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牛乳は7



 ふと気が付くと、クロッチのシミは跡形もなく舐め尽くし、唾液で濡れた黒いクロッチは、湯豆腐の底に沈むだし昆布のようにテロテロと黒光りしていた。床に広げたTバックに土下座するかのように前屈みになっていた克彦は、ゆっくりと体を起こした。そして、ソフトクリームでも食べているかのように舌をぺちゃぺちゃと鳴らしながら満足げに溜め息をついた。

 小学生の頃、克彦達は担任の先生から『牛乳は噛みながら飲みなさい』と指導されていた。担任の谷口雅子先生は、おっぱいがロケットのように尖った三十五歳の独身教師で、日教組だった。
 ホームルームは常にヒロシマ・ナガサキについて熱く語り、いつも最後は『天皇の戦争責任』で締めくくる危ない先生だった。
 克彦が六年生の時、体育館のステージに張られていた日の丸の国旗に、何者かが割り箸をボンドでくっ付けると言う事件が起きた。恐らくそれは『日の丸弁当』の駄洒落であり、誰かのくだらない悪戯なのであろうが、しかし何故か体育館には大勢の刑事が集まり、何やら怖い顔をして密談していた。
 その二ヶ月後、卒業式を目前にして谷口先生が突然学校を辞める事になった。理由はわからないが、生徒達は、あの『日の丸弁当』を作った犯人は谷口先生であり、その責任を取って学校を辞めさせられたのだと噂していた。
 そんな谷口先生の最後のホームルームは、その不当解雇の怒りから、いつもより荒れるだろうと生徒達は覚悟していた。しかし谷口先生は、三十分のホームルームを無言で泣き続けた。ヒロシマ・ナガサキも、天皇の戦争責任も、国家権力に対する呪詛のひとつも唱える事なく、ただただ泣いているだけだった。
 そして遂に最後のホームルームの終わりを告げるチャイムが鳴った。黙って教室を後にしようとした先生だったが、扉の前で足を止め、ソッと皆に振り返ると最後にポツリと呟いた。
『牛乳は噛みながら飲みなさい』
 そう一言だけ残し、谷口先生はそのまま教室を出て行ったのだった。

 クロッチにべっとりと付着していたパンティーのシミを全て舐め尽くした克彦は、そんな谷口先生の言葉を思い出しながら口内で舌をぺちゃぺちゃさせていた。それは味わうと言うよりも、寧ろ咀嚼しているようであり、恐らく克彦の感覚では牛乳もオリモノも同じだったに違いない。
 舐め尽くしてしまったTバックを、まるでみかんの皮を屑篭に捨てるかのように脱衣カゴに投げ捨てた。ひとまずペニスをズボンの中に押し込んだ。トランクスのフロント部分は我慢汁でカピカピに乾いていたが、しかし勃起したペニスが再びそこに折り曲げられると、絞り出された我慢汁が新たな湿りを作った。
 床に引きずり出していたキャミソールやTシャツを脱衣カゴの中に戻し、まだ汚していない水玉のパンティーだけをズボンのポケットに押し込んだ。
 脱衣場を出ると、女が眠っている部屋の前で足を止め、息を殺しながらドアに耳を押し当てた。物音は何一つ聞こえて来ず、部屋は不気味なほどに静まり返っていた。起きている気配は感じられなかった。もし途中で目を覚ましたとしても、どうせバカ女なのだからなんとでも誤魔化せるだろうと思いながら、恐る恐るドアノブを捻った。
 ドアに隙間が出来ると、そこからまたあの甘い香水の香りが漏れて来た。
 何もない真っ白な部屋の真ん中で、女が仰向けになっているのが目に飛び込んで来た。慌てて呼吸を止めた。心臓の鼓動がドクドクと鳴り出した。まるで路地裏のクラブから漏れて来るウーハーのような重低音が克彦の頭の中で響いた。
 そんな重低音に急かされながら、幽霊のように音もなく部屋の中に忍び込んだ。静まり返った部屋では、穏やかな寝息が規則的に続いていた。床に靴下を滑らせながら摺り足で女に近付くと、女の腹部が寝息と共に波打っているのが見え、異様な性的喜びを覚えた。
 真上から女の寝顔をソッと見下ろした。
 プニプニの唇と、切れ長の目が微かに開いていた。柔らかいオーラに包まれたその寝顔は、子供の頃に縁日で買ったヒヨコが、翌朝コタツの中で死んでいた姿をふと蘇らせた。
 そろりそろりと右手を動かし、ポケットの中から参天製薬の目薬を取り出した。
 すると、その気配を感じ取ったのか突然女の寝息がぴたりと止まった。それと同時に克彦の動きもぴたりと止まり、真っ白な空間が一時停止された。
 一瞬の空白の後、女は深く息を吸い込んだ。そしてその息をゆっくりと吐き出しながら寝返りを打つと、女は克彦に背中を向けた。
 女の細い体が横向きになった。それと同時にノーブラの巨乳もポテッと傾き、その重みで胸元が微かに開いた。そこから見える真っ白な乳肉に、今までにない喜びを感じた克彦は、一刻も早く媚薬を垂らさなければこのチャンスを逃してしまうと、寒気を感じるほどの焦りを覚えたのだった。

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 半開きになった女の口元を覗き込みながら、目薬のキャップを回した。
 女が枕にしていたのは、ベージュのカバーが被せられた四角いクッションだった。恐らく中身は羽毛であろう、その頭部の沈み具合は、まるで生クリームに頭を押し付けているかのように柔らかく凹んでいた。
 恐る恐る目薬の口を女の口元に近づけた。そしてクッションの凹みを利用し、その斜面に媚薬(本当は大桑の小便)を数滴垂らした。
 ツツーと坂を滑った三つの雫は、一度女の唇に当たり、そこで弾けてそのままクッションの中に染み込んでいった。その調子で次々に媚薬の雫を発射させていると、女の唇の前には涎のような黄ばんだシミが浮かび上がってきた。後はそこから蒸発した媚薬をこのまま女が五分間嗅ぎ続けてさえくれれば、この女の柔らかい乳は揉み放題となるのだった。

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 想像していた以上に作業は簡単に終わった。やはりこのバカ女を狙って正解だったと思いながら床に胡座をかくと、改めてその部屋を見回した。
 陽当たりの良い部屋だった。南向きの窓からは光りが注ぎ込み、真っ白な部屋を、よりキラキラと輝かせていた。
 そんな部屋の隅に、デスクトップのPCがひとつだけポツンと置かれていた。テレビやダイキンの空気清浄機はまだ段ボールの中に入れられたままなのに、PCだけがちゃんとセットされて置かれている事に違和感を感じた。
 このPCからあの破廉恥な画像をブログに掲載しているのかと思うと、克彦はその黒い画面を見ただけで異様な興奮を覚えた。できればPCを立ち上げ、中を覗いてみたかった。そこにいったいどれほど卑猥な自撮り画像が保存されているのかと想像すると、出会い系サイトで知り合った女子高生のパンティーを脱がせる瞬間によく似た、陰湿な性的興奮に襲われた。
 しかし、今はまだPCを立ち上げる時ではなかった。媚薬を垂らしてからまだ一分しか経っておらず、今ここでPCの起動音がワーンっと鳴り出せば、作戦の全てが台無しになってしまう恐れがあるのだ。
 だから克彦は、楽しみは後に残しておこうとそれを諦め、目の前に横たわる女の背中に視線を戻した。
 茶色いカーペットで横向きに寝転がる女のグレーのワンピースには、くびれた腰と大きく張った尻の見事なラインが浮かび上がっていた。ワンピースから伸びる生足は雪のように白く、特に太ももの裏の肉は餅のように柔らかそうだった。
 ソッと身を乗り上げ、女の足の裏に顔を近づけた。踵のカサカサとした角質と剥がれかけているピンクのペディキュアが、センター街の女子高生のようにだらしなかった。しかし、その完璧ではない所が、バカでアホでいかにもユルそうなキャバ嬢を物語っており、逆に欲情させられた。
 爪先を見ていたその視線を、舐めるようにして脹ら脛へと滑らせると、そのムチムチとした白い肉の塊に噛み付きたい衝動に駆られた。ドキドキしながら更に視線を滑らせて行くと、真っ白な太ももの裏に、白いパンティーのゴムが優しく食い込んでいるのが見えた。
 恐る恐る首を傾げると、グレーのワンピースの中に白いパンティーがチラッと見えた。(ああ、堪らん……)と心の中で呟きながら、次々に涌き上がって来る興奮を必死に抑えていると、おもわずグレーのワンピースの裾を摘んでしまっていた。
(まだ早い、まだ二分しか経ってないじゃないか……)
 そう自分に言い聞かせながらも、しかし克彦はワンピースの裾をスルスルと捲った。餅のような尻を白いパンツが包み込んでいた。そのパンツは、キャバ嬢としての華やかさは微塵も感じられない、明らかにプライベート用と思われる綿のパンツだった。

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 克彦は静かに身を引くと、尻を出したまま横向きで眠る女を全体的に眺めた。そのうっとりとした表情は、画家が自分の作品を一歩下がって眺めているような、そんな優越感に満ちた表情だった。
 ムラムラと涌き上がる興奮に熱い息を吐きながら時計を見た。媚薬を垂らしてからまだ二分二十秒しか経っていない。しかしその興奮は止まる事を知らず、次から次へと口から溢れてはハァハァと卑猥な音を漏らした。
 もう我慢できないとズボンのボタンを外した。どうせ数分後には全裸になるんだと思いながら、そのままトランクスとズボンを同時に脱いだ。
 下半身を剥き出しにすると、脱ぎ捨てたズボンのポケットの中から水玉のパンティーを急いで引きずり出した。そしてそれを床に広げると、目をギラギラと輝かせながらプライベートなシミを上から眺めた。

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 黒いクロッチの白いシミに鼻を近づけると、汗と尿が入り乱れた饐えた臭いが漂って来た。女のショートカットから覗く白いうなじを見つめながら、これがこの女の股間に漂っているニオイなんだと実感し、ペニスをゆっくりとシゴいた。
 女の背中にソッと寄り添い、横向きの女の股間に指を滑らせる妄想を抱いた。ムチムチの太ももを掻き分け、綿のパンツの上から性器をグニグニと弄った。もう片方の手でタプタプの乳を揉みながらパンツの中に指を滑り込ませると、モサモサの陰毛の奥にじっとりと湿った小陰唇が息衝いていた。きっとその蒸れた陰部のニオイはこんなニオイなんだろうと想像しながら白いシミをチロチロと舐めた。
 ヒマラヤ岩塩のような程よい塩っぱさが舌に広がった。キャバ嬢のオマンコは塩っぱい、などと、何度も頭の中で呟きながら、もはやドロドロに濡れている女性器を頭に思い描いた。
(入れて欲しいか?……これをおまえの狭い穴の中にヌルヌルとピストンして欲しいか?)
 そう呟きながら、ギチギチに硬くなったペニスを根元から握り、唾液で濡れたクロッチに亀頭の裏を擦り付けた。尿道から溢れる我慢汁がネトネトと糸を引き、黒いクロッチをテカテカと輝かせた。入れるぞ、入れるぞ、ぶち込むぞ、と、荒い息と共に唱えながら、横向きの女の左足を持ち上げ、ベロリと開いた赤黒い陰部に亀頭をヌポヌポと出し入れするシーンを思い浮かべた。
(ヌルっと奥まで入れて欲しいか? これでおまえの膣壁をズリズリと擦りまくって欲しいか?)
 そんな自分の言葉に更なる興奮を覚えながら、水玉のパンツをペニスに被せた。亀頭をクロッチに押し付け、ペニス全体をくまなく包み込むと、そのまま上下に動かし「はぁぁぁぁ」と深い息を吐いた。

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 水玉パンツのサテン生地がカサカサと音を立てていた。イキそうになる度に手を止めながらソッと時計を見ると、既に四分三十秒が過ぎていた。
 そろそろだな、と期待に胸を膨らませながらもう一度女の尻を覗き込んだ。
 今からこの女とドロドロの催眠セックスが出来るのだと思うと、普通のパンチラも貴重なパンチラに思えた。この瞬間が堪らないのだと克彦は思った。
 例えば、ヘルスで女の子と並んで部屋に向かう廊下だったり、ピンサロの薄暗い店内で聞く『マリエさん、マリエさん、十七番テーブル御指名です』というアナウンスだったり、そして、出会い系の女子高生と待ち合わせをしているローソンの前で、暗い歩道を歩いて来るセーラー服を見た瞬間など、克彦にとってはそんな瞬間が人生で最も堪らない瞬間だった。だから今のこの瞬間も、克彦は身震いするほどに堪らない瞬間なのであった。

 時計を見ると、四分五二秒を過ぎた所だった。
 克彦という男は、毎年大晦日のカウントダウンは、必ずテレビのリモコンをカチカチさせながら各局のその瞬間を見る男だった。それが新年初の何よりの楽しみだった。だから今のこの残り八秒に大晦日の興奮が蘇り、七、六、五、四……と、カウントダウンせずにはいられなかった。
 ゼロ、と呟いた瞬間、克彦の頭の中でボン! と巨大クラッカーが破裂し、金色の紙テープや銀色の紙吹雪が宙に舞った。無数のペンライトが輝くライブステージをジャニーズの小僧共が走り抜けて行った。サザンが歌っていた。aikoも歌っていた。相も変わらずNHKではゴーンっと除夜の鐘が鳴り、どこからともなく「浜田、松本、アウト」というやる気のない声が聞こえてきた。キラキラ輝く紋付袴を着た売れない漫才師や、一昔前の醜いバラドル達が、「おめでとー!」と騒ぐ中、何故か突然、『ひとつ屋根の下』の江口洋介がビシっと気をつけをしながら右手を高く突き上げ、「東田克彦、遂にあの媚薬を五分間嗅がせる事に成功しました!」と叫んだ。すかさず卓袱台に座っていたちー兄ちゃんが、唇を縦に開けながら「おー」と拍手した。シャブ中の小雪と馬ヅラ小梅が「やったね!」と抱き合いながら飛び跳ね、今やオカマと化した壱成が「よーよーあんちゃんやったじゃねぇか」とあんちゃんの肩を叩くと、縁側でケンケンを抱いていた車椅子の文也が「あんちゃん凄いよ!」と糞真面目に呟いた。
 それほど克彦の頭の中はお祭りだった。二十年も前の月9ドラマが鮮明に蘇るほど、克彦の頭の中は喜びに満ち溢れていた。
 もうビクビクする必要はなかった。
 そう、もはやこのキャバ嬢は、克彦の性奴隷なのである。

(つづく)

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