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スリル7・変態専門店

2013/06/13 Thu 00:02

 変態専用デリヘル。その待機所には二人の女がいた。一人はゲームに狂い、一人は廃人のように瞬きすらしないままぼんやりしていた。
 そんな二人の女がいる部屋で、恵美は今、細い足首からパンティーを抜き取ろうとしていた。
 それを見ていた原山が、そのパンティーを素早く奪い取った。そして恵美が見ている前でそれを広げ、クロッチに染み付いた黄色いオリモノをチロチロと舐め始めた。
 それはまるで、汲み取り便所の穴に潜むカマドウマが汚物を吸っているように気色悪かった。おもわず目を背けてしまった恵美だったが、しかしそんな恐怖と羞恥が恵美にスリルを与え、胸の奥で燻っていた変態性欲を激しく燃え上がらせた。
「しゃぶって」
 そう言いながら原山は、胡座をかいた股の中心から真性包茎のペニスを突き出した。
 全裸の恵美は、丸い尻を突き出しながら四つん這いになった。五十を過ぎた男の薄汚い股間に顔を埋め、その生ゴミのような臭いが漂う肉の塊を口に含んだ。
 恵美の顔が上下する度に、ぷちゃ、くちゃ、と湿った音が部屋に響いた。
 ゲームをしていた黒髪の女がソッと後ろを振り向き、それを咥える恵美を見ながら、「金も貰わないで、よくそんな奴のチ○ポしゃぶるわ」と、呆れるように笑った。
 皮から三割しか顔を出していない亀頭を舌先でチロチロと舐めた。皮の隙間からジワジワと滲み出てくる臭汁は、醤油のような味がした。
 その時、卓袱台の上の電話が鳴り出した。
 恵美の髪を優しく撫でていた原山の手が、素早く受話器に伸びた。
「お電話ありがとうございますサラマンドラです」
 原山の野太い声が頭上で響いた。「はい、はい」と対応する原山の口臭を感じながら、恵美はその醜い肉棒を激しくしゃぶり続けた。
「アナルでっか? ええ、もちろんイケますよ。ウチは変態専門の女の子ばかりを用意してますから、基本的に殺す以外でしたら何をしてもらってもかまいません」
 そう卑しく笑う原山が、ふと奴隷商人に思えた。私は商品なんだ、と思った。そう思う恵美は、今から変態男に買われるというスリルに胸を締め付けられ、背筋をゾクゾクと痺れさせていた。
「繰り返しまっせ、東円町の『ホテル・グリーンヒル』302号室、佐々木さんですね」
 原山は、それを素早く信用金庫のメモ帳に控えると、「では、三十分以内にお伺いしますんで」と、まるでピザ屋のように電話を切ったのだった。
 受話器を置くと同時に、原山はリダイヤルのボタンを押した。本機のスピーカーから、ピポパポピピパポ、と高速プッシュ音が響くと、原山はペニスを咥えていた恵美の体をゆっくりと起き上がらせ、「さっそく初仕事ですわ」と笑った。
 スピーカーから鳴り響く呼び出し音を背景に、卓袱台の下に置いてあった『おしぼりウェッティー』で唇の唾液を拭き取った。そして原山の唾液で湿ったパンティーを履こうとしていると、スピーカーから「はい、矢部です」という若い男の声が飛び出した。
 原山は慌てて受話器を取ると、「もしもしベーやんか、悪いけど東円まで一人頼んますわ」と早口で言った。
 電話を切るなり原山は、下卑た表情を浮かべながら「久美子ちゃんは今から商売やし、諦めなしゃあないな」と独り言のように呟くと、勃起したままのペニスをピコピコ跳ねさせながら部屋の隅へと移動した。そして、廃人のように床の一点をジッと見つめている沙織の前にゆっくりとしゃがむと、「ちゃっ、ちゃっ、と終わらせるさかい」と囁き、そのまま沙織を床に寝転がせたのだった。
 原山は沙織の細い足首を両手で掴むと、それを左右に広げた。フレアなミニスカートが捲れると、少女の真っ白な股間で、淫売婦ならではの真っ黒な小陰唇がベロリと捲れた。
 なぜか沙織は下着を履いていなかった。そして沙織の性器は何故か濡れていた。
 原山の包茎ペニスは何の障害もなくヌルっと滑り込んだ。
 カサカサと畳が擦れる音に合わせ、原山の貧弱な尻がヘコヘコと凹凸していた。原山は「いくで、いくで」と唸りながらもなかなかイかなかった。さっそくゲームをしていた黒髪の女が「くっさい! くっさい!」と叫び出したが、しかし沙織は全くの無表情だった。その大きな目で斜め下の床をジッと見つめたまま、瞬き一つしなかったのだった。
 
 マンションを出ると、黒いワンボックスカーの中から恵美に向かって「こっち、こっち」と手を振っている男がいた。
『ドライバーさん』と呼ばれる矢部は、二十歳の現役大学生だった。黙って後部座席で項垂れている恵美に向かって、「まぁ、オヤジがうるさいから一応大学には籍だけ置いてるんっすけどね」と、終始にしゃべりまくっていた。
 そんな矢部が、松橋観光株式会社のデリヘル部について、勝手に説明を始めた。
「ウチはね、全部で六店に分かれてるんっすよ。高級、大衆、ロリ専、熟専、人妻アルバイトに、そして久美子さんとこの変態。それぞれジャンルで分かれてるんっすよ」
 矢部は自慢げにそう指折り数えながらも、「まぁ、そうは言っても、今は女の子が少ないっすからね……」と、急に深刻な表情を浮かべた。
「だから今は、どの店も女の子の回し合いっすよ。この間なんてね、ロリ専の店に電話かけて来た客んとこに熟専の婆様を回したんですからね、もう大笑いっすよ。ランドセルの似合う可愛い子をお願いしますって要望したのに、やって来たのがデヴィ夫人みたいな婆さんなんですから」
 ひひひひひ、と苦笑いしながら煙草を銜えようとしている矢部を、何気に恵美はチラッと見た。
 すると、不意にバックミラーの中で矢部と目が合った。
 矢部はピタリと笑い声を止めると、まだ幼さが残る目をギラリと輝かせながら恵美の目を見返した。
「サラマンドラは別ですよ。客が特殊ですから、普通の女の子達は嫌がるんっすよ。普通の女の子はね……」
 矢部は、そう『普通の女の子』を何度も強調しながら、バックミラー越しに恵美を睨んだ。そして、ゆっくりと煙草に火をつけながら「ふん」っと鼻で笑うと、「自分、変態って嫌いなんっすよね、気持ち悪りぃから」と、胸糞悪そうに煙草の煙を吐き出し、いきなり豹変したのだった。

 閑静な住宅街から小さな橋を一本渡ると、そこはもうネオンが煌めくラブホ街だった。
 古いお城のようなホテルの駐車場に車を滑り込ませると、矢部と一緒にホテルの中に入った。
 矢部は、慣れた手つきで無人のフロントのインターホンを押すと、「毎度、松橋観光っす、302号室お願いします」と告げた。
 暫くすると、緑のフィルムが貼られたフロントの窓が少しだけ開き、中からおばさんが「どうぞ」と言った。
 二人用の狭いエレベーターに二人で乗った。矢部は三階のボタンを押したその指を、そのまま恵美の尻にグッと食い込ませた。
 恵美が「うっ」と身を縮めると、矢部は「アナルセックスってそんなに気持ちいいんっすか?」と笑いながら恵美の顔を覗き込んだ。
「ほーっ……サラマンドラにしては結構綺麗じゃん」
 そう驚きながらも矢部は恵美のスカートの中に手を入れた。そして、原山に弄られた余韻が残る恵美の股間に指を這わせた。
「すげぇ、さすがはサラマンドラだ、何もしてないのにもう濡れてるよ!」 
 そう矢部が笑い出した瞬間、エレベーターは三階に到着した。
 扉が開くと同時に、恵美の脳にアドレナリンが広がった。
 不釣り合いなクラッシックが流れるそのケバケバしい廊下には、恵美が求めていたスリルがメラメラと満ち溢れていたのだった。

(つづく)

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