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 五号室の鍵を静かに開けると、ベッドの上でジッと天井を見つめていたナメクジ女が目玉だけをゆっくりと僕に向けて来た。
 深夜2時。患者達は睡眠剤を投与されぐったりと眠りについている。しかし僕は、あえてこの五号室のナメクジ女には睡眠剤を与えなかった。このナメクジ女は睡眠剤などなくても暴れたり騒いだりすることはない。そう、この女は、自分がナメクジだという妄想に取り憑かれているからだ。

 番号16779番。
 このナメクジ女にはもはや人間としての名前はない。年齢32才。重度の統合失調症で、彼女は十年間、幻覚と妄想の中で生きている。

 彼女がこの特Bに隔離されたのは、職員に対する暴行が原因だった。
 2年前、彼女がまだ本棟で普通の治療を受けている時、たまたま食堂のテレビにライオンがハンターに襲いかかるシーンが映し出された。それを真剣に見ていた彼女はその2日後の深夜いきなりライオンと化したらしい。そう、彼女は妄想の中でカメレオンのように変身するため、大人しいナメクジにもなれば凶暴な野獣にもなれるのである。
 真夜中ライオンに変身した彼女は、アドゥ~!アドゥ~!と奇怪な雄叫び(彼女にはライオンのガオォォォ!っという声がアドゥ~!に聞こえたらしい)をあげては部屋中を四つん這いで走り回り、慌てて部屋に駆けつけた二十代の看護婦に襲いかかり、いきなり喉元に噛みついた。命に別状はなかったものの、しかし看護婦の首には今でもクッキリと歯形が残っているという。

 それが原因でナメクジ女はこの特Bに隔離されるようになったのだが、他にもこのナメクジ女は、同じく食堂のテレビでアンパンマンを見ている最中、いきなりテレビに出ていた「てんどんまん」(どんぶりまんトリオの一人で、アンパンマンの友人。『♪てんてんどんどんてんどんどん♪』と歌いながら箸で頭の丼のふちを叩きつつ出てくる、語尾に『ざんす』をつけるダメキャラ)にいきなり変身してしまい、半年近く「てんどんまん」のまま暮らしていたらしい。なぜ主役のアンパンマンではなくよりによって「てんどんまん」なのかは現在彼女の主治医が調査中らしいが、しかし「てんどんまん」は他人に危害を加えなかったから全然楽でした、とその主治医は後に証言している。この他にも、見舞客が持っていた携帯の着メロを聞いたことによりナゼかロボットに変身してしまったとか、トイレから出てくるなりいきなり秋田弁になっていたりとか、そして大好物の白身魚のフライに感情移入し過ぎて突然白身魚のフライに変身してはピクリとも動かなくなってしまったなど、彼女の変身パターンはまだ他にも色々あるらしいが、どちらにせよかなりの重症者である。

 前園さんは、このナメクジ女なら素人でも安心して楽しめるからという理由で、そんなナメクジ女を僕に薦めてくれた。そう、このナメクジ女が僕が最初に虐待をする患者の記念すべき第一号になったのだった。
 そんな五号室のベッドの上のナメクジ女は、身動きひとつせず大きな目玉だけをギョロギョロと動かしながら、深夜居室にやって来た僕の唯ならぬ気配を肌で感じ取っていた。部屋には異様な匂いが立ちこめ、床に開いたトイレの穴の横にはプツリと切れたウンコの欠片がボトリと転がっていた。
 僕は慌てて白衣からマスクを取り出しそれを装着した。
 前園さん曰く、「馴れて来るとこの悪臭が堪らないんだよ」、らしいが、しかしド素人の僕にはまだまだこの匂いはただのウンコ臭にしか感じない。

 僕は、ベッドでギョロギョロと目玉だけを動かしているナメクジ女の顔を覗き込んだ。そのギョロギョロと動く目玉はまるで本物のナメクジの触覚のようでとても不気味だ。
 しかし顔は決してブスではない。綺麗に髪を解いで化粧をしたらそれなりに普通の女だと思う。スタイルだって悪くない。胸も大きく、肌も白く透き通るように美しい。
 ただ、長年の運動不足からか余分な脂肪が身体中を覆い、それは一見、豚のように見えなくもないが、しかし普通に見れば、どこにでもいるポッチャリ型と呼べなくもないことはない。

「おい・・・眠れないのか?・・・」

 僕は彼女の顔を覗き込みながら、まるで子犬に話し掛けるようにそう呟いた。
 すると彼女は返事をすることもなく、ゆっくりゆっくり目玉を移動させ、なぜか僕の頭をジッと見つめている。

「ちょっと呼吸を調べるからね・・・・」

 僕はデタラメにそう言いながら彼女の院内着の胸の部分にソッと手を伸ばそうとした。しかし、再び彼女の目玉がギロッと動き始め僕は慌てて手を引っ込めてしまう。やはり、たとえ相手が精神異常者であろうと、こうも堂々と痴漢行為をするというのはなかなか勇気のいるものだ。
 僕は大きく深呼吸しながら辺りを見回す。
 大丈夫だ、この病棟には僕以外の正常者は誰もいない。他の患者達は、みんな強力な催眠剤で意識不明の状態なのだ、大丈夫だ、うん。

 僕は自分をそう勇気づけながら、もう一度彼女の大きな胸にソッと手を差し伸べた。
 ゴワゴワとした院内着の下から、ノーブラの乳房のグニャリとした感触が伝わって来た。
 胸を揉まれる彼女は、目玉をギョロっとしながらジッと僕の目をただジッと見つめている。

「ちょっと呼吸が乱れてるから・・・調べてみようね・・・・」

 僕はゴクリと唾を飲み込みながら彼女の院内着の帯を静かに解いた。
 帯を解いた院内着をゆっくりと左右に開くと、真っ白な彼女の肌と共にブヨブヨの巨乳が現れた。乳肉自体は白くてポヨポヨしているが、しかし乳首は干しぶどうのようにドス黒かった。
 僕はそんな彼女の巨乳を左手に優しく包み込んだ。それはまったく張りが無く、それはまるで巨大なクラゲを触っているような感覚だ。

 そんな巨乳をグニョグニョと弄っていても、彼女はなんの反応も見せずギョロギョロと目玉を動かしているだけだった為、僕は真っ黒な乳首を指先でコロコロと転がしてみた。
 すると突然彼女の呼吸が速くなり、微かに鼻息が荒くなる。
 たとえナメクジでもやっぱり感じるんだ・・・と、僕はそんな呼吸を荒くさせる彼女を見下ろしながら不思議にそう思った。

 そんなナメクジな彼女は白い大きなパンツを履いていた。パンツの骨盤部分には「16779」という彼女の番号がマジックで書かれ、洗濯のしすぎなのかそれがボンヤリと滲んでいる。
 僕は彼女の大きな目をジッと見つめたまま、乳房を揉んでいた手をゆっくりと下に移動させた。そしてモッコリと盛上がった恥骨を、パンティーの上からスリスリと指で擦ると、いきなり彼女は反応し、驚いたような目をしてジッと僕を見つめていた。

「せ、生理はいつ来ましたか?・・・・」

 僕は彼女の股間をスリスリしながら、彼女が答えないと知りながらも一応そう聞く。そんな僕の心のどこかには、もし、彼女が何らかの理由でふと正常に戻ったらという恐怖があるのだ。
 僕は、何も答えない彼女を見下ろしながら、ピッタリと閉じている太ももの間に指を押し込んだ。
 ムチムチの太ももが僕の指を包み込む。僕はそんな太ももの中で指を「く」の字に曲げながらパンティーのクロッチ部分に指を押し付けた。そして、股間の指をグネグネと動かしながら、もう片方の手で彼女のブヨブヨの乳房を弄ったのだった。

 これはかなり興奮させられた。

 以前、一般病院に勤務している時に交通事故で意識不明の女子高生の体をこっそり悪戯し、少女のアソコを舐めまくると言う鬼畜な行為をしては激しく猛烈に興奮したことがあったが、しかし、これに比べたらあんなものは比ではないくらいに興奮させられた。
 そう、例え無抵抗な相手を悪戯するにしても、やはり、相手の意識があるのとないのとでは全然違うのだ。
 あの時の、救急治療室の女子高生のアソコは、ただひたすらに強烈なクレゾールのニオイに溢れ、そしてアソコに指を入れても、ただひたすら酸素ボンベの音が響いているだけだった。
 しかしこいつは違う。
 こいつの股間を弄った指からは強烈な恥垢の香りが溢れ、そして乳首をコリコリッと転がす度に家畜のようにスースーと鼻息を荒くするのだ。
 しかもこいつはそんな僕の悪戯行為をジッと見つめているのである。

 そんな無抵抗な精神異常者に大興奮した僕は、「ちょっと中を調べてみましょうね・・・」と彼女に囁き掛けながら、マジックのインクが滲んだ16779番と書かれるパンツに手を掛けた。
 スルッと下ろすとモッコリと膨らんだ恥骨部分がペロンと現れた。そこにベタリと萎びる陰毛は、まるで岩のりのようだ。
 更にパンツを下ろそうとすると、いきなり彼女に変化が現れた。
「うぅぅん・・・・」
 なんと、そう呻きながら腰をくねらす彼女は、まるで子供がぐずるかのように眉間にシワを寄せながら、パンツが下ろされるのをモジモジと嫌がっているのである。
 この野郎、ナメクジのくせしやがって!
 僕は一瞬そうムカッと来たが、しかしそうやって嫌がられるのもこれまた楽しいものである。
 もしこれ以上嫌がったら、白衣のポケットに忍ばせているスタンガンでさっそく脅してみようと思いながら僕はワクワクした。
 しかし彼女は軽く腰をモジモジさせるだけで、それ以上に暴れることはなかった。僕は、太ももに挟まっているパンツをおもいきり上に引っ張り、パンツのクロッチをピーンと広げた状態にするとそこに付着している魑魅魍魎とした「汚れ」を覗き込んだ。

「凄いオリモノだね・・・臭いもかなりキツい・・・まさしく牝豚のオマンコのような凄まじい臭いですよ・・・これは性病の検査もしておいたほうがいいかも知れないなぁ・・・・」

 そんな卑猥な言葉を話し掛けれるのも精神異常者ならではの醍醐味のひとつである。こんな言葉は一般人には恥ずかしくてなかなか言えないのである。
 僕は、そんな言葉を彼女の耳元にアレコレと囁きながら、左手で彼女の汚れたパンツをズルズルと下ろし始めると、もう片方の手で自分のズボンのベルトを外した。

 天井に向かってピーンと聳えるペニスが蛍光灯に照らされた。ギンギンに勃起しているペニスの先は、既に我慢汁でネトネトに輝いている。
 僕はそんなペニスをシコシコとシゴきながら、それを彼女の顔の前に突き出した。
 彼女はギョロギョロと目玉を動かしながら、そんな僕の手の動きを見ている。
 女の前でオナニーをするのは生まれて初めてだった。
 以前の病院では、小児病棟に入院している幼女に何度か勃起したペニスを見せたことがあったが、しかしこうしてシコシコとオナニーをしているのを見せるのはコレが初めてだ。

「ほら・・・よく見て・・・大っきいでしょ・・・・」

 興奮した僕はウルウルした声でそう呟く。
 因みに、僕のペニスはボッキ時でもわずか八センチ足らずで決して大きくはなくいやすこぶる短小だ。しかもその亀頭は紀州梅のように弱々しく、日頃は皮を被っているせいか皮が剥かれた時のそれは特選黒毛和牛の特上霜降り肉のように鮮明なピンク色をしていた。

 ハッキリ言って僕のペニスは最悪だ。
 短小で包茎でそれにいつも臭い。
 そんな下半身に自信が無い僕だからこそ、意識不明の患者や幼児や精神異常者といった無抵抗な女性にしか、僕は性的興奮を感じられないのだ。
 僕はそんな悲惨なペニスを彼女の目の前でシコシコとシゴきながら、わざとらしく「あぁぁぁあぁぁぁ」っと女のように喘いでみせる。

「やめて・・・見ないでお願い・・・恥ずかしい・・・・」

 わざわざ精神異常者に見せつけておいてそれはないだろうと自分でもツッコミを入れたくなるようなバカなコメントだったが、しかしこの時の僕は、そんな自分の醜態を他人に見られるという一風変わった刺激に包まれ、極度の性的興奮状態に陥っていた。だからこの時の僕は意味不明な言動だらけなのである。
 そんな僕を彼女はギョロギョロとした目で見つめながら、太ももにズラされたパンツを必死に履こうとしていた。

 そんな彼女のパンツを足首からスポッと抜き取り、彼女に自分自身の「汚れ」を見せつけてやった。
「どうしてこんなにパンツを汚すんですか!・・・・ダメでしょ、ここをこんなに汚しちゃ!」
 まるでお母さんが子供に叱るかのようにそう叱ってみると、彼女はまるで幼女のように怯えた表情になった。
 そんなノリの良い彼女に嬉しくなった僕は「こんなバッチイ子は月に変わってお仕置きよ!」と叫びながらそんな彼女の頬を引っ叩いてみた。

 パチッという乾いた音が響き、その音と同時に彼女は「うぅぅぅ」と怯えた。

 その彼女の脅えが更に僕の欲情を注いだ。ベッドの足下で丸まっていた掛け布団を床に放り投げ、ペニスを突き出した僕はベッドの上に飛び乗る。
 彼女は、今から何をされるのかわかったらしく、ゆっくりとした動作でベッドから逃げようとするが、僕は逃げようとするそんな彼女の尻や太ももを「お仕置きするざますよ!」となぜかおそ松くんのイヤミのような口調でペシペシと叩くと、彼女は「やめで、やめで」と唸りながら泣きそうな顔で少しばかりの抵抗を試みたのだった。

 そんな感じで彼女を今以上に更に精神的に追い詰めてやった僕は、脅える彼女をベッドの上で仰向けに寝かせ、彼女の開いた股の中に潜り込みながら素早くコンドームを装着した。
 彼女の穴が濡れているかどうかはこの際関係ない。っというか、さすがにこのプンプンと悪臭が漂う彼女のマンコを直に触る気にはなれず、そこが今どうなっているか調べることはできないのだ。
 しかし、コンドームを装着したペニスでソコをグニグニと弄ってみると、彼女のソコはそれなりに湿っていた。それが愛液なのか、はたまた小便の残り汁なのかオリモノなのかはわからないが、とにかく僕はペニスが入りさえすればなんだっていいのだ。

 彼女のブヨブヨとした両足を抱えると、ふいに彼女が「いやだ・・・」っと声を発した。そんな嫌がる精神異常者に僕は異様な興奮に包まれていった。
 グイッ!と腰を突き上げると、ペニスはいとも簡単にヌルッと挿入した。このヌルヌル感はオリモノや小便の残り汁ではないことは確かだ。そう、この精神異常者は、僕に悪戯されながらも性的な分泌物をダラダラと垂れ流していたのだ。
 僕はヌルヌルとペニスを出し入れしながら、「うぅぅぅぅ」っと唸っている彼女の巨乳を鷲掴みにした。
 彼女の穴の具合は、まったくと言っていい程にシマリはなく、ただダランと萎れた穴にペニスを突き刺しているような感覚だったが、しかし、始めてこのような残酷なセックスをした僕にとっては、それでも十分に感じさせてくれた。

「あぐぅぅぅ!」

 腰を早くさせると彼女が猛獣のような声で喘いだ。ナメクジのくせに、どうやら感じているらしい。
 僕は腕立て伏せのような体勢になりそのまま腰をカクカクと動かした。さすがに、異臭を放つ彼女の身体を抱く気にはなれず、体を浮かせたまま腰を高速させたのだ。

「あべぶ・・・あべぶ・・・あべぶ・・・」

 まるで北斗の拳のような声で喘ぐナメクジ女。そんなナメクジ女を僕は見下ろしながら、今度、この女にAVを見せてみようとふと思ったりする。AVに刺激された彼女は、もしかしたらナメクジ女から過激なAV女優に変身するかも知れず、それはなかなかおもしろそうだとワクワクする。
 そんな事をあれこれ考えながら、そのユルユルのオマンコに短小ペニスをヌルヌルと摩擦させる僕は、そろそろ射精の時間が近付いて来た。

 そんな僕は彼女にペッ!と唾を吐きかけたり、陰毛を毟り取ったりとしながら激しく腰を振る。
 こんなナメクジ女、もっともっと虐めて虐めて虐めまくって、ぐちゃぐちゃになった所におもいきり射精したいと思うが、しかし僕の引き出しの中にはそんな本格的なSM的な引き出しは少なく、どうしても中学生のイジメ的な幼稚なレベルになってしまう。
 他になんか凄い事はないのかよ!と、イキそうな僕は焦りながら考える。すると床にポッカリと開いた便器の穴の横にドテッと転がっている大きなウンチがふと目に飛び込んできた。

(これだ!)と思った僕は、いきなりペニスを抜くと慌ててベッドから飛び降り、彼女のパンツを手袋代わりにしてその半分にドテッと千切れた巨大ウンコをグニュッと握った。

「さぁ・・・今からキミはジューサー・ミキサーに変身するんだぞ・・・・」

 そう言いながら彼女の顔にソレを近づけると、さすがのナメクジ女も糞だけは嫌なのか「うぅぅ」と唸りながら顔を背けた。
「だめ!世の中はリサイクルの時代なのよ!エコよエコ!自分でこいたウンチはまた自分の体の中に返してあげなくちゃダメなのよ!」
 僕はヒステリックにそう叫びながら、ソレを彼女の顔にグチャ!と押し付けた。
 が、しかし、そうしてみて初めて気付いたのだが、それがどうした?という話しである。僕はSMチックにスカトロジーな状況で射精したいと思っていたのだが、しかし、ウンコの付いたパンツを顔にグチャッと付けられて「うぅぅぅぅ」と唸っているだけの女など、ぜんぜんサディズムでもなければマゾヒズムでもなく、これじゃあただの近所のイジめっ子なのである。
 しかも臭い!彼女の顔でグチャッとなっているウンコ臭が正常位で腰を振っている僕の顔にモワンモワンと襲って来るのである。そりゃあまだ彼女は自分のウンコだから良かろうが、しかし僕にとったらそれは他人のウンコであり一文の得にもならないのだ。いや、臭い分余計に損なのだ!
 こりゃあ取り返しのつかない事してしまったな・・・と、僕はウンコだらけのナメクジ女を見下ろしながら腰を振り、それでも一応「うっ!」と大量の精液をコンドームの中に放出したのだった。


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 次の当直日、いつもよりも早く出勤した僕は、今夜はどの患者を犯してやろうかと病棟を徘徊していた。
 そんな僕を見て、さっさと帰り支度をはじめた鏡嶋主任は、「妙に張切ってるじゃないか」と満足そうに頷いている。
 そんな鏡嶋主任が病棟を出て行くと、僕はとりあえずカップラーメンの夕食をとりながら、管理室のモニターに映る患者達を順番に眺めた。

 三号室。
 30代のアル中女だ。
 豊満な熟女といった容姿の彼女は、床のトイレでウンコをするのがイヤだと言っては便秘になり、前園さんに浣腸された女だ。モニターに映るそんな彼女は、まるで普通のおばさんのように静かに本を読んでいる。
 本を読めるくらいだから、この病棟ではまだ正常な方だ。
 いや、もしかしたらこのおばさん、わざと便秘になって前園さんに浣腸をねだったのかも知れない。
 スカトロ好きな変態熟女か・・・いや、前回スカトロでは失敗してるからこれはパスだな・・・・

 僕はそう思いながらカップ麺をすすり、次のモニターに目をやった。

 四号室。
 髪を茶髪に染めた二十代のシャブ中。
 入口の鉄扉に嵌め込まれている透明アクリルを鏡代わりにして指でサッサと前髪を解いている。
 やはり若いだけあり見た目はキャバクラ嬢のようで、この特Bの中でもダントツに良かった。
 まだこの精神異常の世界に来て間もないせいか、無駄毛や体の汚れも少なく、それなりに人間らしさが漂っている。
 ただし、この女は性格があまりにも凶暴すぎる。
 もし、悪戯している最中に目を覚ました時が大変そうだ・・・。

 五号室。
 ナメクジ女。
 こいつは先日大失敗したからパスだ。
 っていうか、このナメクジ女とヤってからというもの、僕のペニスが更に悪臭を放つようになったような気がするため、こいつはもう2度とヤらないだろう。

 六号室。
 ハイヒールのモモコに似た茶髪の三十代。妙に色っぽいシャブ中だ。
 この女とは睡眠剤なしでも出来るような気がする。
 だからこの変態女はそれほど慌てることはない。

 八号室。
 小柄で上品な四十代のおばさん。しかし、見た目は大人しそうだが実は夫を殺した殺人犯。
 このおばさんは色情魔らしく、かなりセックスも楽しめそうだが、しかし、前園さんは、松川のようになりたくなければ八号室には絶対に近付くな!っと、僕を絶対に八号室に近寄らせようとはしない。
 できることなら今夜はこのおばさんで楽しみたかったのだが、しかし、一応先輩の忠告は聞いておくことにする。
 まだまだお楽しみは始まったばかりなのだから。


 スープだけ残ったカップラーメンをそのままゴミ箱の中に投げ捨てると、僕は背伸びをしながら管理室を出た。
 特Bの入口の鉄扉のゲートの前には、いつの間にか本棟から運び込まれた患者達の夕食が入った箱がポツンと置いてあった。
 僕はさっそくヤカンに火をあて、患者達の夕食の準備に取り掛かった。
 番号が書かれた紙コップに、温いお茶をトポトポと告ぐ。
 陶器の食器は禁止されているため、患者達はこの紙コップでお茶を飲む。しかもそのお茶は熱湯が禁止されているため、人肌のように温かった。

 夕食の入った箱と紙コップのお茶をステンレス製のワゴンに乗せると、それを廊下にガラガラと押しながら「配食~」っと号令をかける。
 一号室と書かれた無人の保護室の前で、こっそり弁当箱の蓋を開けて今夜の献立を覗いてみた。
 ふりかけが混ざったおにぎりが2つと、鳥の唐揚げが2つ。それに、サラダのつもりなのか、スティック状にカットされた細いキュウリが二本と三日月型のトマトがひとつ転がっていた。
 ここの患者は、箸やフォークを使わせて貰えない。それらを武器にしたり、又はそれらを飲み込んでは自殺を図ろうとするからだ。だから特Bの食事というのは、全て手掴みで食べられるように工夫されていたのだった。

 三号室に行くと、ベッドに座っていた浣腸おばさんがパタンと本を閉じ、ニコニコと微笑みながらドアに向かって来た。

「いつもすみません・・・・」

 強化アクリルの向こうから、浣腸おばさんのそんな籠った声が響いて来た。
 僕もそんな浣腸おばさんに笑顔で答えながら、小さな小窓から手掴み弁当をソッと差し入れた。

 しかし、四号室に行くと雰囲気はガラリと変わっていた。
 ベッドの上で腕を組んで座っていた茶髪患者は、僕が廊下に現れるなり、まるでヤンキーがカツアゲする獲物を見つけたかのような目でギロッと睨み、眉間にクッキリと太いシワを作りながらゆっくりと立ち上がった。

(せっかく可愛い顔をしているのに、勿体無い女だ・・・・)

 僕はそう思いながらも静かに小窓を開け、そこに「特」とマジックで書かれた弁当箱をソッと置いた。
 すると突然、茶髪患者がヌッと小窓を覗き込んだ。
 温い紙コップのお茶を手にしたままの僕は、そんな彼女の唇には口紅が塗られているのではないかと、その血行の良い若々しい唇に一瞬ドキッとした。

「おい・・・おまえ、この間の当直ん時、隣のバケモノとヤってただろ?」

 茶髪患者は低くそう呟くと、僕の顔を見て一瞬ニヤッと笑った。

 僕はそんな茶髪患者の言葉を無視したまま小窓の台の上に紙コップのお茶をソッと置いた。
 その瞬間、僕の顔面に生温かいお茶がビチャッと降り掛かった。

「気持ち悪りぃんだよ変態!院長呼べよ院長を!テメェが何をヤッたか全部院長に話してやるから院長呼べよ!」

 茶髪患者はそう叫びながら鉄扉のアクリル板におもいきり体当たりした。
 小窓の台に置いてあった弁当は床に散らばり、油ギトギトの唐揚げが暴れまくる茶髪患者に踏み潰されては細切れに変わっていく。
 そんな茶髪患者の叫び声に反応したのか、廊下の奥の方から「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」という金切り声が響き始め、キャハハハハハハハハハっという甲高い笑い声が谺する。
 恐らく、「ごめんなさい」の念仏を唱えるのは八号室の色情魔で、甲高く笑うのは六号室のモモコ患者だ。
 そんな喧噪に包まれながら、僕は、廊下に転がっていたのりたまのおにぎりを拾おうと腰を屈めた。
 すると、小窓に顔を押し当てて叫んでいた茶髪患者が、腰を屈めた僕の横っ面にいきなり唾を吐きかけた。
「こら!やめなさい!」
 僕は慌てて後ずさりながらそう叫んだ。

「うるせぇ変態野郎!テメェこそ隣の特Aに監禁されろ!死ね!死ね!死ね!死ね!」

 茶髪患者は狂った目をギラギラさせながら、その綺麗な顔からは想像できないような汚い言葉を吐き散らし、ついでに唾も吐き散らした。
 僕は左頬に飛んだ唾を白衣の袖で拭いながら、そんな茶髪患者をジッと見つめた。
 そして、そんな茶髪患者に向かって心でこう呟いた。

(今夜・・・・覚えておけよ・・・・)


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 夕食が終わると、すぐにクスリを投与しなくてはならなかった。
 だから僕は、患者達が食事を終える前に、素早く患者達に投与する薬を分別しなければならない。
 患者達のクスリは、本棟から指示を受けた通りに投与しなくてはならなかった。しかし、その通りにしていては、この特Bの夜はまるでリオのカーニバルのように騒がしくなり、とてもじゃないがうるさくて敵わない。
 僕は、前園さんに教えて貰った通りに、患者達のクスリの中に睡眠剤をこっそりと忍ばせた。
 この睡眠剤は、精神病院が特別にこしらえた強力な睡眠剤で、普通の人が飲んだら震度7の大地震が来ても目を覚まさないという非常に危険なクスリだった。
 しかし、ここの患者は普通ではないため、こんな強力な睡眠剤でも効かないことがある。それは、日頃、強い神経系のクスリを服用しているためにクスリの免疫が出来てしまい、そんなキツい睡眠剤も効かなくなってしまっているのだ。

 僕はそんな危険な睡眠剤を、前園さんが指示した配分通りにそれぞれ分けて患者達の薬に混ぜた。
 ただし、四号室の茶髪患者のクスリにだけは、通常の倍の分量をサービスしてやったのだった。

 深夜2時。
 ノートパソコンでアダルトサイトを見ていた僕は、廊下に響く患者達の鼾に耳を澄ましながら、そろそろかな・・・っと、マグカップの底で冷たくなったコーヒーをクイッと飲み干した。
 空になったマグカップを机の上に置いた僕は、先程あるサイトで見つけた画像をもう一度デスクトップに開いて見た。
 それは、SMのサイトから取り込んだ画像で、若いキャバクラ嬢が革ベルトで拘束されては巨大なディルドをアソコに押し込まれワンワンと泣いているという実に卑猥で残酷な画像だった。
 僕はその画像を見ながら、ズボンの上から股間を揉んだ。

(今から、あのクソ生意気な茶髪患者を・・・・)

 そう思うと、股間よりも胸の方が熱く燃え滾る。
 僕は、前園さんのロッカーからそれらの道具を借り、それらをスポーツバッグの中に押し込む。
 そして、前園さんの手引きで特別に手に入れておいた「アレ」をこっそりと白衣のポケットの中に忍ばせると、僕はゆっくりと管理室を出たのだった。

 特Bの廊下は患者達の鼾で満ち溢れ、そこを進む僕のスニーカーの靴底だけがキュッキュッキュッと怪しく響く。
 四号室の前で足を止めた僕は、アクリル板からソッと中を覗き込んだ。
 新しく生えて来た根元の黒髪とギシギシに痛んだ毛先の茶髪を振り乱しながら、倒れるかのようにベッドに転がる茶髪患者。
「おい・・・・・」
 僕は小窓を開けると、グーグーと鼾をかいでいる茶髪患者に声を掛けた。
 しかし、通常の倍の睡眠剤を投与された茶髪患者は、僕のそんな言葉にはピクリとも反応せず、まるで溺死体のようにグッタリと横たえていたのだった。

 静かに扉を開くと、そのまま足を忍ばせて部屋の中に侵入した。
 確かに相手はか弱い女だが、しかしこいつが目を覚まして暴れ出すのを想像すると、僕は怖くて堪らなかった。たとえ、強力な睡眠剤を通常の二倍の量を服用させたとしても安心はできない。
 特にこの患者は薬物依存症だ。過去にかなりの量の覚醒剤を注入していたことを考えたら、こんな睡眠剤は気休めにしかならないのだ。
 僕は細心の注意を払いながら、彼女の細い腕をゆっくりと掴んだ。そして、その細い腕に黒皮の拘束ベルトを素早く装着したのだった。

 彼女には、拘束スティックという、前園さん御自慢の拘束具を装着することにした。
 これは、60センチほどの棒が付いている拘束具で、その棒に両手両足が固定されるものだ。
 赤ちゃんがオシメを取り替えられる時のような、そんな股を広げた姿勢で両足を棒に固定された彼女は、両手もその棒に固定された。そして、胴体には革ベルトが巻き付けられピクリとも動けない状態でベッドに固定された。
 最後に、声が出せないように猿ぐつわを嵌めようと、彼女のその美しい唇にソッと触れた僕は、よくよく考えたらこんな物は必要ないな、と、フッと笑ってしまった。そう、この地下の特Bは、患者がどれだけ泣こうが叫ぼうが、絶対に声は外に洩れないようになっているからだ。

 僕はそう微笑みながら、オシメを取り替えられるような姿勢で股を開く彼女を見下ろした。
 院内着は脱がされ、つい先日まで一般社会で履いていた派手なパンティー1枚の姿の生意気な女は、びっくりするような形の良いオッパイをプルプルさせながらグーグーと鼾をかいている。
 僕はそんな彼女のくびれたウェストラインを静かに撫でながら、さてさてどうやって料理してやろうか・・・と細く微笑む。

 すると突然、彼女の鼾がピタっと止まった。
 慌てた僕は、サッとベッドから離れた。
 ツンと尖った鼻をヒクヒクっと動かした彼女は、唾をゴクリと飲み込みその形の良い唇をペチャっとさせると、再び地響きのような鼾をかきはじめた。
 僕はホッと肩を撫で下ろし、びっくりさせるなよ・・・と、一歩ベッドに近付いた瞬間、彼女の目がいきなりガバッ!と開いた。
「うわっ!」
 僕は仰け反りながら飛び退いた。

「おい・・・これはいったいどういう事だよ・・・・」

 ひっくり返ったカエルのような体勢をした彼女は、擦れた声でそう唸りながら強烈に尖った目で僕をジロッと見た。
 ゴクッと唾を飲みながら後ずさる僕は、恐怖と興奮に包まれながら少しだけ小便をちびったのだった。


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「なにやってんだよ!早くコレを!・・・くそっ!取れよバカ野郎!」

 茶髪患者は、股を開いたオシメ状態でダルマのようにグラグラと身体を揺らした。しかしそのか細い身体はしっかりとベッドに固定されている為、どれだけ暴れようとビクともしない。
 それどころか、あまりにも暴れ過ぎたせいか、腰がズレてしまってはまるでマングリ返しをするかのような更に卑猥な体勢になってしまっていた。

 僕は、この意識が戻ってしまったクレイジーな患者とどう接していいかわからなかった。
 この茶髪患者は、隣のナメクジ女のようなウツの廃人状態ではなくハイの凶暴状態だ。
 そもそもシャブ中というのは、五感が敏感で神経質で色彩感覚に溢れ、むしろ、一般の人よりも口は達者だし頭の回転も速く、そして何よりも勘が鋭い。まさしく野生的な勘と凶暴性を備えているのが、ハイのシャブ中なのだ。

 僕はそんな野性的なパワーを持つ患者に戸惑いながらも、ゆっくりと茶髪患者のベッドの横に立った。
 糞味噌に叫び散らしていた茶髪患者は、ベッドの横にスっと立つ僕をジロッと睨むと、急にその叫び声を止め、そして「早くコレを取れ」っとハスキーな声で呟く。
「ダメです」
 僕は恐怖で震える拳を握りながらキッパリとそう言った。
「どうしてだ」
 茶髪患者は眉間にクッキリとシワを浮かび上がらせながら低い声でそう聞いた。
「懲罰ですから」
 僕がそう答えると、茶髪患者は「懲罰?」と首を斜めに傾けた。
「そうです。あなたは先程、僕に暴言を吐きそして唾を吐きかけました。ですからこれはそのお仕置きです」
 僕が穏やかな声でそう答えると、茶髪患者はいきなりクワッ!と目を大きく開き、そして僕の顔に向かって「ビュッ!」と唾を吐きかけた。

 おまえはエクソシストか!

 僕は心でそう叫びながら仰け反ると、頬に飛び散る茶髪患者の泡状の唾を慌てて袖で拭い取り、そして足下のスポーツバッグの中からスタンガンを取り出した。
「なにすんだよテメー!」
 僕が手にするスタンガンを見た茶髪患者の目には、明らかに恐怖の震えが宿っていた。
 僕はスタンガンを彼女の目の前に突き付け、カチッとボタンを押す。

「ババババババババババッ!」

 神経系を刺激される音と共に110万ボルトの電流が青い光を放った。
 その瞬間、あれだけ強気だった茶髪患者の目は、一瞬にして敗北の目へと変化したのであった。


               17


 そのウェストは、緩やかなカーブを描くようにして骨盤へとくびれていた。
 贅肉はなく、かといってガリガリでもない。若くピチピチとした体にはそれなりの脂肪と筋肉が均等に配分され、今風なスタイルを作り上げていた。
 僕は、そんな彼女の弾力性のある太ももに頬擦りしながらも、彼女の細いうなじにはスタンガンの先をしっかりと押し付けていた。

 前園さんが言うには、この茶髪患者は、2年前までは真面目なOLだったらしい。
 真面目な女だったからこそ、いとも簡単にホストクラブの男に騙され、多額の借金を背負わされては夜の街で働くようになったようだ。
 OLを辞め、六本木のキャバクラで働きながら借金を返す毎日。そのうち、店に頻繁にやって来ていたヤクザ者と関係を持ち始め、その男からシャブを教え込まれては後は奈落の底へと真っ逆さま。そもそもホストクラブの男など相手にさえしなければ、今頃は温かいベッドで眠っている頃だろうに・・・・

 僕はそう思いながら彼女の太ももに舌を這わせ、ツツツーッと膝まで舐める。一瞬にして彼女のツルツルだった太ももに大量の鳥肌がプツプツと浮かび上がったのだった。

 僕はそんな彼女のオッパイを手の平に包みながらフルフルフルっと振ってみた。
 お椀型のオッパイの先には小豆色の乳首がピンっと立ち、それが水風船のようにプルプルと震える乳肉の先で可愛く小刻みに揺れていた。

「こんな事してただで済むと思うなよ・・・・」

 スタンガンを首に押しあてられたままの茶髪患者は、揺れるオッパイをジッと睨みながら小さく呟く。
「どういう意味ですか?」
 僕は彼女の乳首を人差し指の爪でカリカリと掻きながら静かに聞いた。
「次の回診で院長に訴えてやる・・・」
 茶髪患者は不敵な輝きを目に浮かべながら、ゆっくりと僕を見た。
 僕は一瞬焦ったが、しかし僕には前園さんに教えて貰ったセリフがある。
 僕は一呼吸置いた後、ゆっくりとそのセリフを口にした。

「果たして、特別室に保護されている精神異常なあなたと看護士の資格を持つ僕と、院長はどちらを信用するでしょうか?・・・」

 その瞬間、茶髪患者の目がギラリと光った。
「ウギャャャャャャャャャャャ!」と叫びながら僕に牙を剥いた。
 ガタガタと激しく首を振る彼女のアゴがスタンガンに当たり、スタンガンは僕の手からスルリと落ちては彼女の枕元に転がった。
 僕は焦った。たとえ頑丈に拘束していようと、彼女のその凄まじい凶暴なパワーに拘束具が耐えられないのではないかと怖くなったのだ。
 怯える僕は、ブルブルと震える手で彼女の枕元のスタンガンを取ろうとした。するとその瞬間、彼女の顔がグワっ!と横を向き、スタンガンを取ろうとしていた僕の手に噛み付こうとした。

「うわっ!」

 慌てて手を引いたものの、もしまともに噛みつかれていたら僕の指は確実に噛み千切られていただろう。
 とたんに僕の頭にカッ!と血が上った。

 僕はスポーツバッグの中から三段警棒を取り出し、それを彼女の目の前でカシャッ!と伸ばした。
 しかし、それを見せつけても、もはや気が狂った彼女の目は怯えることはなかった。
 僕はそのまま三段警棒を頭に叩き付けてやろうかと思ったが、しかし、それは前園さんから禁止されていた。患者に外傷を付けると回診時に虐待が発覚する恐れがあるからだ。だから前園さんは、患者を懲らしめる時には外傷の残らないスタンガンか若しくは催涙ガスを使えと僕に教えてくれたのだ。
 ふいに、そんな前園さんの言葉を思い出した僕は、急いでスポーツバッグの中から催涙ガスを取り出したのだった。

 それはピストル型をした催涙ガスだった。
 ブルブルと震える手でソレを握り、叫び狂う彼女の顔に向けて引き金を引いた。
「カッ!」
 しかし引き金はロックがされていてピクリとも動かない。
 慌てた僕は、安全装置を解除しようとガス銃をひっくり返しては調べるが、しかしそんな物を初めて手にする僕には安全装置がどこにあるのかなどわかるわけがなく、かといって今さら説明書を読むわけにもいかず、諦めた僕は床のスポーツバッグにソレを投げ捨てたのだった。

 そんな僕を見て、勝ち誇ったような彼女の凶暴性は更にヒートアップした。
 ダルマのように体を丸めながらも体を大きく上下に揺らし、奇声をあげながら首を左右に振りまくる。
 それはまるで、捕獲された野生のマントヒヒが暴れ狂うかのようなそんな迫力だ。
 こんな女をどうやって犯せばいいんだ。

 僕はそんな彼女を呆然と見つめながら戦意を喪失していたが、しかし、それでも彼女の細く長い脚やプルプルと震える胸と尻、そしてなによりも派手な赤いパンティーにクッキリと食い込んでいるワレメの線などを見せつけられていると、どうしても彼女をこの場で犯したいという欲望は消えなかった。
 どうにかしてこの女を大人しくさせる方法はないものかと考えていた僕の頭に、ふと前園さんがよく使う「アメとムチ」という言葉が浮かんで来た。

(そうだ・・・・アレがあったんだ・・・・)

 僕は慌てて白衣のポケットの中に手を入れた。
 そして、ポケットの中からソレを取り出すと、怒り狂う彼女の目の前にソレを突き付けた。
 ソレを目の前に突き付けられた彼女は、奇怪な言葉を叫びながらも、しかしそのギラギラと輝く目だけはソレに釘付けになった。

「どうだ・・・欲しいだろ、コレ・・・・」

 僕は震える手を差し出しながら彼女にそう呟いた。
 彼女は奇声をピタリと止めると、その暴れる体をゆっくりと止めた。
 そして僕の目をソッと見つめると、ハスキーな声で「本物か?」とその美しい唇を震わせたのだった。


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 ソレは、前園さんが特Aから仕入れて来てくれた覚醒剤だった。

 今から数時間前、「パチンコ負けたから、今夜はキャバクラを諦めて、大人しくサウナに行って寝ますわ」と苦笑いしながら前園さんは特Bにやって来た。
 そんな前園さんに、今夜は茶髪患者をヤろうと思っています、と僕が告げると、前園さんは「アレはイイ女ですけど、なかなか厄介ですよ・・・」と困難な表情で頭をボリボリと掻いた。
 不安になった僕が「どうやったらいいのか教えて下さい」と前園さんに聞くと、前園さんは「うんうん」と意味ありげに頷きながら、「ちょっと待ってて下さい」といきなり特Aの病棟へと駆け出していった。

 そんな前園さんが特Aから持って来たのが覚醒剤だった。

 担当医や看護士が帰った後の夜の特Aは、無資格の看護士達が支配していた。
 ボスと呼ばれる中村が病室から解放されると、中村の手下である無資格の看護士達が持ち込んだ酒や煙草が時価の10倍の値段で患者達に売られ、マージャン牌の音と怒声を背景にした病棟はたちまち無法地帯と化した。
 そんな中、当然の如く覚醒剤も売られていた。ボスの中村は、この町を縄張りに持つ密売組織のボスで、そんな中村にとって覚醒剤を仕入れることなど容易いことなのだ。
 アルコール依存症の患者に酒を売り付け、薬物依存症の患者に覚醒剤を売り付ける。ここにはそれを欲しがる客は腐る程にいた。そう、警察の手さえ届かないこの場所は、最高のマーケットだったのだ。
 そんな商品は全て借用書で取引されていた。患者達はソレが欲しいばかりに借用書を書きまくった。その借用書は中村の組織へと流れ、そして、とんでもなく法外な利息と共に家族の元へと届けられた。
 当然、家族達にそんな金を支払う義務はないが、しかし、精神病者を家族に持つという後ろめたさからか、そんな家族達は事を荒ら立てないようにしようと素直に金を支払っていたのだった。

 そんな無法地帯の特Aから覚醒剤を仕入れて来た前園さんは、「これ、私からのプレゼント」と言いながら覚醒剤をただで僕にくれた。
 覚醒剤など、僕は今までに一度も使ったことはない。が、しかし僕も看護士の端くれであり、注射ならお手の物だ。だからやり方はわかる。
 ただ、どうやってコレを茶髪の患者に使えばいいのかがわからなかった。

 そんな僕に前園さんはアドバイスしてくれた。

「四号の患者は重度のシャブ中です。しかもヤツはまだここには来たばかりですから、今が一番ソレを欲しくて堪らない時でしょう。だからソレをヤツにチラつかせれば、ヤツはなんでも市原さんの言うことを聞くでしょう」

 前園さんはそう言いながらタバコを吹かし、そしてすかさず「但し」と付け加えた。

「これは特Bではかなり危険な冒険です。もし患者が回診中にそれを院長に暴露すれば、たちまち尿検査でお陀仏ですからね。特Aの患者ならそれは自分で自分の首を絞めるだけですからチンコロなどは絶対に有り得ませんが、しかし、ここは女ですからね・・・女は信用できませんから」

 前園さんはふふふふふっと笑いながら話しを続けた。

「ですから、これは最後の手段として使って下さい。まぁ、言うなれば保険みたいなもんですね。だから出来るだけコレは使わないで下さい。もし、患者が暴れたり脱走しそうな緊急の場合に限り、最後の手段として使うようにして下さい・・・・」

 前園さんはそう言って、僕に覚醒剤が入った小さな袋と使い捨ての注射器をプレゼントしてくれたのだった。

 そんな最後の手段を、今僕は彼女の前で作っていた。
 スポーツバッグの中に入れておいたミネラルウォーターで覚醒剤を溶かし、液体となったソレを使い捨ての注射器の中に吸い込む。そんな僕の作業を、ベッドの上から何度も何度も唾を飲みながら見つめていた茶髪患者は、もはや完全に僕の支配下にいるようだった。

「・・・コレ、欲しいでしょ?」

 僕はそう言いながら、注射針の先から丸く輝く水玉を作って見せた。

「・・・お願い・・・なんでも言う事聞くから・・・・お願い・・・・」

 彼女は恍惚とした表情を浮かべながら、注射針に浮き出た水玉を見てそう呟いた。
 僕は右手に注射器を持ちながら、左手でズボンのベルトを外した。そして勃起しているペニスを突き出すと、恐る恐るベッドの彼女に近付いた。

 こんな彼女にペニスを舐めさせるということがどれだけ危険なことか十分わかっていた。凶暴な彼女ならこんな小さなペニスを噛み千切ることなど、お子様がポークビッツを食べるくらいに簡単なことなのだ。
 しかし僕はどうしても我慢が出来なかった。
 そう、恥垢だらけのこの僕のペニスを、どうしても彼女のその美しい唇で包み込んで欲しかったのだ。
 一か八かの勝負だった。僕は腋の下にビッシリと汗をかきながら、ゆっくりと彼女の枕元に立つと、ベッドに転がっているスタンガンを素早く取り戻した。

「いいですか・・・僕の指示に従って下さい・・・・僕の指示に従ってさえくれたら、このクスリをあなたに差しあげます・・・しかし、もし僕に逆らうようなことをしたら、その時はクスリではなく110万ボルトの電流を差し上げますからね・・・・」

 僕はそう呟きながら、もう一度スタンガンを彼女の目の前で「ビチチチチチチッ!」とスパークさせた。
 しかし彼女はスタンガンの電流など目もくれなかった。そう、彼女の意識はもはや注射器にしかなく、彼女の目にはそれしか映っていないのだ。

 僕はそんな彼女に、恐る恐るペニスを近付けた。
 彼女の真っ白な頬に、僕の真っ赤な亀頭がムニュっと押しあてられると、彼女はそこで初めて僕のペニスに気がついた。

「・・・・・これ、舐めればいいの?」

 彼女はそう言いながら大きな瞳を僕に向けた。彼女のその瞳には、いつしか取り憑いていたマントヒヒは消え失せ、その澄んだ瞳はまるでOL時代に戻ったかのように穏やかな光を宿していた。
 僕は無言のまま、彼女の唇にペニスを突き立てた。僕の紀州梅のような亀頭は、彼女の唇を通り越し、彼女のツンと尖った鼻先に押しあてられている。そんな彼女の鼻先を見て、僕はしみじみと(臭いだろうなぁ)と嬉しくなり、いよいよ本格的なサディズムに馴れた気がした。
 しかし彼女は、そんな「よっちゃんイカ」のような悪臭漂う僕のペニスに、嫌な顔をひとつ見せることなくゆっくりとその美しい唇を開いた。そしてペニスをパクッと銜えようとした瞬間にふと動きを止め、もう一度僕を見つめた。
「コレを舐めたら、本当にソレを打ってくれるんだろうな・・・」
 彼女は、まるで資生堂のシャンプーのCMのようにサラリとそう呟いた。
「もちろんです。ただし・・・僕を気持ち良くさせられなければダメです・・・・」
 僕がそう告げるなり、彼女は再び美しい唇を静かに開き、僕のそのよっちゃんイカをヌルリと口の中へ滑らせたのだった。

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