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卑猥な害虫3

2013/05/30 Thu 17:30

卑猥な害虫・2



 夕方になると、パチンコ店にやって来る客層がガラリと変わった。今まで主婦や老人ばかりだった店内は、会社帰りのサラリーマンや作業服を着た労働者達に変わっていた。
 康夫達が潜んでいる駐車場も、六時を回った頃から徐々に車が増え始め、今では満車状態になっていた。
 唾液で光るペニスを剥き出しにしたまま、康夫は煙草を吹かしていた。助手席ではスカートの中に手を入れたまま尻をモゾモゾさせる貴子がいた。

 康夫は、パチンコ店から出て来る男達を一人一人鋭く物色しながら、シケモクが溢れる灰皿に煙草をガサガサと押し付けた。
 少しだけ開いていた運転席の窓に、まだ肺に残っていた煙をフーッと吐き出しながら、「そろそろ我慢できなくなってきたんだろ?」と小さく笑うと、もう片方の手を助手席の貴子の股間に忍び込ませた。

 その驚くほどに濡れた陰部に指先が触れると、康夫は、今から始まろうとしているこの愚かな行為は、やはり正しかったのだと改めて確信させられた。
 要するに康夫は、あの欲求不満の状態で妻を放置しておくのはあまりにも危険すぎると判断したのだ。もはや、『変態出会い系サイト』などという下劣なものを見るようになってしまっては、浮気されるのも時間の問題だと畏怖したのだ。
 貴子は元々根が真面目な女だった。そんな女だけに、ひとたび浮気に火が付けば手に負えなくなる恐れもあり、そうなれば、家出や離婚といった危機に陥る可能性も無きにしも非ずだった。
 そんなリスクを考えれば、ここでこうして見ず知らずの男を捕まえ、一回こっきりの情事をヤらせてしまったほうが後腐れがなくて良いと康夫は考えた。自分が見ている前でさっさと欲求不満を解消してもらったほうがずっと安全だと思い、だからわざわざ隣の県のパチンコ店にまで足を伸ばしたのだった。
 それに、康夫自身、この不浄な変態プレイには激しい興味を抱いていたのも事実だった。
 康夫は、元々ペニスにコンプレックスを持っていたため、いつも妻とのセックス時には、果たして貴子はこんなペニスで満足しているのだろうかという不安を抱いていた。
 そしてその度に、一度でいいから乱れ狂う妻の姿を見てみたいという、実に悲しい願望を常日頃から抱いていたのだった。
 だからこの作戦は、康夫にとっても非常に欲情を掻き立てられる作戦でもあった。
 確かに、愛する妻を他人に好き放題にされるというのは、想像しただけで腸が煮えくり返ったが、しかし、そんな怒りはマックスにまで達すると、みるみる性的興奮へと変わっていった。
 なぜそのような精神状態に変わってしまうのかは康夫自身わからなかったが、しかし、愛する妻が見知らぬ男に乱暴に扱われ、それでもヒィヒィと喘いでいる妻の姿を想像すると、たちまち激しい欲情に煽られ、居ても立ってもいられなくなってしまうのであった。
 そんな不思議な衝動は、会社にいる時でも電車に乗っている時でもいきなり襲って来た。
 その作戦を頭に描いただけで勃起し、妻が他人にボロ雑巾のように犯されている姿を想像するだけで、熱いモノが胸にムラムラと込み上げて来た。
 その度に康夫は、会社の便所や駅の便所へと飛び込み、溢れる妄想を自らの手で放出していた。それをいち早く放出しなければ、気が狂わんばかりにイライラし、仕舞いには頭がおかしくなってしまうと思い、盛りのついた野良犬の如く、所構わず射精していたのだった。
 そんな康夫だったから、一刻も早くこの作戦を早く決行しなければと焦っていた。でなければ、妻は浮気に走り、自分は気が狂ってしまうという最悪な結果になりかねないと本気で焦っていた。
 だから康夫は、貴子の意思を確かめないまま、貴子を強引に連れ出した。
 文句は言わせないつもりだった。
 というか、文句は言わないだろうと確信していた。
 そう、貴子はマゾだからだ。

 助手席で喘いでいる貴子の股から、康夫はソッと手を抜いた。
 そして、貴子の顔をジッと覗き込みながら、そのドロドロに濡れた指の匂いを嗅いだ。

「変態の匂いがムンムンするぜ……」

 そうニヤニヤと笑いながら、康夫は貴子のシャツを捲り上げた。
 薄暗い車内に真っ白なブラジャーが浮かび上がった。
 しかし康夫はそれには手を掛けず、敢えて「ブラを取れ」と命令した。
 これは重要な事だった。
 ブラを剥ぎ取られるのと、自らブラを外すのとでは、調教においてのその意味は大きく違って来るからだ。
 康夫は、どんな非道な要求でも従わせるつもりだった。もし一度でも命令に逆らったら、それなりの制裁を喰らわせてやろうと、既にトランクにはSMグッズを用意しているのだ。
 しかし貴子は、そんな康夫の命令に素直に従った。
 数時間前、この駐車場に車を止めた当初は、太股に触れただけで「こんな所でヤダ……」と顔を顰めていた貴子だったのに、今では淡々とブラジャーを外し始めていた。

(こいつ……すっかりソノ気だな……)

 康夫はそう細く微笑みながらも、しかし一方では、素直に命令に従う妻にショックを受けていたのも事実だった。
 プツッとブラジャーが外れるなり、真っ白な乳房がポロンっと零れた。
 貴子は、生理前になると異常に乳房が大きくなる体質だった。
 それだけでなく、生理前になると貴子は異様な濡れ方をした。
 康夫は以前からそれに気付いていた。
 しかし、今まではそんな体の変化などどうでもよかったが、今はこの体の変化はとても重要だった。
 某SMサイトで『女は生理前になると異常な性欲を感じる』という記事を読んだ康夫は、生理前のこの日を着々と狙っていたのだ。
 康夫は、大きな乳房をブヨブヨと揉みながら、「どんな男とヤリたい?」と、項垂れる貴子の顔を覗き込んだ。
 黙っている貴子に、「やっぱりビンビンの若い男がいいか? それともねちっこいハゲ親父がいいか?」と問い質しながらも、その声のトーンのまま「パンツを太ももまでズラせ」と命令した。
 貴子は無言のまま命令に従った。スカートの中に手を入れ、真っ白な下腹部にパンティーを滑らせると、ムンムンと蒸れた股間が現れ、剛毛な中年女の陰毛がモサッと顔を出した。
 太ももで止まったままのパンティーは、クロッチを大きく広げていた。そんな生理前の黄ばんだクロッチのオリモノの上には、テラテラと輝くいやらしい汁がコーティングされていたのだった。

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 それを目にした康夫は、(この汁は、見ず知らずの他人の男の為に溢れ出ている汁なんだ)と思うと、胸を締め付ける悲しさと、激しい性的興奮が涌き上がり、居ても立ってもいられなくなってしまった。

「いいか、そのままの状態で待ってろ。絶対に動くんじゃないぞ。誰かが車の中を覗いても絶対に動くな。俺の指示があるまで、そのままジッとしてるんだ。わかったな」

 興奮した早口で貴子にそう告げると、康夫は勃起した股間を素早く直しながら運転席のドアを開けた。
 生温い風と共に、駐車場の乾いたアスファルトの匂いが車内に漂ってきた。
 その埃っぽくも殺伐とした匂いは、既に夜の匂いだった。


 貴子を車内に残し、康夫はパチンコ店に向かった。
 あの状態の妻を一人残して行くのは非常に不安だったが、しかし、今の康夫にはその不安さえも性的興奮剤となっていた。
 店内に入ると、パチンコ店独特の澱んだ空気が康夫を包み込んだ。
 二十代の頃、友達に誘われて、ほんの少しだけパチンコ店に通っていた時期があったが、しかしある時、あっという間に二万円も負けてしまった事があり、二万円もあれば吉牛が六十杯も食べられるじゃないかという実に貧乏ったらしい怒りに襲われた康夫は、それっきりパチンコ店には行かなくなった。だからパチンコ店に入るのはかれこれ八年ぶりだったのだが、しかし、この澱んだ空気に触れた瞬間、不意に八年前に負けた二万円が思い出され、今更ながら口惜しい気分に包まれたのだった。

 店内の澱んだ空気と安っぽい喧噪は八年前と変わっていなかったが、しかし、内装やパチンコ台は、あの頃と比べると随分と小綺麗になっていた。その明るくてお洒落な雰囲気は、まるでどこかのテーマパークのようだった。
 何よりも驚いたのが店員だった。あの頃の店員と言えばパンチパーマのやさぐれ親父が定番だったのに、今ではカラフルなミニスカートの制服を来た若い女が、これまたどこかのテーマパークのスタッフのように、嘘くさい笑顔を振りまきながら店内を走り回っているのだった。

 そんな革命的な変貌に戸惑いながらも、獲物を探してホールの中をウロウロしていた康夫だったが、しかし、よくよく見れば、パチンコ台の前で喜怒哀楽に目を血走らせている客達だけはあの頃とちっとも変わっていなかった。
 くわえ煙草で貧乏揺すりをしながらパチンコを打っているおばさんや、チンピラ親父の派手なジャージの背中にプリントされている『怒ったブルドッグ』などを見ていると、なぜかしら奇妙な安堵を覚えるのだった。

 そんな店内を、康夫は、あたかもパチンコ台を物色するふりをしながら客を物色して回った。
 ピアスだらけの金髪少年。二の腕にタトゥーを彫り込んだ二十代の若い男。ペンキだらけの作業服を着た小指のないおっさんや、いかにも生活保護を受けてそうな不審な太った中年男など、店内には、声を掛ければすぐに計画に飛びつきそうな低下層な人々が大勢いた。
 しかし、この計画で康夫が求めていたのは、こんな男達ではなかった。これ系の男達は、喰い付きは随分と早いが、その分リスクが大き過ぎる事を知っていた康夫は、鼻からこれ系の男達をリストから外していたのだ。

 そもそも、見ず知らずの他人に裸の妻を貸し出すという変態行為は、乱暴、誘拐、中出しなど、あまりにもリスクが大き過ぎた。
 そのリスクを避けようとして、知り合いの友人に「妻を抱いて欲しい」などと頼む人も中にはいるが、しかし、それはそれでまた違うリスクが発生し、身元がバレている分その後にストーカーされたり、脅迫されたりする可能性もあった。最悪なパターンだと、妻の体だけでなく妻の心までも寝取られてしまう事もあり得るのだ。

 だから相手選びというのは重要だった。
 これは、相手選びを失敗すれば、一生を台無しにしてしまう恐れのある非常に危険なプレイなのである。

 そこで康夫が選んだのが、表面では社会的な振る舞いをしながらも、内面では欲望をメラメラと漲らせている、いわゆる『羊の皮を被ったオオカミ』のような男だった。
 康夫は、それなりに社会的地位のある男なら無茶はしないだろうと思っていた。しかも、そんな生真面目な男というのは、日頃から抑制されている分、欲求不満が溜まっている可能性が高く、だから妻の卑猥な姿を見せれば、秒殺で喰い付いて来るだろうと康夫は睨んでいたのだ。

 そんな男を康夫は探していた。
 空気の悪い店内を、何度も何度も巡回しながら、理想の相手を探し求めていた。
 しかし、そんな男は、そう簡単には見つからなかった。
 康夫は、あの状態で車内に置いて来た貴子が心配だった。
 凶暴な男に発見され、そのまま車ごとどこかに連れ去られてしまっているのではないかと焦燥感に駆られた。
 康夫は、ホールの入口にある駐車場が見渡せる大きなショーウィンドウに駆け寄った。
 窓に顔を押し付けながら、ズラリと並んでいる車をひとつひとつ目で追い、そして駐車場の端に止まっている自分の車を発見した瞬間、安堵の溜め息を一つ漏らした。

(のんびりしている暇はない、早く相手を見つけなければ……)

 そう改めて思ったとき、すぐ後ろから「部長さん、今日は勝てたかい?」という中年女のしゃがれた声が聞こえて来た。
 ソッと振り返ると、休憩コーナーのソファーで紙コップのコーヒーを啜っていた中年男が「いやいや、また負けちゃいましたよ」と、中年女に向かってヘコヘコと頭を下げていた。
 そんな男に、中年女は、「そう言えばさぁ……」と眉をひそめながら近付いた。パチンコの景品なのか、中年女の手にはハイライトのワンカートンが握られていた。

「あたしんとこの庭にね、隣の児童公園に植えてある木の枝が伸びてんだけどね、その枝から毛虫がボトボトと落ちてきて大変なのよ」

 中年男は、コーヒーを素早くズルルルっと啜ると、紙コップをテーブルの上に置きながら、「ほぉほぉ」と中年女の話に耳を傾けた。

「さっき増田さんから聞いたんだけどさぁ、部長んとこって、ほら、その、地域なんとか課なんでしょ?」

「ええ、地域環境課ですよ」

「そうそう、その地域なんとかっていう課でさぁ、なんとかして貰えないもんかねぇ……」

 すると中年男は、すかさず「大丈夫ですよ」と頷きながら、柔らかい笑顔を見せた。

「公園の害虫駆除はウチの課の仕事ですから、明日にでも係の者を行かせましょう」

 そんな中年男の言葉に、一瞬表情を明るくさせた中年女だったが、しかしすぐにまたその表情を曇らせた。

「それでね、部長さんに相談なんだけど……ウチの庭の毛虫も、ついでに取ってもらう事ってできないかねぇ……あたしゃ、ああいうの苦手だから、もう見るだけで鳥肌立っちゃうのよ……」

 中年女は、両手で二の腕を押さえながら、わざとらしくブルブルと体を震わせた。

「いいでしょう。本来なら御自宅の害虫駆除は御自身でやってもらうのが原則なんですが、しかし、元々はウチの管轄内から落ちて来た毛虫ですからね、ウチが責任を持って処理させてもらいますよ」

 再び中年女の顔がパッと明るくなった。中年女はすかさず男に寄り添うと、ワンカートンの箱の中から、ガサガサとハイライトを二箱取り出し、「悪いねぇ、これほんの気持ちだから」とそれを渡そうとした。
 すると中年男は、「いやいや、そーいうのは困りますよ高田さん」とそれをきっぱり拒否し、まさに聖人君子のような微笑みを浮かべながら「地域の皆様の為に働くのが役人の務めですから」と、決めゼリフをほざいたのだった。

 それを横目で見ていた康夫は、あれがハイライトではなく一万円札だったら彼は素直にそれを受け取っていただろうと思った。
 そう思った瞬間、康夫の背筋に何やら予言めいたものがゾゾゾっと走り、(妻を抱かせるにはもってこいの男だ)と、康夫の痩せこけた体を小さく身震いさせた。

 中年女が、「じゃあ、明日待ってますね」と、男に満面の笑みを浮かべながら去っていった。
 中年男は固まった笑顔のまま中年女の背中に頷くと、そのままの表情で紙コップのコーヒーを啜った。
 康夫は、そんな中年男の背後にソッと迫った。
 そして、中年男が紙コップを唇から離すタイミングを見計らいながら、「部長……」と声を掛けた。
 中年男は、一瞬キョロキョロしながらも、「はい?」と後ろを向いた。
 その顔は、まるでガチャピンのように腑抜けていた。こんな男に妻を寝取られるのかと一瞬激しい怒りを覚えながらも、康夫は男の耳元にソッと囁いた。

「私も、駆除して欲しい害虫が一匹いるんですが……」

 中年男は紙コップを握ったまま、そのガチャピンのような目で康夫の顔を不思議そうに見つめていたのだった。

(つづく)

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