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寝取られし者1

2013/05/30 Thu 15:16

寝取られし者3




 駅裏の雑居ビル群の裏手に、車も通れないような細い路地があった。そこら一帯は旧赤線らしく、曲がりくねった路地には、いかにもそれらしき建物が、まるで道端で乾涸びる猫の糞のように淋しく取り残されていた。
 そんな湿った路地を進んで行くと、古い芝居小屋のようなポルノ映画館と並んで庶民的な小さなパチンコ店があった。
 未だ喫煙を容認している駅裏の小さなパチンコ店からは、ひっきりなしに鳴り響く様々な電子音と、何を喋っているのか聞き取れない低音の場内アナウンスが、複雑に混ざり合いながら路地に洩れていた。
 暑い夏の日だった。
 私は、ポルノ映画館の隣りにある古びた定食屋で冷やし中華を啜っていた。猛暑だというのに店内には扇風機しか無く、ワイシャツの背中は汗でびっしょりと濡れていた。
 皿に残った冷やし中華のツユをズルズルッと飲み干すと、酢汁に溶けたカラシが鼻を刺激した。テレビから『キューピー三分クッキング』のメロディーが聞こえて来た。
 そろそろ時間だな、と思いながら席を立ち、厨房の奥でずっと夫婦喧嘩していた老夫婦に五百円玉をパチンっと示すと、私は二軒隣りのパチンコ店へと向かったのだった。

 朝から座っていた台に戻ると、気怠そうにやって来たパンチパーマの店員が、私の台のガラスに貼っていた『お食事中』というプレートを無言で持ち去った。
 玉は然程残っていなかった。これ以上、玉を足す気のなかった私は、残りの玉を滅茶苦茶に打ち、あっという間に上皿を空にしてしまった。
 椅子の上で背伸びをしながら、わざとらしく「あぁぁ〜あ」と大きなアクビをすると、三台隣りに座っていた牧田さんが「俺も今日は全然ダメだよ」と私に苦笑しながら缶コーヒーをグビリと飲み干した。
 私は牧田さんの隣りの台へと移動した。今日は二万円も溶けちゃいましたよ、とぼやきながら煙草に火を付け、みるみると玉が減っていく牧田さんの上皿をチラリと見た。
「俺もだよ。一万円持ってかれちゃった。ついてねぇよ」
 そう苦々しく呟きながら最後のひと玉まで真剣に見つめる牧田さんは、日雇いで交通整理をしている四十半ばの中年男だった。

 私が牧田さんと言葉を交わすようになったのは、今から二ヶ月ほど前からだった。きっかけは、やはりこのパチンコ店で毎日燻っている信吾君の紹介だった。
 信吾君というのは、自称パチプロを名乗る二十四才の青年で、朝から晩までこの古びたパチンコ店に入り浸っていた。
 このパチンコ店に私が通うようになって三日くらいした頃、ひょんな事から信吾君と仲良くなり、パチンコ店が閉店してからも、駅前のサウナへ一緒に行ったり、居酒屋で酒を飲んだりするような仲になった。
 そんなサウナで、私は信吾君から牧田さんを紹介された。三人はパチンコの話題で盛り上がり、パチンコの新台の話しなどしながら、何度も何度もサウナを出たり入ったりと繰り返した。
 そうしながらも私は、牧田さんのペニスをこっそり観察した。牧田さんが洗い場で洗髪している時などには、わざとらしくカミソリを取るふりをしながら、牧田さんの股間の奥をじっくりと覗き込んでいた。
 なぜなら牧田さんは、男も惚れ惚れするような立派なペニスを持っていたからだった。
 見るからに重そうなソレは竿がどっぷりと太く、椅子からだらりと首をもたげた亀頭は、獰猛な爬虫類を連想させるほどにカリ首が開いていたのだった。
 だか、そんな牧田さんのペニスも然ることながら、信吾君のペニスも凄まじかった。信吾君のペニスは、牧田さんのように太くはなかったが、しかしその長さは尋常ではなかった。それは、平常時でも亀頭が風呂のタイル床に触れそうなほどで、勃起したらいったいどれほど伸びるのだろうと想像もできないくらい長かった。
 しかし、そんな二人のペニスを観察しながらも、密かに股間をムズムズと疼かせていた私のペニスはというと、稀に見る短小包茎だった。平常時は陰毛の中にひっそりと踞り、まるで馬糞ウニのようだった。勃起したとてわずか七センチ弱しかなく、しかもそれは見事なカントン包茎であり、勃起するとまるで尖った鉛筆のようになったのだった。
 そんな私は、三十才になった今でもペニスに対して激しいコンプレックスを持っていた。結婚し、子供も二人授かり、見た目は世間一般の普通のお父さんだったが、しかし、パンツの中はトンガリ鉛筆であり、常にペニスコンプレックスに悩まされる精神異常者だった。
 ただし私は、決してペニスが貧弱な事を悩んでいるわけではなかった。私は、自分のペニスに対してコンプレックスを持つと言うより、この貧弱なペニスに畏怖していたのだ。
 というのは、今年で三十を迎えようとしている私の妻が美人すぎるからだった。
 そのグラマーな身体は三十路に相応しい色気をむんむんと放出していた。大きな尻は形崩れも無く、常にプルプルと弾力性があった。特に胸は凄く、そこらのAV女優など小便臭く思えるほどのそのいやらしい乳は、形も揉みごごちも最上級と言い切っても過言ではなかった。
 そんな妻とのセックスは、甘く蕩けるような快感へと導いてくれた。そのテクニックはプロ並で、フェラは睾丸から肛門までも優しく舐めまくり、挙げ句には足の指までもしゃぶるという執拗さだった。
 妻はいわゆるスケベだったのだ。いや、あのマニアックなセックスを好む性癖は、もはや変態と呼べよう。
 しかし、そんなグラマラスな変態妻に対する私は、実に貧弱なトンガリ鉛筆だった。騎乗位では妻が腰を振る度にペニスが抜け、後背位では、ムチムチに飛び出した尻肉に阻害されては、かろうじて膣の入口に届く程度だった。
 正常位でも同じで、ある時など、妻の膣に挿入しながら必死に腰を動かしていると、妻から「早く入れて」と催促されてしまったほどだった。
 そんな惨めなセックスしかできなかった私は、常に妻の浮気に脅かされていた。自分のペニスが貧弱なばかりに、セックスに貪欲な妻に浮気されないかといつも脅えていた。この情けない粗チンのせいで、私は精神を病むほどに苦しみ、妻を喜ばせる事ができない自分が情けなく、そしていつも悲しい自己嫌悪に凹んでいたのだった。

 それが、私のこのお粗末なペニスに対する畏怖だった。あまりにも粗チンな為、常に私は妻が誰かに寝取られるのではないかという恐怖に脅かされていたのだ。

 がしかし、私はその一方で、実に真逆な感情を抱いていた。
 それは、不思議な事に、妻が他の男のペニスで感じる姿を見てみたいという特殊な感情だった。
 全く矛盾していた。妻の浮気に脅えていながらも、妻が他人の大きなペニスで悶える姿を見てみたいという願望は、自分でも理解できないくらい矛盾していた。
 そんな私は、夜な夜な、脱衣カゴの中から妻の汚れた下着をこっそり盗み出し、その卑猥な匂いを嗅ぎながら、妻が他人男の大きなペニスでズボズボと攻められるシーンを妄想した。
 今まで散々自分を苦しめていた妄想に耽りながら、時にはメラメラと嫉妬の念を燃やし、時には「もうやめてくれ」と情けない声で嘆き、そして時にはそのプレイに乱入するシーンを思い描いたりしては、妻の下着に浮かび上がる黄色いシミに濃厚な精液を飛ばしていた。
 しかし、そんな妄想だけでは、私のこの矛盾した願望は治まってはくれなかった。
 もはや私は我慢の限界に来ていたのだ。他人に抱かれる妻を見てみたいと思うばかりに、夜な夜な『レイプ代行屋』という怪しいサイトを開いては、妻を散々に犯してもらおうかと本気で悩んでいたほどだった。

 しかし、それをしてしまえばこの幸せな家庭は崩壊してしまうと思い留まった私は、そうなってしまう前に、自分の中で蠢いているその奇妙な欲望を、全てを妻に打ち明けようと決心した。
 その夜、子供達が寝静まったのを見計らい、私は妻をリビングに呼び出した。そこで私は、自分のペニスが粗末なばっかりにセックスで喜ばせてやれない不甲斐なさを改めて詫びた。
 妻はそんな私を見て必死に笑いを堪えていた。そして遂に、私が自分のペニスを『トンガリ鉛筆』と表現すると、妻は真っ赤な顔をしながらプッと噴き出したのだった。
 しかし妻は、そうクスクス笑いながらも私の話を真面目に聞いてくれていた。時には「うんうん」と頷いたりして、私のバカバカしい悩みを真剣に聞いてくれていた。
 そうしながらも、私の話しはいよいよ核心に迫って来た。
 私は、「これから言う事を誤解しないで聞いて欲しい」という前置きをしつこいくらいにした後、「キミが立派なペニスで感じている姿を見て見たい」と、ずばり斬り込んだ。
 妻は私をジッと見つめながら小首を傾げていた。不思議そうな表情を浮かべながら、私が言わんとするその言葉の意味を必死に考えているようだった。
 しかし、やはり私の胸に潜むこの理解不明な異常性欲は、すぐには妻には伝わらなかった。妻は眉を顰めながらも、「どう言う意味?」と恐る恐る私の顔を覗き込んだ。

「つまり……キミが他の男と寝ている所が見たいんだ……私のような粗末なペニスではなく、AV男優のような立派なペニスを持った男とセックスしているキミの姿が見たいんだ」

 そう話した瞬間、まるでタイミングを見計らっていたかのように、キッチンの隅の冷蔵庫のモーター音がピタリと止まった。それまで微かに耳に響いていた冷蔵庫のモーター音がいきなり消え、それまでも静かだったリビングが、更に水を打ったように静まり返った。
 妻の表情は、まるで瞬間冷凍されたかのように固まったまま動かなかった。そんな妻の表情に、私は焦って言葉を続けた。

「でも勘違いしないでくれ、私はキミの事を心から愛している。それは嘘じゃない。絶対に嘘じゃない。それは神に誓っても間違いないんだが、その、ほら、キミがセックスで喜びを感じている姿というものをね、私は今まで見た事が無いわけじゃないか……だからね、そんなキミの姿を一度でいいから見てみたいなぁなんてね、思ったりしてるわけで……」

 そんな私の尻窄みになっていく言葉を黙って聞いていた妻が、「私はいつも、あなたとのセックスで喜びを感じてるつもりだけど……」と、ソッと目を伏せた。
 しかし、そう目を伏せた妻は明らかに動揺していた。妻のその動揺した姿は、いつも私とのセックスで出していたあの卑猥な声が、涙ぐましい演技であった事を物語っているようだった。

「同情してくれるのはありがたいが、嘘をつかないでくれ……私は全部知っていたよ……いつもセックスが終わった後、私がシャワーを浴びている最中に、キミがこっそりとバイブを使って性欲処理をしていた事をね……」

 項垂れていた妻の顔が一瞬にして真っ赤に染まった。妻は下唇を噛みながら細い肩を震わせ、そしてゆっくりと私を上目遣いで睨みながら「覗いていたなんてひどいわ……」と呟いた。
 妻を怒らせてしまった。そんなつもりじゃなかった、私はただ、妻に本当のセックスの喜びを与えてやりたかっただけだった。そしてそれと同時に、私のこの異様な性欲を解消させたかっただけなのだ。
 私はガバッと椅子を立ち上がると、いきなりフローリングの床に跪いた。そして妻の足下に額を擦り付けながら、「キミのオナニーを覗いていたのは謝る、心から謝る。だけど頼む。お願いだから他の男とセックスしてくれ」と何度も何度も頭を下げた。
 それは、実に滑稽で、実に不可解な光景だった。床に額を擦り付ける私は、妻に浮気しないでくれと頼んでいるのではなく、妻に浮気してくれと頼んでいるのだ。
 完全に病気だった。まさに私は狂っていたのだ。
 しかし、私がそう必死に嘆願を続けていると、次第に妻の心は揺らいできたようだった。
 妻は、足に縋り付く私に「もうやめてよ」と言いながらも、「他の男って……いったい誰なのよ?」と眉を顰めた。
 私はすかさず立ち上がると、妻の顔を情熱的に見つめながら「探すよ! キミを喜ばせる男を必ず探し出してみせるよ!」と、なぜか力強く拳を握った。
 妻はそんな私に、「馬鹿みたい」と呟きながら、黙ったままテーブルの上の『カゴメ醸熟ソース』を見つめた。しかし、しばらくするとソッと私に視線を戻し、小さな声でポツリと呟いた。

「あなたが、どうしてもそうしたいというなら……それでもいいけど……」

 私は「えっ!」と叫びながら、素早くフローリングの床に跪いた。そして妻の生足に縋り付きながら、「ありがとう!」と何度も叫んでいたのだった。

 やっと私のこの異常な願いを受け入れてくれた妻だったが、しかし私の心情は複雑だった。やはり妻は私のペニスでは物足りなかったんだと、心は激しく揺れ動いた。
 凄まじい絶望に襲われた。そんな絶望と、遂に妻が他人男で悶える姿が見れるという喜びが複雑に混じり合った私は、いつしか妻の生足に縋り付いたまま声を出して泣いた。
 妻はそんな私に呆れながらも、「馬鹿じゃないの」と笑っていた。
 私は絶望と喜びの狭間に立たされながらも、妻が複数の他人男に嬲られている姿を複雑に思い浮かべていた。
 そして今にも射精せんばかりに勃起したトンガリ鉛筆を、妻の足の甲にスリスリと擦り付けていたのだった。

(2話に続く)

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