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ピンク・プープー

2013/03/29 Fri 23:52

ピンク・プープー

《あらすじ》
家出娘は生温い風が漂うアキバを彷徨っていた。
そんな家出娘が、ある時、変態オタク男に拾われた・・・



 ギシッ、ギシッ、っと階段が軋む足音が聞こえた。
 その足は三段目辺りで止まり、二階の様子をジッと伺っている。
 私は読んでいた雑誌を、音を立てないように閉じた。
 慌てて敷きっぱなしの煎餅布団の上に静かに横になると、ソッと目を閉じながら階段の気配にジッと耳を澄ました。

 一戸建ての将吾の家は古い。
 トイレはボットン便所だし、狭い浴室の中にはでっかいガス湯沸かし器が置いてあるし、小さな台所にはいつも変な匂いが漂っていた。
 二階の将吾の部屋も古かった。
 部屋のドアは押入れみたいな襖だし(のび太の部屋と同じ)、天井は武家屋敷みたいな木の板だし、カサカサにささくれた畳の上には無理矢理カーペットが敷かれていた。

 階段の三段目辺りでジッと息を潜めていた足音は、また、ギシッ、ギシッ、っと音を立てて降りて行った。
 あの足音はきっと将吾のお父さんだ。お母さんだったら、ドシ、ドシ、と二階に上がってきて、ノックも無くいきなり襖をバサッと開けるはずだ。
 そしてヒステリックな声で、「あんた、いつまでウチにいるつもりなの! 早くおウチに帰りなさいよ!」と、いつものセリフを叫ぶに違いないのだ。
 私はその足音が将吾のお母さんじゃなかった事にホッとしながら、また読みかけの雑誌を捲った。
 この部屋にはオタク系の同人誌しかなかったけど、それでも潜伏中の私には、もってこいの暇つぶしになっていたのだった。

 捜索願いが出されていた私が、将吾の部屋に潜伏するようになったのは一週間前からだった。
 この男とは一週間前に初めて出会ったばかりだった。
 私はこの男の事をあまり知らない。
 名前は将吾で、歳は二十八才で、体重が百二十キロを超えていて、古い民家に両親と三人で暮らしながらアキバと家を行ったり来たりしているキモオタニート、という事くらいしか知らなかった。


 将吾と出会った経緯は、とても単純だった。
 今から十日ほど前、高校を辞める辞めないで親とケンカした私は、着の身着のままで家を飛び出した。
 そのままアキバのコスプレカフェで一緒にバイトしているミイナの彼氏のマンションに転がり込み、そこからミイナと一緒にバイトに通う事にした。
 しかし、二日目の朝、突然ミイナがキレた。
 私がミイナの牛乳を飲んだと言ってミイナがキレ出したのだ。
 ミイナは、「もう出てってよ!」と叫びながら、先月号の『Can Can』を壁に投げつけた。
 わーっと泣き出すミイナに、「わかったよ……」と呟いた私は、昨日マツキヨで万引きした化粧品や下着といった、唯一の私の所持品をコンビニの袋の中に慌てて押し込んだ。
「人のモノばっか盗ってんじゃねぇよ!」
 鼻水をダラダラと垂らしながらミイナが叫んだ。
 私は「ごめんね」と言い残し、そのままマンションを飛び出したのだった。

 たかだか牛乳を飲んだだけなのに、異常なキレ方だった。
 マンションの前の路地まで、ミイナの絶叫する泣き声やモノを壁にぶつける音が響いてくる。
 そんな怒り狂うミイナから一刻も早く逃げようと、私はストラップの鈴をチリチリと鳴らしながら小走りに走った。

 私は、ミイナがキレた本当の理由を知っていた。
 それは、私がミイナの彼氏とヤってしまったからだ。

 でも、あれはミイナが悪いのだ。私が寝ているすぐ横で、わざと私に見せつけるようにヤり始めたから悪いのだ。
 それは、昨日の深夜の事だった。午前三時くらいだったから、正確には今朝の三時頃。
 いつものように三人で布団を並べて寝ていると、突然、隣りのミイナの布団がモソモソと蠢き始め、「あん、あん」というミイナの切ない声が聞こえて来た。
 私は寝たフリをしながらソッと隣りを見た。
 茶髪のミイナの彼氏が、ミイナの丸いお尻の上でコキコキと腰を振っていた。
 先月、彼氏と別れていた私は、かれこれ一ヶ月以上もエッチをしていなかった。それに、毎日必ず寝る前にしていたオナニーも、今のこの家出状態では一回もできなかった。
 そんな状態の私が、初めて他人のエッチを見てしまった。
 すぐ隣りの布団だったから、ハァハァという息づかいとか、おちんちんがアソコを行ったり来たりするピチャピチャという生々しい音までモロに聞かされた。
 それは、いつもオナニーの時に見ているネットのアダルト動画なんかよりも、ずっとずっとエッチで刺激的だった。
 気が付くと、私は寝たフリをしながらも自分のアソコをクチュクチュと弄っていた。
 ミイナの丸いお尻に、激しく腰をパンパンと打ち付ける彼氏をソッと見つめながら、私はヌルヌルに濡れたアソコを指で掻き回していた。
 しばらくすると、彼氏は「んふっ、んふっ」と変な鼻息を吐きながら、ミイナの背中に精子をいっぱい出した。
 ミイナの細い背中に点々と溜っていく精子の塊は、白くてプニプニして、まるで丸いナタデココみたいだった。
 ミイナは背中にプニプニの精子を垂らしたままお風呂場へ消えて行った。
 シャワーのボイラーの音が、静まり返った部屋にボーっと響き出すと、突然彼氏がムクリと起き上がり、寝たふりをしていた私の顔を覗き込んだ。
「オナってるの?」
 いきなりそう聞かれた私は心臓が破裂しそうだった。
 私はそのまま寝たフリを続けた。
 でも、そんな寝たフリは長くは続かなかった。
 彼氏の手が私の掛け布団をソッと捲った。
 左手でパンティーを下ろしながら、右手の指で陰毛を掻き分けた。
「凄く濡れてんじゃん……ミイナが戻って来るまでにイカせてあげよっか?」
 そう耳元で優しく囁かれた私は、気が付くとカエルのように股を開いていたのだった。

 それが原因でミイナからマンションを追い出された私は、行く宛もなく一人アキバをブラブラした。
 行き場のない排気ガスがビルとビルの間に溜り、貪よりとした空気が街全体を包み込んでいた。
 四時からバイトだったけど、あのコスプレカフェはミイナの紹介だったからもう行けないと思った。
 それに、さっき学校の友達に電話を掛けたら、昨日、私のお母さんが警察に捜索願いを出したらしいと教えてくれた。
 私があの店でバイトしていた事をお母さんは知ってたから、どっちみちあの店に近付くのはヤバかった。

 ブラブラとアキバの駅の周辺を歩き回り、歩き疲れてチョムチョムの前の植木のベンチに腰掛けた。
 喉がカラカラだった。お腹も空いて来た。マックのバニラシェイクが凄く飲みたかったけど、私の所持金は二十五円しかなかった。
 また親父にパンツでも売ろっか、と思いながら、駅から出てくるサラリーマン達を眺めていると、ふいに背後から声を掛けられた。
「ピンク・プープーのピピちゃんだよね?」
 ピンク・プープーというのはバイトしていた店の名前で、ピピというのは私の源氏名だった。
 ゆっくり振り返ると、そこには丸々と太ったキモオタが、真っ白な頬をタプタプさせながらニヤニヤと笑っていた。

 それが将吾だった。
 将吾はピンク・プープーの常連らしかったけど、私は彼を知らなかった。
 これほど不気味なデブならさすがに覚えてるだろう、と思いながら客の記憶を辿ってみたけど、でも、浮かんで来る客は同じようなキモデブばかりで、誰が誰だかわかんなくなってしまった。
「これからバイトに行くの?」
 そう馴れ馴れしく聞いて来る将吾の手には、マックの袋が握られていた。
「バイトは辞めちゃったの」と答えながら、私はマックの袋から微かに漂って来る、蒸れたハンバーガーの香りに軽い目眩を覚えた。
「えー、どーしてぇー」と、通行人が避けるくらいの大袈裟なリアクションをする将吾に、私は「これからどこに行くの?」と首を傾げた。
「これから?……ウチに帰るけど……どうして?」
 将吾は、芋虫のような太い指で、垂れ下がった眼鏡を上げながら聞いた。
「そのマック……誰が食べるの?」
 私は物欲しげにマックの袋を見つめながら聞いた。
 将吾は、一瞬何が何だかわからない表情を浮かべながら、「ん?」と、その太い唇を窄めた。
「だからぁ……それ、あなたが食べるのって聞いてんの」
 そう言いながら私がマックの袋を指差すと、将吾は「あっ、これ」とマックの袋を持ち上げながら、「そうだよ」っと笑った。

 そんな将吾の背後の大通りを、救急車がけたたましいサイレンを鳴らしながら走って行った。
 ビルとビルの間に鳴り響くサイレンは、まるでヘッドホンで聴いているように私の耳をつんざいた。
 加藤とかいう狂った男がアキバに現れたあの日以来、私はアキバで聞く救急車のサイレンの音がトラウマになっていた。
 地元で聞くサイレンの音はなんでもないのに、アキバの、この貪よりとした空気と派手な看板を目にしながら聞くそれは、道路に飛び散った真っ赤な血と、断末魔の唸りを上げる人達の声を甦らせ、私をどっぷりと落ち込ませた。

 サイレンの音が通り過ぎて行くのを、項垂れたままジッと耐えていると、将吾が「大丈夫?」と私の顔を覗き込んだ。
 デブ特有の口臭が、私の顔をモワッと包み込んだ。その臭いに耐えきれず、おもわず「うっ」と顔を上げると、凄い至近距離に将吾の顔があった。どこかの地方都市のゆるキャラみたいだとふと思った。

「お腹空いてるんだったら、食べてもいいよ」
 そう言いながらマックの袋を私に差し出そうとした瞬間、素早く将吾の手からそれを引ったくってやった。
 バサバサと袋を開けると、中には五個のハンバーガーが詰まっていた。
「これ全部、一人で食べるの?」
 目を丸めて聞くと、将吾は何を勘違いしたのか「そんなの、おやつだよ」と、唇の端を歪めながら威張ったのだった。


 それが将吾との出会いだった。
 これがきっかけで、私はその日から将吾の家に潜伏する事になった。
 この『潜伏』っという難しい言葉は将吾が最初に言い出した。
 捜索願いを出されている私が、密かに隠れている事を『潜伏』というらしい。
 そんな潜伏先を提供した者も罰せられるらしく、それを恩着せがましくネチネチと話す将吾は、潜伏したその日の夜にさっそく私の身体を求めて来た。
「僕も危ない橋を渡ってるんだ。このくらいの見返りは当然だろ」
 さも当然のようにそう言いながら、将吾は私を布団の中に引きずり込もうとした。
 私は、絶対ヤダ! と思った。
 こんな気持ちの悪い男なんかに触られるくらいなら死んだ方がマシだと思った。
 足をバタバタさせ、床に転がっていたプレステのリモコンを投げつけ、「ヤダぁぁぁぁ!」と叫んでやった。
 すると階段の下から「将吾ちゃん、誰がお友達が来てるの?」というおばさんの声が聞こえて来た。
 三十近い息子を『ちゃん』付けで呼ぶ母親に不気味さを覚えた。
 でも、それよりも、もっと不気味に感じたのは、そんな母親に対する将吾だった。
「こっちに来るな! 上がって来たらぶっ殺すぞ!」
 将吾は裏声になりながらそう叫ぶと、入口の襖に飲みかけの缶ジュースを投げつけた。
 缶ジュースがガスっ! と音を立てて跳ね返ると、いきなり将吾が「あああああああああああああああ!」と叫びだした。
 そんな将吾の叫び声に合わせ、階下のおばさんが「やめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」と叫び、慌てて居間へと逃げて行く足音が聞こえた。

 私の中で、ふと、あの時の加藤と将吾がダブった。
 床に飛び散ったジュースが、あの時の路上に飛び散っていた鮮血のように見え、階下で叫ぶおばさんの声が、血まみれになりながら助けを求めていた、あの時の女の人の声に聞こえた。
 胸がギュッと締め付けられ、背筋に冷たいモノがゾクゾクと走った。

「僕を怒らせると、マジ、ヤバいしぃ……」
 将吾は、自分の母親を退散させた事をさも自慢するかのように、ニヤニヤと笑いながら呟いた。
 確かにヤバいと思った。あの「あああああああああああああああ!」という叫びは普通の人間の怒り方ではなく、まるで怒り狂うマントヒヒのようなのだ。
 こんなキチガイに逆らったらマズいと、私は乾いた喉に唾をゴクリと押し込んだ。
 それと同時に、将吾の芋虫のような五本の指が私の腕をがっしりと掴んだ。
 私はそのまま人形のようにして布団の中に引きずり込まれたのだった。

 しかし、そんな布団の中では不思議な現象が起きていた。
 私を強引に布団の中に引きずり込んだ将吾だったけど、将吾は私を仰向けに寝かせたまま、ただジッと私を眺めているだけなのである。
 正面の壁に取付けてあった時計が五分過ぎ十分が過ぎた。
 それでも将吾は何もせぬまま、ただ私をジッと眺めているだけだった。
 恐る恐る「何してるの?……」と聞いてみると、将吾は普通に「見てるの」と答えた。
 そうしたまま一時間が過ぎた。
 その間、将吾は自分が所属する同人サークルの話しをベラベラと話しまくった。
 それ系の話しを聞かされるのはバイトで馴れていた私は、そんな将吾の話しに適当に付き合ってやっていると、そのうち将吾は布団の隅で踞るようにして寝転がり、しばらくすると私に背を向けたまま「おやすみ」と呟いては小さな寝息を立て始めた。
(なんだこいつは?……)
 そう思いながら、私は徐々に大きくなっていく将吾の寝息に安堵した。
 この男に、どれだけ酷い陵辱をされるのかと、ずっと脅えていた私は、将吾の鼾が聞こえて来るなり緊張の糸がプツンっと切れた。
 ホッとすると同時に、どっと疲れが出た。
 全身に心地良い睡魔がじわりじわりと襲い掛かり、電気もテレビもパソコンも点きっぱなしだったけど、私は深い眠りに落ちて行ったのだった。

 ふと、その違和感に気付いたのは、それからすぐの事だった。
 パッと目を開けると、爛々と灯る蛍光灯が目の前にあった。
 一瞬、ここはどこだっけ? と記憶喪失になりながら壁の時計を見ると、あれからまだ三十分しか経っていなかった。
 時計の針を見つめながら、この唯ならぬ雰囲気に、何か変だぞ、と思った。
 あれだけうるさかった将吾の鼾は消え、その気配すら消えているのだ。
 ソッと隣りの将吾を見ようとした瞬間、足下に違和感を感じた。
 そこに何かが潜んでいた。獣のような危険な息づかいが足下から漂って来た。
 私はゾッとしながら、恐る恐る足下に視線を落とした。
 一匹のトドが寝そべっていた。
 仰向けになったトドはハァハァと荒い息を吐きながら、大きな体を蠢めかせている。
 そのトドが将吾だと気付いた瞬間、私の股が円を描くようにして開かれている事に気付いた。
 歪に開かれた足の先が、仰向けに寝転がる将吾の股間でゆっさゆっさと上下に動いていた。
 私は目を見張った。なんと私の足の裏に将吾の肉棒が挟まれていたのだ。
 それは、コリコリと硬く、そして微妙にヌルヌルとした気色の悪い感触だった。
 将吾は私が見ているとも知らず、「ピピちゃん……イきそうだよ……精子がピュッと出ちゃいそうだよ……」などと不気味に呟き、そして更に「いいよ将吾君、ピピの足の中にいっぱい出して」などと、私の口マネまでする始末だった。

 それが将吾の性癖だと確信したのは、翌日の、やはり私が寝てしまった後の事だった。
 その日の私は、それを確かめようと、昨夜の将吾のように寝たふりをしていた。
 スースーっとわざとらしい寝息を立て始めてから約三十分後、横で踞っていた将吾がムクリと起き上がる気配を感じた。
 将吾は私の肩を揺り動かしたりしながら、私がぐっすり寝ているかどうかを確かめた。
 そして私が寝息のリズムを崩さないのに安心すると、そのまま私のミニスカートをふわりと捲り上げた。
 将吾は私の股をゆっくりと広げると、パンティーの上から陰部を嗅ぎ回った。犬のように鼻をクンクンと鳴らしながら、私のワレメやクリトリスに鼻の先を押し付けて来た。
 凄く気持ち悪かった。同時に、もし寝たフリがばれたりしたら、また「あああああああああああああああ!」とマントヒヒのように発狂するんじゃないかと恐ろしくて身動きできなくなった。
 結局、その夜も、寝たフリをしている私の股間の匂いを嗅いだだけで、それ以上はなかった。
「ピピちゃんのオマンコ、すごくエッチな匂いがするよ……」などと気持ちの悪い事を呟きながら、ちんちんに被せたティッシュをカサカサと鳴らしては、その中にドクドクと射精していた。

 その翌日も同じだった。
 Tシャツの上から私の胸を揉み、髪や耳の穴の匂いを嗅ぎ、最後は私のうなじにソッと顔を近づけながら、「あぁぁ〜ん、いやぁ〜ん、いっちゃう、いっちゃう」などと、なぜか女声で喘ぎながらティッシュの中にカサコソとイッた。

 更にその翌日、遂に将吾は私のパンティーを脱がした。
 私は必死に寝たふりをしながら、剥き出しにされた性器を覗かれる羞恥に興奮を覚えていた。
 ぶっちゃけ私は、連日連夜続くこの不思議なプレイに感じていた。これのどこが性的興奮を感じるのか自分でもわからなかったけど、なぜか無性にムラムラとした。
 そう考えると、今まで付き合って来た男達が言ってたように、やっぱり私はMなのかも知れない。

 将吾の太い指でベロリと開かれたアソコの奥から、生温かい汁が次々に滲み出てくるのが自分でもわかった。
 溢れたその汁が肛門を伝って行くのを感じながら、おもわず私は「入れて……」と声を出してしまった。
 私の股間に踞っていた将吾の身体が一瞬ビクッと動いた。
 ここでいきなり発狂されたら大変だと思った私は、両手で自分のお尻を持ち上げ、小さな女の子がおしっこさせられているような格好で股を開きながら、自分の指でアソコを開いて見せてやった。

 下腹部に力を入れ、アソコの肉を、ヒクッ、ヒクッと動かしてやった。
 膣が動くと、そこに溜っていたいやらしい汁がタラッと垂れ、それがツツーっとお尻の裏を伝って行った。
 が、しかし、なんと将吾はそんな私の挑発には乗って来なかった。
 将吾の性格が、内向的で恥ずかしがり屋だと思ったからこそ、敢えて挑発してやったのに、将吾はそんな私の挑発を無視したのだ。

 カチンっときた私は思いきって将吾に聞いた。
「ねぇ、入れてよ……」
 すると私のアソコを覗いていた将吾は、ティッシュを被せたおちんちんをカサカサとしごきながら「入れるのはダメだ」と呟いた。
「どうして?」
 私がムクリと上半身を起こしながらそう聞くと、私の足下でシコシコしていた将吾は「見ないで」と悲痛な声で唸った。
 そんな将吾はイってる最中だった。

 つまり、この将吾という男は、私に対して何やら異様な感情を抱いているようだった。
 っていうか、それは、実際には私ではなく、『プリンセス7』という同人アニメに出てくる『高槻杏奈』というアニメキャラに対する感情だった。
 確かに、将吾から見せて貰った同人誌に描かれていた高槻杏奈は、どことなく私に似ていた。
 そう言えば、ピンク・プープーでバイトしていた時も、気持ちの悪いデブ親父から、『この国は私達7人のプリンセスが守るのよ!』って叫んでみてくれなんて、気持ちの悪いリクエストをされた事もあった。

「ネットでも有名だったよ。ピンプーのピピは高槻杏奈に似てるってね……」

 将吾はそう言いながら、鷲掴みにしたキャラメルコーンを口の中に押し込み、ワシュ、ワシュ、と音を立てながら咀嚼した。
 私はヌルヌルに濡れたワレメを、悲しくティッシュで拭き取りながら、「……でも、例えそうだったとしても、どうしてエッチしないの?」と、唇を尖らせた。
 将吾はゆっくりと立ち上がった。
 ティッシュの破片が貼り付いた亀頭をブラブラさせながら、テレビの上に並んでいた7体のフィギィアのひとつをジッと覗き込み、ポツリと呟いた。

「できないんだよ……プリンセス達はエッチをしちゃうと摩耶王国の魔法の力が消えてしまうんだ……」

 ぶっとばしてやろうかと思った。
 その歪な形をした後頭部を、なぜかこの部屋の隅にずっと置いたままのヤマサ醤油の一升瓶でおもいきりぶん殴ってやろうかと、本気で殺意を覚えた。

「そんなプリンセスたちの魔力を消滅させようと、野蛮な魏罵人たちはプリンセス達の貞操を虎視眈々と狙ってるんだ。やつら魏罵人は、聖地・摩耶王国を乗っ取ろうとしてるからね……」

 そう語る将吾は、フィギィアを覗き込んでいた体をゆっくり起こすと、「でも、そうはさせない!」と振り向きながら裏声で叫んだ。

「聖地・摩耶王国とプリンセスの貞操を、僕達が魏罵人の邪悪な手から守らなければならないんだ!」

 裏声でそう叫ぶ将吾に背を向けた私は、そそくさとパンティーを履いた。
 そして、なぜ魏罵人が邪魔王国を滅ぼそうとしているのかという歴史を、一万年に遡って語り始めた将吾に、私は「無理。ねむ過ぎる」と背を向け、そのまま饐えた匂いのする布団に包まったのだった。

 そんなキモオタな将吾とこの部屋で暮らし始めて、かれこれ一週間が過ぎようとしていた。
 一週間が過ぎても、相変わらず将吾は私とエッチをしようとしなかった。
 その代わり、私がテレビを見ていると、そっと私の胸に手を回し、ノーブラのちっぱいをスリスリと擦ったり、又は、私が寝っ転がりながら雑誌を読んでいたりすると、ソッと私のパンティーを下ろし、剥き出しになったアソコを覗いたり、匂いを嗅いだりしながら、一人シコシコとオナニーをしていた。

 そんな生活がアホらしくて堪らなかった。
 でも、捜索願いが出ている私は、もうしばらくこのアホらしい家に潜伏しておかなければならなかった。

 私は、毎晩将吾から身体中を悪戯され、そして精液が飛び出すペニスを見せつけられていた。
 それを繰り返されていた私の性的欲求不満は、日に日に募るばかりだった。
 将吾は、毎日五時から開かれる同人サークルの集まりに出掛けた。
 将吾が家を出て行った後、私は欲求不満を解消する為に、一人淋しくオナニーに耽っていたが、でも、もう自分の指では満足できなくなっていた。
 おちんちんを入れて欲しい……。
 そう思う私は、あんな気持ちの悪い将吾でも、エッチして欲しくて堪らなくなっていたのだった。

 あるとき私は、将吾をその気にさせるいい方法を思い付いた。
 私が完全にその高槻杏奈とかいうキャラに成り済まし、エッチをしてと頼めばいいのだ。
 いや、あのバカ男のノリに合わせるのなら、
『人間のメトロエグッション(精子の事。プリンセス7の中ではそう呼んでる)を私のメルボ(マンコの事)に注入して、私のグミッションステージのパワー(意味不明)を最大のものにして下さい』
 とでも言ってやった方が効果的かも知れない。

 そう考えた私はさっそく同人誌を開き、そこに描かれている高槻杏奈を見ながら彼女と同じメイクをした。
 髪を二つ縛りにし、それを邪馬台国の人達のように両耳の後に束ねると、自分でも驚くほど高槻杏奈そっくりになった。
 でも、衣装がなかった。高槻杏奈はミニのウェディングドレスのような衣装を着てるけど、そんな衣装はこの部屋にはないのだ。
 だから私は全裸になる事にした。そのほうが将吾をその気にさせられるだろうし、それに手っ取り早く入れて貰えそうなのだ。
 よし! と気合いを入れて服を脱ぎ始めた。
 すっぽんぽんになってベッドに寝転がると急に下半身がムズムズして来た。
 キモオタデブ男の将吾にエッチされるシーンを思い浮かべながら指でアソコを触っていると、あっという間にイッてしまった。
 あんな気持ちの悪い男との想像で、これだけ早くイケると言う事は、かなり溜っているんだと自分が情けなくなった。

 オナニーを二回した後、ニンテンドー3DSで『レイトン教授と超文明Aの遺跡』という、ちっともおもしろくないゲームを弄っていた。
 ゲームをしながら、何度も時計を見上げ、「将吾、遅いなぁ……」と独り言を呟いた。
 将吾のマットレスにうつ伏せになりながらゲームを続けた。
 何度も壁の時計を見上げながら、「将吾、遅いなぁ……」と独り言を呟くと、不意に左足の脹ら脛が痒くなり、右足の爪でそこをカサカサと掻いていると、突然、背後から「何やってんのキミ……」という声が聞こえてきた。

 聞いた事のない声に慌てて振り返ると、見た事のない少年がポツンと立っていた。
 私は二センチほど飛び上がり、慌てて将吾のマットレスの中に潜り込んだ。
 あの少年はいったい何者だろう。将吾のオタク友達だったらまだいいけど、もし弟だったりしたらどうしよう。
 布団の中でそう思いながら、ひたすら(どうしよう! どうしよう!)と焦りまくっていると、布団の外から「はい……」という少年の声が聞こえた。
 毛玉だらけの掛け布団から恐る恐る顔を出してみると、少年が私のワンピを差し出しながらニコッと微笑んでいた。
「ありがとう……」と、取りあえずそれを受け取った。
 布団の中で頭からワンピを被り、もう一度ソッと少年を見た。
 少年は私と同い歳くらいの高校生だった。
 小さな顔は顎がスッと細く、おしゃれにセットした髪は茶髪に染めていた。
 雰囲気的にはジャニーズ系の少年だったけど、スレンダーな身体に背負ったリュックや、キーボードしか打った事のなさそうな弱々しい指から、アキバ系の香りがプンプンと漂っていた。

 少年は、床に散らばる雑誌やゲームを素早くどかせると、そこにポツンと腰を下ろした。
「将吾君は?……」
 靴下の裏に引っ付いたゴミを剥がしながらそう呟く少年の目は、今になって、見てはいけないモノを見てしまったという気まずさに震えていた。
「サークルの集まりに行くって出てったきり、まだ帰って来ないけど……」
 そう答えると、少年は「そうなんだ……」と呟きながらソッと顔を上げ、私を見て一瞬ハッとすると、「もしかして高槻杏奈?」と、目をキラリと輝かせた。
 恥ずかしくなった私が「ちがうよ」と笑うと、少年は「キミもプリンセス7が好きなんだね」と更に目を輝かせたため、私は慌てて両耳の邪馬台国縛りをバサッと下ろした。
「あっ、髪を下ろすと、ベレッサをしている時の佐倉璃子に似てる」
 少年は身を乗り出して私の顔を覗き込んだ。
「……ベレッサって……なに?……」
 私は、いきなり目の前に迫って来た少年の大きな目にドキドキしながら聞いた。
「ベレッサは、パワー注入する事だよ。プリセス達はベレッサをする時には全裸になって髪を下ろしてるじゃないか……っていうか、高槻のコスプレしてるのにそんな事知らないの?」
 少年は真っ白な前歯を出して笑った。虫歯でガタガタになった将吾の前歯とは、清流と沼地くらいの差があった。
「知らないよ……だって、プリンセス7はここに来て初めて読んだんだもん……」
 そう唇を尖らせると、少年は「そうそう、その表情、ますます佐倉璃子に似てる!」と子供のように喜んだ。
「その、佐倉璃子のファンなの?」
 私は首を傾げながら聞いた。それは、ピンク・プープーで客の延長をねだる時の仕草だった。
「ファン?……んん……ファンって言うか……璃子を守る剣戦士の一人だと思ってる……」
 少年は照れくさそうに笑った。
 その恥ずかしそうな笑顔が益々私の胸をくすぐった。

 いつしか私は少年に性的興奮を覚えていた。
 将吾と比べたら、この少年はどこかの国の王子で、将吾はその国の不浄な沼地に潜む化け物だった。
 つい今さっきまで将吾みたいな化け物とエッチをしたいと思っていた自分がバカみたいに思えた。
 そんな私のノーパンのワンピの中では、今まで将吾を受け入れる為だけに溢れていた汁が、今では少年を受け入れたいと思う汁に変わろうとしていた。

「ねぇ」と私は、ピンク・プープーで覚えた『男を魅了する視線』で少年を見た。
 いきなり艶っぽいモードに変身した私を、少年は「えっ」と目を丸くしながら見た。
「そのベレッサっていうパワー注入の方法はどうやってやるの?……」
 そう囁きながら少年の太ももにソッと手を置いた。少年は一瞬ギクッとしながらも、太ももを優しく擦る私の手をムラムラした目で見つめた。
「……パワー方法は……Sガロンをメルボに注入するんだ……そうすればグミッションステージが」
「Sガロンってなに?」
 私は少年の顔を顎の下から見上げながら囁いた。
「Sガロンは……その……プリンスのちんちん……」
「じゃあメルボは?……」
 私は少年の腰に両手を回しながら聞いた。
「メルボは……プリンセスのアソコ……」
「って事は、セックスって事?」
「……まぁ、現世用語で言えば……そうなるけど……」
 そう呟きながら、顔を真っ赤な顔にさせる少年のズボンのベルトを、私はいきなりカチャカチャと外し始めた。
 少年は「えっ?えっ?」と焦っていたけど、私は強引にズボンとパンツを同時に下ろした。
 モンキーバナナのようなペニスがペロンっと飛び出し、少年は唖然とした。その亀頭は真っ白な皮にスッポリと包まれていた。
「あなたのSガロンで、私のグミッションステージを上げて……」
 真正面から少年の目をジッと見つめながらそう呟き、萎れたペニスをほんの少しだけ上下させた。
「いや、でも、それは……」
 焦る少年の皮を一気にペロリと捲ってやった。真っ赤な蛇苺のような亀頭がヌルッと顔を出し、強烈なチンカス臭がモワッと溢れた。
 これが将吾の臭いだったらゲロを吐いてたかも知れないけど、恥じらう少年のその臭いは私の変態スイッチをポチッと押してしまった。
 この少年のなら、恥垢だらけの亀頭でも、ウンチの付いた肛門でも舐める事ができると思った。いや、今は舐めたいとさえ思った。
 そんな変態性欲に心を躍らされた私は、「あぁぁん……」っと唸りながら少年の股間に顔を埋め、そのままペニスをツルンっと飲み込んだ。
「あっ」と小さな声を上げた少年は慌てて私の頭を両手で押えると、「無理、無理」と言いながら尻込んだ。
 そんな尻を両腕で押え付けながら亀頭を舌でコロコロと転がすと、少年のペニスは私の口の中でみるみる大きくなった。
 それをすかさずスポンっと抜くと、亀頭を唇に挟みながら少年を優しく見つめ、「私と……エッチしたくないの?」と、おもいっきり可愛く聞いてやったのだった。

「で、でも、将吾が……」
 少年は、百メートルのプールを一気に泳ぎきった時のように、ハァハァと荒い息を吐きながら聞いた。
「将吾なんか関係ないよ……」
 そう言いながらカチカチになったペニスを激しくシゴくと、少年は「あぁぁ……」と苦しそうな表情をしながら、本当にイイの?と聞いて来た。
 私は少年を見つめたままワンピースを脱いだ。おっぱいは小学生並のちっぱいだけど、ツルツルの肌とプルンっとしたお尻には自信があった。
 そんな身体をいやらしくくねらせながら、私は布団の上に仰向けに寝転がった。
「早く脱いで……」
 そう囁きながら静かに股を開くと、少年は子供がお風呂に入るときみたいに、一瞬にして全裸になったのだった。

 少年の身体が私の身体を包み込んだ。
 まるで海で溺れた人が、救助隊が投げた浮き輪にしがみつくかのように、少年は必死になって私の身体にしがみついてきた。
「もしかして始めて?」
 少年の頭を優しく抱き抱えると、私は耳元に唇を押しあてながら聞いた。
 すぐにコクンっと頷いた少年に優しく微笑みながら、私は少年の股間に手を回した。少年のペニスは、今にも爆発しそうなくらいにピンピンと張っていた。私はそれを指先で摘むと、開いたアソコにヌルヌルと擦り付けた。
「あぁぁ、なんか、もう、出ちゃいそうだよ……」
 そう言いながら腰をモゾモゾさせる少年の耳元に、私は「いいよ、中で出しちゃっても」と囁きながら腰を突き上げた。
 ヌルッという感触が互いの性器を包み込んだ。と、同時に互いが唸った。久々の肉棒の侵入に「あぁぁん!」と背骨を反らす私と、始めての挿入に、「うっ!」と唸りながら下唇を噛む少年。
「もうダメぇ! 早く動かして!」
 少年の尻に手を回した私は、自分で腰をガンガンと振りながらそう叫ぶと、少年はスースーと激しい鼻息を鳴らしながら、ぎこちなく腰を振り出したのだった。

 童貞にしては凄い腰の振り方だった。私の太ももと少年の太ももが激しく衝突し、部屋の中にはパンパンパンっと乾いた音が響き渡った。
 そんなセックスは、ミイナの彼氏を寝取った時と同じだった。そこに愛は存在せず、ただただヤリたいだけの獣がひたすら腰を振っているような、そんな殺伐としたセックスだった。
 だけど私はそれでも気持ち良かった。彼氏でもない男に、ひたすら肉棒を出し入れされるだけのセックスは少し淋しい気がするけど、だけど身体はハンパなく感じていた。
「もっといっぱい動かして! もっともっとめちゃくちゃにして!」
 天井に向かってそう叫ぶと、不意に廊下の板がギギッと軋む音が聞こえ、私は慌てて入口の襖に振り向いた。
 そこには、将吾が呆然と立ちすくんでいた。
 いったいいつからそこにいたのか、将吾の両膝はリズムを取ってるかのようにガクガクと震えていた。
 私と目が合うなり、将吾が「ああ」と唸った。
 そしてゆっくりと部屋に入りながら「あああああああああああああああああああ」と叫んだ。
「えっ?」と少年が慌てて振り返った瞬間、私の穴の中で生温かい汁が弾けた。少年は絶叫する将吾を見つめながら射精し、恐怖と快楽に同時に襲われながら、慌てて私のちっぱいな胸の上に身を縮めた。

「それをしてしまったらアウトだ! 入れてしまったらもうアウトなんだよ!」

 将吾は狂ったようにそう叫びながらテレビの台の引き出しを開けると、その奥から黒皮のカバーの付いたサバイバルナイフを取り出した。
 私が「あっ」と口を開いた瞬間、将吾は素早くカバーを外し、銀色に輝く鋭い抜き身をおもいきり振りかざした。両手でナイフを握りながら振りかざすその姿は、まるでアメリカのB級スプラッタームービーのワンシーンのようだった。
 ナイフを大きく振りかざしたまま止まっている将吾と目が合った。
 声の出ない私は、「やめて」と目で訴えた。
 そんな私の目を見て将吾は一瞬笑った。いや、笑った気がしただけかも知れない。

「アウトだ」

 そう叫んだ将吾の姿が私の視界から消えた。
 ドンっという鈍い音と振動が私の胸に響き、同時に私の胸の上にいた少年の身体がビクンっと跳ねた。

「アウトだ。アウトだアウトだアウトだ」

 将吾がそう呟く度に、私の胸の上で少年の身体が、ドン、ドン、と跳ね、六度目にドンと跳ねた時に、一言「痛っ」と呟いたっきり、少年は何も言わなくなった。
 ぐったりとする少年の下敷きになっていた私は、生温かい液体に包み込まれていた。私の身体を通過してマットに染み込んで行くその赤い液体は、精液のようにヌルヌルし、鉄錆のような匂いがした。
 将吾の目がジッと私を見つめていた。
 私も将吾の目をジッと見つめていた。
 ドラゴンボールの目覚まし時計の針が、部屋中にカチカチと響いていた。一階の居間から、夕方のニュースのオープニング曲が微かに聞こえてきた。

「ピンク・プープーに戻れよ」

 将吾が血だらけの指の爪をカリカリと齧りながら呟いた。

 私は、あの日のアキバに漂っていた生温かい風をふと思い出しながら、「もうアキバには行かないよ」と答えたのだった。

(ピンク・プープー・完)



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