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    ある看護婦の苦悩と快楽1



 外科病棟三〇五号室四人部屋。
 今夜もまた、入口前にあるベッドの薄いカーテンの中でスタンドライトの灯りが上下に揺れていた。
 その動きは反復運動を繰り返し、そのリズムはほぼ一定ではあるが、時々早くなったり、又はピタリと動きを止めたりしていた。
 廊下で呆然と立ちすくみながらそれを見つめていた詩緒里は、「まただ……」と小さく呟くと、そのさくらんぼのような下唇をギュッと噛みしめた。

 そのベッドの患者は昭島亮介。
 一週間前、交通事故で左足を骨折し入院した四五才の男だった。
 カーテンの中でいきなり動きがピタリと止まった。
 すると昭島は、まるでそこに詩緒里がいる事がわかっていたかのように、カーテンの中から「ねぇ」と詩緒里に声を掛けた。
 小さな肩をビクッと震わせた詩緒里は、昭島のその声が聞こえなかった振りをして慌ててその場を立ち去ったのだった。

 ナースステーションに戻ると、先輩の掛川さんが待ち受けていたかのようにパタンとファイルを閉じた。
 時刻は深夜二時。詩緒里と夜勤の交代の時間だった。

「七号の武田さん、痛くて眠れないって言うから鎮痛剤を与えておいたから……」

 掛川はそう言いながらバタバタと準備を終えると、「じゃあ、あとよろしくね」と言いながらナースステーションを出て行った。

 薄暗い廊下に響く掛川の足音が遠離って行くと、心電図の規則的な音だけがナースステーションに響いた。
 詩緒里はいくつかの心電図のモニタに異常がない事を確認すると、そのまま事務机に腰を下ろしカルテを開いた。
 あと一時間で巡視の時間だった。それまでにカルテのチェックと点滴薬の調合と看護記録の記載をしなければならず、焦った詩緒里は看護士用の冷蔵庫の中にあるダイエットコーラを取り出す暇も無くカルテに目を通し始めたのだった。

 詩緒里は新人ナースだった。私立高校の看護科を卒業するとそのまま高看科に入り、見事一発で国家試験を合格しては二十歳で念願のナースになった。
 現在二十二才。ナース歴二年のまだまだ新人だが、高看科では常にトップの成績だった詩緒里は、無駄にナース歴が長いだけの古株ナースたちよりは全然優秀だった。
 しかも詩緒里は患者に人気があった。
 スラリと伸びたスレンダーな身体に、バービー人形のような小さな顔。その小顔にはディズニーキャラクターのような大きな目と子供のような小さな鼻、そしてどこか官能的な唇からチラリと見える歯並びの良い前歯はまるでペンキを塗ったかのように白く、それらが見事なバランスで配置された顔は、誰が見ても『かわいい』と深い溜息を洩らしてしまうほどであった。

 頭脳明晰で容姿端麗。しかも性格はマザーテレサのように優しく、そしてどんな些細な事にまで気が利いた。
 そんな詩緒里は、圧倒的におばさんナースが多いこの病院ではほとんどの患者たちからアイドル的存在であり、若い男性患者は必ずと言っていいほど詩緒里に恋を抱き、老人患者は決まって「詩緒里ちゃんがウチの息子の嫁だったらな」と物欲しげに呟いた。

 が、しかし中年の男性患者だけは違った。
 彼らは表面では詩緒里を優しく見つめていたが、しかし内面では詩緒里を汚していた。
 ナース服からスラリと伸びる詩緒里の細い脚を舐めるように見つめ、ほのかに膨らんだ幼気な胸を見てはその裸体を想像し、下品な妄想と共にニヤニヤと笑っていた。

 そんないやらしい中年患者達の中で、それを最も露骨に剥き出していたのが三〇五号室の昭島亮介だった。
 昭島は直接的には詩緒里にアクションを起こさず間接的にアクションを起こして来た。
 例えば、詩緒里が深夜の巡視をしていると、わざと下半身を露出させたまま寝たフリをしてみたり、又、いきなりナースコールで詩緒里を呼び出しては「骨折した足が痛くて眠れない」などと相談を持ち掛け、その間、消音されたポータブルDVDプレーヤーで無修正のエロ動画を流しては、それをわざと詩緒里に見せつけたりするなど、その方法は実に陰湿で変態じみていた。

 ある時などこんな事があった。
 いつものように詩緒里が夜勤をしていると、昭島のナースコールが鳴り出した。「どうしましたか?」と声を潜めながら昭島のベッドのカーテンをソッと覗くと、昭島は右太ももに捲いていた包帯を外し、その生々しい傷口を黙ったままジッと見つめていた。

「傷口がジクジクと痛むからガーゼを取って見てみたんだけど……傷口からこんな不気味な膿がドロドロと出てんだよ……」

 昭島はそう呟きながら詩緒里に丸めたティッシュを渡した。驚いた詩緒里は慌ててティッシュを広げた。そこには白い液体がトロリと溜っていた。

「……匂いを嗅いでみてくれよ、なんか凄い匂いがするんだ……もしかしたら感染病にでもかかったんじゃねぇのかなぁ……」

 昭島はそう言いながらそのカミソリのような鋭い目を不敵にギラリと光らせた。

 詩緒里はそれが何であるかすぐにわかった。
 学生時代に同級生の彼と二年間だけ付き合った事のある詩緒里には、それが精液だという事が一目瞭然でわかったのだ。

 しかし、だからといってそれを無視するわけにはいかなかった。
 それが全くの悪戯だとわかっていても、患者からそう言われた以上はナースとしてそれを無視するわけにはいかなかった。
 詩緒里は精液が溜ったティッシュに恐る恐る鼻を近付けた。そしてスっと小さく匂いを嗅ぐと、学生時代に付き合っていた彼氏のアパートのゴミ箱の匂いが詩緒里の鼻孔にフッと甦った。

「……明日の朝一番で……先生に診て貰いますから……」

 強烈な屈辱を感じながらも詩緒里が必死にそう答えると、昭島はいきなり詩緒里の手からティッシュを奪い取った。

「そんな事したら入院が長引いちゃうかも知れねぇから、へへへへ、やっぱりいいや……」

 昭島はそう笑いながら丸めたティッシュを布団の中に隠した。そして、素早く詩緒里の細い手首をギュッと掴むと、「それより、ちょっと話していかねぇか? 俺、最近不眠症なんだよ」と詩緒里の華奢な身体を強引にベッドに座らせようとした。

「やめて下さい」

 他の患者を起こさないように小声でそう叫んだ詩緒里は、握られた手首を必死に振り解くと、慌ててカーテンから出ようとした。その瞬間、詩緒里は小さなお尻をグニュッとおもいきり鷲掴みされたのだった。

 そんな昭島だった為、新人の詩緒里にとっては実に厄介な存在だった。
 仕事も順調で、患者や同僚、そして各先生達からもすこぶる評判の良い詩緒里は、ナースの仕事は自分の天職だと思い始めていた。が、しかし、昭島の事を考えるとその自信は脆く崩れ、今すぐにでもナースを辞めてしまいたいような恐怖に駆られた。
 成績は優秀でも詩緒里には経験がなかった。
 学校ではセクハラ患者の対処法ついてなど教わっておらず、経験もマニュアルもない詩緒里はそんな昭島に日に日に畏怖するばかりなのであった。

 カルテの整理を終えると、そのまま点滴薬の調合に取り掛かった。
 これは詩緒里が最も得意とする分野で、その手際はベテラン看護士顔負けだった。
 点滴薬の調合を終え、やっと冷蔵庫の中からダイエットコーラを取り出した詩緒里は、事務机に足を投げ出したまま「んんーっ」と背伸びをし、そのまま携帯を開いた。
 受信ボックスに新しいメールが届いていた。『中田です』というタイトルを見て「んふっ」と微笑みながらそのメールを開く。

『夜勤ごくろうさん。明日は病院に戻れるからお昼一緒にどう?』

 そんなメールを繰り返し何度も読む詩緒里の笑顔は、まるで幼い少女のようだった。

 それは、沖縄に出張に行っている外科の中田医師からのメールだった。
 そんな中田医師と詩緒里は良い関係にあった。それはまだ交際しているとまではいかないが、いずれはそうなりそうな関係であった。

 ナースにとって若い医師との交際というのは、女子校の中年教師が生徒と不倫したいとおもうくらい強い願望だった。
 特に中田医師はこの病院でも評判のイケメンで、尚かつ、父親はこの病院の副院長を務めている。
 若くてイケメンでお金持ちで将来有望な中田医師と詩緒里が密接した関係にある事は、病院内では誰もが知っている事だった。
 本来なら、新人のナースが中田医師などという大物をゲットすればそれなりの非難を受けるのがこの世界のシキタリでもあるが、しかし、それに僻んだり妬んだりする同僚や先輩は一人もいなかった。
 それは、それだけ詩緒里が中田医師の婚約者に相応しいと誰もが認めているという事だった。

『気を付けて帰って来て下さい。明日、病院で待ってます』

 中田にメールを打ちながら詩緒里は再び「んふっ」と微笑んだ。中田の優しい笑顔を思い出すと微笑まずにはいられなかった。
 そのまま一気に看護記録の記載を終わらせた詩緒里は、残っていたコーラを一気に飲み干すとソッと時計を見た。
 午前三時。丁度、巡視の時間だった。

 コンパクトなLEDの懐中電灯を手にするとナースステーションをソッと出た。
 静まり返った廊下は、非常階段の緑看板がタイル張りの床に反射し、妙に幻想的な雰囲気を漂わせていた。
 夜勤用のナースサンダルをヒタヒタと音立てながら一部屋ずつ覗いて行く。

 詩緒里がいる外科病棟の巡視は内科病棟と比べると断然に楽らしい。
 これが内科病棟だと必ず患者に呼び止められ、「私はあと何日生きられるのでしょうか?」や「今すぐ手術をして下さい!」といった、ナースではどうにもならないような訴えをされるのだと先輩から聞かされた。
 それを思えば外科は楽だよ、と内科の先輩は言うが、しかし、外科でもそれなりの苦労はあった。

 それは逆に患者が元気だと言う事だった。

 外科の患者は内科の患者とは違い、あくまでも『ケガ』であるため基本的には身体は健康だった。
 その為、一日中ベッドで寝ていなくてはならない患者は猛烈なストレスが溜った。
 特に若い患者になるとそのストレスは激しく、夜中に酒を飲んでアカペラで歌い出す者もいれば、ベッドをギシギシと軋ませながら腹筋している者までいた。

 そんなストレス患者が多くいる外科病棟の巡視で、ナースが最も気をつけなくてはならなかったのが、深夜のマスターベーションだった。
 ストレスが溜った若い患者は当然性欲も溜った。そうなれば手っ取り早いストレス発散はマスターベーションだ。
 しかし、ほとんどが四人部屋のこの病棟では、さすがにそれを昼間から堂々とするわけにはいかなかった。だからそんな患者は深夜にこっそりとマスターベーションをするのだが、それを巡視中のナースが目撃してしまうという事が多々あった。

 それは見られる方も困るが、見る方も困った。
 病室でのマスターベーションは特に禁止されてはおらず、他の患者に迷惑を掛けなければそれは個人の自由だった。だからそれを目撃してしまったナースは注意するわけにもいかず、かといってそのまま見て見ぬ振りをすると言うのも、翌朝の事を考えると気まずい。
 だから外科のナース達は巡視時には最も患者のマスターベーションに気を使い、慎重に巡視しなければならなかったのだった。

 そんな行為が行なわれていませんようにと、詩緒里は祈るような気持ちで一部屋一部屋足を忍ばせ巡視した。
 ベッドのカーテンを静かに覗き、患者の寝息を確認してはホっと胸を撫で下ろしながら次々に巡視して回った。
 そんな詩緒里が、やっと最後の一部屋だ、と立ち止まったのは、つい一時間前にマスターベーションを見せつけられた昭島の部屋だった。
 廊下の突き当たりにあるその部屋の入口は、非常階段の緑灯をもろに受けまるで安っぽいカラオケスナックのような雰囲気を醸し出していた。
「ヤダな……」とナースサンダルから伸びる足の指をグニョグニョと蠢かせながら、詩緒里は携帯電話をソッと開いた。

『夜勤ごくろうさん。明日は病院に戻れるからお昼一緒にどう?』

 再び中田医師のメールを読み返した。それを何度も読み返しながら「先生が付いてるから、大丈夫、大丈夫」と自分に自信を付ける詩緒里。
 フーッと深呼吸をして携帯をパタンと閉じると、ドアが開いたままの三〇五号室へと足を忍ばせたのであった。

 病室には何とも言えない男臭がモワッと漂っていた。
 もちろんそんな男臭は他の病室にも漂っていたが、しかし、つい先ほど昭島のマスターベーションを見てしまったこの部屋は、特にそんなニオイを強烈に感じさせた。

 三〇五号室には昭島の他に二人の患者が入院していた。
 一人はオートバイで転倒して肋骨を折った松山という十八才の少年で、もう一人は交通事故で右手を骨折した池田という三十五才のトラック運転手だった。
 昭島をはじめ、他の二人もどこか癖のある男で、詩緒里はこの三〇五号室が苦手だった。

 そんな三〇五号室を、足を忍ばせ窓際まで行くと池田のベッドのカーテンをソッと覗いた。
 グググゥ……グググゥ……
 鼻の詰まった池田のイビキが布団の底から響いていた。
 そのままソッと後に振り返り、正面にある松山のベッドのカーテンを静かに開いた。

「ハァハァハァハァ……」

 掛け布団を全て剥がし、身体を大の字にさせながら寝転がっている松山が苦しそうに唸っていた。
 そんな松山のパジャマのズボンは足首までズリ下げられ、下半身の中心でピーンッと飛び出した陰茎がゴシゴシと上下にシゴかれていた。

 息を飲んだ詩緒里は小さな肩をピクッと跳ね上げた。
 そんな詩緒里に気付いた松山だったが、しかし松山はそれを隠そうとはしなかった。松山はハァハァと荒い息を吐きながら半開きの目で詩緒里をジッと見つめ、シコシコされる陰茎にクチュクチュと音を立てながらマスターベーションを続けた。

 詩緒里は自分を落ち着かせようと、カラカラに乾いた喉に唾を押し込んだ。
 しかし、震える喉はそれを素直に受け入れてくれなかった。そんな詩緒里の喉からは不意に「クキュッ」という、まるで雨蛙を握り潰したような音が響いた。

「詩緒里ちゃん……あぁぁ……見て……」

 足首にパジャマのズボンをぶら下げたまま、両足をスリスリと摺り合わせる松山がウルウル声でそう唸った。そして松山は全身を痙攣させるようにしてヒクヒクと動かし、

「あっ、あっ、出そう……出そうだよ詩緒里ちゃん……射精するとこよく見ててね……」

 と、しゃがれた声で囁くと、そのまま両足をピーンッと伸ばし、ガッシリと握った陰茎の先から精液をピュッピュッピュッと激しく飛ばした。

 詩緒里は呆然と立ちすくんだまま眉をギュッと顰めた。
 今まで何度か患者のマスターベーションを目撃した事はあるが射精するシーンを目撃したのは初めてだった。
 しかも詩緒里は、患者だけでなく元彼の射精シーンすら見た事が無かった。つまり詩緒里は、射精シーンを見るのはこの時が初めてだったのだ。

 そんなシーンをモロに見せつけられた詩緒里は、蛇に睨まれたカエルの如くその場を動けなくなった。
 あまりの衝撃に、まるで両足をコンクリートで固められてしまったかのように硬直してしまったのだ。

 その瞬間、いきなり病室のドアがガラガラガラっと音を立てて閉められた。
 そこで初めて我に返った詩緒里が「はっ!」とドアに振り向いた。
 閉められたドアの前には、ニヤニヤと笑う昭島が立っていた。
 そんな昭島の不敵な笑顔を、廊下から洩れる非常階段の緑灯がボンヤリと照らし出していた。それはまるでバットマンに出てくるジョーカーの笑顔のように不気味であり、おもわず詩緒里は「ごめんなさい……」と呟きながら泣き出してしまったのだった。

 そんな詩緒里の華奢な背中を、池田のゴツい手が背後からガシッと鷲掴みにした。
 池田は狸寝入りをしていたらしく、その目は異常者のようにギラギラと輝いていた。

「大きな声出すなよ……騒ぐとそのカワイイ顔がミンチのようにグチャグチャになっちまうぜ……」

 昭島は大きな握り拳を詩緒里に向け、ギプスをした右足を引きずりながら近付いて来た。

「俺のベッド使っていいぜ」

 カーテンから顔を出した松山がニキビだらけの頬をヒクヒクさせながら笑った。

「アホ、そんなセンズリ臭ぇとこ使えんわい。ワシのベッドに連れてったらええわ」

 池田は関西訛りでそう言うと、まるでトラックの荷台から荷物を下ろすかのように硬直している詩緒里の細い体を軽くヒョイっと持ち上げると、そのまま窓際のベッドへと攫った。

「や……やめて……」

 ベッドに乗せられた詩緒里は、ジッと見下ろす三人に向かって必死に呟いた。三人はそんな詩緒里をあざけ笑うかのように見つめながら、パジャマのズボンをスルスルと下ろした。
 池田がいやらしい笑みを浮かべながら、既に固くなっている陰茎をシコシコとシゴき始めた。

「……どうして……どうして……」

 詩緒里はそう狼狽えながらパジャマを脱ぎ始めた昭島の背中を見つめゾッとした。昭島の背中には筋彫りの般若が描かれていた。
 そんな背中の般若は、泣いているのか怒っているのか、はたまた笑っているのかわからないような表情をしながら詩緒里を不気味に見つめていたのだった。

 硬直する詩緒里の身体を松山がベッドに押し倒した。
 そのあまりの恐怖からいとも簡単に寝転がされてしまった詩緒里は、虚ろな目を見開きながら裸の男達を見つめるだけだった。
 少年の松山が、もう我慢できないといった感じでナース服のボタンを外した。そして胸元に手を入れ、素早くブラジャーをズラすと、Aカップの小さな胸を剥き出しにさせては「スッポンポンにするよりもこのほうがエロくね?」と笑いながら微かに膨らんだ胸の乳首をギュッと摘んだ。

 その刺激で詩緒里は「はっ!」と我に返った。
「いやっ!」と叫んだ詩緒里は、目の前にいた松山をおもいきり突き飛ばすと、そのまま勢い良くベッドから立ち上がろうとした。

「騒ぐんじゃねぇっつーの!」

 そう凄みながら詩緒里の髪を鷲掴みにした昭島の手には、ピンクの携帯電話が握られていた。
 カシャッ!カシャッ!と連続でシャッター音を響かせながら、ナース服が乱れた詩緒里を撮影するその携帯は、いつの間に奪い取ったのか詩緒里の携帯電話だった。

「おまえ、第二外科の中田と付き合ってんだろ?」

 昭島はグッと髪を引きながら、顔を天井に向けた詩緒里の耳元に囁いた。

「大人しくしねぇと、この写真を中田のメールに送信するぜ……」

 昭島は先程送られて来たばかりの中田医師からのメールを携帯画面に開きながら酒臭い息を詩緒里に吹き掛けたのだった。

 従うしか無かった。
 こんな事で中田先生を失うくらいなら……と思った詩緒里は、ニヤニヤと笑う全裸の男達に見下ろされながらベッドの上でガックリと項垂れていた。

 座ったままの詩緒里の身体を、まるでハイエナの如く六本の手が乱暴に弄り始めた。
 ベッドの右側にいた松山はAカップの胸をグニグニと揉み、ベッドの左側にいた池田は詩緒里の唇や腋の下に指を這わせた。そして詩緒里の真正面に座る昭島は、崩れた正座で座っている詩緒里のスカートの中を覗き込んでは「薄ピンクのパンツだぜ……」などと呟きながら、詩緒里の細い太ももをスリスリと擦っていた。

 無抵抗の詩緒里はそのままベッドに寝かされた。松山は乱れた胸元から覗く乳首をチロチロと舐め、池田はダラリと力の抜けた詩緒里の手にビンビンに固くなった男根を握らせ上下に動かした。そんな二人を満足げに見下ろす昭島は、ナース服を腰骨までスルスルと上げた。

 見事なほどに細く長い脚が白いストッキングに包まれていた。そんなストッキングをミシミシいわせながら剥ぎ取ると、薄ピンクの綿のパンティーに包まれた華奢な下半身がベッドスタンドに照らされた。

「可愛いパンツだな……」

 昭島はニヤニヤと笑いながら閉じた股間の隙間に二本の指を入れ、パンツの上から詩緒里の陰部をスリスリと撫でた。

「今まで、このシーンを想像しながら何発センズリしたかわかんねぇ……」

 そう呟く昭島の指が『く』の字に折れ、パンツの上からクリトリスを弄った。
 ベッドの枕元でも松山が唸っていた。「二次元ロリナースみてぇで可愛いよぅ、堪んねぇよぅ……」と松山はそう唸りながら詩緒里の細い首筋をベロベロと舐め、そして二つ縛りにした詩緒里の髪を撫でては「やっぱ、この髪がいいよ。ツインテールってのが何とも堪んねぇよ……」と詩緒里の細い肩をギュッと抱きしめた。

「けっ、ロリコン野郎め……」

 そう笑う池田は、男根を握らせた詩緒里の手を上から握り、それをシコシコと上下にしごかせている。

「でもよ池田さん……本当にこの娘、すげぇイイ匂いがするんだぜ……」

 松山は詩緒里を抱きしめたまま鼻をクンクンと鳴らし、そのまま蛇のように舌を伸ばすと詩緒里の唇をチロチロと舐めた。詩緒里はそんな松山の舌の侵入を防ごうと唇をギュッと窄めながらも、人形のようにぐったりしながら、(神様、早く終わらせて。この悪夢を早く終わらせて)と必死に祈っていた。

「ふん。そっちはどんだけイイ匂いがするか知れねぇけどよ、へへへへ、こっちは……なかなかマニアックな香りだぜ……」

 下半身担当の昭島が笑った。
 昭島は詩緒里の股間に顔を押し込んでいた。仰向けのまま足をM字に開かせれていた詩緒里の股間を、ニヤニヤと笑いながら見つめていた昭島は、薄ピンクのパンティーの上からモゾモゾと陰部に鼻を押し付けクンクンと音を立てて嗅いでいた。

 昭島の鼻頭が器用に動き回り、パンティーの中でピシッと閉じていた小陰唇を開いた。昭島はビラビラの小陰唇が開いた中心に唇を押し付けると、唇を固くさせながらグイグイと執拗に押し付けて来た。
 クロッチのザラザラ感がパックリと開いた膣を刺激した。決して気持ち良くはないが、しかし詩緒里の太ももは無意識にヒクヒクと痙攣した。

「感じてるのか?……」
 案の定、そんな太ももの痙攣を勘違いした昭島が、股間の奥でボソリと呟いた。

「中田先生のクンニとどっちが気持ちええ?」
 池田がヘラヘラと笑いながら呟く。

「違います!」と詩緒里が叫んだ瞬間、昭島は薄ピンクのパンティーを一気に下ろした。

「おおぉ……」

 男達は唸りながら剥き出しにされた下半身を覗き込んだ。まるで少女のような細く白い下腹部に、栗毛色の陰毛がフワフワと靡き、男達は「かわいい」だの「綺麗」だのと口々に言いながら乾いた唇を下品に舐めている。

 今まで詩緒里が他人に局部を見られたのは、元彼ただ一人だった。元彼はセックス時に不意打ちに下半身へと滑り降り、嫌がる詩緒里の股を開いては無理矢理覗き込んだ。そして元彼は恥ずかしがる詩緒里と局部を交互に見渡しながら「なんか、スゲェよココ……ローストビーフみてぇで気持ち悪りぃ……」と呟いた。
 その後,元彼は一度も詩緒里のソコを見ようとはしなかったが、しかし詩緒里の心にはあの時のその言葉がいつまでも心にグサリと刺さっていたのだった。

 そんな恥ずかしい部分を詩緒里は今、三人の男達に見下ろされている。抵抗しようにも両足は曲げた膝の部分で男達の手によってガッシリと固定され、身動きひとつできない。
 人間が最も隠し守りたい部分を無防備に曝け出され、怖くて恥ずかしくてミジメな感情に急激に襲われた詩緒里は、そのまま声を出して泣き出した。

 股を開いたまま泣きじゃくる詩緒里に、この三人は更に興奮を覚えた。「恥ずかしいか?」、「もっと泣け」とニヤニヤ笑いながら囁く三人のペニスの先からは、テラテラと輝く我慢汁がジワっと溢れていた。
 そんな我慢汁を指先で拭い取った昭島が、ニヤニヤと笑いながら詩緒里の股間に顔を埋めようとすると、詩緒里の右手を押えていた松山がいきなり「先に俺に舐めさせて!」と叫んだ。

「冗談じゃねぇ、ここにゃこの可愛いナースちゃんの小便のカスやマンカスがたっぷりと付いてんだぜ、そんなお宝をおまえのような小僧にやれっかよ」

「いいじゃないですか昭島さん、昭島さんは一番にヤるんだから、せめて舐めるのくらい俺に最初にさせて下さいよ」

 そんなやり取りを泣きながら聞いていた詩緒里は、この異常な男達に更に恐怖を覚えた。

「ダメダメ。オマエは後だ。その代わりコレをやっから我慢してろ」
 そう言って昭島が松山に投げつけたのは、今脱がされたばかりの薄ピンクのパンティーだった。

「ちっ」と舌打ちした松山は不貞腐れながらそれを指先で摘まみ上げた。と、不意に喉をヒクヒクと鳴らす詩緒里と目が合った。
 松山はそんな脅える詩緒里を見てニヤリと怪しく微笑んだ。そして詩緒里の耳元に唇を押し付けムフムフと唸ると、詩緒里の目の前でパンティーをヒラヒラさせた。
「おい、見てみろよ、おまえのパンツ汚れてるぜ……」
 そう呟きながら松山はパンツを広げた。広げられたパンティーのクロッチには、リンゴをすりおろしたような茶色い汁がじんわりと染み付き、その中心には何やら白いヌメッとした湿りが一本線を作っていたのだった。

(後編へ続く)

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           目次 後編
        

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