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変態管理人9




「また昨日も来てたみたいですよ。お弁当とかビールの缶とかがいっぱい散らかってましたから……」

そう言いながら五一三号室の女子大生がお多福顔を歪ませながら管理人室の小窓を覗いた。この女子大生は酷いブスだ。そして彼女のパンティーはいつもびっくりするくらいに酸っぱかった。ただただ漠然とひたすら酸っぱいだけのそんなパンティーは、侵入と言うリスクを背負ってまでも嗅ぐべきものではなく、だから天草はこのポン酢のような女子大生の部屋には三回侵入したっきり、二度と行かなかった。

「また居ましたか……」

天草は「ちっ」と舌打ちしながら事務椅子を立ち上がると、管理人室の隅に置いてあったホウキとゴミ袋を手にしながら管理人室を出た。

「実際、事件とかが起きてからでは遅いと思うんですよ。だから管理人さんのほうで――」

「――わかってます。私が責任を持って追い出してやりますから安心して下さい」

天草は女子大生にそう微笑みながら、心の中で「酸っぱっ!」と叫んでやった。女子大生は納得できなさそうな表情をしながら「じゃお願いします……」と、トボトボとマンションを出て行ったのだった。

天草はそのままエレベーターに乗込み五階のボタンを押した。
五階に降りるとそのまま通路の突き当たりまで行き屋内階段へと出た。その屋内階段の踊り場に、屋外の非常階段へ出るドアがあった。そのドアは自動ロック式になっており、外の非常階段側からは開けれなくなっている。そんなドアを開けると、モワッとした都会の生温かい風と遠くで響く救急車の音が天草を包み込んだのだった。

酸っぱい女子大生が言ってた通り、非常階段の踊り場にはコンビニ弁当の蓋が風に揺れてカパカパと音を立てていた。ビールの空き缶やワンカップの瓶が、縞鋼板に敷かれた段ボールの上に転がっていた。

「くそっ……どこのホームレスだよ、ったくぅ……」

天草はブツブツ言いながら、それらのゴミをゴミ袋の中に押し込んだのだった。

そこにホームレスが居着くようになったのは、かれこれ二ヶ月くらい前からだった。最初、掃除のオバさんがそのゴミを発見した。すぐさま、ホームレスが侵入できないようにと一階の非常階段の入口に鎖を張ったのだが、しかし、そんな鎖は何の役にも立たず,その後も度々そこでゴミは発見されていた。そのうち五階に住む住人達もそれに気付き騒ぎ始めると、それを知った管理会社は、慌てて非常階段の入口に鉄柵を付けたが、しかし、それでもホームレスは鉄柵を乗り越え侵入して来たのであった。

天草は非常階段の手摺に手を付くと、階下を見下ろしながらふと思った。どうして五階なんだろう、と。一階は別としても、弁当を食ったり酒を飲むくらいだったら二階三階四階の踊り場でもいいはずなのに、なぜこのホームレスはわざわざ五階を目指して上がって来るのだろう。

(この五階にいったい何があると言うんだ……)

そう不思議に思いながら、この五階の踊り場から見える景色を伺った。もしかしたら、ここからどこかの部屋が覗けるのかも知れないと思ったからだ。
しかし、そこから見えるのは隣のビルのコンクリート壁と、正面のマンションの立体駐車場の壁だけだった。

ホームレスがわざわざ五階に執着しているのは、何かそれなりの原因があるはずだ。その答えを推理しながら再び踊り場に散乱するゴミを拾い始めていると、四階へ降りる階段の隅に、ゴミが押し込められているコンビニの袋を発見した。こんなとこまで散らかしやがって、と舌打ちしながらそのコンビニの袋を摘まみ上げると、その袋の中に押し込められていた使用済みコンドームが、天草の目に飛び込んで来たのであった。

これでこのホームレスがわざわざ五階を選んでいた理由がわかった。二階三階の踊り場だと隣のビルのオフィスから性行為を見られる可能性があるからだ。そして四階の踊り場には立体駐車場の通路の窓が真正面に見える。これでは、誰かがその通路を通ったら丸見えになってしまう。

「だからこのオマンコホームレスは、ビルの死角になっている五階にまでわざわざ上がって来ていたのだ!」

そう気付いた天草は、慌てて管理人室に戻った。そして奥の自室へ飛び込むと乱暴にクローゼットの扉を開けた。
そこには侵入グッズと呼ばれる盗撮カメラや盗聴器が大量に保管されていた。その中から盗撮カメラを選ぶ。このマンションの内部は非常に電波の通りが悪いが、しかし屋外の非常階段なら電波の通りもいいだろう。そう思った天草は、管理人室から映像をモニタリングできるワイヤレスカメラを選んだのだった。

(ふん。わざわざ五階を選ぶ理由がオマンコを見られない為だったとはな……ふふふふ、馬鹿なホームレスめ、五階なら誰にも見られないと思ったら大間違いだ。変態管理人の俺様を舐めんなよ……)

そう鼻息を荒くしながら管理人室に戻り、ワイヤレスカメラの充電機をコンセントに差し込んだ。
そんな天草は終始ニヤニヤしていた。ホームレスのドキュメントオマンコを盗撮し、その映像を自らが運営する「変態管理人」の有料動画にアップすれば、これまた一儲けできると嬉しくなって来たのだ。

(ホームレスモノや変態熟女モノ、それに狂った女装マニアや知能遅れな女の動画ってのは人気があるからな……)

そう細く微笑みながらふとマンションの玄関に目をやると、管理人室の小窓から天草をジッと見つめている不気味な二つの目があった。

「うわっ!」

驚いた天草がおもわず事務椅子からひっくり返りそうになると、それを見ていた二つの目がニヤリと歪んだ。

「……管理人さん」

小窓から覗く二つの目がまるで幽霊のような声を出した。

「な、なんでしょう……」

椅子から立ち上がった天草が恐る恐る小窓に近付く。

「1999年のノストラダムスの大予言はなぜ外れたか御存知ですか?」

小窓からジッと覗く女は、身動きひとつせず淡々とそう言った。

「……わ、わかりません……」

天草は、内心(またこいつか……)と舌打ちしながら、そんな女を窓から見下ろしたのだった。

その女は、五〇一号室に住む風船少女だった。
風船少女というのは天草が勝手に付けたあだ名で、いつも風船のようにフワフワしているからだった。
少女は十九才。千葉の出身で、一年前から新宿のデザイン専門学校に通うためにこの女性専用マンションで暮らしていた。この少女は、いつも何を考えているのかわからない不気味さを漂わせており、いつも天草はこの少女を見る度に、少し頭が足りないのではないかと思っていた。しかも最近は何やらカルト的な新興宗教にハマっているらしく、その不気味さは更に不気味さを増し、先日もエレベーターの中に、教祖が全裸で叫んでいる写真がプリントされた『信者募集』の張り紙をベタベタと貼りまくり、マンション中が大変な騒ぎになったばかりだった。

「ノストラダムスの大予言が外れた理由を知りたい?」

小窓から覗く少女は、小動物のように首を傾げながら天草に微笑んだ。

「い、いえ……別に……」

天草が小さく首を振ると、少女はいきなりカッ! と目を大きく開き「ならば教えて信ぜよう!」と奇妙な高音の声で叫んだ。
そんな奇声がマンションホールに響き、管理人室の前を通り過ぎるOLが天草を見て「クスッ」と笑った。
とたんに恥ずかしくなった天草は、「いや、今日はいいですよ、忙しいですから、また今度教えて下さい……」と言いながら、少女が覗き込む小窓を必死に閉めようとした。

「じゃあ一度、教団に遊びに来て下さい! 教団ではノストラダムスの秘密もツタンカーメンの秘密も何でも教えてくれますから!」

そう叫びながら不気味なチラシを小窓に投げ入れる少女を、天草は本気で怖いと思った。と、同時に、こんな不気味な少女のパンティーのシミは、いったいどんな色をしてどんな匂いがするのだろうかと、一種独特な好奇心に襲われた。

(あれは絶対に処女だろうな……)

そう思いながら、駐車場側の窓からもう一度風船少女を見た。

決してブスではなかった。それは、世間一般で『個性的な顔』とでも言うのだろうか、見方によればカワイイのかも知れない。スタイルも悪くなかった。プヨプヨのポッチャリ型で、その肌の白さとプヨプヨの体型は可愛い子豚を連想させ、きっとソレ系のマニアには堪らないだろうと思った。そして、何よりもそのファッションが可愛かった。やはりデザインの専門学校に通っているからか、彼女のそのファッションはなかなかオシャレなのだ。

(普通にしてればカワイイのに……残念な子だな……)

そう思いながら、駐車場を進む少女の後ろ姿を見つめていると、いきなりパッ!と後ろを振り向いた少女と目が合った。
すると少女は「西城秀樹はユダヤ人だったのです!」といきなり叫んだ。
慌てて窓から身を伏せた天草は、「この間は、西城秀樹は五つ子だって言ってたじゃねぇか……」と無性に可笑しくなり、年老いた西城秀樹の顔を思い浮かべながら一人ケラケラと苦笑いしたのだった。

そんな風船少女が消えると、さっそく天草はワイヤレスの盗撮カメラを持ちエレベーターに乗込んだ。
五階の屋内階段を駆け上がり、非常階段に出ると、素早くカメラの設置位置を探した。
カメラは六階へ続く階段の下に設置した。ここなら五階の非常階段の踊り場を全貌でき、更に四階へ続く階段を見る事もできた。

(これでヤツラの結合シーンまでバッチリ撮る事ができるぞ……)と、ニヤニヤしながら受信モニターを確認していると、不意にある疑問が生まれた。

(相手は……誰だ?……)

天草は非常階段の手摺に寄りかかりながら不思議そうに首を傾げた。そして、ホームレスと非常階段でセックスする女をあれやこれやと想像してみる。
やっぱりホームレス仲間の女だろうか?……いや、それならわざわざこんな所に不法侵入しなくてもヤル場所はいくらでもあるだろう……ならば風俗か?……そう言えば、野外でプレイできるデリヘルがあるってネットに書いてあったけど、もしかしてソレか?……

あれこれと想像する天草は、いったいどんな女が薄汚いホームレスのチンポを受け入れるのかと楽しみになって来た。そして思わず興奮で背筋をゾクゾクとさせ、その連鎖で股間もムラムラとして来た。
非常口から屋内階段へと入った天草は、そのムラムラとする気分のままエレベーターへと向かい、今からレズの女子高生の部屋にでも侵入してスッキリしようか、などと考えてはエレベーターのボタンを押した。
と、その時、ふと天草の目にエレベーターのすぐ隣の部屋の表札が飛び込んで来た。
その表札にはド下手糞な字で『マソマミーヤ・ミトラ』と書かれていた。
そう、その部屋こそ、例の風船少女の五〇一号室なのであった。



ドアを開けるなり、玄関の下駄箱の上に置いてあるインドの仏像が目に飛び込んで来た。
その仏像の前にはリンゴとミカンが置かれ、そこで焚いたらしいお香の灰がフワフワと舞っていた。

(想像以上に宗教にハマってるらしいな……)

そう思いながら部屋の奥へ進むと、そのリビングは思っていたほど宗教色はなく普通のリビングだった。ただ、リビングの壁に額に入った写真が並んでいるのが異様だった。そのズラリと並ぶ写真は、左から、昭和天皇、ヒトラー、金正日、ムッソリーニ、ビンラディンと世界の独裁者達が続き、そしてなぜか最後に西城秀樹の写真が掲げられていた。しかもその西城秀樹の写真は、古い新御三家時代のものであり、ヒデキの両サイドに郷ひろみと野口五郎の顔が半分だけ映っていた。

そんなヒデキの写真を見ながらケラケラと笑う天草は、そのまま寝室へと向かった。
そんな寝室も一見普通の学生の寝室に見えたが、しかし壁の四隅には不気味な漢字が書かれた『お札』が張られ、そしてベッドの枕元には、その宗教の教祖らしき男が全裸で叫んでいるポスターが張られ、そこには教祖のその仮性包茎なペニスまでもモザイク無しで写っていた。
そんなベッドにゆっくり横になった天草は、恐る恐る頭上のポスターを見上げてみた。すると、おもいっきり教祖の仮性包茎がすぐ頭上にあった。

(毎晩毎晩こんなお粗末なモノを見ながら寝てんのかあのバカは……)

そう思いながらクスクス笑っていると、不意に何とも言えない据えた匂いがプ~ンと天草の鼻を過った。その匂いはまるで生ゴミのような匂いであり、慌てた天草は「なんだこの匂い?」と首を傾げながらクンクンとそこらじゅうを嗅ぎ回った。
そんな据えたニオイは寝具のそこらじゅうから漂って来た。「もしかしたら腐乱死体が隠されてるんじゃねぇだろうなぁ……」と、そんな恐怖に襲われた天草は慌ててベッドから飛び降り、改めてその異様な寝室を見回しながら、そこに漂う不気味な匂いに背筋をゾクっとさせた。

一刻も早くこの不気味な部屋から逃げ出したかった。が、しかし、もしもの事を考えて天井の火災報知器に盗撮カメラを仕掛けたほうが良いだろうと、元警察官の天草はそう判断した。
作業ズボンから工具を取り出し、慣れた手つきで素早くカメラを仕掛ける。そんな天草は、もしカメラに死体とか写ってたらどうしよう……などと脅えながらドライバーを握る手を震えさせた。

カメラの設置を終えると、慌てて寝室を出た。そしてそのまま後ろも振り向かず玄関へと急ぐ。
と、その時、不意に浴室のドアが目に飛び込んで来た。急いでいた天草の足がピタリと止まった。

(やはりここまで来た以上は、ヤツのパンティーのシミがいったいどんなもなのか確かめておく必要があるだろう……あんな基地外野郎のパンツなんか全然興味ないが、しかしそれが変態管理人の危機管理というもんだ……)

そう頷いた天草は恐る恐る浴室のドアを開け、ゆっくりと脱衣場に侵入したのであった。

(つづく)

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