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蛸と少女3

2012/05/19 Sat 00:32

    蛸と少女3
 少女がショートパンツのボタンを外している間、私は蛸を股間に押しあてたまま岩陰から顔を出し、ソワソワと辺りを伺った。
 延々と続く岩磯には相変わらず人影は無かった。そこで動いている物と言えば、透き通った海の穏やかな波と、真っ青な春の空に一本の飛行機雲がグングンと伸びているだけだった。
 人がいない事を確認した私がソッと後を振り向くと、ショートパンツのボタンを外した少女が私をジッと見つめていた。
「ね?」
 少女は私と目が合うなり、そう言いながらヘソの下をチラッと見せた。
「ね? じゃないよキミ。それじゃわからないじゃないか。ちゃんと全部脱いで見せなさい」
「でも……」
「でももヘチマもない。キミのその川端康成とかいう担任に知られたくないのなら、素直におじさんの言う事を聞くんだ」
 私がそう言いながら少女の足下にゆっくりと腰を下ろすと、少女は唇を蛸のように窄めながらショートパンツをスルスルと下ろしたのだった。
 春の穏やかな日射しに照らされたそこは、見事なパイパンだった。中学一年生ならば栗毛色のフワフワが産毛程度にあってもいいはずなのだが、しかしそこはまるで教頭先生のハゲ頭のように見事に無毛地帯だった。
 そんなツルツルの恥骨部分に、なにやら果物ナイフでスパっと斬られたようなワレメが、三センチ程顔を出していた。私は猛烈にその幼気なワレメをパックリと開き、中を存分に覗きたいという衝動に駆られた。
「ね?」
 再びそう言いながら、少女はショートパンツを上げようとした。私はすかさず「待ちなさい!」と、耳をつんざくような大声で叫んだ。
 ビクン! と肩を跳ね上げた少女を私はギッと睨みながら、妙に凄みながら低く言う。
「確かに、キミはパンツを履いていない。だからこのパンツがキミの物であるという可能性はかなり高くなった。が、しかし、それはあくまでも可能性の問題であり、絶対とは言い切れない。そこで、改めて質問するが、キミはどうしてこんな所でパンツを脱いだんだ。その理由を明白にせぬ以上、このパンツを渡すわけにはいかない」
 そんな長ゼリフをボソボソと言っていると、少女は恐怖の表情を浮かべながら、「じゃあ、もういらない」と呟き、そのままショートパンツを履こうとした。
「そーいう問題じゃないでしょ秋恵ちゃん!」
 私は少女の足首をおもいきり掴んだ。
「秋恵ちゃん、仮に秋恵ちゃんだとしよう。ここまでしたんだ、もうそろそろ正直に理由を説明してもいいだろう秋恵ちゃん!」
 少女は泣き出した。しかし私は、そんな少女の涙で怖気つくような生半可な変態ではない。いや、逆にそんな少女の涙に欲情する変態なのだ。
「秋恵ちゃん! 仮に秋恵ちゃん! キミはここでいやらしい事をしてたんだろ?」
 少女はグスングスンと泣きながらコクンと頷いた。さすがに田舎の少女は素直だ。
「そうだよね、この蛸を使って気持ちいい事してたんだよね、おじちゃん、そこの岩陰から見てたから全部知ってるんだよ」
 少女は白状して気が楽になったのか、「ごめんなさぁ~い」と唸りながらワンワンと泣き出した。
「もう泣かなくてもいいんだよ。おじちゃんはね、キミが正直に白状すれば、それで許してあげるんだから……」
 私はそう言いながら、少女の手を引いた。そして少女を私の真正面にしゃがませると、グスングスンと目を擦っている少女のしゃがんだ股の中をソッと見た。
 桃かと思った。
 少女は股間に白桃を挟んでいるのかと本気でそう思った。そのくらい少女のワレメは可愛く、そして綺麗だった。
 そんな美しき桃のワレメに目を奪われた私は、しゃがんでいる少女の股間を首を傾けながら覗き込んだ。すると少女は「はっ!」と泣き声を止め、「ヤダ!」と小さく叫びながら股をギュッと閉じた。
 私はそんな少女を見上げた。
 少女の顔をジッと見つめながら、「おじちゃんの言う事を聞かないと、川端康成に言うぞ」と呟くと、少女は再びビブラートな声で唸りながらすすり泣きを始めたのだった。

 さて、ここではっきりと断っておくが、本来、私にはそんな趣味はない。
 そもそも私という変態は非合意な性交は好まない。いや、私が描く小説の中では、泣き叫ぶ人妻を縄で縛っては大きく開いた性器に無理矢理携帯電話を捻り込んだり、又、学校帰りの女子高生を誘拐し全裸に手錠を嵌めたまま部活動で汚れた性器をレロレロと舐めたりするといった、いささか猟奇的な強姦シーンを描く事はあるが、しかしそれはあくまでも読者のニーズに応えているだけであり、私の本来の嗜好ではない。
 私はこう見えて非常に気の小さな男である。トルコ風呂でさえ、女に敬語を使う男なのである。そんな小心者な私に強姦など天地がひっくり返ってもできるはずが無いのだ。
 が、しかし、この時は違った。
 恐らく、相手が今まで接した事のない中学生少女という事からであろう、この時の私は、まるで一瓶四千円もする『ユンケルスター』をおもいきって二本飲んでしまった時のように精力的で積極的だったのだ。
 私は泣きべそをかく少女を無視し、再び少女の股を覗き込んだ。ギュッと閉じた太ももの裏には、白桃のようなワレメがもっこりと膨らんでいた。
「足を開きなさい……」
 私はそういいながら少女の両膝を片方ずつ鷲掴みにした。
「キミがこの蛸を使ってエッチな事をしていた事は、川端康成にもお母さんにも内緒にしておいてあげよう。だから足を開きなさい……」
 そういいながら股を押し広げようとすると、少女は再び「ヤダ!」と叫び、股にギュッと力を入れた。
「ほら、キミの蛸だよ。これを返してあげるから、ほら、大人しく言う事を聞きなさいよ」と、少女の閉じた太ももの上に蠢く蛸をベチャリと置くと、少女は「あっ!」と短く叫びながら、慌てて蛸を掴もうとした。
 しかし、ヌルヌルする蛸は少女の小さな手をすり抜け、再びベトっと少女の太ももの上に落ちる。少女は「ヤダヤダ」と顔を顰めながらそれを何度も繰り返し、そして遂に諦めたのか、絞首刑台の床のように、閉じていた太ももをパカッと開いてはそのまま蛸を地面に落とした。
 ベタッと岩の上に落ちた蛸は、そのまま八本の手をウヨウヨと蠢めかせた。そんな地面で蠢く蛸の上には、股を開いた少女の、幼気なアワビがパックリと口を開いていた。
 私はすかさずそんな少女の股の中に腕を押し込んだ。少女はまたしても「あっ!」と小さな悲鳴をあげながら慌てて股を閉じるが、しかし私の腕は既に少女の股の間にがっつりと挟まっていた。
「ホントにヤダ!」と、私の腕を押し出そうとする少女。
「ホントにお願い!」と、少女を岩の上に押し倒した私。
 岩の上に少女を寝転がせ、右足を少女の股の間に挟んだまま、少女の頭上で両手首をがっしりと掴んだ。
 長い脚をバタバタとさせながらもがく少女の、もっこりと膨らんだパイパンな恥骨の上に蛸をベチャっと乗せてやった。少女の真っ白な下腹部でウニウニと蠢く蛸に、あとはよろしく頼むぞとお願いすると、私は少女の細長い首に唇を押し付けたのだった。

 それはまさに私と蛸と少女の三人プレイだった。
 私は少女の首筋をレロレロと舐めながら、「大人しくしなさい、キミがいやらしい事をしていた事は誰にも内緒にしておいてあげるから大人しくするんだ」と呟き、そして少女のサンランボのような唇を吸った。
 少女はウグウグと呻きながら前歯を頑に閉じ、私の侵入を拒んだ。
 私はそんな少女に「おじさんはキミのオナニーのお手伝いをしてあげるんだよ、ね、ね、だから大人しくしなさい、さっきよりももっと気持ち良くしてあげるから」と、まさに変質者の如く呟きながら、少女の横腹に亀頭を押し付けてはセンズリをした。
 しばらくの間、必死で抵抗していた少女だったが、しかしいきなり少女の様子が急変した。それは、少女の股間に張り付く蛸が本領を発揮したからだ。
 蛸は、少女の股間で激しくも悩ましく蠢いていた。少女の股には私の右足が押し込められており股間が少しだけ開いていた。蛸はそんな狭い股間の隙間にヌルヌルした身体を滑り込ませ、まるで水中で岩の裏に潜り込むかのように、少女のワレメの中へ隠れようとしていた。

(凄いぞ蛸!)

 そう思いながらそんな蛸の働きをジッと見つめた。蛸は二本の足を少女の幼気なワレメの中にヌルヌルと挿入させ、残りの六本の足の吸盤で少女の性器全体をブチュブチュと刺激していた。
「んんんん……」
 そう呻く少女を見ると、少女は眉間にギュッと皺を寄せながらギュッと目を瞑り、そして真っ白な前歯で下唇をギュッと噛んでいた。そんな全体的に『ギュッ』とした少女の苦悩する表情は身震いを覚えるほどに美しく、そして恐怖を感じる程にいやらしかった。
「気持ちいいかい……」
 耳元で優しくそう呟くと、少女は今までにない甘ったるい声で「もうヤダぁ……」と呟いた。
 私はそんな少女の綺麗な耳にペロペロと舌を這わせながら、「気持ち良くなろう。誰にも内緒にしておいてあげるから、もっともっと気持ち良くなりなさい」とウルウル声で囁き、そのまま少女の首筋へとヌルヌルと舌を滑らせて行ったのだった。

 少女は完全に堕ちた。もう抵抗したり逃げる意思は全く消え失せているようだった。
 私は蛸が蠢く少女の股間を覗き込んだ。蛸は股間の狭い隙間にスッポリと身を隠し、性器のそこらじゅうを懸命に愛撫していた。
 そんな蛸に、もう少し仕事をやりやすくさせてやろうと、少女の足首を掴んではゆっくりと股を開いて行くと、少女は自分の意思で股を開き始め、両足で美しい『M』の字を作った。
 少女の股が開くと同時にワレメが大きく開いた。蛸はそんな開いたワレメの中に潜り込もうとしているのか、一本、また一本とその吸盤だらけのヌルヌル足を挿入して行った。
 結局、四本の蛸の足が少女の膣の中で蠢いていた。ブチョブチョといやらしい音を立てて蠢く蛸の足を見ながら、この少女は処女ではないのか? とふと思う。
 私はそんな少女を見下ろしながら、「気持ちいいかい……気持ち良かったら声を出してもいいんだよ……」と、いらぬお節介をやきながら、少女のTシャツのスルスルと捲り上げた。
 ツルンっとした上半身が春の光りに照らされた。ほんの少しだけ盛上がった貧乳の先には、桜貝のような乳首が弱々しく輝いていた。
(中学一年生……中学一年生……中学一年生……)
 そう何度も呟きながら実感を湧かせる私は、自らも蛸になりながら少女の桜貝に舌をヌルヌルと這わせた。
「あっ……」と声を出しながら顔をサッと横に背けた少女は、キラキラと乱反射する海を見つめながら「んん……」といやらしい声を洩らした。
 もう我慢できなかった。一刻も早く精液を発射させたくて仕方なかった。
 私はビンビンに勃起したペニスを少女の目の前に突き出すと、「お、おじさんも……た、蛸さんに気持ち良くしてもらおうかな……」と、ちょっと山下清っぽく呟いてみた。
 少女はそんな私を無視したまま、海を見つめてはハァハァと切ない息を吐いている。
 私も少女を無視して、M字に開いた少女の股の中にゆっくりとしゃがんだ。そして、少女の両足を両手で固定したまま、少女の股間で蠢く蛸に向けてペニスを突き立てた。
 蛸は器用だった。少女の性器を愛撫しながら、別の足を私のペニスに絡ませてきた。
 そのヌルヌル感はなんとも表現しにくい程に気持ちいい。官能小説家が表現しにくいなどと描写を放棄するのもケシカラン話しだが、しかし、この時の私は、グルメ番組で若いレポーターが、上質な霜降り飛騨牛を頬張りながらも「凄くおいしい」としか表現できなくなっているその時の気持ちが痛いほどわかった。そのくらい、気持ちいいのである。
 私はもっと蛸に絡んで欲しく、そのままグイグイとペニスを蛸の身体に押し付けた。
 するといきなり少女が「いや、いや、ダメ……」などと呻きながら、腰をクネクネとくねらせた。
 もしかしてイキそうなのか? と思いながら、ならば私もこうしてはいられぬと更にペニスを蛸に突き刺すと、明らかに蛸のヌルヌルのヌメリとは違う、コリコリとしたヌメリが、不意に私のペニスを優しく包み込んだ。
「あぁぁん! ヤだぁん!」
 少女はそう叫びながら、釣り上げたばかりの鮎のような美しい体をピクン! と跳ね上げた。
 慌てて少女の股間を見ると、なんと私のペニスの先が、少女の白桃のようなワレメの中に突き当たっていたのだった。

 とたんにカーッと頭に血が上った私は、まるで赤ん坊のようにイヤイヤと首を振る少女を見下ろしながら「セックスした事あるのかい?」と聞いた。
 少女はその質問に答える事なく、股間から私を排除しようと必死に腰を動かした。少女の腰が動く度に、少女のワレメが私の亀頭を擦った。
 このまま強引に入れてしまおうかと悩んだが、しかし、もし処女だったらと考えると良心が痛んだ。自称変態小説家の私ではあるが、しかし、さすがに中学一年生の処女を手篭めにするというのは心が痛い。
 そんな苦悩する下半身では、蛸が容赦なく二人の生殖器を弄んでいた。まるで二人の仲を取り持つかのように、蛸は少女のワレメと私の肉棒にヌルヌルの足を絡ませていた。
 半開きのワレメに亀頭を押し付けながら波の音をBGMを聞いていた私は、入れようかどうしようかと本気で悩んでいた。
 すると、ふと、そんな蛸のヌメリとは違うトロトロとしたヌメリを亀頭に感じた。
 もしかして……とドキドキしながら蛸の足の隙間に指を入れ、少女の半開きのワレメに人差し指の先を当ててみた。
 そのヌメリは、明らかに性的興奮時に外陰部に排出する粘液性分泌物だった。それに触れた瞬間、私の中から良心と言うモノが一瞬にして消え去った。
 中学生であろうと処女であろうと、例えソレがレイプという非人道的な行為であろうとも、相手が濡れていれば話は別だった。
 そう、アソコを濡らす少女は、今まさにペニスを入れられたいのである。
 よくよく考えれば、この少女は蛸でオナニーをするほどの変態少女であり、生身のペニスを入れられたくないわけがないのだ。
 蛸が良くて私のペニスがダメだというのは道理が通らないのである。
 興奮した私は少女の頭部を抱き抱えながら、「入れちゃっていい? もう入れちゃうよ?」と、何度も何度も阿呆のように呟きながら少女の小さな体を頑丈に固定した。
 ヤダヤダと首を振る少女の両足をがっしりと抱えた私は、「なぜ、蛸は良くて私はダメなんだ。私は蛸以下か?」と呟きながら、強引にグッと腰を突き出した。
 岩のようにゴツゴツとした私の厳ついペニスは、いとも簡単にツルンっと滑り込んだ。少女の幼気なパイパンワレメには、私の黒い肉棒と蛸の白い足が卑猥に絡み合っては蠢いていたのだった。

 初めての経験だった。今まで最低年齢が十七才の家出少女だった私は、この、私にとっての世紀の一瞬に、おもわず感動を覚えた。
 少女の膣はびっくりするくらいにキツかった。しかもペニスがピストンされる度に、亀頭をキュンキュンと切なく締め付けてきた。
 これは明らかに処女ではなかった。いや、このレベルはもしかしたら玄人レベルかも知れない。

(田舎町では未だに『夜這い』という風習があると聞くが、この少女も夜な夜なスケベな漁師達にヤられているのではないだろうか……)

 そう思いながら腰を振っていると、不意に少女は日本脳炎のような呻き声を発し、私の身体にしがみついてきた。そして、膝を曲げたまま大きく開いた足で私の身体をカニ挟みしながら、「もっと早く動かして!」と叫んだのだ。
 やはり少女の陰部は純粋ではなかった。さすがは蛸でオナニーをする程の変態だ、この歳にして既にセックスの喜びを知っているのである。
 私はそんな手慣れた少女の仕草に胸を撫で下ろしながらも、「しかし、これ以上早くすると私は出てしまうよ」と、半ベソをかきながら少女に呟いた。すると少女は「いいからもっと、もっと早く動かして!」と私の耳元で叫びながら、もう我慢できないといったふうに自ら腰をカクカクと動かし始めた。
 そんな少女を目の当りにして、本来早漏の私がこれ以上我慢できるはずが無かった。
 私はベチャベチャといやらしい音を立てながら必死に腰を振りまくった。そして、それが最も残酷な事だと知りながらも、少女の肉穴の中に大量に精液を放出してしまったのだった。

              ※

 私はこの町に、かれこれ二週間も滞在していた。
 汚い民宿の下品な女将の接客にも馴れ、そして老人達がごった返すイモ洗い状態の共同露天風呂にも何の抵抗も無く入れるくらい、私はこの町に馴染んでいた。
 しかし、目的の官能小説は一向に進まなかった。
 それはあの時の少女のせいだった。

 あの日以来、私はあの岩磯へ何度も何度も足繁く通ったが、しかし少女は一度も姿を現さなかった。
 私は岩陰で少女を待ちわびながら、股間に蛸を押し付けていた。蛸に濃厚な愛撫をされながら、あの時の少女の切ない表情やいやらしい喘ぎ声を思い出し、蛸の中に射精していた。
 つまり私は、その官能小説の起動力である精力を、日に何度も蛸に吸い取られていた為に、宿に帰っても全く想像力が湧かず、結局原稿用紙一枚すらペンが進まなくなってしまっていたのだ。
 これではまるで猿のオナニーだ。ヤリ過ぎで頭の中が空っぽになってしまう。
 このままでは本来の目的が告げれないと思った私は、その日の朝、きっぱりと少女を忘れるべく、この町を出る事にしたのだった。

 二週間前、初めてこの町に来た道を私は一人駅に向かってトボトボと歩いた。もう一度だけあの岩磯へ寄って行こうかと何度も後ろ髪を引かれたが、しかし私は、後方に広がる大海原に振り返る事もせず、逃げるようにして駅へと足を速めた。
 駅に辿り着くと、初めてこの町に来た時と同様、ガランとした人気のないホームに浅田次郎のぽっぽやを彷彿とさせる初老の駅員が、一人のんびりと欠伸をしていた。
 駅員は私を見つけると、ノソノソと私に近寄りながら「もう帰るんかね」と、人懐っこい笑顔で微笑んだ。
「ええ……」と、微笑みながら頷く私に、駅員はのんびりした口調で「この町でなんかイイ事あったかい」と聞いてきた。そんな老人の口調は、どことなく大滝秀治に似ていた。
「ええ……まぁ、それなりに……」
 私は曖昧にそう答えた。まさか、岩磯で蛸オナニーしている中学生とセックスしました、とは、いくら相手がボケかかった大滝秀治とて言えるはずはなかった。
「何にもない町だけど、海のモノはうまかったでしょ」
 老人はニヤリと笑った。
 私が「そうですね」と答えると、遠くの方からガタゴトと古臭い音を立てて電車が向かって来た。
 老人はホームに立つと、向かって来る電車にバタバタと旗を振った。そして旗を振りながら私に向かって「蛸の刺身は食べましたかね」と笑った。
 電車がキキキキキッと錆びた音を軋ませて止まった。
 とたんに濃厚なガスの香りが小さな駅のホームに充満した。
 パシャーッ……というガスが抜けるような音と共に、まるで浅草の『花やしき』にあるお化け屋敷の仕掛け扉のように、古びた扉がガコガコと開いた。
「蛸の刺身。沢山頂きました。とっても美味しかったです」
 私は電車に一歩乗込みながら、老人に振り返ってそう言った。
「そりゃあ良かった」
 老人はニヤニヤ笑いながらそう頷くと、「蛸しかない町ですけど、また来てださいね」とのんびりと囁き、そのままピリリリリリリっと笛の鳴る前方へと静かに消えて行った。
 私はエンジン臭が染み付いた座席に腰を下ろすと、潮風で汚れた窓をガタガタと開けた。
 窓を全開にすると、線路の下から湧き出て来る排気ガスに混じり、ほんのりと潮の香りがした。
 真正面に広がる朝の海は、相変わらず乱反射しながらキラキラと輝いていた。そんな海を眺めながら、またいつかきっと来よう、と頷くと、不意に改札口辺りから「早く! 早く!」という老駅員の慌てる声が聞こえた。
 どこからかカツカツと靴を鳴らす音が聞こえ、同時にチャリチャリという鈴の音が聞こえてきた。
「ごめんなさい、ついつい寝坊しちゃって」
 そう言いながら、セーラー服を着た女学生が改札口に慌てて定期を出した。
「ギリギリセーフだ。今、発車する所だったよ」
 そう言いながら老駅員がへへへへへへっと笑うと、その女学生もふふふふふっと笑いながら電車に向かって駆けてきた。
 その女学生を見た私は、一瞬心臓が止まった気がした。
 そう、その少女はまさしくあの時の蛸少女だったのだ。
 少女が電車に乗ると同時に、古い扉がガコガコと音を立てながら閉まった。再びパシャーッ……というガスが抜けるような音が響き、ガコンっと発車した車内が震度二程度に揺れた。
 一両しかない車内のドアが開いた。少女は私には全く気付かず、そのまま窓際の席にスっと腰を下ろした。
 車内には誰もいなかった。
 私は走り出す窓の景色を眺めながら、誰もいない電車の中でレイプされる女子中学生のストーリーをふと考えた。
 グングンと想像力が湧いてきた。これなら傑作が書けそうだぞ、と、急に嬉しくなってきた。
 私は興奮しながらカバンの中から原稿用紙を取り出した。カバンを膝の上に置き、それを下敷きにしながら原稿用紙を広げ、ペンを持つ。
 不意に後の席から、「♪ふん♪ふふふんふん♪」という少女の鼻歌が聞こえてきた。
 私は再びペンを置いた。

(……良い小説を書くには妄想よりも経験が必要だと、浅田次郎が言ってたな……)

 乱反射する海を見つめながらそう思った私は、スッと席を立ち上がった。三席後の座席に少女のサラサラヘアーが見えた。私は一歩一歩少女の席に進んだ。そして、果たして朝の少女の性器はどんな香りがするんだろうと想像しながら、変態小説家らしく不気味に微笑んだのだった。

(蛸と少女・完)

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