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    やりまん11

(解説)
やりまんFILE第11話。
偶然にも天使のマリちゃんと再会した萬次郎は、マリちゃんの可愛さにメロメロだった。
しかし、そんなマリちゃんを密かに狙う、黒い手帳を持つ男。
果たして萬次郎は、男からマリちゃんを守る事が出来るのか!




―30―


 それからというもの萬次郎は、花火大会が終わった次の日のヤンキーのように、目的を失った虚ろな目をして、ただただボンヤリと暮らしていた。

「マンチロウサン、コレ、イツモノ、イツモノ」
 寮の隣の部屋に住んでいる、今だドコの国の者かも知らないアジア人青年が、いつものように読み終えたエロ本を萬次郎の部屋に届けてくれた。
「・・・あぁ・・・どうも・・・ありがとう・・・」
 いつもなら、サンキュー!サンキュー!と大喜びで、そのエキゾチックな精子臭の漂うエロ本を貰っていた萬次郎だったが、今はもうセンズリすらする気も失せていた。

 かれこれ1ケ月あまり寮の部屋に引き蘢っている萬次郎は、最近では廊下の奥の共同便所に行くのも億劫になり、窓からダラダラと小便をしている。いや、小便ならまだしも、ウンコまでするもんだから、下の階に住んでいるナニジンかわからない金髪の男が「うんこが空から降って来た!」とノストラダムスの大予言の如く怒鳴り込んで来たが、萬次郎はそこで初めてこの青年が栃木人だということを知った。

 工場長には、精神的な病を抱えているんです・・・と訴え、長期の休みを貰っていた。
 当然、その分の給料は出ない。
 遂に所持金が25円となった所で、突然、異常な空腹を覚えた萬次郎は、隣のナニジンかわからないアジア人が工場に出ている隙にソッとヤツの部屋に忍び込み、昭和の雰囲気が漂う古ぼけた冷蔵庫の中を漁るが、しかしそこには何やらワケがわからない調味料ばかりしかなく、まぁ、それでもいいやと、仕方なくそのケチャップのような正体不明の赤い調味料をゴクリと喉に流し込むと、いきなり体の中でボッ!と火が付き、目ん玉を飛び出した萬次郎はゴジラのような雄叫びをあげながら、慌てて窓の外にウゲェ!と吐き出せば、その下には運悪くも徹夜明けの金髪栃木青年が洗濯物を干しており、彼の金髪は瞬く間に真っ赤に染まったのだった。

「今度と言う今度は許さねっからなっ」と、語尾上がりのスタッカートな栃木なまりで、ブツブツと呟きながら階段を上がって来る、正体不明の赤い調味料だらけの栃木青年。
 さすがにマズいと思った萬次郎は、彼が部屋の前に来たと同時に、靴を持ったまま窓から飛び降り、一目散に逃げ出したのであった。

 全速力でひたすら走ったら更に腹が減って来た。あまりの空腹にクラクラと目眩を感じ、そのまま歩道にペシャリと尻餅を付くと、そこはいつしか新宿アルタ前だった。
(糞っ・・・腹減って死にそうだよ・・・)
 そのままガードレールに寄り添いながらクタっと倒れ込むと、歩道を歩くギャル達の細い脚が目の前にニョッキっと現れ、一瞬にして忘れかけていた性欲が甦った。
「うわっ!覗いてるよこいつ!」
 ツイッギーを意識した超ミニスカートのギャルが、寝そべっている萬次郎から飛び退いた。
しかし、ちゃっかり萬次郎は、そのツイッギーギャルの股間にピッタリと張り付く真っ赤なパンティーを拝んでいた。
「てめぇこの野郎・・・」
 ホストなのかオカマなのかわからないような若者が、トドのように寝転がっている萬次郎を蹴飛ばした。
 歩道を通り過ぎて行く人々は、スカートの裾を押さえる余裕はあっても、空腹で倒れる萬次郎を心配する余裕は欠片もなかった。

 そんな中、突然、「大丈夫ですか!」という声が、空腹過ぎて朦朧となっている萬次郎の耳に飛び込んで来た。
「・・・あぁん?・・・」と朦朧としながら、萬次郎がゆっくりと目を開けると、萬次郎の目の前に、キュッと食い込んでは縦皺を作る、真っ白なパンティーが輝いていた。
「うわっ」と慌てて顔を上げる萬次郎。すると、そこにしゃがんでいたその女が、萬次郎の顔を見るなり「あっ!」と叫んだ。
 萬次郎の顔を見るなり、その大きな目を更に大きく広げて驚いていたのは、紛れもなく宮崎マリ、そう、萬次郎が車で跳ねられ検査入院していた時に、病室で手帳の暗号を言い放って犯しまくった、例の妖精のような看護婦だった。

 マリは、そこに倒れていたのが、自分の元患者だったと知ると、「愛染さん!大丈夫ですか!」と、細く白い腕で萬次郎の大きな体を素早く支えてはそう叫んだ。
「あぁぁ・・・僕の名前、覚えてくれてたんですね・・・」
 萬次郎は、この奇跡のような偶然の出会いに、激しく心臓をバクバクさせながらも今まさに息を引き取らんとする老人の如く臭い演技をした。
「どうしたんですか?また車に轢かれたの?」
 マリはそう言いながら、萬次郎の太い手首を掴んでは脈を測り始めた。
「いえ・・・ちょっと目眩がして・・・」
 萬次郎はそう言いながら、わざとらしくマリの細い太ももにダランと体を沈めた。
 マリのミニスカートの柔らかい素材が萬次郎の頬に触れる。ほんのりとクレゾールの香りを漂わせながらも、妖精マリの体はバニラクリームのような甘い香りに包まれていた。

「今、救急車呼びますからね・・」
 脈を測っていたマリの手が肩にぶら下げていたバッグの中を漁り始めた。
 マリがバッグから携帯を取り出した瞬間、萬次郎は、「いえ、大丈夫ですから、救急車は結構です・・・」と、携帯を握るマリのその細い手を優しく握った。
「でも、血を吐いてるじゃないですか・・・」
 マリは、萬次郎の口元からTシャツの胸部にベッチョリとシミ付いている、ナニジンかわからないアジア青年の部屋の冷蔵庫にあった赤い調味料を血と勘違いしているらしく、再び携帯で119番を押そうとした。
「いえ、ちょっと休めば、本当に大丈夫ですから・・・」
 萬次郎がそれをあえて調味料だと言わないままゆっくりと起き上がると、マリは「本当に?・・・」と言いながら心配そうに萬次郎の顔を覗き込んで来た。
「ええ・・・大丈夫なんですが・・・ただ・・・」
 目の前のパンチラにチラチラとこっそり目をやりながら萬次郎は呟いた。
「なに?どうしたの?」
「・・・なんか喰わせて貰えないでしょうか?・・・・」
 恥ずかしそうにそう言う萬次郎の顔を「えっ?」と見つめたマリは、しばらくすると、妖精が持つ黄金色の輝きをパッと弾かせながら、「クスッ」と優しく笑ったのだった。

 瞬く間に牛丼を2杯平らげた萬次郎は、カウンターにアゴ肘を付きながら「凄くお腹が空いてたんですね・・・」と目を丸めて見ているマリを横目に、小さな声で店員に3杯目のおかわりをした。
 合計牛丼4杯とみそ汁2杯を平らげた萬次郎は、お金は必ずお返ししますから、とマリに頭を下げながらも、牛の鳴き声のような長いゲップをしては、再びマリをケラケラと笑わせた。

「ところで、新宿に何をしに来たんですか?」
 牛丼屋を出るなり、萬次郎はマリに聞いた。
「別に用事はないんだけど・・・今まで新宿に来た事なかったから、ちょっとブラっと・・・」
 マリは、思春期の少女のように照れながら、舌っ足らずな声でそう笑った。
「えっ、国はどこですか?」
 萬次郎がすかさず聞くと、マリは「クニ?」と、また目を丸くしてケラケラと笑い、少しハニカミながら「秋田です」と爽やかに答えた。

「えっ!えっ!マジですか!僕も東北です!青森の八甲田山の麓の人口2千人しかいない小さな村です!いやぁ、奇遇だなぁ!これは、アレですよ、きっと何かの縁ですよ、縁!これは絶対に縁ですよ!」
 東京には東北人は捨てる程いる。しかも、秋田と青森は隣の県ではあるものの、しかし遠い。だからそれほど奇遇ではない。
 しかし、元々、天使のような優しい性格をしているマリは、そうやって大喜びしている萬次郎に合わせるかのように、自分も嬉しそうにしながら「縁ですね」と、優しく微笑んでくれた。

「じゃあ、僕、今日はお供しますよ。いえいえいいんです、メシを食わせてもらった恩ですよ、新宿は何かと物騒な街ですからね、僕がちゃんとお供しますから、はははは、気分で安心して楽しんで下さい、はい」
 そう調子に乗る萬次郎に、マリは「でも・・・」と引き攣った笑顔を見せながら呟く。
 マリにしたらすこぶる迷惑であろう。
 桃太郎の猿やキジでもあるまいし、今時、メシを食わせてもらったからお供するなんて恥ずかしすぎる。それに、萬次郎は一ヶ月近く風呂も入ってなく、しかもTシャツの首元には何やら香辛料の強い赤い汁がベタベタと付いており、身体中から動物園の熊のような悪臭をプンプンと漂わせているのである。しかも、今になってマリが気付いた事だが、萬次郎の履いている靴は、右が革靴で左はスニーカーなのだ。こんな滑稽なお供は例え萬次郎の両親だって嫌がるだろう。
 しかし、マリという気の優しい女は、そう張り切っている萬次郎にNOとは言えなかったのだった。

「この辺はね、歌舞伎町と言いまして世界一の歓楽街なんですよ。ほら、あそこの角のビルに『オゲレツ仮面』って書いてあるでしょ、あそこのマユコちゃんってコがね、ついこの間AVデビューしたんですよ、まぁ、僕は、彼女がわざわざAVデビューするのもきっとお店の宣伝なんじゃないのかと睨んでますがね・・・」
 何をトチ狂っているのか、萬次郎はマリに歌舞伎町の風俗ばかりを自慢げに紹介している。
 それでもマリは「へぇ・・・」とか「詳しいんですね」などと、興味を示しているフリをしてくれたが、しかし

マリは、内心、一刻も早くこのヘンテコリンな街から出たくて堪らなかった。
 そうやって歌舞伎町をブラブラと歩いていると、萬次郎は、さっきから誰かに尾行されているような気がしてならず、何度も何度も後を振り向いていた。生まれて初めてのデートを邪魔するヤツは、相手が誰であろうと許さない!と、これを勝手にデートだと決めつける萬次郎はしばらく歩くと「はっ」と振り向き、またしばらく歩いては「誰だ!」などと叫びながら後を振り向くが、しかし、そこに怪しい影は見当たらず、一番怪しいのは萬次郎本人だった。

「さっきから何やってるんですか?・・・」
 隣に歩いていたマリが、クリクリの大きな目で心配そうに萬次郎の顔を覗き込んだ。
「いや、なんでもないです・・・」
 萬次郎はそそくさと前を向いた。
 実際、マリのその大きな瞳に見つめられると、萬次郎は何も言葉が出なくなった。とにかくマリは可愛く、歌舞伎町を一緒に歩いていても、道ゆく男達は必ずと言っていい程マリに振り向くくらいだ。その度に萬次郎は嬉しくなった。
 マリと一緒に歩いているという事も自慢だったが、しかし、萬次郎は既にマリの全てを知っているのである。そう、萬次郎は、マリのアソコの色も形も匂いも具合も全て知っているのである。それが萬次郎にとって何よりも優越感を与えてくれる事だったのだ。

(僕はキミに中出しした事があるんだよ・・・)

 歩きながら、マリの横顔をソッと見つめ、そして心の中でそう呟く萬次郎は、さっきからずっと勃起したままだった。
「あっ・・・あれは神社ですか?」
 裏通りに差し掛かると、マリは前方にある赤い建物を指差して聞いた。
「あれは花園神社です。行ってみますか?」
 萬次郎がそう聞くと、マリは「はい」と嬉しそうに頷いた。

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 花園神社の裏口から入り、玉砂利をジャリジャリと踏みしめながら進むと、真っ赤な大きな神社が姿を現した。
「神社とかが好きなんですか?」
 なにげなく萬次郎がそう聞くと、マリは「えぇ・・・まぁ・・・」と曖昧な返事をしながらも、なにやらキョロキョロし始めた。
「ん?・・・どうしました?」
 萬次郎がマリに聞くと、マリはそこで足を止め、「あのぅ・・・お手洗いは・・・」と恥ずかしそうに聞いたのだった。

 なんだ小便がしたかったのかよ・・・と、おもわず微笑む萬次郎は、「ここは男用のトイレしかないから、あそこの役所に頼むと障害者用のトイレを貸してくれますよ」と、そう言いながら、神社の奥にある大きな建物を指差した。
 さすが萬次郎は以前にトイレ盗撮をしていただけあって、そこらへんはよく知っていた。
 玉砂利を踏みしめながら神社の奥へと進んで行くマリの細い背中を見つめながら、萬次郎は古ぼけたベンチに座った。

(あの小さなオマンコから、チロチロチロっなんて小便を垂らすのかなぁ・・・あぁ、飲みてぇなぁ・・・)

 そんな事を思いながら、ボンヤリしていると、いきなり萬次郎の背後でジャリッ・・・という玉砂利の音が響いた。辺りには誰もいなかったはずなのに・・・と、恐る恐る後ろを振り向くと、そこには、スポンジケーキのような顔をした男が、凄い形相で萬次郎を睨みながら立っていた。
 そのホラーマスクのような顔に「うあっ!」と一瞬驚いた瞬間、そいつが誰であるかをとたんに思い出した。
 そう、まさしくそいつは、あの時カラスに襲われたカッパハゲだった。

 カッパハゲは相変わらず頭のテッペンをツルツルにさせていたが、しかし、顔中、いやよく見るとハゲた頭にもボツボツと穴が開いており、それはまさしくスポンジケーキのようだった。
「覚えてるか・・・」と低く呟きながら、カッパハゲは恨めしそうに萬次郎の背後にピタリと立った。
 萬次郎は、「生きてたのか!」と叫び出しそうになるのをゴクリと堪え、「当然だ・・・」と、れいのハードボイルドを演じた。
「おまえがあの時・・・」と、カッパハゲが恨み節を唱えようとしたのを、「まぁ待てよ」とすかさず制止した萬次郎は、神社の奥から玉砂利をジャリジャリと音立てながら歩いて来るマリをアゴでクイッと示した。

「あんたもあの娘が目当てなんだろ・・・」
 萬次郎がそう言いながらカッパハゲを見つめて怪しくニヤリと笑うと、恨み節の出鼻を挫かれたカッパハゲは、歩いて来るマリをゆっくりと見上げ、ニヤッと不敵な笑みを浮かべては「まぁな」と答えた。

「あいつは稀に見る上玉だぜ・・・俺はあいつを看護婦の寮からずっと尾行してきたんだがよ・・・なかなかチャンスがなくてな・・・そう思ってたらいきなりおまえが現れ、そしてこんな好都合な場所に・・・ひひひひひ」

 カッパハゲがカラスのくちばしで抉られた頬をニヤッと歪ませながら黒い手帳を取り出すと、ヘビのような舌で唇をペロペロと舐めながら手帳を手の平でパンパンと叩いた。
 黒い手帳は再びカッパハゲの手に戻っていた。
 萬次郎は焦った。今やマリに恋をしている萬次郎は、カッパハゲにマリをヤらせたくなかった。しかし、カッパハゲは黒い手帳を持っている。例え、この場を逃げ仰せたとしても、ヤツが手帳を持っている以上、マリはいつかはこのスポンジカッパハゲにヤられてしまう。

(どうしよう・・・こんなオバケ野郎にマリが・・・)
 ゆっくりと近付いて来るマリを見つめながら萬次郎は焦った。
 玉砂利を踏みしめながらやって来たマリは、萬次郎と目が合うと意味ありげにニコッと笑った。
 すかさず萬次郎もニヤッとマリに笑いかけるが、しかし、どうもマリの歩き方が変だ。それに、たとえ小便にしても、ちょっと早すぎる・・・

 そんなマリの苦しそうな歩き方を見ながら、萬次郎は(そうか・・・)と気付き、そしてある名案がジワジワと萬次郎の頭に浮かんで来たのだった。

つづく

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