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罠 ─ trap ─

2013/03/09 Sat 00:26

罠

《あらすじ》
深夜のアダルトショップで露出する人妻は狂っていた。
そんな狂った人妻の体に群がる客達。
彼らは、それが彼女の巧妙な罠だとは夢にも思っていなかった・・・





 僕が奥さんのその凄まじい姿を初めて見たのは、アダルトDVDを専門に扱ったレンタルショップの店内だった。
 その夜、居酒屋の皿洗いのバイトを終えた僕は、二日前に借りたDVDを返却する為、隣町にあるレンタルショップまで原付を走らせた。
 深夜二時を過ぎた店内には、明らかにニートだとわかる中年男と、いかにも場末のスナックでバーテンダーをやってそうな派手なスーツを着た中年親父の二人がいた。
 ニートの親父は冬眠中の熊のような表情を浮かべながら『女子高生』のラックを眺め、水商売風の親父は、異様な香水をプンプンと漂わせながら、『盗撮』のDVDが並ぶラックの前にしゃがみ込んでいた。
 そんな二人を横目で見ながらカウンターへ行くと、『PLAY BOY』のロゴが入ったエプロンをした親父が、夜食の弁当を食べながらオリンピックを見ていた。カウンターには、ケチャップがレンジで温められた匂いがもわもわと溢れていた。
 借りていたDVDをカウンターの上に置くと、親父はプラスチックの弁当の底を割り箸の先でカサカサと鳴らしながらテレビをジッと見つめ、僕に振り向きもしないまま「おおきに」と呟いた。

 今夜はそのまま帰るつもりだった。今夜のネタはネットの『一本道』のサンプル動画で抜くつもりだった。が、しかし、レジ横の新作コーナーに並べられたDVDの卑猥なパッケージを見た瞬間、急に僕の気が変わった。
 昨夜、人妻モノのDVDで二発抜き、そして今日も、店に出勤する前に同じDVDを見て一発抜いたばかりだった。しかし、二十歳の僕にはまだまだ精力がありあまっていた。彼女のいない今の僕には、唯一オナニーが人生の楽しみなのだ。

 何かおもしろそうなDVDは無いものかと店内を物色して回った。だか、結局はいつもの『熟女コーナー』の前で足が止まった。
 DVDが並ぶラックでは、美熟女から汚熟女まで様々なおばさんが、卑猥な姿を晒しながら僕を誘っていた。
 僕はどちらかというと生活感の漂う汚熟女モノが好きだった。
 美熟女モノはいかにも作り物っぽくて嫌だった。こんな綺麗な奥さんがそんな事するわけないだろうと思うと、とたんに萎えてしまうのだ。
 その点、汚熟女モノにはリアル感があった。萎びた胸と真っ黒な乳首、ボテッと弛んだ下っ腹の妊娠線と、手入れしていない剛毛な陰毛。そして何よりも、ぷっくりと飛び出したイボ痔が良かった。
 そんな醜い汚熟なら、こんな僕にでも手が届きそうな実感が湧き、画面からはリアルな匂いや感触までも感じる事ができたのだ。
 そんな、少々変態チックな性癖のある僕は、まるで妖怪のような汚熟女ばかりを選んではそのDVDを手に取っていた。

 すると、入口の自動ドアがギャギャギャギャンと、今にも壊れそう音を立てながら開いた。
 夜風と共に店の前の大通りを走る長距離トラックのエンジン音が入り込み、店内に流れていた有線放送を一瞬掻き消した。
『一発2500円でヤらせてくれる中島君のお母さん』というアナーキーなDVDの裏書きを読んでいた僕は、入口に人の気配を感じ、何気なく視線をそっちに向けた。
 店内に入って来た客は女だった。ミニスカートから伸びる細い脚に黒いニーソックスを履いていたおばさんだった。
 僕は違和感を感じた。深夜二時、アダルトDVDしか置いていないレンタルショップに、ミニスカートを履いたおばさんが一人で現れたのだ。
 そんな光景に、僕は性的興奮を感じられずにはいられなかった。

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 手に持っていたDVDを慌ててラックに戻すと、ズラリと並ぶラックの隙間からおばさんの姿を探した。
 おばさんは特にDVDを探している様子でもなく、まるで散歩するかのように店内をぶらぶらと歩き回っていた。
 そんなおばさんをラックの隙間から目で追っていると、不意におばさんの足がピタリと止まった。おばさんの足下には水商売風の親父がしゃがんでいた。
 おばさんは無言のまま親父を見下ろしていた。
(なんだよ、あのおばさんはあいつのツレかよ……)と、おもしろくなさそうにその場を立ち去ろうとした瞬間、再びおばさんが歩き出した。
 そのヒールの音を聞き、僕は慌ててラックの隙間をもう一度覗いた。去って行くおばさんの後ろ姿を、不思議そうに眺めている水商売風の親父の顔が見えた。親父のその表情から二人は知り合いではない事が明らかだった。

 そんな不可欠な行動をとるおばさんは益々怪しかった。僕は、おばさんに対する性的興奮が更に高まって来た。
 店内を徘徊していたおばさんは、店の一番奥にある『レイプ』のコーナーで足を止めると、残虐なパッケージが並ぶラックの前で静かにしゃがみ込んだ。
 そんなおばさんを見ながら、水商売風の親父と店主がカウンターで内緒話をしていた。二人の会話が自然に僕の耳に届いた。
「よく来るの?」と、水商売風の親父。
「時々夜中にフラッと現れるね」と、面倒臭そうに答える店主。
「何者?」
「ああ。近所の変態だよ」
「変態?」
「ああ。ロシュツキョウってやつだ、こんな店にゃウヨウヨいるよ、大して珍しくねぇ」
「へぇ〜……そうなんだ……で、あの人はいつも一人で来てるの?」
「ああ。いつも一人だ。主婦らしいけど旦那はついて来てねぇよ」
「結構、イイ女だね……」
「ああ。声かけて来なよ。頼めばオマンコ拝ませくれっから」
「えっ! マジかよ!」
「うっせぇなぁ……マジかどうか声かけてみればいいじゃねぇか、今いいトコなんだよ、ロシアに金メダル取られるかも知んねぇんだ邪魔しねぇでくれよ!」
 テレビに齧り付く店主は水商売風の親父に背を向けた。水商売風の親父はもう一度「マジかよ……」と呟きながら、好奇の視線をおばさんに向けたのだった。

 露出狂というその言葉に僕の胸は激しく踊った。アダルトブログでよく見掛ける露出狂人妻が、今、僕の目の前にいるのだ。
 テレビから聞こえて来るオリンピックの歓声を背後に、僕と水商売風の親父は、そんなおばさんを見つめながら卑猥な妄想に耽った。
 するとそこにもう一人の客が現れた。タラタラのジーンズをヘソの上まであげた、実に醜い中年ニート男だ。
 中年ニート男は、突然おばさんの背後で足を止めると、その背中に何か話し掛けた。おばさんはチラッと中年ニート男を見上げると、おどおどした素振りでコクンと小さく頷いた。
「なんだあいつは」と、水商売風の親父が眉間にシワを寄せながら店主に聞いた。
 店主はサッと振り返り、そしてまたすぐにサッとテレビに顔を戻すと、
「ありゃあ、近所のバカだ。いつもスカトロモノばっか借りてく糞ったれだ」
 と、画面の中で激しく交わり合っている女子レスリングを真剣に見つめながら呟いた。
 その糞ったれの中年ニート男は、おばさんに一言二言声を掛けると、そのままスタスタと奥のラックの裏に消えて行った。
 すると、おばさんはそんな中年ニート男を目で追いながらゆっくりと立ち上がり、何やらソワソワとした様子で中年ニート男の後に付いてラックに消えて行った。
「おいおい親父、あのスカトロバカ、女を連れてっちゃったぜ!」
 水商売風の親父がそう焦りながらカウンターをバンと叩くと、店主がいきなり切れた。
 テレビのリモコンをソファーに投げつけた店主は、「うっせぇなこの野郎! てめぇが横でガタガタ言ってっからロスケのボロベワに金メダル取られちゃたじゃねぇか! てめぇのせいだぞ!」と怒鳴り、不貞腐れながら奥の事務室へと消えて行った。
 水商売風の親父が目を丸くしながら、ゆっくりと僕を見た。
「俺のせいか?」と、不思議そうに首を傾げる水商売風の親父を僕は無視し、ニート男とおばさんが消えて行ったラックの裏へとさりげなく向かったのだった。

 そのラックには『ラブホ隠し撮り』のDVDがズラリと並んでいた。
 僕は『援交娘と中年男』というタイトルのDVDを見るふりをしながら、その隙間から反対側の通路を覗いた。
 覗いた瞬間、僕は目を疑った。
 なんとおばさんは全裸になっていた。全裸で床に座り、ニヤニヤと笑うニート男に向けて股をM字に開いているではないか。

 こんな光景は、ネットかDVDの中でしか見た事がなかった。まさかリアルで目撃できるとは思ってもいなかった。
 僕は素早くそこにしゃがみ込むと、DVDの隙間からおばさんの股の中を覗き込んだ。
 黒ずんだ股間の中心に、腸を抉られた川魚の腹のようなグロテスクな切れ目が、赤くテラテラと濡れ輝いていた。
 おばさんは指でそこを開きながら、ニート男に向かって「見て下さい……」と、病的に何度も囁いていた。小陰唇がペロリと捲られた陰部の内部が、まるで餌を欲しがる鯉の口のようにヒクヒクと動いていた。小陰唇は焦げたように黒く、その内部はトマトのように赤かった。
 おばさんがソコに指を動かす度に、そこから、くちゅ、くちゅ、といやらしい音が洩れた。おばさんは既に充分に濡れており、その雫は肛門を伝ってクッションフロアの床に滴り落ちていた。
 そんなおばさんの卑猥な姿を真剣に見つめていたニート男は、ハァハァと肩で息をしながらジーンズのチャックを開けた。ジーンズの中から、成長しきれていないサツマイモのようなペニスがビンっと飛び出した。
 ニート男は、細い目をギラギラと輝かせながら床に四つん這いになると、床に顔を押し付けながらおばさんの股間を覗き込み、そして歪なペニスをシコシコとシゴき始めた。
「……もっと見て下さい……もっと奥まで見て下さい……」
 そう囁くおばさんは、二本の指を根元まで穴の中に挿入し、そしてグジョグジョといやらしい音を立てながら指をピストンさせ始めた。
 そんなシーンをラックの影から覗いていた僕は、こいつらは完全に壊れていると思った。そして恐怖すら感じた。が、しかし、そんな異常なシーンが僕の下半身の血を熱く滾らせた。
 股間にソッと手を伸ばすと、僕のペニスは今にも破裂せんばかりに膨らんでいた。ズボンの上から勃起した肉棒をスリスリと擦りながら、僕はあのおばさんはいったい何者なんだろうと想像を巡らせたのだった。

 雰囲気からして年齢は三十代前半だろうと思った。
 手の平サイズのおっぱいはツルンっと丸く、その先には、うどんの切れ端のような形をした乳首がツンっと飛び出していた。
 そんな乳首から見て、このおばさんは恐らく子持ちだろうと思った。母乳で育てている乳飲み子がきっといるはずだと、熟女マニアな僕は勝手にそう思い込んだ。
 黒い髪は短く、化粧もほとんどしていなかった。一見、こんなハレンチな事をするとは思えない、真面目そうな若奥さんだ。
 そんな真面目な主婦を、ここまで卑猥な行動へと駆り立てた原因はなんだろう。スケベ男たちばかりが集まるエロDVD屋に、深夜に一人でやって来て、見ず知らずの他人に陰部を見せつけるというその原動力はいったいなんなのか。
 欲求不満なのか?、旦那が立たないのか?、それとも、誰かに命令されているのだろうか?……
 そう考えていると、突然誰かが僕の耳元で「変態だな……」と囁いた。
 慌てて振り返ると、水商売風の親父が僕の隣でラックを覗き込んでいた。
「あれはプレイじゃないね……あれはガチンコだね……あの女はああされる事を心底望んでいるんだよ……つまり、先天性の変態ってやつさ……」
 水商売風の親父は、下水道のような口臭を漂わせながらそう呟いた。そんな親父のズボンの股間は、ピノキオの鼻のように飛び出し、腰の高さのラックに並んでいる『不倫相手に中出しさせる低能ヤンママ』と書かれたDVDの箱を、それでツンツンと突いていた。
「俺は行くけどキミはどうする?……一緒に行くか?」
 僕は慌てて首を振りながら「結構です」と答えた。本当は僕もあそこに行きたくて堪らなかったが、しかしこの親父達とそこで一緒に雁首を揃えるのはプライドが許さなかった。
 すると水商売風の親父は、「そっか、それは非常に残念だ」と呟きながら、いきなり紫のスーツのスボンのチャックを開けた。
 親父のそこから飛び出した異様に黒いペニスは、まるでカリカリに焦げた『イモリの黒焼き』のようだった。

 親父がそこに乱入すると、ニート男は明らかに嫌な顔をした。
 そんなニート男の顔色にも気付かない図々しい親父は、「なによなによ、結構綺麗な体してるじゃない……」などと、ひと昔前のAV男優のような口調でおばさんの横に腰を下ろすと、いきなりおばさんの乳首をキュッと摘んだ。
「はぁん……」とおばさんが天井を向きながら息を吐いた。
「ヤリたいのか? ん? ズボズボにヤられたいのか?」
 親父はおばさんの耳元にそう囁きながら、ねちゃっと口を開いたワレメに指を這わせた。
「あぁぁぁ、やめて下さい……いや……」
 おばさんは、もっと弄って欲しいと求めるように腰を突き上げると、親父の指の動きに合わせて腰を回しながら「あん、あん」といやらしい声を張り上げた。
 そんな親父に負けてなるものかと、ニート男もおばさんの足にしがみついた。何を血迷ったのか、ニート男はおばさんのくるぶしを舐めまくった。そんなニート男の必死さには、この女を最初に発見したのは俺なんだぞと言わんばかりの醜さが感じられた。

 見ず知らずの二人の中年男に愛撫されるおばさんは、病的に喘ぎ始めた。
 その喘ぎは、大きな声で叫ぶというものではなく、まるで何かに成りきっているかのように、「北林さん、それでは約束が違います」や、「やめて下さい前坂さん、主人が見ています」や、「ごめんなさい、もうしませんから許して下さい渡辺さん」などと、まったく関係のない名前や意味不明な言葉を口走ると言った異常さだった。

 しかし、そんな壊れた奥さんに、僕は爆発してしまいそうなくらいに興奮してしまった。
 さっきも言ったように、元々僕は、『綺麗な奥さん』や『清楚な美人妻』などというハリボテ的な熟女には性的興奮を感じないタイプだった。
 むしろ僕は、その逆の、『汚れた豚妻』や『頭の狂った異常な奥さん』といった寺山修司的な熟女に興奮を催すタイプなのだ。
 だから目の前のこの熟女に今までにない興奮を感じた。そして、ズボンの上から破裂せんばかりの肉棒を揉みながら、僕は知らぬ知らぬのうちにラックの向こう側へと足を進めていた。

 ラックの裏側は、異様な熱気に包まれていた。
 全裸の奥さんは立たされ、その熟れた肉体に二人の親父が貪りついていた。
 ニート男は、奥さんの股間に指を這わせ、クチュクチュと卑猥な音を立てながら奥さんの右の乳首をしゃぶっていた。水商売風の男は、奥さんの左の乳房を手の平で包み込みながら、奥さんのうなじをレロレロと舐めていた。

 ラックの端に立ちすくんでいた僕を、奥さんは虚ろな目をして見ていた。奥さんと目が合った瞬間、強烈な羞恥心に襲われた僕は、ズボンの上から肉棒を握っていた手を慌ててサッと離した。
 そんな僕を見つめながら、奥さんは小さな声で「お願いします……見て下さい……」と囁いた。そして、「おちんちんをシコシコして、私の顔に掛けて下さい」と、今にも泣きそうな表情で囁いた。
 すかさず、僕は奥さんにペニスを見せたいと思った。僕のペニスは、ニートの男よりも水商売風の親父のよりも、遥かに大きくてそして逞しいのだ。

 しかし、恥ずかしさのあまり、僕は身動きできなかった。ただ呆然と汚い中年男に愛撫される奥さんを見つめているだけだった。
 すると、ふと僕の足下に、奥さんが脱ぎ捨てた衣類が重なって置いてある事に気付いた。重なる衣類の一番上には、履き古したピンクのパンティーが無造作に投げ捨ててあった。
 水商売風の親父が「そろそろ入れようか……」と呟きながら、奥さんをクッションフロアーの上に四つん這いにさせた。
 奥さんは全く抵抗する事なく、まるで野良猫のようにその場に両手両脚をついた。
 奥さんの尻が僕に向いていた。形の良い尻肉は両サイドにパックリと開き、その奥でジクジクと泡を噴いているワレメがはっきりと見る事ができた。
 水商売風の親父が奥さんの腰に手をあてると、ニートの男が「そ、そ、そ、それは違うでしょ!」と妙に甲高い声で叫んだ。ニートの男は凄まじい吃りだ。
「だからジャンケンで決めようって言ったじゃない。それをあんたが嫌だって言ったんじゃない」
 床に両膝を立てた水商売風の親父は、ニート男を見上げながら笑った。
「ジャ、ジャ、ジャンケンとか、そーいう事じゃなくて、ボ、ボ、僕に優先権があると言ったんですよ」
 ニート男は真っ赤な顔をしながら唇を尖らし、なぜか足踏みしながらそう文句を言った。
「優先権ってなんだよ、この人はモノじゃないんだからさ。誰が先とか誰が後だとかはこの人が決める事であって我々が勝手に決めると言うのは、女性の人権を著しく……」
 水商売風の親父は、ニート男にそう説教をしながらも、ニート男にばれないように奥さんの尻でモゾモゾと腰を動かし始めた。
 僕の位置からは、水商売風の親父のペニスが奥さんのワレメの中にヌルッと入ったのが見えた。とたんに奥さんは「ひっ!」と腰を反らしたが、水商売風の親父は、慌てて奥さんの乳首をビーンっと引っ張ったりして、奥さんが挿入で感じているのを必死に誤魔化していた。
「だ、だ、だったらジャンケンで決めましょう」
 既に結合してしまっている事に気付いていないニート男が、顔を真っ赤にしながらそう凄んだ。
 しかし水商売風の親父は、「だってあんた、さっきジャンケンを拒否したじゃない!」などと、いちゃもんを付けながら、こっそりと腰を動かしてはペニスをヌポヌポと出し入れしていた。
 僕はそんな彼らの後ろ姿をジッと見ていた。三人は既に僕の存在を忘れているかのように、僕には振り向きもしなかった。
 僕は乾いた喉にゴクリと唾を飲み込むと、その場に静かにしゃがみ込んだ。そして、足下に脱ぎ捨てられていた奥さんの衣類の中からピンクのパンティーを素早く握り締めると、そのまま何も無かったかのようにして店を出て行ったのだった。

 シーンっと静まり返った駐車場では、『アダルトDVD』と形取られたピンクのネオン管だけが、点滅音をカチカチと響かせていた。
 その店の隣りには『職人の店』があった。シャッターが閉まった『職人の店』の前で、『大売り出し』と書かれた黄色いのぼり旗が夜風にバタバタと靡いていた。
 その店の横は、小さな広場になっていた。大きなブナの木が一本、広場の真ん中に植えられ、その周囲に薄汚れたベンチが数台置いてあるだけの、何の変哲もない広場だった。
 奥さんのパンティーでオナニーしようと企んでいた僕は、その広場の暗闇に急いで紛れ込んだ。
 植木が並ぶブロックの影で腰を下ろした僕は、店内のセックスが終わる前にこのパンティーを返しておかなければ、僕は下着泥棒になってしまうと焦りながら、急いでズボンの中からペニスを捻り出した。
 僕の大きなペニスは、広場の真ん中に聳えるブナの大木のように、根元ががっしりとしていた。あの中年男達の見窄らしいペニスと比べると、優に四倍は大きかった。

 そんなペニスの先は、既に我慢汁でネトネトに濡れていた。
 溢れる我慢汁を大きな亀頭に塗り込んだ。くすぐったい快感が太ももの内側をジンジンと痺れさせ、僕の両脚が自然にスリスリと擦り合った。
 続いて太い竿にもそれを塗り込んだ。粘着力の強い我慢汁を潤滑油にして、根元から亀頭まで大きく上下にシゴくと、そこから、びちゅ、びちゅ、といやらしい音が洩れ、おもわず僕は「はあぁぁぁ……」と快楽の息が漏らしながら、ゆっくりと夜空を仰いだ。
 太ももまでズボンを下ろすと、地面の雑草が尻にチクチクと刺さった。しかし、そんなチクチク感も、野外で破廉恥なオナニーをしているという実感を湧かせ、興奮材料のひとつとなった。
 植木のコンクリート壁に凭れながらペニスをシゴいていた僕は、いよいよポケットの中に押し込んであった奥さんのピンクのパンティーをソッと抜き取った。
 拳の中にギュッと握り締めながらそれを鼻に押し付けては全体の匂いを嗅いだ。
 ラズベリーのような洗濯洗剤の香りと共に、乾いた汗の饐えた匂いがほんのりと漂って来た。
 これが、あの変態人妻の淫らな下半身にぴったりと貼り付いていたパンティーなんだと思うと、僕は我慢できない焦燥感に苛まれた。
 ハァハァと荒い息を吐きながらパンティーを大きく開いた。そして、クロッチと呼ばれる部分を覗くと、そこには黄色いオリモノのシミと共に、淫らな白い液体がドロドロと付着しているのが僕の目に飛び込んで来た。

(あぁぁ、こんなに濡れてる……)
 見知らぬ中年男達が潜む深夜のアダルトショップに潜入し、密かに男たちに陵辱されたいと思い描きながら店を徘徊していた欲求不満の人妻は、既にパンティーまでもヌルヌルに濡らしていた。
 その現実を、今、目の当たりにしながら、僕はペニスをシゴいた。
 夜の闇に紛れ、夜露に濡れた草木の香りに包まれながら僕は悶えた。
 そこに漂うチーズのような恥臭を嗅ぎ、そこに付着するいやらしい汁をチロチロと舐め、そして、変態人妻の淫らな性器に密着していたクロッチにペニスを擦り付けて悶え狂った。

 ヌルヌルの白い液体が亀頭に絡み付くと、すぐに絶頂の兆しが現れた。このままここに射精してしまってもいいものだろうかと迷いながらも、そこに精液がぶちまけられるシーンをムラムラと想像していると、ふと、植木ブロックの向こう側で、石を踏むようなジリッという足音が聞こえた気がした。
 はっ! と慌てて身構えた。たとえ深夜とはいえここは野外だ。まだ営業しているDVDショップの駐車場と隣接する広場だ。誰かがここにやって来る可能性は充分にあり得るのだ。
 もしかしたら、いつもこの広場で寝ているホームレスが帰って来たのかも知れない、と、思いながら、身動きしないままそっと顔を上げると、なんと、植木と植木の間からジッと僕を見ている顔がすぐ目の前にあった。

「うっ!」と絶句したまま僕は一時停止してしまった。ズボンを膝まで降ろし、ピンクのパンティーをペニスに包んだ状態で蝋人形のように固まってしまった。
 植木の間からジッと僕を見ていたのは、紛れもなくこのパンティーの持ち主だった。植木と植木の間からポツンと顔を出す奥さんのは、まるで河原に晒された生首のように不気味だった。
 僕は「えっと……」と意味不明な言葉を発しながら夜空を見上げ、大きく開いていた股を静かに素早く閉じた。
 まるでキムタクのモノマネをしているかのように、「っていうか……」と呟きながら首を傾げると、暗い駐車場の奥で蛍光灯の光を爛々と輝かせているDVDショップの店内が見えた。
 店内ではニートの男と水商売風の親父が取っ組み合いのケンカをしているのが見えた。
 それを見た僕は、だから奥さんはこんなに早く店から出て来たんだと察知した。
 こりゃあ、参ったぞ……と頭を掻きながら、植木ブロックから覗く奥さんにソッと視線を戻した。
 奥さんの顔は消えていた。あれ?っと慌てて周りを見回すと、僕のすぐ横に奥さんが呆然と立ちすくんでいた。

 奥さんは僕の下半身をジッと見ていた。
 ズボンを膝まで下げたままの僕の下半身は、剥き出された太ももが広場の街灯に照らされていた。
 股間に挟み込んだピンク色の布が太ももの隙間から微かに顔を出し、それがウヨウヨと生える陰毛と卑猥に絡み合っていた。
「私の……下着がないんです……」
 奥さんは僕の股間をジッと見ながら震えた声でそう呟いた。
「えっと……」と、慌てながら左右をきょろきょろと見た僕は、わざとらしく自分の股間に視線を落とし、そこで初めてそれに気付いたかのように「あっ、もしかして、これの事ですか?」と、太ももの隙間からピンクのパンティーを引きずり出した。
 股間からパンティーが剥がされると、今まで隠れていた僕の巨大なペニスが、太ももの間からビン!っと飛び出した。
 奥さんは僕が差し出すパンティーに恐る恐る手を伸ばしながらも、そのペットボトルのように太いペニスを異様な目で見つめていた。
 僕はそんな奥さんの貪よりと輝く瞳を見つめながらふと思った。あの店で、水商売風の親父が中途半端なセックスをしたせいで、この熟女の欲求不満は更に高まっているであろう、と……。

 僕は奥さんに見せつけるように、わざと腰を浮かせながらペニスを突き出した。萎びた親父達のお粗末なペニスを見てきた後だから、余計、僕のこのペニスが逞しく見えるだろうと思い、敢えて下っ腹に力を入れては肉棒をヒクヒクと動かし、欲求不満の奥さんを挑発してやった。
 奥さんの目をジッと見つめながらペニスをヒクヒクと動かしていると、尿道から我慢汁の球がニュッと搾り出され、それが逞しい竿を伝っては睾丸へと垂れて行った。
 それを見た奥さんは、胸に溜っていた欲望を吐き出すように息を吐いた。
 奥さんは僕の目を怪しく見つめながら「あのぅ……」と呟いた。そして、いきなり両手を自分の腰にあてると、指をくねくねと動かしながらスカートの裾をジリジリとたぐり寄せ、ノーパンの下半身を僕の目の前に曝け出しながら、「下着を履かせて下さい……」と、呟いたのだった。

 草木から溢れる街灯の明かりに照らされた奥さんの下半身には、黒々とした陰毛が、まるで燃え盛る炎のように攻撃的な渦を巻いていた。
 そんな陰毛には、水商売風の親父の精液か、それとも奥さんが分泌した汁かの、どちらかの汁がパリパリに乾いてはこびり付き、まるでフケのように陰毛の中に散らばっては白い粉を吹いていた。
 僕はそんな奥さんにモソモソと近付いた。雑草がチクチクと生える地面の上に座ったまま、奥さんの太ももにソッと手を添えた。
 両手で奥さんの太ももをスリスリと擦った。その肉感を脳で感じながら、見ず知らずの女性にこんな事をしている自分が信じられなかった。
 太ももを擦る手を、じわりじわりと官能的に足首まで下げた。そしてその小さな足をゆっくりと持ち上げながら、そこにピンクのパンティーを差し込んだ。
 片足を持ち上げられたまま奥さんはジッと僕を見下ろしていた。
 そんな奥さんを僕も見上げながらパンティーを膝まで上げた。
 そして膝でパンティーを止めると、おもむろにその視線を開いた股間の裏に向けたのだった。

 直下型で股間を覗かれる奥さんは、僕のその視線に耐えられず、「んふっ……」と息を吐いた。
 陰毛に囲まれるその中心は、もはやグジョグジョに絡み合っていた。
 黒い小陰唇がだらりと下がり、その奥でひっそりと息づいている赤く爛れた生肉は、カルピスを飲んだ後に舌に溜るような白いカスをドロドロと付着させながらギラギラと濡れ輝いていた。
「指で開いて見せて下さい……」
 自分でも信じられないような大胆な言葉が、自然に口から洩れた。
 奥さんはそんな僕を見下ろしながら「いやっ……」呟いた。
 が、しかし、そう言いながらも奥さんの両手は太ももの内側へとスリスリと這って行った。そして陰毛が密集している肉に指を押し付けると、そのまま両手を左右に開き、真っ赤に爛れたワレメを大きく広げたのだった。

 そんな淫らな生肉を見せつけられた僕は、奥さんに見えるようにしながら、開かれた陰部に向けて舌をピーンっと突き出した。そして、奥さんを挑発するかのように、舌先をガラガラヘビの尻尾のようにブルブルと震わせながらペニスをシゴいた。
 それを見下ろしていた奥さんが、堪らず「舐めて下さい」と口走った。
 僕は、何の躊躇いもなくそこに吸い付いた。水商売風の親父のペニスがヌポヌポと出し入れされていた事や、又は、この変態女が凄まじい性病を持っている可能性が高い事を覚悟しながらも、血迷った僕は必死になって奥さんのドロドロの性器に舌を這い回らせた。
 そんな舌がクリトリスに触れた瞬間、いきなり奥さんがガクンっと腰を抜かした。僕の目の前にしゃがみながら、まるで歩き疲れて駄々をこねる子供のように、「もう無理です」と、激しく首を左右に振った。
「じゃあ、僕のも舐めて下さい」
 僕は奥さんの小さな肩を両手で抱き寄せながら耳元でそう囁いた。
 すると奥さんはしゃがんでいた膝を前倒しにし、雑草がチクチクと生える地面に両膝を立てながら僕の股間に顔を埋めた。
 一瞬、奥さんの髪から饐えた匂いがプ〜ンと漂った。不特定多数の男たちに好き放題に入れられまくっている性器が臭いのは納得できるが、しかし髪が臭いというのは危険だと思った。

 それは、僕の学生時代の友人の村岡も、奥さんと同じ匂いをいつも髪に漂わせていたからだった。
 村岡は大学二年の時、残酷にも彼女の浮気現場を目撃してしまい、それっきり気が狂ってしまった男だった。
 夜中に素っ裸で小学校のグラウンドを走り回り、地元の警察署に二百回ものイタズラ電話を掛け、僕達が見ている前で、口の中を血だらけにしながらガラスの破片をガリガリと食ったりした。そして、その一年後、浮気した彼女のマンションのバルコニーに忍び込み、そこで首を吊って死んだ。

 気が狂うと髪を洗わなくなると僕に教えてくれたのは、村上本人だった。
 死ぬ二日前に、村岡は頭皮油でギトギトに光る髪をガリガリと掻きながらそう呟いていた。
 そんな村岡の髪に漂っていた悪臭と、今、僕のペニスを一心不乱に銜えている奥さんの髪の匂いは同じだった。頭を上下に動かす度に、プ〜ンと漂って来るその危険な香りを嗅ぎながら、僕は、いきなりペニスを喰いちぎられるのではないかという恐怖に駆られた。

 怖くなった僕は、慌てて奥さんの顔を股間から突き放した。
 奥さんは唇でテラテラと輝く唾液を袖で拭き取りながら僕を見た。
 そんな奥さんの肩を優しく抱きしめた僕は、「僕のチンチンでオマンコの中を掻き回してあげますよ」と囁きながら、奥さんを優しく地面の上に寝かせた。
 ブナの大木に頭を凭れさせた奥さんは、脅える目で僕を見つめながら「やめて下さい……そんな大きなモノを入れないで下さい……」と呟いた。しかし、その言葉とは裏腹に股をM字に開いては、ぱっくりと開いたいやらしい性器を僕に向けてヒクヒクさせていた。

 エイズ、淋病、クラミジア。様々な性病の名前が僕の頭を過って行った。
 しかし、不思議な事に全く怖くなかった。今はその恐怖よりも、性的興奮の方が勝っていたのだ。
 奥さんの小さな体をがっつりと抱きしめながら、奥さんの体の上に乗った。
 ドロドロに濡れた性器にペニスを押し付けると、かろうじて亀頭まではヌルリと入ったものの、それ以上は進まなかった。
「無理です! 裂けちゃいます!」
 そう叫びながら僕の首にしがみつく奥さんの髪から、例の饐えた匂いが濃厚に漂って来た。僕は慌てて息を止めながら、亀頭しか入っていないペニスで奥さんの穴の中を掻き回した。
 ぐじゅ、ぐじゅ、ぐじゅ、と卑猥な音が、二人の結合部分から聞こえて来た。奥さんは両手で僕の髪をくしゃくしゃにしながら、「入れてぇ! そのまま一気に入れて白川さん!」と叫んだ。
 白川さんというのがいったい誰なのかわからなかったが、とにかく僕はその白川さんという人に成りきり、奥さんの両脚を両腕にがっしりと抱えると、一気に腰を沈めたのだった。

 静まり返った広場に、奥さんの病的な叫び声が響いていた。
 キュン、キュンと締まる奥さんのキツい穴の中に、容赦なくペニスをズボズボとピストンさせてやると、奥さんは獣のような凄まじい声をあげた。
 奥さんは必死に僕の顔にしがみついた。
 そして、「殺して、ね、このまま殺してちょうだい」と囁いた。そう囁く奥さんの声は何故か笑っていた。
 奥さんのその声に背筋をゾッとさせながら、僕はガクガクと激しく揺れ動く奥さんの顔をそっと覗いてみた。
 僕の腕の中に抱かれている奥さんは、何も無かったかのように平然とした表情をしていた。まるで人形のように瞬きひとつせず、ジッと僕の胸を見つめていた。

 そんな奥さんの表情が、一層僕を恐怖のどん底に叩き落とした。
(こいつは完全に狂っている!)
 そう心の中で叫んだ瞬間、ペニスを突き刺されている奥さんの性器から半端じゃない量の汁がジワっと溢れた。
 それはまさに小便だった。生温かい小便は下半身全体に広がり、僕の太ももにまで伝わって来た。
 失禁する奥さんの顔を恐る恐る覗き込むと、奥さんは僕の腕に抱かれながら、上目遣いでジッと僕を見つめていた。
 いきなり目が合い、ビクッと驚きながら慌てて目を反らそうとすると、奥さんがポツリと呟いた。
「私、エイズなの」
 僕の腰がピタリと止まった。呆然としながら奥さんの顔を見つめている僕を見て、奥さんが突然けたたましい声でケラケラと笑い出した。
「嘘よ山岸さん、あなた、この間もこのジョークに騙されたじゃない」
 そう言いながら奥さんはケラケラと笑いこけた。
 そんな奥さんを胸に抱いていた僕は、ほっとすると同時に、まるで風船の空気が抜けるように身体の力が一気に抜けていったのだった。

「あなたはヒルスキーの予言を信じていないからダメなのよ。電磁波ってのはあなたが思っている以上に怖いものなのよ。世界は電磁波によって滅亡するんだから」

 奥さんは、息つく間も無く意味不明な事を話しまくっていた。
 一人でケラケラと甲高く笑い、そしていきなり泣き出したりした。
 そんな情緒不安定な奥さんを胸に抱きながら、とっとと射精して逃げようと思った僕は、無我夢中で腰を振りまくった。

 奥さんは、ノストラダムスは立川談志の弟子だった、などと奇天烈な事を延々と語りながらも、時折、僕の腰の動きに動物的な悲鳴をあげた。
「中で出しますよ……いいですね……」
 僕はそう唸りながら腰を激しく振った。
 奥さんはそんな僕の言葉に、「志村けんは本当は死んでるんです。テレビに出ている彼は偽物です」などと気味の悪い言葉を返しながら、いきなり下半身でブシュシュシュっという凄まじい音を立てながら、何かを噴き出した。
 辺りに強烈な臭いが立ち籠めた。
 なんだこりゃ、と思いながらそっと結合部分を見ると、辺り一面、下痢糞が飛び散っていた。

 僕はそれを無視した。
 いきなり下痢糞を噴射したキチガイ女が怖くて堪らなかったが、しかし、今はそれよりも、一刻も早く射精してしまう事のほうが先決だと思った僕は、敢えてそれを無視したのだ。

 僕は奥さんの顔を見ながら射精した。糞まみれの穴の中に精液が迸った。
 この薄気味悪い状況の中でも、僕はひしひしと快楽を味わった。
 びゅっ、びゅっ、と止めどなく発射する精液の感触に身を捩らせながらも、「矢沢永吉さんは森光子さんの息子さんだったって知ってましたか?」と囁く奥さんの不気味な声をジッと聞いていた。

 尿道から全ての精液を搾り出すと、しがみついている奥さんを突き飛ばし、慌てて立ち上がった。
 カエルのようにひっくり返る奥さんを見下ろしながら、急いでズボンを履いた。奥さんの穴から、大量の精液がドロドロと垂れていた。そのすぐ下の尻にはカレーのような下痢グソがべっとりと付着し、辺りには強烈なウンコ臭がプンプンと漂っていた。
 ヌトヌトに濡れたままのペニスをパンツの中に滑り込ませ、手を震わせながらカチカチとベルトを締めていると、ぐったりと寝転がっていた奥さんが、ゆっくりと首を起き上がらせた。
 いつの間に出たのか、奥さんは真っ赤な鼻血を垂らしていた。奥さんのアゴからポタポタと垂れる鼻血が、肩甲骨の凹みに赤黒い血の塊を作っていた。
 体をぐったりとさせながら首だけ持ち上げていた奥さんは、目に異様な光を漂わせながらジッと僕を見つめた。
「前坂さんも、北林さんも、前田さんも、村岡さんも、白川さんも、みんなみんな死にました」
 糞と鼻血と精液を体内から滲み出しながら、奥さんは猟奇的にそう呟くと、けたたましい高音でケタケタと笑い出した。
 僕は走り出した。ギャャャャャっと叫び出したいのを必死に堪えながらDVDショップまで全速力で走ると、店の前に止めておいた原付に飛び乗った。
 セルボタンを急いで押した。ギュルルルルルルっと音を鳴らしながら慌てて振り返った。今にも奥さんが背後から襲い掛かって来るのではないかという恐怖に駆られていた。
 ブナの大木の前でぐったりと横たわる奥さんの白い肌を見つめながらアクセルを回すと、ブルルルルルルっというエンジン音と共に尻に小刻みな振動が走った。
 DVDショップの中では、まだ水商売風の親父とニートの男が怒鳴り合っていた。二人の間で呆れたように腕を組んでいた店主が、ふと僕に気付いた。
 店主が僕に手を振った。僕は、もう二度と来るもんか、と呟きながら原付を発進させたのだった。


              


 静まり返った深夜の歩道には、雨上がりの湿った空気が貪よりと籠っていた。
 真っ暗な歩道を進んで行くと、その先でぼんやりと輝いているピンクのネオン管が、ジジジ、ジジジ、と僕を呼んでいた。

 気が狂った奥さんと出会ってから二年が過ぎていた。
 僕は一年前から、毎週火曜日の深夜になるとあのネオン管を目指していた。
 歩きながらガムを歩道に吐き出した。口内に溜っていた唾を車道に向けてペッと吐きながらポケットの中を弄り、最後のキスミントを取り出した。
 ピンクのネオン管がぼんやりと輝くDVDショップの駐車場には、見事に車が一台も止まっていなかった。
 水溜まりを避けながら駐車場を進むと、隣りの広場の大きなブナの木が台風の生温い夜風にざわざわと揺れた。
 
 DVDショップの入口に立つとギャギャギャギャンっと、今にも壊れそうな音を立てながら自動ドアが開いた。
 蛍光灯の灯りが僕に降り注いだ。店内で流れる有線放送は、いつものように懐メロ演歌だった。
 レジカウンターの中でコンビニのざるそばを啜っていた店主が、フラフラとやって来た僕をチラッと見た。しかし店主は興味なさそうに僕から目を反らし、深夜放送のお笑い番組を見つめた。

 ズラリとDVDが並ぶラックをいくつも通り過ぎながら、トイレの前にあるラックで足を止めた。
 そこは、醜い裸体を晒した親父達のDVDが並ぶ『ホモ』のコーナーだった。
 僕はトイレのドアを開け、中に誰もいないかを確認した。
 トイレの前の壁に凭れながらゆっくりとしゃがむと、遠くの方からギャギャギャギャンっと自動ドアが開く音が聞こえた。
 コツコツと革靴の踵の音が聞こえた。その足音はこっちに向かってきた。僕はわくわくしながら、タラタラと垂れる鼻血を袖で拭い取った。

 革靴の音が僕の目の前で止まった。
 そっと顔を上げると、でっぷりと太った親父がニヤニヤしながら僕を見下ろしていた。
 それは確か、先週交わった親父だった。僕を洋式便器の上にしゃがませながら激しく交わった変態親父だった。
 親父は僕の顔を見つめながらトイレを指差した。
 僕はコクンっと頷きながら立ち上がると、トイレに向かってゆっくりと歩き出した。
 そんな僕の尻肉を、親父は鷲掴みにした。
「今日も、肛門にチンポを刺したままイカせてやるからな」
 親父は背後からそう僕に囁くと、歯槽膿漏の息を撒き散らしながらひひひひひっといやらしく笑った。
 僕はトイレのドアを開けながら、「あなたはまだヒルスキーの予言を信じていませんね」と呟いた。
 そして便器の前に立ちながらズボンをスルスルと下ろし、「あなたは電磁の恐ろしさを知らないのです」と言いながら、既に勃起しているペニスを突き出した。
「なんだよ、またその話か……おまえがキチガイじゃなかったらもっと楽しめるのにな……」
 親父は残念そうにそう言いながら、僕の尻の谷間に固い肉棒を押し付けて来た。

「あなたは知らないだけです。前坂さんも、北林さんも、村岡さんも、みんなみんな死にました」

 親父はそんな僕の言葉を「はいはい、わかったよ」と受け流し、僕の肛門にグミのようにコリコリとした亀頭を押し付けて来た。

 僕の中に親父の亀頭がヌルッと滑り込んだ。
 同時に僕の鼻から生温かい鼻血がトロッと垂れた。

(あなたも僕も、もうすぐ死ぬんです……あの奥さんのようにエイズで死ぬんです……)

 体をユッサユッサと揺らされながら、僕はそう笑ったのだった。

(罠・完)



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