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蛞蝓 —なめくじ—2

2012/11/17 Sat 04:25

なめくじ2




 それから三日間、私は深夜の徘徊をやめていた。
 五光神社のナメクジ灯籠の裏であの奇妙な女を見てからというもの、膣の奥底で蠢くナメクジと、女のあの冷たい一重瞼が事ある事に頭に浮かびあがり、常に私は異様な恐怖に包まれていたからだ。
 しかし、その恐怖はただ怖いというだけでなく、奇妙な性的興奮も呼び起こしていた。
 それは、エログロ的な性的興奮であり、例えば誰かに脱糞シーンを見てもらいたくなるような、そんな異常な感覚だった。

 そんなある日の事だった。昼休みが終わりかけた頃、そそくさとトイレに向かう松田瑛子を見た。
 松田瑛子の右手には肌色のポシェットが握り締められており、生理だなと思うと、なぜか私は無性に欲情した。

 廊下に誰もいない事を確認した私は、何気ないふりをしながら素早く女子便所に忍び込んだ。
 女子トイレには個室が二つ並んでいた。細かく区切られたタイル床は妙に埃っぽく、個室のピンクの扉が窓から注ぎ込む太陽の光に安っぽく照らされていた。
 奥の個室の扉が閉まっていた。私は手前の個室の半開きになった扉をすり抜けると、素早く扉を閉めた。
 残念な事に、トイレの個室の壁下に隙間は無く、隣りを覗く事はできなかったが、しかし、物音はしっかりと聞こえて来た。
 静まり返ったトイレに、カサカサと事務服が擦れる音が響いた。
 スカートを捲り上げ、ストッキングを下ろし、そしてパンツをスルスルと下げる。微かに聞こえてくる物音からそんな想像を膨らませながら、私は硬くなった肉棒を密かにシゴいた。
 衣類系の音が静まると、一呼吸置いた後、突然、蛇が威嚇しているような「しゅっ」という音が響き、すかさず私の脳裏に黄色い尿が噴き出すシーンが浮かんだ。
 白い便器に飛び散る小便はびしゃびしゃと下品な音を立て、それが次第にトポトポトポっという音に変化すると、その音が止まないうちにトイレットペーパーを捲るカラカラカラっという音が壁に響いた。
 壁に耳を押しあてていると、カサカサカサっと陰部を拭う音が聞こえて来た。
 巨大なエラを黒髪で隠した根暗な事務員が、膣にタラタラと滴る尿を拭っているシーンを想像した私は、無性に射精したくて堪らなくなった。
 しかし、ここでイッてしまうのは勿体ない気がし、慌てて一触即発の肉棒からソッと手を離しながら呼吸を整えていると、何やらビニール袋を破るようなパサパサとした音が聞こえて来た。

 松田瑛子がトイレから出て行ったのを確認すると、私はすぐさま松田瑛子が入っていた個室へと移動した。
 洋式便器の裏から、青い蓋の汚物入れを引きずり出した。カポッと蓋を開けてみると、案の定、丸まったナプキンがひとつだけ押し込まれていた。

 このナプキンが松田瑛子の物であるのは間違いなかった。
 私は荒い息を必死に堪えながらそれを摘まみ上げると、丸まったナプキンのテープをピリリッと剥がした。
 真っ白なナプキンにじっとりと染み込んだドス黒い血は、まるで前衛的な芸術作品のようだった。
 これが、あの根暗な松田瑛子の陰部に貼り付き、膣から滲み出てくる不浄な血をジクジクと吸い取っていたのかと思うと、私はそれの匂いを嗅がずにはいられなかった。
 そこには強烈なイカ臭が漂っていた。それはまるで直接スルメイカを嗅いだ時のような刺激臭だった。
(クサマン女め……)
 そう呟く私は、暗い顔をして項垂れる松田瑛子を真っ赤なロープで縛る妄想をしながら、そのイカ臭く赤黒い血を舌先でチロチロと舐めたのだった。

 本来、私はここまでの変態ではなかった。
 確かに、妻の下着のシミを嗅いだり舐めたりはする事はあったが、さすがに汚物入れの中の使用済みナプキンを舐めるまでの重症ではなかった。
 全てあのナメクジ女のせいだった。私の変態性欲を重症にさせたのは、あのナメクジ女を目撃したからだと言っても過言ではなかった。

 私は松田瑛子の不浄な血がべっとりと染み込んだ部分に精液を飛ばした。この野郎、この野郎、と呻きながらペニスをシゴき、真っ赤なナプキンを白い精液でドロドロにしてやった。
 トイレから出てオフィスに戻ると、私を見つけた松田瑛子が慌てて私を呼び止め、「さっきマルトモ電気の専務さんから電話がありまして、次回の大売り出しの広告原稿をすぐにファックスで送って欲しいとの事です」と告げた。
 赤いロープで縛られながら肉棒をズシズシと入れられる松田瑛子の股間には、赤黒い血がドロドロと溢れていた。
 そんな妄想を思い出しながら、「了解」と頷いた私は、すぐさまデスクに俯いた松田瑛子の後頭部に(クサマン)っと呟いたのだった。

 会社でおびただしい量の精液を放出したばかりだというのに、私のウズウズとした変態性欲は治まってくれなかった。
 駅のホームで戯れている女子高生達を見ては、あのムチムチの太ももを包丁でブスブスと刺しまくりたいといった猟奇的な衝動に駆られたり、駅前の歩道を歩く若いOLの尻を見ては、あの尻に顔を埋めたまま下痢を噴射されたいなどと、実に病的な妄想に駆られたりした。
 今夜こそは妻とセックスをしよう。どれだけ嫌がろうが強引に押さえつけ、身体中をロープでぐるぐる巻きにして小便を飲ませてやるんだ。
 そんな事を考えながらいつもの商店街を歩いていると、肉屋の店先にどこか見覚えのある女が立っているのが見えた。

 女はベビーカーを持ったまま肉屋のショーケースを覗き込み、まさに豚そのものの顔をした肉屋の親父と言葉を交わしていた。

(あの奥さん、誰だっけ……)

 そう思いながら進んだ。近所の奥さんのような気もするし、どこかのお店の店員だったような気もする。
 ショーケースを覗き込んでいた女だったが、結局、ショーケースの上に山積みになっているコロッケを指差し、財布を取り出した。
 その時、女の横顔を見て「はっ」と思った。
 スッと線を一本引いただけのような細い一重瞼と、あのポテッと膨らんだいやらしい唇は、ナメクジ灯籠の裏でオナニーしていた女に間違いないのだ。

 私は瞬間的に方向転換し、肉屋の正面にある本屋の前で足を止めると、店先に置いてあった週刊ポストを捲りながら背後に神経を集中させた。

「カズマ君、今夜はパパの大好きなコロッケだよ〜」

 女の声が聞こえた。ふと見ると、正面にある本屋のショーウィンドゥに女が映っていた。全体的にぽっちゃりとした体がベビーカーを覗き込み、しゃがんだ太ももがムチムチしているのが見えた。
 私は、雑誌を立ち読みするふりをしながらソッと体を傾け、しゃがんだままベビーカーを覗き込んでいる女を見下ろした。

 今にも胸元から零れ落ちそうな巨乳が私の脳を刺激した。さすが乳飲み子を持つ若い母だけあって、その乳は蕩けそうなくらいに柔らかそうだった。
 私は女を視姦しながら、こんな普通の主婦がどうしてあんな事をしていたんだろうと考えていた。
 しかし、その普通さが逆に興奮を呼び起こし、下衆な欲情に包まれた。あの女はああやって普通の主婦を演じているが、実はとんでもない変態なんだと、あの時のあの光景を思い出しながら週刊ポストに熱い息をハァハァと吐きかけていた。

 女はコロッケを受け取ると、ベビーカーを押しながら歩き出した。
 私は週刊誌を棚に戻し、そっと女の後を付けた。
 女は金物屋の奥さんに挨拶をしていた。魚屋の親父がベビーカーを覗き込みながら、「おっ、カズマ君、元気か」などと話し掛けていた。どうやら女はこの近所に住んでいるらしい。
 左右に歪むポテポテの尻をジッと見つめながら、女の後を付けていた私は、その谷間に顔を埋めて肛門を舐めまくる視姦をしていた。
 今すぐにでもこの女とヤリたかった。
 女が人気のない場所に行ったらすかさず声を掛け、ナメクジ灯籠の件は近所には内緒にしておいてやるからパンツを脱げ、と女を死角に連れ込み、そこで存分にオマンコと肛門を舐めまくってやろうと本気で企んでいた。

 そんな私の願いが通じたのか、女は商店街から細い路地へと右折した。そこは大きな電子部品工場の端にある路地で、昼間でもほとんど人通りのない湿った路地だった。
 しかし、女の後を追ってその路地に入ろうとした瞬間、ふとベビーカーの上で反対向きに座っていた幼児と目が合った。
 幼児は母親の太もも越しに天真爛漫の笑顔でニヤっと笑うと、人形のような小さな手をぶらぶらと振りながら、私に向かって「ババイ」と呟いた。
 路地に曲ろうとしていた私の足が一瞬にして凍りついた。
(子供がいるというのに俺は何をしようとしているんだ!)
 そんな激しい怒りに包まれた私は、奥歯をおもいきり噛み締めた。そして、未練がましくもう一度女の尻を見つめ、その光景を目に焼き付けると、そのまま後も振り向かず立ち去ったのだった。


 ポテポテの尻と、むにゅっと柔らかそうな乳を思い出しながら鮭の切り身をほじっていると、対面式キッチンの流し台で洗い物をしていた妻が、「ニヤニヤしてないで早く食べちゃってよ、私、八時からマタニティーヨガに行かなきゃなんないんだから」と吐き捨てた。
 わかってるよ、と呟きながら箸を動きを速めるが、しかしあの女のいやらしい身体は、私の頭からなかなか離れてくれなかった。

 七時五十分を過ぎると、妻は洗い物を残したまま、週に一度のマタニティーヨガへと出掛けていった。
 二年生の息子とリビングでクイズ番組を視た。四年生になる娘は、最近妙に私を避け始め、妻がいない時は部屋から出て来ようとはしなかった。
 今夜こそは妻と交えたかった。あの女のいやらしい身体が記憶から消えてしまう前に、どうしても抜いておきたかった。

 九時を少し過ぎた頃、妻が帰って来た。
 既に子供達は寝ており、私はリビングに入って来た妻を背後から優しく抱きしめた。

「ちょっと、やめてよ、凄く疲れてるんだから」

 けんもほろろに肘鉄を食らった。
 妻はまるで逃げるようにして浴室へと駆け込むと、ドア越しに「明日、検診があるからダメよ」と呟き、無情にもガチャリと鍵の音を響かせたのだった。


 その日の深夜、私はモヤモヤとした気分のまま寝室を抜け出した。
 脱衣場に忍び込み、洗濯機の中から妻の下着を摘み出して匂いを嗅いだ。
 マタニティーヨガで汗をかいたせいか、下着は全体的に湿っていた。クロッチを汚すシミは広範囲に広がり、そのマタニティーヨガによって、いかに身体を歪めていたかを物語っていた。
 そんなクロッチを顔に押し当てた。茶色いシミはオリモノ臭がキツく、尿のアンモニア臭も半端ではなかった。
 これほどにキツい下着は久しぶりだった。きっとマタニティーヨガで尿漏れしたに違いないと、ニヤニヤしながら股間を弄るが、しかし、私はそれを洗濯機の中に戻した。
 そんな私は、さっき妻に拒否された時から、今夜はナメクジ灯籠に行ってみようと決めていたのだった。

(つづく)

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