くと、娘の胸をポンポンっと優しく叩き始め、半開きの目をふわふわさせながらウトウトし始めた。
 あと数分だと思った。いや、娘の胸を叩いていた手がほとんど動かなくなっているから、あと数十秒だろう。そう思いながら俺が秒読みを始めると、妻はものの三秒で「くわぁ……」と鼾をかいた。

 そんな妻を見て、中村さんが「あら」と驚いた。
「さっきも言いましたけど、そいつはのび太みたいな女ですから」と俺が笑うと、中村さんも「くすっ」と笑いながら、自分の娘の掛け布団を静かに剥いだのだった。

 中村さんは、ソッと前屈みになりながら、寝ている娘を抱きかかえようとした。俺は「大丈夫ですか?」と聞きながらも、わざとらしく身を乗り出しては、前屈みになった中村さんの浴衣の胸元を覗いた。
 酔っているせいか、中村さんはかなり無防備になっていた。大きくはだけた浴衣の胸元からは、白いブラジャーに包まれた丸い乳肉がおもいきり顔を出していた。

(このスケベ女はピンクローターを隠し持っている……)

 俺はそう呟きながら中村さんの白い胸元を見ていると、ついさっきあれだけ放出したというのに、俺の下半身はムラムラと疼いて来た。
 素面の中村さんは可愛いが、酔った中村さんは色っぽかった。こんな人妻と布団の中に潜り込み、その火照ったつやつやの肌にどっぷり溺れてみたいと素直にそう思った。

 眠る娘を抱きかかえた中村さんが、「よいしょっ……」と言いながら立ち上がろうとした。しかし、酔っているため足腰に力が入らず、立ち上がろうとする度に、立てた膝がくしゃっと横倒しになってしまった。

「私が運びましょう」

 俺はドキドキしながらスッと立ち上がると、畳をスリスリと鳴らしながら中村さんの背後に回った。

「よろしいんですか……」

 中村さんはそう恐縮しながら、ゆっくりと俺を見上げた。
 俺の目に、ヘタっと崩れた中村さんの下半身が飛び込んで来た。乱れた浴衣の隙間から細い生脚が見え、その奥で、白く輝いている下着のレースまでもがチラッと見えた。

(この女は、この後、あのピンクローターで自分を慰めるのだろうか……)

 俺はそう自問自答しながら、ヘタっている中村さんの横にソッと腰を下ろした。そして、ぐったりと眠っている中村さんの娘の首と腰に静かに両手を差し込みながら、(その為に、この女はわざわざピンクローターなんかを持って来てるんだろ)と、自分に答えたのだった。

 中村さんの娘を抱きかかえながら廊下に出た。薄暗い廊下はシンっと静まり返り、非常階段の緑色した誘導灯だけが不気味に廊下を染めていた。
 俺のスリッパの音が、スタッ、スタッ、スタッ、と響いていた。その後ろから、中村さんのスリッパの音が、ヒタッ、ヒタッ、ヒタッ、と付いて来ていた。
 階段を上がる前に「大丈夫ですか?」と振り返った。すると中村さんは、薄暗い廊下の奥で、大浴場の入口の横に置いてあった『足裏健康マッサージ機・揉み太郎二号』と書かれた、胡散臭いマッサージ機に寄り添いながらジッと項垂れていた。

「歩けますか?」

 そう聞きながら、項垂れる中村さんの顔を覗き込むと、一瞬寝ていたのか、中村さんは慌てて「はっ」と目を覚まし、「娘は?」と、縋り付くように俺を見た。

「大丈夫です。結花ちゃんは眠ってますよ」

 そう笑いながら抱いた娘を見せてやると、中村さんは「ほっ」と顔を緩めながら静かに微笑んだ。そして、俺の顔をゆっくりと見上げながら、「ご迷惑ばかりかけて本当にごめんなしゃい……」と呟くと、まるで空気が抜ける風船のようにして、廊下にへなへなとヘタってしまったのだった。

 そのまま中村さんはグーグーと鼾をかき始めた。俺は「ちっ」と舌打ちをしながら、中村さんが持っていた巾着袋の中からルームキーを取り出した。
 中村さんをそのままそこに残し、取りあえず娘を部屋に連れて行こうと階段を上った。

 ついさっきまで侵入していた203号室のドアを開け、先ほどローターを肛門に入れながら射精していた布団に娘を寝かせた。
 そして再び中村さんがヘタっている場所へと向かった。そんな俺の今の心境は、夏休みに、遂にディズニーランドに連れて行ってもらった地方公務員の息子が、あの夢にまで見た『ビックサンダー・マウンテン』の行列に並びながら胸をときめかせているような、そんな心境と同じだった。

「大丈夫ですか」と声をかけながら、中村さんの細い腰に手を回した。どれだけ呼びかけても意識が朦朧としている中村さんは、俺に抱き起こされながらも、「女性セブンが売り切れなの」と、チンプンカンプンなうわ言を呟いていた。
 中村さんの右手を俺の肩に掛け、中村さんの左腕の腋に手を入れた。右手を細い腰に回しながら、まるで抱きつくようにしてゆっくりと歩き始めた。
 中村さんの体はつきたての餅のように柔らかく、薄い浴衣越しに、その体の柔らかさや体温をもろに感じる事ができたのだった。

 俺はここぞとばかりに、その張りのある尻や柔らかい乳、そしてつるつるのうなじなどを存分に堪能した。
 階段を上る時は、一段上がるごとに乱れる浴衣の裾を覗き込み、白いパンティーに包まれたスレンダーな下半身を隅々まで観察した。
 我慢できなくなった俺は、「危ないですよ」などと言いながら股間に手を伸ばした。指をソッとアソコに這わせ、白いパンティーの上から中心部をサラサラと摩った。
 そのうちパンティーの中に指を入れたいという衝動に駆られ、ヘソの下からソロソロとゴムの中に指を入れると、指先に触れる陰毛をジリジリと擦ったりしていたのだった。

 そうしながらも階段を上り切ると、そこで初めて中村さんが「あれ?」と呟いた。
 俺は一瞬、悪戯がバレたかと思い肝を冷やしたが、しかし、中村さんは状況が把握できていないらしく、朦朧とした意識の中、今の状況を思い出そうと必死に辺りを見回していた。

「結花ちゃんはもう部屋で寝てます……早く部屋に行ってあげましょう……」

 俺はそう呟きながら、中村さんの体を「よいしょっ!」と抱き直した。すると俺の肩に顔を埋めていた中村さんが、「ごめんなさい……」と呟き、そのまま自力で立とうとした。

「自分で歩くのは無理ですよ。部屋までもう少しですから」

 俺はそう言いながら、ここで逃がしてなるものかと、中村さんの細い体をギュッと抱きしめた。

「本当にごめんなさい……」

 そう呟きながら中村さんが顔を上げると、一瞬、俺の頬に中村さんの唇が触れた。

(こいつは、旅行にわざわざピンクローターを持ってくるほどの淋しい女なんだ……)

 突然、俺の中で、もう一人の俺がそう囁いた。
 俺は、そんな自分に「ああ」と頷きながら、ぐったりする中村さんを更に抱きしめると、まるで死体を運ぶようにして廊下の絨毯をザッザッと引きずったのだった。

 ゴールは目の前だった。あと数メートルで『203号室・桔梗の間』という表札が見えて来るはずだ。
 すると、再びもう一人の俺の声が聞こえて来た。

(この女は淋しいんだよ……きっと欲求不満が溜まってるんだよ……だからこいつのマンコは常にヌルヌルに濡れているんだ……ほら、触ってみろよ、ヌルヌルかどうか確かめてみろよ……早くしないともうすぐゴールだぜ……こんなチャンスはもう二度とないぜ……)

 俺は焦った。俺は、俺の中のもう一人の俺に急かされていた。

 確かに、もう一人の俺の言う事はその通りだった。こんなチャンスはもう二度とないだろう。このまま彼女を部屋に送り届け、そして明日になってしまえば、彼女とはもうお別れなのだ。今後、こうして彼女を抱きしめる事など絶対にあり得ないのだ。

 俺は下唇をギュッと噛み締めた。一瞬はムラっとその気になるものの、しかし、小心者の俺は、この期に及んでその最後の勇気が出しきれなかった。

(何をやってんだ俺! このままそこの非常階段に彼女を連れ出してしまえよ! そこで彼女を犯すんだ。そのパンティーをスルッと下ろして、オマンコにしゃぶりつくんだよ! 大丈夫だよ。彼女は完全に泥酔しているから大丈夫だって。大声を出したり暴れたりする事は絶対にないから心配するなって。……なぁ俺よ、よく考えてみろよ。これが最後のチャンスなんだぞ。このチャンスを逃したら一生悔やむ事になるぞ。だからヤれよ。ヤってしまえって! そんなピンクローター女なんかに遠慮する事はねぇよ、ズボズボにヤってしまうんだ俺!)

 もう一人の俺が狂ったように叫んでいた。しかし、気が付くと、もはや俺は『203号室・桔梗の間』と書かれた表札の前に立ち止まっていたのだった。

 俺の人生なんて、いつもこんなものさ。
 俺は「ふっ」と小さく笑いながら203号室のドアをソッと開けた。そして抱きかかえた中村さんを玄関に引きずり込むと、そのまま中村さんの体を壁に押さえつけながら、静かにドアを閉めた。

 と、そのとき、ふと、妙な視線を感じた。俺は、握っていたドアノブを離し、再び中村さんの腰に手を回そうとしながら何気に顔を上げると、いきなり中村さんと目が合った。

 中村さんの大きな目がジッと俺の目を見つめていた。その目は、酔っているせいかトロンっと垂れ下がっていたが、しかし、その奥の黒目はしっかりと俺を見つめていた。

「やっと部屋に付きましたよ……もう大丈夫ですからね……」

 俺は顔を引き攣らせながら笑った。しかし中村さんはぴくりとも笑おうとはせず、ジッと俺を見つめたままだった。

「どうか……しましたか?……」

 俺は恐る恐る中村さんに聞いた。中村さんの真剣なその目は、よからぬ妄想を抱いていた俺を萎縮させるだけのパワーを持っていた。

 しかし中村さんは、ジッと俺を見つめながら、とんでもない事を静かに呟いた。

「さっき……公衆便所で私がおしっこしているのを覗いてましたよね……」

 俺の脳に、ドン! と重たい衝撃が走った。

「それに……動物園では、私のスカートの中を携帯で撮影してましたよね……」

 更に重たい衝撃が、ドン! ドン! と俺の脳を揺らした。

「私と……ヤリたいんですか?……」

 中村さんは真剣な表情のまま、ソッと首を傾げた。

 俺の心臓は口から飛び出さんばかりにドクドクと跳ね回っていた。
 ヤリたいんですか? ヤリたいんですか? ヤリたいんですか?
 そんな中村さんの衝撃的な言葉が、壊れたレコードのように俺の頭の中でリピートしていた。

 奥歯をギュッと噛み締めながら黙っていると、いきなり中村さんが、腰に回していた俺の手をソッと握った。

「ヤりたかったら……ヤってもいいですよ……」

 そう囁く中村さんの目は、ゼリーのように潤んでいた。
 俺はそんな中村さんの目と、その脳を貫くような言葉に金縛りとなり、廃人のように愕然と立ち尽くしていたのだった。

(つづく)

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