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いじめられっ娘2

2012/11/17 Sat 04:25

いじめられっ娘2



(5)

その夜、真野は特別にタンポポを連れ出し、近所のファミリーレストランへと連れて行った。
 スレンダーなタンポポは、小さめのTシャツにスキニーパンツをスッキリと着こなし、真新しいスニーカーを履いていた。
 真野はそんな健康的で清潔感溢れるタンポポを見つめながら、不意に不健康的で不潔な春日さんの醜い姿を思い出し、(やっぱり女は若い子に限る……)と、いやらしく微笑んだ。

「今夜は好きなモノを食べていいですよ」

 真野は妙に威張りながらも、ソッとタンポポの前にメニューを広げた。
 今時、たかだかファミリーレストランで何をそんなに威張ってんだこのオヤジは、と何も知らない人が見たらそう思うかも知れないが、しかし、タンポポは異様に目をキラキラと輝かせながらそんな安っぽいメニューに飛び付いた。
 それもそのはず、この1週間、タンポポは朝昼晩と少量のお粥しか与えられていなかったのである。
 だから今のタンポポにとっては、たかがファミレスのメニューであっても夢のように見えたのだった。

 あれこれ悩んだ末、タンポポが指を差したのはハンバーグセットだった。
 ウェイトレスが「ハンバーグセットでよろしいですね?」と注文を確認すると、タンポポは嬉しそうにゆっくりと頷きながら、なぜか照れくさそうにクスッと微笑んだ。
 そんなタンポポの仕草は、まるでディズニー映画に出てくる妖精のように可愛く、真野もおもわず釣られてニコッと微笑んでしまったのだった。

 そんなハンバーグにむしゃぶりつくタンポポを見つめながら、真野はテーブルの上に書類を開いた。
「いくつか質問しますから、食べながらで結構ですので答えて下さいね……」
 タンポポは一瞬フォークを止めたが、しかしそのままコクンと頷いた。
「まず、学校が嫌いになったのはいつ頃からかな?」
 タンポポは小さな口をモグモグさせながら天井を見上げて考えた。唇の端にちょこっと付いているデミグラスソースが妙に可愛い。
 タンポポは考えながらそれをゆっくりと飲み込むと「4年生ぐらいだったと思います……」とポツリと答えた。
「それは、あなたに対するイジメが始まったからですか?」
「……はい」
 イジメという言葉と共に、今まで明るかったタンポポの表情にサッと暗い陰が過った。
「イジメはいつまで続いたの?」
 更に追及する真野に、タンポポは持っていたフォークをそっとお皿に置いた。そして、ナプキンで唇の端のデミグラスソースをスッと拭い取ると「まだ……続いています……」と淋しそうに俯いたのだった。
 真野はグラスの氷をカコンっと鳴らしながら一口水を飲んだ。
 実際、真野はそんなタンポポを心から可哀想だと思った。が、しかし、そんな傷ついた少女にエロスを感じるのもまた変態真野の一面でもある。
 真野は、淋しそうに一点をジッと見つめているタンポポに、サディストとしての欲情をジリジリと覚えながらも、「ごめんね、変なこと聞いちゃって」と優しく囁いた。
 すると突然、後方の席から「アナタ、イツモ、イツモ、オカネナイ!」というフィリピン女の叫び声が響いた。
 黙ったままのタンポポは、そんなフィリピン女の突然の叫びに刺激されたのか、柔らかそうな頬をヒクヒクとさせた。
 そして再びフィリピン女が「アナタはウソツキよ! ニホンでイチバーンのビンボウなのよ!」と叫ぶと、堪え切れなくなったタンポポが「ぷっ」と唇を鳴らして吹き出した。
 そんなタンポポが堪らなく可愛く思った。とたんに真野はムズムズと猛烈な感情が沸き上がり、この場でタンポポのその小さな体をギュッと抱きしめたい衝動に駆られる。
 しかし真野は大きく息を吸い込み、(焦るな……)と興奮する脳に伝令した。
(幸福の家にやって来た以上、彼女はもう俺のモノだ。だから焦るな、じっくり行こう……)
 そう呟きながら冷静さを取り戻した真野は、未だ必死に笑いを堪えているタンポポを見つめながら、「さ、冷めないうちに早く食べなさい」と、優しく微笑みかけたのだった。

 その後、真野はタンポポからイジメの内容を聞き出した。タンポポは辛そうにしながらも、そんなイジメの内容をポツリポツリと話し始めた。
 そんなタンポポが受けたイジメは、真野の想像を遥かに超えていた。
 今まで真野が聞いて来たイジメの実状というのは、クラスメイトから無視をされたり、持ち物を隠されたり、カバンや机に中傷的なラクガキを書かれるといった、そんな程度のものだったが、しかしタンポポから聞かされたイジメは度を超していた。

 確かに、小学生の頃のイジメというのは、友達に無視されたり靴を隠されたりといった、真野が知る範囲の精神的なイジメだったらしい。
 しかし、これが中学生になると、バケツの水をぶっかけられたり、消化器を吹き掛けられたりと、イジメの種類が変わって来たらしく、そして遂には、中学3年生の時、右腕に煙草の火を押し付けられては一生消えない傷を負わされている。
 小学時代は精神的なイジメだったのが、中学になると肉体的なイジメへと変わった。
 殴る蹴るの暴行を加えられ、ズタズタに髪を切られた。流れの速い用水路に突き飛ばされて溺れ死にそうになった事もあると言う。
 それはもはやイジメと呼べるレベルではなかった。これはイジメではなくリンチであり、明らかに暴行・傷害・殺人未遂といった犯罪の枠なのだ。

 真野は、そんな凄惨なイジメに怒りを露にしながら、「相手は誰ですか?」と単刀直入に聞いた。
 しかしタンポポは静かに首を振り、その名前を告げようとはしない。
「では、名前は言わなくてもいいですから、質問に答えて下さい。相手は何人ですか?」
 タンポポは下唇をジリジリと噛みながら「……3人です」と答えた。
「それは同級生ですか?」
「……2人は同級生です。1人だけ先輩でした……」
「みんな女ですか?」
「……2人の同級生は女です……でも、先輩は男です……」
 真野は亀頭にズーンと重たいものを感じた。
 先輩の男。こいつはここまでの凄惨なイジメをするくらいだから、きっと性的な暴行も加えているはずだ。
 そう思うと、怒りを感じるのとは別に、「羨ましい」という感情が素直に真野を包み込んだのだった。

 中学を卒業すると、それぞれが違う高校に進学し、3人のイジメっ子達とは離ればなれになった。
 しかし、女子校に進んだタンポポがイジメから解放されたのは、1年生の夏休みまでだった。
 夏休みになると、例の3人組がタンポポを呼び出すようになったのだ。
 呼び出されたタンポポは、その度に金を巻き上げられていた。タンポポは両親の財布から金を盗み、3人にそれを渡していたのだ。
 しかし、そんな金がいつまでも続くわけが無かった。金を持って行けなくなったタンポポは、3人組の指示で万引きをさせられるようになった。
 うまく万引きができない時は、タンポポは容赦なくリンチを加えられた。
 その時のリンチは、身体中に「バカ」や「死ね」といったラクガキをマジックで書かれ、そんな姿をデジカメで撮影されてはソレをネットの画像掲示板にバラ捲かれるという、実に悲惨なものだった。
 それを聞かされた真野は、興奮する気持ちを抑えながら冷静に問い質した。
「それは、裸をネットに掲載されたという事ですか?」
「……はい」
「裸というのは……全裸ですか?」
 タンポポは黙ったままコクンと頷いた。
 真野は大きく息を吸った。そしてゆっくりと息を吐きながら聞いた。
「非常に聞きにくいことだけど、でも、キミの心の治療の為にも聞かなくてはならない。だから聞きます……」
 真野はそう前置きすると、ジッとタンポポを見つめた。
「その時……陰部も撮られましたか?」
 真野のその言葉に、タンポポが下唇をギュッと強く噛んだ。
 再び後部席から、「アナタ、ワキのシタがクッサイのヨ!」というフィリピン女の叫び声が聞こえた。
 しかし、タンポポはピクリとも笑うこと無く、下唇を噛んだままコクンと頷いたのだった。

 真野は素直に勃起した。この妖精のように可愛い少女の陰部がネットを通して全世界の変態達に見られ、そしてオナニーされていると想像すると勃起せずにはいられなかった。
「そのネットの掲示板というのはまだ存在しているのですか?」
 真野がそう聞くと、タンポポは大きな瞳にジワッと涙を浮かべた。
 そしてコクンと頷きながら、テーブルの上にポトッと涙を落とした。
「どうしてすぐに削除しないんですか!」
 真野が力強く言うと、タンポポは「どうしたらいいのかわからないんです」と声を震わせてワッと泣き出した。
「その掲示板を運営しているサイトに『削除依頼』を申し立てればいいんです、『これ以上この写真を掲載した場合、刑事告訴します』っといった厳しいメールを送るんです。さぁ、早く送りなさい。そんな写真をいつまでも放置していたらキミの将来に関わって来ますよ!」
 真野がそう焦らすと、タンポポはポケットの中から慌てて携帯を取り出した。
 そして慣れた手つきでカチカチと携帯を操作すると、その掲示板を開いたまま「どうしたらいいの……」と泣き顔で真野に訴えて来た。
「よし。では、私が削除依頼を出そう。その掲示板のアドレスを私の携帯に送りなさい」
 真野はそう言いながら、自分の携帯アドレスを教えた。
 タンポポは何の疑いも持たないまま、真野の携帯にそのアドレスを送ったのだった。

 その画像掲示板はアダルトサイトだった。
 真野もこの画像掲示板を何度も見たことがあり、実は真野のPCにもこのサイトはブックマークされていた。
「キミの写真はどのスレッドに掲載されているんですか」
 真野は携帯をカチカチしながら聞いた。
「……見るんですか……」
 タンポポは困惑した表情でジッと真野を見た。
「……いや、見るというより、その……キミの写真がどこに掲載されているかを正確に管理人に伝えなければ削除依頼が出せないでしょ……」
 真野は少し慌てながらそう答えた。
 するとタンポポは恥ずかしそうにモジモジしながらボソボソッと呟いた。

「スレッドは……『誰でもヤらせる可愛い娘』……だったと思います……」



(6)

真野は素早くその卑猥なタイトルを検索した。
 すると真野の携帯に、そのタイトルの連載がズラリと表示された。なんとそのスレッドは『PART9』まであるのだ。
「このスレッドは沢山あるんだけど……どこに掲載されているのかわかる?」
 真野が聞くとタンポポは静かに首を振り、「いっぱいあるから……」と呟いた。
「いっぱいって……体に落書きされた写真だけではないんですか?」
 タンポポは再び首を左右に振った。
「わかりました。では、1枚ずつ見て行きましょう。キミの写真が出たら教えて下さい……」
 真野はそう言いながら、正面に座っていたタンポポの隣りの席に座った。そして、携帯画面をタンポポにも見せながらそのスレッドのPART1から開いたのであった。

 携帯のボタンをプッシュしたと同時に、いきなり凄まじい写真が現れた。
 それは豚のように太った巨大なおばさんが、剥き出しの肛門にきゅうりを突っ込まれては悶えている無惨な画像だった。
 隣りのタンポポをソッと見ながら、「……これは、違うよね……」と真野がポツリと言うと、タンポポはプッと頬を膨らませながら横目で真野を睨み、「違います」と呟いた。
 真野は次々に卑猥な画像を携帯画面にアップさせた。その度にタンポポは「違います」と淡々と答えていたが、しかし、よく考えればこの状況は凄いぞ、と真野はふと思った。
 妖精のような激カワ女子高生と並んで密着しながら、とんでもなく卑猥な画像を一枚一枚見て行くのである。いや、堂々とそれらの卑猥な写真を女子高生に見せつけることができるのである。
(これは夢のようなセクハラだ……)
 真野はそう思いながら、一枚一枚卑猥な画像がアップされる度にタンポポの様子を伺っては、密かに楽しんでいたのだった。
 すると、ある画像を開いた瞬間、タンポポの表情が硬直した。
 真野はそんなタンポポの気配を察し、その画像を覗き込んだ。
 それは明らかにタンポポだった。
 全裸でソファーの上に座らされ、そこで大きく両足を開かされていた。
 そんなタンポポの陰毛は綺麗サッパリと剃られ、ツルツルの土手には幼気なワレメが剥き出しにされていた。しかも開かれたその足首にはロープのような物で縛られていた。

「やだ!」

 タンポポはそう叫ぶと、いきなり真野の携帯を両手で押えた。
 そして今にも泣き出しそうな表情で、「やっぱり見ないで!」と必死に真野の腕にしがみついて来たのだ。
 そんな真野の肘がタンポポの胸にムニュッと押し付けられた。その膨らみは、この画像からもわかるように、然程発達しておらず、強いて言うなら貧乳と呼べる膨らみだった。
 しかし真野はそんなタンポポの微かな膨らみに異常興奮した。この場合の美少女はやっぱり貧乳でなけりゃダメだよ、などと頭で呟きながら悶えた。
 しかし真野は、そんなタンポポの手を優しく振り解いた。
 そして、その写真の掲載番号を手帳に書き込みながら「我慢するんだタンポポちゃん。こんな写真を一刻も早く削除しないと、キミの将来は滅茶苦茶になってしまうんだよ」などと最もらしく説明し、そしてまた次の画像を開き始めたのだった。

 画像を開く度に、タンポポは羞恥心に震えながら「それもです……」と真野の手を止めさせた。
 既に投稿された画像の数は30枚を超しており、しかもそのスレッドはまだ『PART4』にしか達していない。
 この分では画像を確認するだけでもかなりの時間を要し、削除依頼まで出すとなると徹夜作業になりかねなかった。
「続きはホームに帰ってパソコンでやりましょう。携帯では朝になってしまいます……」
 そう言いながら真野はゆっくりと席を立った。
 そして伝票を摘まみ上げながらレジに向かおうとした瞬間、ある変態的な閃きが真野の頭を過った。
「あっ、ゴメンゴメン、ちょっとトイレ行って来るから、もう少し待ってて」
 真野がそう言うと、タンポポは「はい」と小さく頷きながら、今立ち上がったばかりのテーブルにもう一度腰を下ろしたのだった。

 真野はトイレの個室に入るなり、ポケットの中から携帯を取り出した。
 そして『誰でもヤらせる可愛い娘』のスレッドを開き、そこに映るタンポポの卑猥な画像を眺めながらペニスを捻り出した。
 仮性包茎のペニスの先は、既に我慢汁でネットリと湿っていた。
 萎んだペニスの皮をメリメリと捲ると、皮の中から焼き鳥屋の「砂肝」のような亀頭がヌルッと顔を出し、同時にその周囲に付着する白い恥垢が独特なイカ臭をモワッと漂わせた。
 皮を上下させながらゆっくりとペニスをシゴき始めると、弛んだ皮と我慢汁がぶつかりあい、くちゅ、くちゅ、といういやらしい音を立てた。

 真野はそんな醜い仮性包茎を携帯で撮影した。
 そして、ズン、ズン、と膨張し始めるペニスの変化を順番に撮影した。

 そんな写真を撮りながらも、これはまるで理科教材の『サナギからかえる蝶』の写真のようだ、と真野はふと思った。
 そして、このように昆虫が成長するにあたって大きくその形態を変えながら成長することを『完全変態』と呼ぶ事を、確か理科で習ったはずだと思い出しながら、ひとりケラケラと笑った。

 真野はそんな画像を、『誰でもヤらせる可愛い娘』のPART4からPART9に何枚も何枚も投稿しまくった。
 そしてその投稿画像の投稿文には、

『タンポポちゃんのオマンコを見ながらいつもシコシコとオナニーしてます』

『タンポポちゃんとオマンコしたい! その綺麗なお尻の穴にも入れさせて!』

 と、タンポポの実名を入れた卑猥な文面を書き込んだ。
 これを後でタンポポが目にした時のことを想像すると、真野はいてもたってもいられなくなり、その場でシコシコとペニスをシゴき始めた。
 が、しかし、ここでイッてしまうのはあまりにも勿体無さ過ぎるとふと思い直し、今夜の為に取っておこう……などと不気味に微笑みながら、その我慢汁ダラダラなペニスをズボンに押し込んだのであった。

 トイレから出ると、真野はそのままレジを終わらせた。
 そして、テーブルにポツンと座っているタンポポに向かって「帰ろうか」と優しく声を掛けると、タンポポは「はい」と小さく返事をしながら立ち上がり、まるで子供のようにトコトコと真野の後を付いて来た。
 ファミレスのドアを開けると、すぐ前の大通りに漂っていた大型トラックの排気ガスが2人を包み込んだ。
「まだまだ暑いね」と真野が振り返ると、タンポポがニコッと微笑みながらコクンと頷いた。
 2人が歩道を歩き出した瞬間、薄暗い駐車場の奥から再びフィリピン女の声が聞こえて来た。
「コレ、ゼンゼン、ベンツじゃないヨ! アナタ、ウソツキだな!」
 そんな駐車場をソッと覗き込むと、そこには古いカローラが恥ずかしそうにポツンと止まっていた。
 真野とタンポポはフッと顔を見合わせると、同時に「プッ」と吹き出したのであった。

(7)

『幸せの家』に戻ると、居間からけたたましい笑い声が聞こえて来た。
 いったい何事かと真野が居間を覗くと、茶碗と箸を手にしたままの東田君がテレビを見ながらヒーヒーと笑い転げていた。
「おかえりなさいませ……」
 そう言いながら春日さんが薄暗い廊下からヌッと顔を出した。
 そんな春日さんの表情は、ファミレス帰りの2人に対し明らかに嫌悪感を現せていた。
 春日さんからサッと視線を反らした真野は、テレビ画面に映る『天気予報』を見つめながら「ん?」と、首を傾げた。
「彼はいったい何をこんなに笑ってるんだ?」
 真野が春日さんにそう聞くと、春日さんは能面のような表情のまま「また病気が始まったみたいです。さっきからこうして2時間笑い続けてます……」と淡々と答え、そのままそそくさと台所の奥へと消えて行ったのだった。

 東田君は23才の青年だった。
 今から5年前、過酷な受験勉強から自律神経失調症となり、幼い時分から目指していた大学受験を放棄した彼は、とたんに人生の目標を失い、それからは徹底的な寝たきり青年となった。
 いわゆるヒキコモリというヤツだ。
 そんな東田君は、一日中部屋に閉じ篭ってはネットの世界にどっぷりと浸っていたが、しかしある時、急にイソイソと家を出て行くようになった。
 そして、夕方になるとノソッと家に帰って来ては再び部屋に閉じ篭り、何やら不気味な奇声をあげたり、奇怪な笑い声をあげたりしては、家族や御近所さんを恐怖のどん底に叩き落とした。
 ある時、そんな東田君の奇妙な行動を不審に思った両親は、東田君が家を出て行った隙に彼の部屋に忍び込み、彼のパソコンの中を捜索してみた。
 そこから出て来たのは膨大な数のパンチラ写真だった。しかもそれは東田君が自らデジカメで撮影したモノらしく、この近所の中学校の制服を来た生徒のパンチラや、隣町の女子校の制服のパンチラ画像ばかりだった。
 両親はまさか息子がこんなワイセツ行為をしていたとは夢にも思っておらず激しいショックを受けた。
 このまま放って置いては、息子は第二の宮崎勤くんになりかねないと危惧した。
 が、しかし、両親は息子のこの犯罪行為をどうやってやめさせればいいのかわからなかった。下手に警察なんぞに相談すれば、息子が逮捕されてしまう恐れがあるからだ。
 両親は悩んだ挙げ句、『幸せの家』の門を叩いた。
 そして、寄付金の百万円と引き換えに、息子を廃棄処分にしたのであった。

 そんな東田君は、『幸せの家』でも相変わらず部屋に閉じ篭りっぱなしだった。
 しかし真野は、(百万円の下宿代を貰ってると思えば、引き蘢ってくれてた方が楽だ)などと鼻で笑い、引き蘢る東田君をそのまま放置していた。
 しかしそんなある日、遂に東田君が狂い出した。
 パソコンのない部屋に一日中閉じ篭っていた東田君は、依存症ともなっていたパソコンが使えないことで発狂し、全裸となって窓から屋根へとよじ登り、空に向かって『ダブルクリック! ダブルクリック!』と叫びながらチンポを弄り始めたのだ。
 たちまち屋根の上の東田君を見た近所の人達が騒ぎ始め、消防車まで駆けつける大騒ぎとなったのだった。
 そんな事件があってから、真野は東田君の部屋にパソコンを導入することにした。彼はパソコンさえ与えておけば静かにしているからである。
 当然、真野は東田君の親に、パソコン代と年間の電気料金として途方もない金額を寄付させた。
 だから事実上は、これによって真野は得したことになったのだが、しかし、肝心の東田君の症状は日々悪化して行くばかりであり、それによる苦労を考えると結果的には損しているのかも知れなかった。

 茶碗と箸を持ったまま、天気予報を見ながらゲラゲラと笑いまくる東田君は、画面に映る『はれのち雨』というテロップを見ては「優柔不断すぎる!」とヨダレを出して笑っていた。
 特に『波浪警報』という言葉には激しく反応し、お天気お姉さんが『波浪警報』と口にする度に、両足をバタバタさせながら「おまえはアメリカ人か!」とツッコミを入れていた。
 
 そんな東田君を初めて目にしたタンポポは、そのあまりの過激さにおもわず恐れをなし、真野の背中にソッと隠れた。
「あぁ、キミはまだ彼を知らないんだね。なぁに心配しなくても大丈夫よ、ただのバカだから」
 そう笑いながら真野は、天気予報を見て笑い続ける東田君を「おい」と呼んだ。
 クルッと振り返った東田君は顔一杯に涙と鼻水をダラダラと流していた。そんな顔に滴る汁を舌でベロベロと舐め取る東田君は、真野をジロッと睨んだ後、その視線をタンポポに向け、いきなり「ギョッ」と目を見開いた。

「東田君。紹介しよう。今度この『幸せの家』でキミ達と一緒に暮らす事になったタンポポちゃんだ。今はまだ監禁治療中だが、解放治療になったら仲良くしてやってくれよ」
 真野がそう言うと、真野の背後からソッと顔を出したタンポポが「よろしくお願いします……」と、恐る恐る呟いた。
「あっ!……」
 東田君はそう叫びながらタンポポを指差した。
「なんだ、東田君、タンポポちゃんを知ってるのか?」
 真野がそう聞くと、再び東田君は「あっ!」、「あっ!」と何度も叫びながら、ゆっくりと立ち上がった。
 東田君の手から茶碗と箸が転がり落ちた。しかし、そんな茶碗の中には何も入っていない。
 ぴょんぴょんと飛び跳ねながら、「あっ!」、「あっ!」と迫りよって来る東田君を見て、顔を引き攣らせたタンポポが「怖い……」と真野の背中にしがみついた。
「いったいどうしたんだ東田君!」
 真野はこれ以上迫って来たら東田の顔面をぶん殴ってやろうと身構えながらそう聞いた。
「この人知ってる……見たコトある……間違いない……」
 東田君は指をブルブルと震わせながら呟いた。
 真野が「だからキミは彼女の何を知ってると――」と、言い掛けると、東田君がニヤニヤと笑いながら、「この人は、誰でもヤらせる可愛い娘だ……」と、狂った目をギラギラと輝かせた。
 その瞬間、真野の背中に隠れていたタンポポが、真野のTシャツをギュッと鷲掴みにした。そして声を殺しながらシクシクと泣き出してしまったのだった。



(8)

「お、俺、この人のファンなんだぁ……へへへ、この人を見ながらいつもシコシコしてんだぁ……」

 東田君がニヤニヤしながらそう呟いた瞬間、真野は無言で東田君の右頬に拳を叩き付けた。
 ベチーン! という乾いた音と共に、東田君はチャブ台の上に吹っ飛んだ。ドタドタン! とひっくり返った東田君は、なぜか倒れた瞬間に「グルコサミン!」と意味不明な言葉を叫んだ。
 野菜炒めらしき物体の焦げたキャベツが床に散らばり、具の入っていないみそ汁がポトポトポトっと音を立てて畳に滴った。
 慌てて居間に飛び込んで来た春日さんが、「あらららら」と叫びながら床に散らばる焦げたキャベツを拾い始め、そしてそれをその場でボリボリと齧り始めた。
 それはまるで神社に捨てられた肥満ウサギが一心不乱にキャベツを齧っているようなそんな光景だった。

 真野はタンポポにソッと振り向くと、「見なさい、こいつらは完全に狂ってます。だから気にしないで下さい……」と呟きながら、優しくタンポポの髪を撫でた。
 そんな真野を身動きひとつせぬままジッと見つめ、ひたすらキャベツをカリカリカリっと齧る春日さんはまさしくウサギだった。
 そして、「池田大作ぅ!」などと意味不明な言葉を叫びながら、みそ汁だらけの畳の上をのたうち回る東田君も、ガダルカナルでマラリアに苦しむ日本兵のようで不気味だった。
 真野はタンポポに「行きましょう」と囁くと、そんな狂った2人を居間に残したまま、奥の自室へと向かったのだった。

 タンポポが監禁治療している奥の部屋は、猫の額のような裏庭に面した純和風の日本間だった。
 元々は真野が寝室として使っていた部屋だったが、しかし今ではタンポポが自室として使っていた。
 そんな部屋の襖をズリズリっと開けると、中から女の子らしい香りがモワッと溢れて来た。
 本来なら監禁治療をしている部屋というのは異様な匂いが漂い、まるで牛舎のような悪臭が立ち籠めているものだが、しかし、さすがは激カワ女子高生だけあり、この部屋にはそんな悪臭は微塵も感じさせられなかった。
 部屋に入るなり、タンポポは敷きっぱなしの布団を恥ずかしそうに畳み始めた。
 真野はそんなタンポポを見つめながら、ここに来る前のタンポポの実家の荒れ果てた部屋をふと思い出し、たった1週間で成長したもんだなと思うと共に、あの時に嗅いだタンポポのパンティーの酸っぱい匂いを思い出しては、むやみやたらにムラムラと興奮していた。
 タンポポが部屋の整頓をしている間に、真野は居間へノートパソコンを取りに戻った。
 居間では、今だに春日さんがカリカリカリっとキャベツを齧り、「クロールは苦手なのだ」などと呟きながら、みそ汁でべちゃべちゃになった畳の中を泳ぐ東田君がいた。
 そんな2人に「早く寝ろアホ共!」と蹴りを入れた真野が、慌ててタンポポの部屋に戻ると、いつの間にかタンポポはパジャマに着替え、なぜか恥ずかしそうに「うふっ」と微笑んだのであった。

 そんなタンポポとひとつの布団で寝たいものだ、などと思いながら、真野は小さなチャブ台の上でノートパソコンを開いた。
「さっきは確か、PART4まで確認したんでしたね……」
 そう言いながら、例の画像掲示板を開き、その検索欄に「誰でもヤらせる可愛い娘……」と呟きながら入力した。

「さっきのあの人……タンポポの事、知ってましたね……」
 ふいにタンポポが淋しそうにそう呟いた。
「そうですね……やっぱり、こんなモノは早く処分しておくべきでしたね……」
 真野はそう呟きながら『誰でもヤらせる可愛い娘』のスレッドを開いた。
「他にもタンポポの事を知ってる人は沢山いるのかな……」
 タンポポは独り言のようにそう呟くと、悲しそうに裏庭をソッと見つめた。
「心配しなくていいですよ。こういったモノは、すぐに忘れ去られるものです。ちゃんと削除しておけば大丈夫です」
 真野はそうタンポポを慰めた。タンポポはそんな真野をソッと見上げながら、天使のような優しい眼差しで「ありがとう」と呟いたのだった。

 そんなタンポポに微笑み返しをしながらも、急に厳しい表情でタンポポを見つめ「ただし……」と言葉を続けた。
「そのイジめっ子達とは2度と付き合わないようにして下さい。今度もし、イジめっ子達にこのような卑猥な写真を撮られた場合は、すぐに警察に訴えます。それだけは覚悟しておいてくださいね」
 真野のその言葉に、タンポポは安心したようにコクンと頷いた。
 そんなタンポポに「うん」と頷きながらも、真野は「それから……」と言いにくそうに言葉を続けた。
「さっきのあの東田君という男。十分に気を付けて下さい」
 真野がそう言うと、タンポポはとたんに不安の表情を見せた。
「彼はキミの卑猥な写真を見ています。ですから、彼にとったらキミと言う存在が非常に近いものに感じられるのです。つまり、彼はキミの全てを見てしまっているわけであり、そうなると単細胞な彼は、もはやキミの事を他人じゃないような錯覚を起こしてしまうのです……」
 タンポポは黙ったまま真野の顔を見つめ、不安そうにゆっくりと息を吸った。
「彼は、はっきり言って変態です。これまでにも数え切れないほどの性犯罪を犯しております。先日などは、レイプしようと忍び込んだ部屋の女子大生に騒がれ、トチ狂った彼はなんと女子大生の首を絞めて殺そうとしているのです……まぁ、幸か不幸か、彼の頭はクルクルパーですから、その事件では殺人未遂は適用されず、精神異常者としてまたここに帰って来れたわけですが……しかし、彼は危ない。とっても危険だ。キミに何か危害を加える恐れがある。だから彼には充分注意して下さい……」
 真野はそう話すと深刻そうに項垂れた。
 それは全くのデタラメだった。東野君は確かに変態ではあるが、しかしレイプできるほどの度胸は彼にはない。
 しかし、真野はこの時、あえてそんなデタラメをタンポポに植え付けた。タンポポに東田君に対する恐怖心を与えるのも、真野のひとつの作戦だったのだ。
 そんな真野のデタラメに、さっそくタンポポは釣られた。
「注意しろって言われても……いったいどうすればいいんですか……」
 そう脅えるタンポポは、顔を引き攣らせながら真野に聞いて来た。
「はい。もちろん私も、彼がキミの部屋に忍び込まないよう十分に警戒しておきます。しておきますが、しかし、もし万が一にも彼がこの部屋に侵入して来た場合、キミは絶対に騒がないで下さい。キミが騒げば、彼は必ずキミを殺そうとして来るはずですから……」
 呆然と真野を見つめるタンポポはゴクリと喉を鳴らしながら唾を飲み込んだ。そんなタンポポの表情に、ゾクッと残酷なエロスを感じたのだった。

(つづく)

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