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13022時9分発『のぞみ160号』

(解説)
夜行列車で熟睡する美女。車内には誰もいない。淫らな性欲に取り憑かれた出張帰りのサラリーマンは遂に自分を見失う。
男の変態心理を赤裸裸に描くエロサスペンス。


 22時9分発東京行き『のぞみ160号』
 名古屋出張の帰りはいつもこの最終新幹線のグリーン車を利用していた。
 この時間の新幹線はいつもガラガラに空いていた。その為、わざわざ高い金を出してグリーン車に乗る人は少なかった。普通車の自由席でも十分ゆったりできるからだ。
 だから今夜も9号車は、70席近くある座席がわずか3席しか埋まっておらず、まさに貸切り状態だった。

 私は、ポツンポツンと座っている乗客を横目で見ながら、車両の真ん中付近にある『8B』の席へとゆっくり進んだ。
 そんな乗客達は、明らかに会社の出張費でグリーン車を利用していると思われるサラリーマン達ばかりで、つまり私とは同類の人種であった。
『8B』を見つけた私は、さてさて東京までの3時間、読みかけの小説を一気に読んでしまおうか、などと、カバンの中から1冊の文庫本をガサゴソと取り出しながら足を止めると、なんと『8B』の隣り、つまり窓際の『8A』には一人の女性がぐったりし寝ているではないか。

 私は通路に立ちすくんだまま「ちっ」と小さく舌打ちをした。

 車掌が来たら、訳を説明し、さっそく新たな座席を発行してもらおうと通路に目をやると、グッドタイミングで8号車のドアから車掌が出て来た。
 私はキップをスーツの内ポケットから取り出すと、車掌が来るのを待った。
 せっかくなら前の方の座席に変更してもらおうと思った私が、車掌に向かって歩き出そうとした瞬間、ふと、『8A』の女性の寝顔が目に飛び込んで来た。
 一瞬背筋がゾッとした。そこに眠る女性は、まるで美人画で描かれた京女のように、なんとも淑やかで美しい顔をしていたのだ。
 不意に車掌と目が合った。私は車掌から慌てて目を反らし、何事も無かったかのように、平然と『8B』にバッグを置いた。これだけの美女と同席できるなど初めての事であり、これからもまず絶対に有り得ないだろうと思ったからだ。

 すると、やって来た車掌が不意に足を止めた。そして妙な笑顔を浮かべながら私の顔をソッと覗き込んだ。
 車掌は、隣りで眠る美女に気を使うように、やけにコショコショとした小声で「今夜は空いておりますから、こちらの座席を回転させましょうか?」と、手前にある『7A』の座席に手を掛けた。
 つまりそれは、どうぞ足を伸ばしてのびのびと御使用して下さい、というサービス的な意味あいなのであろう。
 そんな車掌に、「お願いします」と笑みを返すと、車掌は、

「いつもはお一人ですが、今日は素敵なお連れ様が御一緒なんですね」

 と、意味ありげに微笑みながら隣りで眠る美女を起こさないようにと、手際よくも慎重に『7A』の座席を我々に向けてくれたのだった。

 車掌とこうして言葉を交わすのは初めてだった。
 この2年間、毎週月曜日に、必ずこの新幹線のグリーン車を利用していた私は、既に車掌から顔を覚えてもらっているらしい。
 何やらVIP待遇してもらっているような気がして急に嬉しくなった私は、そんな車掌に、あたかも隣りの美女が私の愛人でもあるかのように、
「どうも今夜は疲れたみたいでね」
 と、隣りの美女に優しく微笑んだりした。
 車掌が笑顔のまま立ち去ると同時に、正面の『7B』の座席にカバンとスーツの上着をソッと置く。その瞬間、眠る美女と共にする、この夢のような新幹線はゆっくりと走り出したのだった。

 前の座席にのんびりと足を伸ばすと、そのまま文庫本を開いた。
 しかし、隣りの美女の寝顔が雑念を招き、一向に小説は進んではくれなかった。
 しばらく小説を読むのをやめ、開いた文庫本を見つめたままで隣りの気配を伺った。美女は相当疲れているのか寝息も全く聞こえて来ず、完全にノンレム状態と思われた。
 私は、息を潜めながらソッと中腰に立ち上がり車内の様子を伺った。遠くの方に数人のサラリーマンが見えるが、それ以外は誰もいない。
 誰にも見られる心配はないと安全性を確認した私は、ゆっくりと席に腰を下ろしながら、今までよりも少しだけ窓際に体を向けて座った。そして、文庫本で顔を隠しながら、密かに美女を観察したのだった。

 何度見てもイイ女だった。
 年の頃は25、6才。清潔で高学歴なOL、若しくは清楚な人妻、はたまた新米の美人数学教師、といった様々な妄想が私の頭の中に溢れた。
 そんな美女の寝顔を間近で見つめると、その視線をゆっくりと美女の身体へと移して行った。
 顔も然ることながらスタイルも申し分なかった。全体的にスラリと細いが、しかし胸や尻はそれなりに弾力性がありそうで、若くムチムチとしていた。
 しかもこの美女は、素足に膝上のミニスカートを履いていた。背筋と鼻を伸ばした私からは、美女の細く品やかな太ももと、その張りが良くムチムチとした生肌がまともに見下ろす事ができた。

 私の座席と美女の座席の間の肘掛けには、ベージュのハーフコートが無造作に置いてあった。カシミヤと思われるそのコートは、結構な値がしそうな高価な代物だった。
 そんなコートに、私は人差し指をソッと伸ばしてみた。
 さすがにカシミヤのコートは肌触りが良く、まるで産まれたばかりの子猫を撫でているようなそんな感触だった。
 それを触っているうちに私は妙な興奮を覚えた。全くの赤の他人である美女の私物に触れているという感覚が、まるで美女の肉体の一部に触れているような、そんな感覚に陥らせたのだ。
 熱い息をハァハァと吐きながら、項垂れている美女の顔をソッと覗き込んだ。微かに開いた唇と、薄らと白目を剥いた目が、妙に官能的で艶っぽかった。

 そんな美女の寝顔を間近に覗き込む私のペニスは、当然の如く勃起していた。
 カシミヤのセーターにソッと触れながら、ズボンの上から股間をグイグイと押した。敏感になっている亀頭がトランクスの生地に擦れ、何とも言えない快感が私の下半身に広がった。

 美女は全く起きる気配を見せなかった。新幹線の微かな揺れに、その細い体を小刻みに揺らしながら、どっぷりと熟睡しているようだった。
 私は股間を激しく揉みながら、カシミヤのコートにソッと顔を近づけた。コートからは、甘ったるい舶来香水の香りが微かに漂い、その香りに刺激を受けた私は、迷う事無く舌先を伸ばしてはコートの表面をペロペロと舐めた。
 溢れかえる興奮を押し殺しながら、項垂れる美女のサラサラの髪の匂いを嗅いだ。美女の髪からは、ドラッグストアーの化粧品コーナーに充満しているような、そんな華やかな香りがムンムンと溢れていた。
 他人の生活臭に刺激された私の心で、(あぁ、もう我慢できない)という言葉が響いた。
 私は再び通路を覗き込み、人がいない事を十分に確認すると、恐る恐るズボンのチャックを開けたのだった。

 天井の蛍光灯が、勃起したペニスを生々しく照らし出した。亀頭に付着する恥垢の生温かい香りが周囲にムッと充満する。尿道からは我慢汁が溢れ、それが睾丸まで達してはテラテラと輝いていた。
 全く見ず知らずの他人の前で性器を露出するのは初めてだった。いつかそれをして見たいという願望はあったが、まさか出張帰りの新幹線の中でこんなチャンスに恵まれるとは思ってもいなかった。
 美女の髪の匂いを嗅ぎながら、ペニスを静かに上下する。不意に我慢汁が、くちゃ、くちゃ、と卑猥な音を立て、その音が更に私を欲情させた。
 ペニスの先をカシミヤのコートに擦り付けた。ザラザラとした感触が亀頭を襲い、コートの表面には、まるで赤ちゃんのヨダレのように我慢汁がべっとりと付着した。

 それでも美女は、目を覚ます気配を全く見せなかった。
 益々エスカレートした私は、先程、車掌が回転させてくれた、正面の『7A』へと席を移動した。
 美女の真正面に座ると、さすがにペニスを丸出しにしているのはマズいと思った。もし、何かの拍子で美女がパッと目を覚ましたら一巻の終わりだ。
 慌ててスーツの上着を手に取ると、それを膝の上に置いては剥き出しのペニスを隠した。そしてスーツの中でシコシコとペニスをシゴきながら、真正面の美女をじっくりと鑑賞したのだった。

 新幹線はいつの間にやら静岡を通過していた。
 いつもの新幹線よりも随分と速い気がした私は、早く射精してしまわなくてはと焦りを感じた。
 その前に、どうにか美女の身体に触れる事はできないものかと考えた。どうせここまできたのなら、是非とも美女の身体の一部に触れながら射精したいと、そんな欲が生まれたのだ。
 しかし、それは非常に危険だと思った。もし、触れた瞬間に目を覚まされれば、もはやこの新幹線の中では逃げ場は無いのだ。
 さすがにそれは諦めるしかないな……と、思った矢先、一瞬、車内がガクンと揺れた。その瞬間、美女の尻が座席からズズズッと滑り、美女の足はまるで私を挑発しているかのように大きく開いた。
 私は、目の前のその光景を見て、嘘だろ? と一瞬目を疑った。座席で尻を滑らせた美女は下着を露にしては、股を大きく開いたままの状態になっているのである。
 私は、美女が目を覚まさないうちにと、急いで座席の床に腰を下ろした。
 全開に開いたミニスカートから伸びるムチムチの生太もも。その中心には、薄ピンクのパンティーが華奢な恥骨にペタリと張り付き、なにやら卑猥な縦線をぼんやりと浮き上がらせていた。
 床にしゃがむ私は、そんな大股開きの股間にギリギリまで顔を近づけた。ミニスカートの中は、洗濯洗剤の香りがムンムンと溢れていた。
 今にも頬に触れそうな太ももの内側を、スースーっと音を立てながら嗅いだ。美女の太ももからは微かに薔薇のボディーソープの匂いが漂っていた。舐めたい舐めたい舐めたい。そんな感情を必死に押し殺しながら、いよいよその中心部へと顔を近づけて行く。
 間近で見るソコは、遠目で見るよりも実にグロテスクだった。
 クロッチの左右から陰毛が数本はみ出ていた。太ももの付け根は貪よりとドス黒く、鳥肌のようなポツポツがかなり目立った。
 そして何よりも卑猥感を醸し出していたのが、クロッチに浮かび上がっていたシミだ。それは小便を洩らしたかのような大きなシミで、まるで擦り卸しリンゴの汁を垂らしたかのような黄ばんだシミがクロッチ全体に広がっていた。

(もしやこのシミは、パンティーを履いたままの状態で、クロッチをズラされて挿入された性交の形跡ではなかろうか……)

 そんな誇大妄想を掻き立てながら、その染み付いたクロッチに鼻先を近づける。
 スッと鼻で息を吸うと、とたんに湿ったアンモニア臭と酸味がツーンっと鼻孔に飛び込んで来た。

(やっぱりこれは小便だ……この女、こんなに上品な顔をしてるくせに、なかなかの変態だ……)

 あえてそう妄想しながらも、私はそのクロッチを指で摘み、ペロリと捲り上げてはその中で蠢く卑猥な性器を拝みたいという衝動に駆られた。できる事なら、その小便臭いワレメをペロペロと舐めてみたいとさえ思った。
 しかし、やはりそれは危険だった。ここでもし彼女が目を覚ませば、これまで築き上げてきた私の社会的地位も、幸せな家庭も、そして人生さえも、全てが終わってしまうのだ。
 私は美女の汚れたクロッチを見つめながら、今後、どれだけ興奮しようとも、絶対に彼女の身体に触れるのだけはやめようと必死に自分に言い聞かせ、その沸き上がる欲情を鎮圧させた。
 それならば、いっその事、この汚れたクロッチに向けて射精するのはどうだろうか?
 この新幹線も、もうしばらくすれば新横浜に到着するだろう。ならば今のうちに、ここで美女の股間に向けてピュッピュッと射精し、そのまま素早く席を移動してしまったほうが良いのではないかと思い始めて来た。

 そう決心した私は、もう一度座席に戻ろうとソッと顔を上げた。
 と、その時、窓上の荷物棚にルイ・ヴィトンのボストンバッグが置いてあるのが見えた。瞬間、私の脳裏に、美女の使用済み下着が押し込められているビニール袋が不意に浮かび上がったのだった。

 息を殺しながらゆっくりと立ち上がると、まずは車内の様子を伺った。先程と何ら変わりない光景をさりげなく確認すると、私は、あたかも自分の荷物を取るかのように、素早くルイ・ヴィトンのボストンバッグを荷物棚から下ろした。
 横の座席にボストンバッグを置くと、念の為、その上にスーツの上着を掛けた。
 足を組みながら、露出したままのペニスを股の間に挟んで隠すと、ルイ・ヴィトンのロゴマークが彫り込まれた金色に輝くジッパーをジジジッと開けた。
 ボストンバッグの中には、恐らく一日分だと思われる、少量の衣類が詰め込まれていた。
 そんな美女の生活感漂う衣類を見た瞬間、不意に私の脳裏に、長距離恋愛している彼と有馬温泉の露天風呂に浸かりながら、一泊二日の旅行を楽しんでいる美女の姿が目に浮かんだ。

(有馬温泉か……いいなぁ、こんな美女と混浴なんて……最高に幸せだろうなぁ……)

 ボストンバッグの中を見つめる私は、露天風呂の脱衣場で服を脱ぐ美女を想像しながらも、おもわず破裂しそうなペニスをシゴいていたのだった。

 そんなバッグの中には、Tシャツ、キャミソール、靴下、ストッキングといった肌着系の衣類に混ざり、ミニドライヤーと洗面道具と化粧ポーチが押し込まれ、そして一番上には携帯電話がポツンと置いてあった。
 私は、バッグの底にお目当ての使用済み下着が隠れている事を予想しながら、奥底をガサゴソと漁ると、小さなビニールポーチらしきものが指先に触れた。これだ、と思いながらソレを取りだし、急いでジッパーを開けた。
 中を覗き込むと同時に、おもわず「んふっ」と鼻を鳴らしてしまった。そこには、紛れもなくパンティーであろうと思われる派手な布切れが、無造作に丸められては二つ並んでいたのだ。
 私は迷う事無く二つ同時に取り出した。真っ白なパンティーのほうは使用前の物らしく手触りも心なしかサラサラしていた。
 しかしもう一方のラメ入り薄ピンク。これは見るからに使用後であり、手触りも心なしか汗ばんでいるかのように思われた。
 興奮を抑えながらも、もう一度車内を見回し、そして美女の寝顔を確認した。
 安全性を十分に確かめた私は、いよいよラメ入り薄ピンクの使用済みパンティーをソッと開いたのだった。

A546

 それは、実に卑猥なシミだった。その殴り書きされた一本線は、まるで美女の性器の『まん拓』のようであり、そのウニウニとグロテスクなオマンコの原型をリアルに想像させてくれた。
 ムラムラと欲情した私は、すかさず美女の寝顔を見つめながら、クロッチに染み付くオリモノの匂いを嗅いだ。
 ツーンっと鼻孔を刺激するスルメ臭が、おもわず私にペニスを握らせた。

(……なんだよこの匂いは……何が京女だバカ、キミのココは不潔なイカ臭が漂っているじゃないか……)

 私はそう呟きながら、再び座席の下に腰を下ろすと、ペニスをシコシコとシゴきつつ大股開きのミニスカートの中を覗き込んだ。

(ヤリまくったのか?……昨夜は長距離恋愛の彼氏と有馬温泉の露天風呂でチャプチャプと湯を揺らしたんだろ?……キミのココに、彼氏のその太くて大きな肉棒がズボズボと出し入れされたんだろ……)

 香水の香りが微かに漂うパンティーに頬擦りしながら、私は激しくペニスをシゴいた。そして、美女の足下から美女の寝顔を見上げながら、

(舐めて欲しいんだろ? 変態ヤリマンのオマンコをペロペロと舐めて欲しいんだろ?)

 と、もはや病的に唸りながら、そのパンティーのシミをペロペロと舐めまくったのだった。

 もう我慢の限界だった。それに、この新幹線はそろそろ新横浜に到着する頃だ。射精するのなら今しかなかった。
 私は座席下の床に両膝を付くと、座席に置いたままの使用前の白いパンティーを手に取り、それをペニスにずっぽりと被せた。
 クロッチ部分に亀頭を固定すると、綿のザラザラとした感触を感じながらペニスをゴシゴシとシゴき始めた。
 そうしながら、美女のミニスカートの中を覗き込み、使用済みパンティーのスルメ臭いクロッチをクンクンと嗅いだ。美女のクロッチは、従来のスルメ臭に私の歯槽膿漏の唾液臭が貪よりと混じっていた。

 新幹線の車輪の振動が、両膝にゴスゴスと響いていた。そんな振動に合わせるかのようにビンビンに勃起したペニスをダイナミックにピストンさせる。
 美女の膣から滲み出たスルメ臭をおもいきり吸い込み、大股開きのミニスカートの中にギリギリまで顔を押し込んだ。ふと、美女の太ももの内側に、ポツンと赤く腫れているニキビのような物を発見した瞬間、私の脳は爆発した。

「はぁうっ!」

 スタッカートな唸り声と共に尿道をすり抜けて行く精液の感触が、ジクジクと下半身を痺れさせた。
 洗いざらしの白いパンティーに、ドプッ、ドプッ、と精液が注ぎ込まれ、たちまちパンティーには大量の精液が溜っていき、ズッシリとした重みが伸しかかった。

 熟睡する大股開きの美女と、その美女の使用済みパンティー。私にとって今世紀最大のオナニーのネタだった。
 二年前、繁華街のパーキングの車の中で、知り合いのキャバクラ嬢に1万円を支払ってはオナニーを見て貰った事があったが、あの時よりも断然こっちのオナニーの方が気持ち良かった。

 私は美女の寝顔に「ありがとう」と優しく囁くと、使用済みの薄ピンクのパンティーはポケットに入れ、精液で重たくなった白いパンティーだけをビニールポーチの中へソッと戻した。

 もうすぐ新横浜駅だった。
 急いで精液まみれのペニスの処理をすると、素早くボストンバッグのジッパーを閉め、それを天井の荷物棚にソッと戻そうとした。
 その瞬間、いきなり背後から声を掛けられた。
 それは、いつの間に近付いて来たのか、例の車掌だった。

「あれ? 今夜は新横浜で下りられるんですか?」

 ボストンバッグを下ろそうとしていると勘違いした車掌は、不思議そうな顔をしながら座席へと歩み寄って来た。
 危ない所だった。あと一分、いや三十秒遅かったら、私はこの車掌にとんでもない姿を目撃されているとこだった。
 私はホッと肩を撫で下ろしながらも、新横浜で下りると勘違いしている車掌に振り向いた。

「いや、家内のバッグの中の書類を取ろうと思ってね……」

 そう誤魔化しながら、再びボストンバッグを荷物棚から下ろすと、車掌は目を大きく見開きながら、

「おや、こちらは奥様でしたか」

 と、好奇心旺盛な目で眠る美女を見つめた。

 その時だった。丁度、新幹線が新横浜駅のホームに入り掛かった時、いきなりボストンバッグの中の美女の携帯が鳴り出した。
 ボストンバッグを抱えたままの私の心臓は、まるでスタンガンを放流されたかのように激しく飛び上がった。

(マズい! 美女が目を覚ます!)

 そう焦った瞬間、私は瞬時にトチ狂った。美女が目を覚ませば、当然、このバッグを持っている私は泥棒だと疑われる。調子に乗って「家内だ」などと車掌に言ってしまっているため、車掌からも疑われる。
「お電話、鳴ってますよ」と不審そうに首を傾げる車掌に、トチ狂った私はいきなりそのボストンバッグを押し付けた。

「す、すみません、新横浜に友達が待ってるんで、す、すぐに戻って来ますので、コレ、ちょっとお願いします」

 座席に置いておいた自分のバッグを引ったくると、私は慌てて通路を走り出した。
 私の背後では、美女の携帯の着信音がけたたましく鳴り響いていた。その携帯の着信音が鳴り止む前に、私はこの新幹線から脱出しなければならなかった。

        ※

 翌朝、目を覚ました私は、しばらくの間ベッドの中で考え込んでいた。
 それはもちろん、昨夜の新幹線での出来事だった。

(あの後、どうなっただろう……)

 窓の外から聞こえて来る、ポロッポーという野鳩の鳴き声を聞きながら、私は、精液がベットリと染み込んだパンツを発見して叫ぶ美女の姿を想像し、背筋をゾッとさせた。
 当然、車掌は警察に通報するだろう。そうなれば、いつも会社の経費でグリーン席を購入している為、いとも簡単に私が犯人だと割り出されてしまうだろう。
 ……ところで、これはいったい何という罪になるんだろうか?やはりチカンか?……いや、しかし私は彼女には指一本触れていない。だからあれはチカンではない。
 では、チンポを露出したという公然ワイセツ罪だろうか?……いや待て、私はあの時、チンポに彼女のパンティーを被せていたから、あれは露出とは言えないはずだ。
 では、やはり窃盗か……しかし、あの盗んだピンクのパンティーは既に燃やし、証拠は完全に消去してしまっている。だからなんとかシラを切り通せば助かるかも……

 そんな事をモヤモヤと考えていると、いきなり寝室のドアが開き、妻が「あなた起きてよ、遅刻しちゃうわよ~」と言いながらドカドカとやって来た。
 私は素直に会社に行きたくないと思った。どうせ逮捕されるなら、会社よりも自宅でひっそりと……
 そう思っていると、ベッドの横に立ちながら朝刊をパラパラと捲っていた妻が、ふいに「あなた、確か昨夜の新幹線は最終だったわよね?」と聞いて来た。
 私はベッドに寝転びながらドキッと心臓を鳴らした。

「22時9分名古屋発の東京行き『のぞみ160号』だったわよね?」

 妻が新聞と私を交互に見つめながら、まるで念を押すかのように再び聞いた。私はまさか新聞に載っているのだろうかとブルブル震えながらコクンと頷いた。

「やっぱり同じ新幹線だったんだ……ほら、コレ見て、殺人事件だって」

 そう言いながら妻はベッドの上に新聞を広げた。
 恐る恐る布団から顔を出した私の目に、

『最終新幹線で女性の変死体』

 というタイトルが、ロビンフッドの矢のように突き刺さった。
 私は布団から飛び出すと、バシャバシャと音を立てながら開いた新聞を握りしめた。

『5日未明、22時9分名古屋発の東京行き『のぞみ160号』の車内で、女性の変死体が発見された。女性の首には絞められたような跡が残っており、警察では殺人事件として捜査を開始した。殺されたのは豊島区池袋の会社員佐賀由希子さん(27才)で、広島の出張から戻って来る途中だった。佐賀さんの荷物に物色された形跡はあるものの現金などは一切盗まれていなかった。この時、名古屋から佐賀さんと同席し、佐賀さんの事を『妻』だと語っていた不審な男を車掌が目撃しており、警察では新横浜駅で逃げ去ったその男が事件に関わっているとして男の行方を追っている』

 記事を読みながらも、私は「どうりで動かなかったはずだ……」と声を洩らしていた。
 そんな私に、妻は「早くしないと本当に遅刻しちゃうわよ……」と気怠く言いながら、スタスタとスリッパを鳴らしては寝室を出て行った。

 殺人容疑……。
 想像もしていなかったその罪名に、恐怖を通り越しておもわず微笑んでしまった。
 そして、ポロッポーっという野鳩の鳴き声を聞きながら、ふと後悔した。
 死んでるんなら……チンポ入れちゃえば良かった……と……。

(22時9分発『のぞみ160号』・完)

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