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ストレス3

2013/05/30 Thu 18:10

ストレス3




 行く当てもなく電車に揺られていると、ある小さな駅の駅前に、ポツンと聳え建つ古いビジネスホテルを見つけた。電車を降りるなり、駅前に連なる薄汚い風俗店と露天のたこ焼き屋が目に飛び込んで来た。そこに漂う貪よりとした生温かい空気は、この町がいかに荒んでいるかを物語っているようだった。
 素泊まり四千円の部屋にチェックインした。黄ばんだレースのカーテンを開けると、四車線の国道が山の奥へと蛇のように伸びているのが見下ろせた。大型トラックが低い轟音を響かせながらひっきりなしに行き交い、交差点の角では巨大なパチンコ店が下品なネオンを輝かせていた。部屋全体には煙草のニオイが染み付き、コイン投入型の有料テレビの上にはアダルトチャンネルのパンフレットとデリバリーヘルスのピンクちらしが無造作に置かれていた。
 この荒んだ雰囲気が理想的だった。こんな部屋で、見ず知らずの長距離運転手に血が出るほど犯されてみたかった。朝まで乱暴に犯され、何度も中出しされ、そのまま精液の付いたティッシュと一緒に屑篭に捨てられたかった。
 小さなシングルベッドにそっと腰掛けると、ふとサイドテーブルに削り込まれている『オマンコしたい』という落書きを見つけた。そんな落書きを指でなぞりながら、このホテルなら、きっと自分の性的欲求を満たしてくれる男がいるはずだと広美は確信したのだった。

 そんな広美が『被虐的なセックス』に憧れを持つようになったのは、満男に対する反抗心からだった。満男はセックスが下手で、一度も広美をイカせた事が無かった。それは下手というか気持ち悪いというか、とにかく虫酸が走るようなセックスであり、何をされても満男では感情が昂らなかったのだった。
 獣のような男に激しく犯されたい。広美がそう思い始めたのは、あるブログに影響されたからだった。それは、三十歳のマゾ女が、夜な夜な不特定多数の見知らぬ男達と危険なセックスを繰り返すという変態ブログで、そこには画像だけでなく動画までもアップされていた。
 そのマゾ女は広美と同じ名古屋に住んでいた。歳も広美と同じ三十歳で結婚もしていた。旦那に内緒で野外露出を繰り返し、そして見知らぬ男に道端でセックスをさせていた。だからもちろん彼女の旦那はそのブログの存在を知らなかった。
 そういう広美も、満男の厳しい監視下に置かれながらも、見知らぬ男と野良犬のようなセックスを何度かした事があった。満男に対する不満が爆発し、満男の目を盗みながらコソコソ出会い系で知り合った男たちと逢った事があった。
 名古屋在住、二十七才、旦那に内緒で変態行為。そんな共通点はこの世の中にはざらにあるだろうが、しかし、ウツ病を患っていた精神不安定な広美には、その偶然的な共通点に何やら運命的なものを感じた。そして、たちまちそのマゾ豚公衆便女の危険な性癖にどっぷりと感情移入してしまい、今まで以上に過激なセックスを繰り返したのだった。
 しかし、そんなセックスも所詮は火遊びに過ぎなかった。満男という男に縛られたままでは、本当の意味での『被虐的なセックス』とは言えないのだ。
 満男という檻から逃げ出し自由になりたい。危険なジャングルの中で、獰猛な獣たちに腸まで喰いちぎられたい。そんな願望を日に日に募らせていた広美は、この日、ギラギラと輝く直射日光に刺激されながら遂に満男の檻から脱出し、そしてこのホテルに来た。その日の名古屋の最高気温は39・9度。一九九四年八月の最高気温を上回り、過去最高気温に達していた。

 入口の脇にあるクローゼットの中から浴衣を取り出した。ほんのりと湿った浴衣はこれでもかというくらいに糊で固められ、バシバシと音を立てて開くとモワっとカビの匂いがした。
 ブラジャーを外し、ストッキングを脱ぎ、パンティーを下ろした。クローゼットの扉の裏の等身大の鏡に、ムチムチとしたいやらしい肉体が映し出された。
 透き通るような白い肌に、薄ピンクの乳首と剛毛な陰毛がくっきりと浮かび上がっていた。ホルスタインのようにだらしなく垂れた巨乳は貪欲な性欲を剥き出しにし、パンパンに張った尻は、見るからにマゾヒズム的なメス豚の哀れさを醸し出していた。
 そんな乳を右手で鷲掴みにしながらその場にしゃがみ、鏡の前で大きく股を広げながら尻を左手でピシャンっと叩いた。シャワーを浴びていない裸体には、汗ばんだ体臭がムンムンと溢れ、脇の下には饐えた匂いが籠り、開いた陰部からは恥ずかしい垢の匂いがプ〜ンっと漂っていた。
 しかし、それでも広美は敢えてシャワーを浴びず、饐えた体臭が漂う全裸の上にそのまま浴衣を羽織った。ブログのマゾ豚公衆便女いわく、女の体臭がキツければキツいほど、サディストな男が寄って来るらしい。

 浴衣のままベッドに横たわり、この不潔な部屋で見知らぬ男に荒々しく犯される自分を想像しながらオナニーをした。満男の絶望した表情を想像すると更に感情は昂り、狂ったように悶えながらも、気が付くとテレビのリモコンを膣に挿入しては乱暴に掻き回していた。
 ベッドの下に投げ捨てられたリモコンは、無惨にもドロドロの白いカスにまみれていた。ふと気が付くと時刻は深夜一時を回っていた。広美は既に四回も果てていたが、しかし、満男からの解放に興奮冷めやらぬ広美の性欲は止まる所を知らなかった。四回も果てたはずなのに、陰部は更に敏感となり、勃起したクリトリスは中学生のニキビのようにジクジクと疼いていたのだった。
 誰でもいいから犯して欲しいと思いながら、乱れた浴衣のまま廊下に出た。シーンっと静まり返った廊下をエレベーターに向かって進んだ。歩く度にブラジャーをしていない乳は水風船のようにタプタプと揺れ、ドロドロに濡れた股間はネチャネチャと糸を引いた。
 ひとつ目の角を曲ると、エレベーターホールの奥に自販機のコーナーが爛々と輝いているのが見えた。自販機の前に小さなベンチが置いてあり、そこで五回目の絶頂を得ようとベンチに近付くと、不意に廊下の奥からガタンっとドアが閉まる音が響いた。
 絨毯の廊下をスタスタと鳴らすスリッパの音が聞こえて来た。その足音は、明らかにこちらに向かっていた。広美の心臓が激しく鼓動を打ち、激しい恐怖と変態性な色情に抱かれた。
 広美は慌てて床に伏せた。そして自販機の下の隙間に手を入れた。五百円玉が自販機の下に転がってしまった事にしようと、咄嗟にそう考えた。そんな自分の浴衣には、乳首と陰毛と尻のワレメが透けている事を、広美は知っていたのだった。
 現れたのは男だった。異様なほどに痩せ、だらしなく開けた浴衣からは鎖骨が飛び出し、キリンのような長い首には瘤のような喉仏が攻撃的に突き出していた。
 男は自販機の前で四つん這いになっている広美を見て一瞬足を止めた。ソッと振り向いた広美は男に軽く会釈すると、再び自販機の下を覗き込んだ。そんな男は、愕然としたまま広美を見下ろしていたのだった。
 尻に男の視線を感じた。浴衣の尻の谷間には、きっと陰部の影がうっすらと浮かび上がっているに違いないと思うと、広美のクリトリスが切なく疼いた。このまま浴衣を捲り上げ、男が見ている前で膣に指を入れたいという変態衝動に駆られながら、広美は大きな尻を男に向けていた。
 男は無言のまま自販機コーナーに入って来ると、広美のすぐ後にあるビールの自販機の前で足を止めた。硬貨を指でカチャカチャと鳴らしながら自販機に並ぶビールを物色していたが、しかし広美は、男が自分の尻を食い入るように見ている気配を感じ取っていた。
 しばらくすると、いきなり頭上から「どうしたの?」という男の野太い声が聞こえて来た。広美は自販機の下を覗き込みながら、五百円硬貨を落してしまった事を説明した。すると男は、そりゃあ困ったなぁ、などと呟きながら、広美と同じように床に膝を付き、そこに並ぶ五台の自販機の下をひとつひとつ覗き始めたのだった。

 広美の背後で前屈みになっていた男は、わざわざ埃だらけの自販機の下に手まで入れ、五百円硬貨を探してくれた。しかし、広美は気付いていた。床に顔を押し付ける男の視線が浴衣の裏側に注がれている事を。
 そんな男の視線は、広美のしゃがんだ股間を否応無しに刺激してきた。ワレメから溢れる熱汁が太ももの裏側に垂れていくのがわかった。そんな感触にドキドキしながら自販機の下を覗いていた広美は、洩れそうになる声を堪えるのに必死だった。
 暫くすると、そんなヌルヌルとした感触とは別に、何やら生温かい気配が尻全体を包み込んだ。それは明らかに男の鼻息だった。なんと男は、今にも鼻が尻肉に押し当たらんばかりに広美の尻に顔を近づけていたのだ。
 咄嗟に汚れたままの陰部が頭に浮かんだ。この至近距離では、膣から漂う淫臭までも嗅がれているに違いないと思った。肛門も割れ目も、そしてあのヨーグルト状の恥垢までも見られているかも知れないと思うと、今までにない激しい羞恥に襲われた。
 埃だらけの自販機の下を覗きながら下唇を噛んだ。見ず知らずの男に陰部を覗き込まれているという羞恥と恐怖は、広美の脳をギュンギュンと締め付け、クラクラとした目眩いを起こした。
 異常なほどの欲情に意識を朦朧とさせていると、ふと、マゾ豚公衆便女のブログに書いてあった言葉が広美の頭に浮かんだ。

『いきなり見ず知らずの男に犯されるのってとっても怖い事だけど、でも、その恐怖が快楽の第一歩なのよね』

 その言葉が書いてあったブログの記事には、鶴舞公園で寝ていたホームレスに陰部を曝け出しているマゾ豚公衆便女の画像が掲載されており、同時にその画像も鮮明に浮かんできた。
 そんなマゾ豚公衆便女の言葉と画像が、恐怖で固まっていた広美の脳を緩和させた。心地良いアドレナリンがじわじわと脳に広がり、四つん這いになっていた広美の体が自然に動き出した。
 ゆっくりと起き上がり、体を反転させた。すぐ目の前にしゃがんでいた男と向かい合わせになりながらしゃがんだ。日焼けした男の顔はイリオモテヤマネコに似ていた。
 男の目を真正面から見ると、男は慌てながら、「どこにも見当たらないねぇ」と首を傾げた。広美は、「多分この自販機の下だと思うんですけど……」と呟きながら、しゃがんだままの体勢で自販機の下に顔を傾けた。
 浴衣の裾から臑がチラリと顔を出していた。キュッと閉じた両脚の、二つ並んだ膝っ小僧が、大きな胸の前で浴衣を突っ張らせていた。
 顔を傾ける広美の視野に、男のギラギラした目が映っていた。男は「そこも探したんですけどね……」と呟きながら、前屈みになった浴衣の胸元をジッと覗き込んでいた。
 そんな広美の浴衣の胸元は、程よく着崩れしていた。もちろんわざとだった。さっき自販機の下を覗き込んでいる間にわざとそこを乱していたのだ。
 ノーブラだった。男の位置からして胸の谷間は丸見えのはずだった。
 広美は胸には自信があった。このタプタプとした白い巨乳を見て悶えない男はいないと自負していた。案の定、視野の隅に映る男は、そんな広美の胸元に釘付けになっていた。
 広美はわざと両脇を締め、その真っ白な柔肉を歪ませた。それをプニュと潰しながら、その柔らかさをアピールしたりした。そして更に挑発すべく、両手を床について前屈みになると、男のすぐ目の前で浴衣の襟はパックリと口を開いた。浴衣の中では、白い柔肉が牛のそれのようにタプンっと垂れ下がっていた。それを男に見せつけながらわざと自販機の下の手を動かし、その乳肉をタプタプと揺らしたりした。
 そうしながらもソッと視線を上げると、目の前にしゃがんでいる男の股間に歪な膨らみが浮かんでいた。それはまさしく肉棒だった。ゴツゴツとした肉棒がヘソに向かって伸びていたのだった。
 ムラムラとした熱いモノが胸に込み上げ、再びクラクラとした目眩いに襲われた。このままここでその肉棒を膣に突き刺し、おもいきりピストンして欲しい。そう思いながら自販機の下を弄っていると、今までピタリと閉じていた股がじわりじわりと弛み始めた。
 しゃがんでいた足は肩幅程度に開いていた。大股開きではなかったが、しかしノーパンだったため、男にはその卑猥な割れ目がはっきりと見えているはずだった。
 広美は、自分のそこが見られている事に気付かないふりをしていた。これはあくまでもハプニングなんだと偶然を装いながら、何も知らないふりをして必死に自販機の下を弄っていた。それは、そうしたほうが、男はそこを見やすいと思ったからだった。
 案の定男は、いかにも五百円を探すようなふりをしながら、「奥の方まで転がってしまったんですかね……」などと呟き、広美の股間をジッと覗き込んでいた。
 広美は自販機の下を手探りしながら、ソッと視線を自分の股間に移した。真っ白な下腹部に真っ黒な陰毛がとぐろを巻いていた。そんな陰毛の奥にはドス黒い陰唇がベロリと捲れ、スパッと切れた割れ目には真っ赤な内臓がヌラヌラと濡れ輝いていた。
 その真っ赤な内臓には恥ずかしい垢が付着していた。まるでヨーグルトの滓のような白濁の垢がドロドロしており、それを目にした瞬間、凄まじい羞恥心に胸を鷲掴みにされた。
 しかし、そんな羞恥心は、被虐願望者の広美にとっては性的興奮の何者でもなかった。だから広美は、わざと膣筋を動かしてやった。剥き出しになった真っ赤な粘膜をヒクヒクさせては、そこに透明の汁をプクプクと溢れさせてやったのだった。
 男の喉仏がゴクリと上下に動いた。それを合図に広美は、これかなぁ……とわざとらしく呟き、更に自販機の奥に右手を押し込んだ。すると、前屈みになった浴衣の胸元から、つきたての餅のような乳肉がボテッと零れた。
 広美はそれに気付かないふりをしたまま、自販機の奥で手を動かしていた。揺れる乳肉は遂に浴衣から溢れ出し、広美が右手を動かす度に、その硬くなった乳首が冷たいタイル床にクリクリと擦り付けられた。
 おもわず広美の口から「んっ……」と声が洩れると、その声に合わせるように、男が「ねぇ」と頭上で呟いた。広美が横顔を床に押し付けたまま視線を向けると、すぐ目の前で男が股を開いていた。
 ごぼうのように細く黒い足が、浴衣の中でM字に開いていた。そんなトランクスの隙間からは黒い棒がヌッと突き出し、その先にある紫色の亀頭が透明の涎を垂らしていた。
 広美は一瞬目を疑った。黒くて太くて異様に長い肉棒は、その貧弱な足には不釣合いなほどに力強いのだ。
 ムキムキと反り起つ竿には無数の血管が這い回っていた。ゴツゴツとした肉棒の先では、ピンポン玉ほどの亀頭が、まさに威嚇するかのようにクワッとエラを開き、尿道からは毒汁のような透明の汁をタラタラと垂らしていた。
 男はわざとそれを広美に見せつけていた。しゃがんだ腰を突き上げ、更にそれを聳えさせながら、広美の顔にそれを突き付けていた。
 広美は、その獰猛な肉の塊を間近で見ながらゴクリと息を飲んだ。すると再び頭上から「ねぇ」という男の声が聞こえた。
 こんな獰猛なモノを入れられたら間違いなく膣は裂けてしまうだろうと思いながらゆっくりと顔を上げると、いきなり男のギラギラした目玉が広美の弱々しい目玉を捉えた。
 その瞬間、まさに蛇に睨まれた蛙の如く、広美の思考回路は停止してしまったのだった。

(つづく)

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