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オタクの穴4

2013/06/13 Thu 00:02

 翌日、益岡のマンションに行くと、そこにはいつものようにゲームの音だけが響いていた。
 何日間も引き籠もったままの部屋には、据えた獣臭が漂っていた。それは、駅の地下道で寝ているホームレスの前を通り過ぎた際、一瞬プンっと漂うあの匂いによく似ていた。
 益岡は、部屋に入ってきた彩乃に振り向きもしないまま、無言でコントローラをカチカチと鳴らしていた。
 ベッドの下には、汁が半分残っているカップ麺の空箱が二つ並んでいた。枕元にはスナック菓子の袋が散乱し、胡座をかいて座っているその足元には、1000㎖のコーヒー牛乳の紙パックが口を開いたまま置いてあった。
 その光景は、明らかに昨日と同じだった。そのグレーのTシャツも、掛け布団の乱れ具合も、眼鏡のレンズに付着したフケの位置さえも何も変わっておらず、全て昨日のままだった。

(この男は……一生ここでこうして生きていくんだろうな……)

 そう思いながら、そこに突っ立ったまま黙って益岡を見下ろしていると、不意に益岡は「チッ」と舌打ちし、乱れた掛け布団の中にコントローラーを投げ捨てた。
 不貞腐れたようにコーヒー牛乳の紙パックを乱暴に鷲掴みにすると、昨日の件を察しているのか、まるで威嚇するかのようにギロリと彩乃を睨みながらそれをゴクゴクと飲み始めた。

「なんか文句あります?」

 空の紙パックをベッドの下に投げ捨てながら益岡が言った。
 彩乃は、昨日の事をはっきりと言ってやるつもりでいた。最初から売春させる目的で青木の所に出向かせた事や、自分に内緒で四万円もの料金を青木に請求していた事など、厳しく問い質してやるつもりでいた。
 が、しかし、益岡のその開き直った態度を見た瞬間、当初の強気は瞬く間に弱気に変わってしまった。その濁った目玉にギロリと睨まれていると、途端に何も言えなくなり、ただただモジモジしながら項垂れてしまったのだった。
 そんな彩乃の弱気な姿勢が益岡を付け上がらせた。この女は何も言えない小心者だと悟った益岡は、その険しい表情を急に余裕の笑みに変えながら、「今日は六組も予約が入ってるから、早く準備して下さいよ」と言い、再びコントローラーに手を伸ばしたのだった。

(ここで何も言わなければ、このままズルズルと続いてしまう……)

 そう焦りながら彩乃はキャリーバッグの蓋を開けた。売春させられるのなら、今までの取り分を変更して欲しいというその一言を、どのタイミングで言い出そうかと悩みながら、キャリーバッグの中から昨日のマラッシュの衣装を取り出した。
 空になったキャリーバッグにミンクルの衣装を詰めようとすると、不意に益岡が、「まだ時間があるから、ちょっとミンクルの衣装を着てみてよ」と言った。
 一瞬戸惑ったが、すぐに「はい……」と呟きながら、素直にその命令に従った。素早くメイクをし、衣装に着替え、ピンクのウィッグを装着した。
「これでいいですか……」と、ベッドでゲームをしている益岡の前に立った。すると益岡は「おっ」と言いながらゲームをセーブし、そのままベッドにゴロリと寝転がったのだった。

「こっちに来てください。面白いDVDがありますから一緒に見ましょう」

 益岡は、コーヒー牛乳の紙パックが置いてあった場所をポンポンと叩きながらそう笑った。
 ブルーレイのリモコンをカチカチし始めた益岡を横目で見ながら、彩乃は恐る恐るベッドに上がった。チャンスを見計らい、売上の取り分の話を切り出そうと思いながら、静かにそこに腰を下ろした。
 今までゲームが映し出されていたテレビの画面がスッと暗くなった。妙に画像の悪い映像が現れ、それと同時に彩乃は絶句した。
 なんとそこには、昨日の青木と自分の行為が映し出されていたのだった。

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 それは明らかに盗撮された動画だった。脱衣場やトイレにカメラは仕掛けられていなかったが、まさか部屋にカメラが仕掛けられていたとは思いもよらなかった。
 しかし、どうしてこの動画を益岡が持っているのか。
 彩乃は、そう嫌な胸騒ぎを覚えながら、獣のように醜い自分のその醜態を愕然と見ていた。

「なかなか凄い事してるじゃん……」

 そう呟きながら、益岡は枕元に置いてあったポテトチップスの袋の中を指でカシャカシャと探った。

「昨日、あれだけエッチはしないで下さいよって注意してたのに、これ、ズッボズボにオマンコしちゃってますよね……」

 そう言いながら、口一杯に含んだポテトチップスをザクザクと咀嚼する益岡は、「これは契約違反だよね」、「罰金じゃ済まないよね」、「一歩間違えば僕も売春管理で逮捕だよね」などと嫌味ったらしく呟き、グイグイと圧力をかけてきた。最初から売春目的で彩乃を青木に派遣したにもかかわらず、あくまでも彩乃が勝手に性行為をしたかのように愚痴り始めたのだ。
 それは、売春で得た利益を、益岡が独り占めしようとしているからに違いなかった。
 案の定、それによって彩乃は何も言えなくなってしまった。この状況で取り分の交渉などできるわけがなかった。それよりも今は、逆に罰金を請求されそうな雰囲気なのだ。
 だから彩乃は黙っていた。実際、益岡に忠告されたのも事実だったし、青木にヤらせてしまったのも事実だったため、何も反論もできないまま黙っているしかなかった。
 すると益岡は、そんな黙ったままの彩乃の太ももをスリスリと摩り始め、突然もう片方の手でパジャマのズボンを脱ぎ始めた。
 ビーンッと勃起したペニスが天井に向かって反り立っていた。ドス黒い皮には無数の血管を浮き出し、まるで別の生き物のようにヒクヒクと脈を打っていた。
 益岡はニヤニヤと笑いながら「青木みたいに僕のも抜いてよ」と言うと、強引に彩乃の顔をペニスに引き寄せた。そして亀頭を目の前にして戸惑っている彩乃の頭をグイグイと押しながら、「青木みたいに、ねっとりとしたフェラしてよ」と、その唇に亀頭を押し付けてきたのだった。

 バナナを頬張るようにそれをゆっくりと口内に含んだ。亀頭に舌を這わすと、カリ首の裏にこびりついていた恥垢がポロポロと砕け、強烈なイカ臭が口内に広がった。
 そんな亀頭に舌を絡めながら顔を上下させると、チュッパ、チュッパ、とリズミカルな音が部屋に響いた。それを益岡は、首を持ち上げながらジッと見ていた。そして、「ハァァァァ」と虫歯臭い息を大きく吐き出しながら、「金玉もモミモミして……」と、少年のように囁いた。

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「おおおっ……ううっ……」と、唸る益岡を上目遣いに見ながら、肉棒を根元まで飲み込んだ。ジュプ、ジュプ、と下品な音をわざと立てながらしゃぶってやった。
 益岡は悶えながらも、「罰金はちゃんと払ってもらうからね」と呟いた。
 彩乃はゆっくりと肉棒を口から抜いた。そして、唾液にまみれたそれを手でシコシコしごきながら「いくらですか」と聞くと、益岡は腰をヒクヒクさせながら「百万」と言った。
 絶句した彩乃の手が動きを止めた。すると益岡はすかさずその手を掴み、彩乃の体を強引に引き寄せながら「ただし……」と呟いた。

「今のキミに現金で払えと言っても無理だろうから、給料から少しずつ返済してくれればいいですよ。もちろん、それが返済できるだけの客を僕が責任を持って毎日紹介しますから、ふふふふ……心配しないでください……」

 そう言いながら益岡は、彩乃を腹の上に跨がせ、その大きな胸に顔を押し付けた。そしてそのままスカートの中を弄ると、素早くパンティーを引き摺り下ろし、既に濡れている彩乃の陰部に亀頭をグイグイと押し付けてきた。
 彩乃は、体をギュッと抱きしめられながら、「それは売春しろって事ですか」と聞いた。すると益岡はペニスの根元を握りしめ、その濡れた穴を亀頭でぐちゃぐちゃと掻き回しながら、「売春しろとは言ってません。それはキミの勝手です。ヤりたくなければヤらなければいいし、ヤりたかったら勝手にヤレバいい。それは自己判断で決めてください」と笑った。
 それに対して彩乃が「でも」と言おうとすると、まるでその口を塞ぐかのように、益岡は一気に腰を突き上げた。
 ツルンっと滑り込んだペニスは、勢い良く根元まで突き刺さった。「あああん!」と仰け反る彩乃の腰に素早く腕を回すと、益岡は彩乃の下半身をがっしりと固定し、何度も何度も腰を突き上げた。

「でも、とか言わないでください。僕に逆らっちゃダメです。このDVDが市場に出回ったらキミの人生は終わりです。だから僕に逆らわないで下さい。絶対に僕に逆らわないで下さい」

 益岡は、彩乃の耳元にそう念仏のように唱えながら、石のように硬いペニスを激しくピストンさせた。

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 それを繰り返される彩乃の頭の中は、まるでリセットボタンを押されたかのように真っ白になった。卑劣な脅迫と強烈な快感に思考回路は破壊され、もはや何も考えられなくなってしまったのだった。

 その日の午後、さっそく客を取らされた。いつものようにミンクルの衣装が詰まったキャリーバッグを引きずりながらマンションを出たが、しかしその行き先は薄汚いラブホテルだった。
 相手は、やはりオタクだった。ただし、今までの気弱なオタクとは違い、明らかに性欲を剥き出しにした獣のようなオタクだった。
 しかも獣は三匹いた。三匹の獣は、もはやミンクル彩をちやほやしてはくれなかった。そこには、あのアイドル扱いされていた華やかな撮影会の雰囲気はなく、淫欲に満ちた獣達の、どす黒い性欲だけがムラムラと漂っていたのだった。

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 そんな客を、毎日七人取らされていた。ミクルンピューラの熱狂的なファンは全国各地に大勢いたため、ミンクルによく似た彩乃とヤリたがるオタクは後を絶たなかった。
 料金は二時間四万円だった。回転率を良くするため、撮影会を兼ねての仲間内での複数プレイを推進しており、その場合は一人につき三万円とされていた。
 そのうち彩乃に入るのは一万円だった。しかし、そこから衣装代と罰金を引かれ、実際に彩乃の手元に残るのは、一人の客につき三千円程度だった。
 それでも彩乃は、逆らうことなく益岡の命令通り働いた。
 それは、例のDVDで脅迫されていたからではなかった。益岡が怖いわけでもなく、金が欲しいわけでもなかった。
 マゾヒスト。
 そんな哀れな性癖を持つ彩乃にとって、この生活は決して苦ではなかった。むしろ、毎日十人近くの獣達に肉便器のように扱われることにより、喜びを感じていたのだった。

(オタクの穴・完)

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