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愛と青春のポルノ映画館1

2012/04/01 Sun 01:01

   愛と青春の1

《解説》
ある日突然、同級生のミカが言い出した。映画館で援交したいんだけど用心棒になってくれないかと……




「本当にあのおっさんでいいの?」
 暗闇の中、ケンジはそう言いながら、もう一度、吉岡ミカの顔を見た。

「うん。アレでいい。早く話し付けて来て……」
 ミカは、女子高生が騎乗位で腰を振っているスクリーンをジッと見つめたまま、ミニスカートからちょこんと顔を出している小さな膝でケンジの脚をツンツンと突いた。

「マジに話し付けて来るぞ……本当にいいんだな?」
 ケンジが心配そうにミカの顔を覗き込み念を押す。
 ミカは瞬きひとつせぬままスクリーンをジッと見つめ、そのままコクンと頷いた。

「……どうなっても知らねぇからな……」
 独り言のようにそう呟きながらケンジが座席からスっと立ち上がった。

 いきなり座席から立ち上がったケンジを、場内にいる魑魅魍魎とした者達が一斉に視線を向けた。
 非常口の看板が緑色に灯る出入口に向かって通路を進むと、座席でふんぞり返っている労務者風の男や、七三分けのサラリーマン、そして衣類をだらしなく開けさせてはモゾモゾしている熟年カップル達がスクリーンから反射される光りに映し出され、そんな怪しい者達をチラチラと横目で見ながらケンジは目的のおっさんに向かって進んだ。

 そのおっさんは場内の左側の一番奥でひっそりと佇んでいた。
 そこには座席はなく、いわゆる「立ち見場」と呼ばれるスペースだった。
 その立ち見場にはそのおっさんの他にも数人の男達が蠢いていた。そこにいる者達が何人でどんな風体なのかはケンジには暗くて見えない。
 ケンジはそんな怪しい暗闇に一歩一歩足を近づけながらも、これはマジでヤバいんじゃねぇのか……と激しい不安に包まれるのであった。


          ※


 ケンジがミカからその相談を受けたのは今から一週間前の昼休みの事だった。

「どうしてもお金がいるの……」

 屋上に吹き荒む風に長い茶髪を乱すミカは、言いにくそうにそう呟きながらケンジの顔をソッと見た。
 吉岡ミカとは中学校が一緒だった。
 この高校で中学が一緒だったのはミカだけだった。
 だからケンジとミカは1年生の時には何かと声を掛け合っていた仲だったが、しかし2年生にもなるとお互いすっかり高校に馴れてしまい、今では廊下ですれ違っても目を合わす事すらなくなっていた。
 そんなミカがいきなりケンジを屋上に呼出し、金が必要なのと相談を持ち掛けて来たのだ。

「そんな事いきなり言われても・・・俺も金なんて持ってねぇよ・・・」
 ケンジは一応ポケットの中を探りながら、困惑した表情でミカを見返した。

「ううん、違うの。ケンジ君にお金を貸してって言ってるんじゃないの」

「じゃあ何?」
 ケンジは探っていたポケットの中から糸くずを摘み出し、それを屋上の風に飛ばしながら聞いた。

「バイトを……手伝って欲しいの」
 ミカは大きな瞳を俯き加減にポツリとそう呟いた。

「バイト?……」
 ケンジはその時点でミカの言うそのバイトが何なのか、モジモジしているミカのその態度を見ればなんとなく予想できた。

「うん……私……援交してみようかなぁって思って……」

「援交って……吉岡がか?」
 ケンジの予想は当たっていたが、しかしケンジはわざとらしく驚いてみせた。

「うん……ダメ?」
 ミカはそう呟きながら厚ぼったい下唇をキュッと前歯で噛んだ。

 いきなりそう聞かれてケンジは困った。それがイイかダメかを決められる関係ではないからだ。
 それに援交の知識などケンジには全くない。それがいわゆる売春だという事くらいは知ってはいるが、しかし今だ彼女もいない童貞のケンジには援交など全くの無縁なのだ。
 だからケンジは、それがイイかダメなのかは別として、「どうして俺に聞くの?」と慌てて聞き直した。

「だって……男子でこんな事相談できるのケンジ君しかいないし……」
 ミカは唇をキュッと尖らせながら上目遣いでケンジを見た。

「でも、吉岡ってサッカー部の先輩と付き合ってるんじゃなかったっけ?」
 ケンジは、これまでにミカがサッカー部の3年生と一緒に帰るのを何度も目撃していた。

「うん……でも、そんな事彼氏に相談できるわけないじゃん……だからケンジ君に相談してるの」
 ミカは頬を膨らませながら、ちょっと投げ遣りな口調でそう言った。

 ケンジは、内心こんな事に巻き込まれたくないと思いながらも、しかしそんなミカの膨れっ面がカワイイと素直に思った。
 出来る事ならこのまま誰もいない屋上で、こうしてミカと2人して恋人気分で話していたいとふと思うが、しかし相談内容はいたって深刻だ。

「でもさ、吉岡の援交を俺がどうやって手伝えばいいんだよ」

「うん。私一人じゃ怖いしぃ……だからケンジ君について来て欲しいの……」

「ついて来てって……ラブホに?」
 ケンジの素っ頓狂な声に、ミカは「まさかぁ」とクスッと笑った。

「駅裏に有栄座って映画館があるでしょ?」

「あぁ、あの成人ポルノとかやってる古い映画館だろ」

「うん。そこでね、援交の客を捕まえる事ができるらしいの……」
 ケンジはひとまず乾いた喉に唾を飲み込んだ。

 屋上から眺める町は春の陽気に照らされすこぶる穏やかだった。しかし今のケンジの心境はそんな穏やかな陽気とは逆にどっぷりと暗い。

 有栄座。
 あの奇妙に薄暗くて、妙に犯罪の匂いがプンプンと漂っているポルノ映画館の入口を思い出したケンジは、とたんにある出来事を思い出し、ブルっと頬を揺らしながら身震いした。
『団地妻レイプ!』
 小学生の頃、あの映画館に貼ってあったそんなポスターを見て、初めて「レイプ」という言葉と意味を知ったケンジには、その映画館はいわゆるトラウマ的な場所であり、出来る事なら近付きたくはない場所だったのだ。

「そこで……俺がナニをするの?……」
 ケンジは「ナニ」という言葉を裏声にさせながら恐る恐るミカに聞いた。

「そこでケンジ君にお客を捕まえて欲しいの……」
 ミカのその言葉に「無理だよ!」と叫びそうになったが、しかし、ふとミカのその大きな瞳がウルウルと潤んでいるのに気付いたケンジは、それをここでバッサリと断るのはあまりにも無情だと思い、その言葉を慌てて飲み込んだ。
ケンジは、今にも涙が零れ落ちそうなミカの目からソッと顔を反らすと、そのまま屋上のフェンスへとダラダラと向かって歩いた。
 そして赤サビの付いたフェンスに両手を付きながら、校庭でバレーボールをしている生徒達を見つめた。

(どうして俺なんだ……)

 校庭から聞こえて来る笑い声を聞きながらケンジは心でソッと呟いた。
 するとケンジの背後でミカの動く気配がした。ミカは屋上の小石を上履きでジリジリと音立てながらケンジの背後でソッと足を止めた。

「もちろんタダでとはいわないわ。ポン引きしてくれた人には30%の御礼をするんだって言ってたわ」
 ミカの必死な声が聞こえた。

 ケンジはゆっくりとミカに振り向いた。春の日差しに照らされたミカは妖精のように可愛く、そして風で靡くそのサラサラとしたミカの髪からは女物のリンスの香りが漂ってきた。一瞬ケンジは、こんな可愛い子が援交すんのかよ、とリアルに想像し、クラっと目眩を感じた。

「……ダメ?……」

 ミカはそう聞きながら、首を小さく傾けては悲しそうな表情をした。この、すぐに「ダメ?」と聞いて来るのはどうやらミカの口癖らしい。

「っていうか……その映画館で客を捕まえるとか、ポン引きには30%の御礼をするとかって……いったい誰が言ってるの?」
 ケンジの質問に、ミカは瞬間に絶句した。

 そして「う~ん……」と考え込みながらモゾモゾし、そしてふいに足下の小石をツン!と蹴飛ばした。
 そんな小石が屋上の隅にカラカラっと転がるのを見つめながら、ミカはポツリと「先輩。だけど名前は言えないの」と言い、大きな瞳でケンジを見たのだった。
 ケンジもソレ以上は聞かないほうが良さそうだと思った。
 家が金持ちっぽいミカが急にお金が必要だと言い出したり、あんなに真面目だったミカが援交するなどと言い出すなんて、これは尋常ではないのだ。
 まして、ミカの口から「有栄座」という悪名高きポルノ映画館の名や、「ポン引き」などという専門用語が飛び出すなんて、今までの真面目な吉岡ミカからは想像も付かないことなのだ。
 だからケンジは(これは何かとんでもない裏があるに違いない……)と、密かにそう思った。
 そしてその裏事情を聞くのはあまりにも危険だとも思った。
 だからケンジはソレ以上の理由をミカに聞かないでおこうと決めた。
 するといきなり昼休みの終了を告げるチャイムが鳴り響いた。
 まだソレをヤルかヤらないかの返事をしていないのに、校庭の生徒達がザワザワと校舎の中に吸い込まれて行く。

「とりあえず、日にちが決まったらまた連絡するからメール教えて」

 チャイムの音に急かされるようにしながらミカが慌てて携帯を取り出した。
 まだヤルとは言ってない、と、思いながらも、しかしケンジは、自分の携帯に女の子のメルアドが初めて登録される事に舞い上がってしまい、ソレをヤルかヤらないかの返事をしないままミカとメルアドの交換をした。
 互いにメルアドを登録し終えると、ミカが携帯からソッと顔を上げ、その大きな瞳でケンジをジッと見つめた。
 そしてひとこと「ありがとう」と妖精のような笑顔でニコッと笑うと、そのまま長い髪を風に靡かせながらミカは走り去って行った。
 そんなミカのか細い後ろ姿を見つめていたケンジは何も言葉が出なかった。結局、ソレをヤルかヤらないかの返事を出さないまま、ケンジはミカのポン引きとなったのであった。


           ※


 そんなミカからメールが届いたのは、それから4日後の事だった。
 日頃はバカな男友達からしかメールが届かないケンジは、ふいに携帯に表示された『吉岡メール』という送信名を見るなり妙に心臓の鼓動が早くなった。

《土曜日の夜なんだけど大丈夫?》

 たった一行だけの短い文だったが、しかしケンジにとっては初めて女から届いたメールである。
 阿呆みたいに舞い上がってしまったケンジは、すかさずミカにメールを送り返した。

《OK。何時?》

 するとすかさず返事が帰って来た。

《PM9:00に郵便局の前のコンビニで待ってる》

 ケンジはその短い文を嬉しそうに眺めながら、このメールを何も知らないヤツが見たら、きっと俺と吉岡は付き合っていると思うんだろうなあ……などと思い耽り、無性に誰かにそのメールを見せたくて見せたくて堪らなくなったが、しかし、よくよく考えればこれは犯罪なわけで、もし先生にこのメールが見つかれば即刻退学になると焦ったケンジは慌ててそのメールを消去した。

 メールでOKなどと返事を返したケンジだったが、しかし時間が経つにつれだんだんと現実に戻り、そしてとたんに自信がなくなって来た。

(ポン引きって……いったいどうやればいいんだよ……)
 そう焦ったケンジは、とりあえず部屋の中をウロウロと歩き回った。
 そしてタンスに向かって「お兄さん!若くてカワイイ子いるよ!」などと、三丁目の繁華街で見たキャバレーの呼び込みのマネなんぞをやってみる。
(こんなの映画館の中で無理だろ!)
 やっと事態の重さに気付いたケンジは、タンスに向かったまま背筋がゾッと寒くなった。
(でも、OKなんて返事しちゃってるし……)
 そう思ったケンジは、急いでズボンのポケットの中に携帯と財布を押し込んだ。
(とにかく現場を調査してから考えよう!)
 ケンジは家を飛び出した。そして暗闇の中、あのトラウマになっている恐怖の映画館へと向かって走り出したのだった。
                 
(続く)

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