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水のない噴水14

2012/11/17 Sat 04:26

水のない噴水14



 公衆電話に戻ると、朝もやの中にぽつんと立つ西郷隆盛が早朝の上野を見下ろしていた。公衆電話に向かって歩く男は、そんな西郷隆盛が見つめる先を指差しながら「あれだよ」と笑った。
 それは、上野駅前のファッションビルに垂れ下がっている巨大な垂れ幕だった。
 黒地に白文字で『2014倭女王卑弥呼』と書かれたその垂れ幕は、この冬に渋谷のファッションビルで行われる写真展の広告幕だった。垂れ幕の下には、遊女をイメージした赤い長襦袢を羽織った凉子が、卑弥呼の墓だという説のある奈良の箸墓古墳を背景に煙草を吸っているモノクロ写真が堂々と写っていた。
「俺ぁ、ここで毎日あれ見ながら生活してっから、おめぇが血相抱えて石段上がってきた時はたまげたよ」
 男はそう笑いながら、透明アクリルの箱から緑の公衆電話を引っ張りだすと、ポケットの中から一昔前の缶ジュースに使われていたプルトップの蓋のような物を摘み出した。
「正直言って、昨日の夜もあの垂れ幕のあんた見ながらセンズリしたばっかだよ、ひひひひひ、それがまさかねぇ、こんな所にあんたが来るなんてよ……」
 そう嬉しそうに顔を歪めながら、男はそれを公衆電話の横の鍵穴に押し込み、ガチガチと小さな金属音を鳴らし始めた。
 凉子は何度も何度も背筋に冷たいものを走らせながらそんな男を見守っていた。例え百円玉を取り出せたとしても、こんな男に身元がばれてしまっていては元も子もないのだ。
 なんとしてもこの男を黙らせなければと思った。二百万ほど渡してフィリピンかタイ辺りに飛んでもらうか、それとも、どこかに部屋を用意してやり、毎月それなりの生活費を渡して懐柔してしまおうか。
 凉子がそんな事をあれこれと考えているうちに、男は公衆電話の硬貨収納箱をいとも簡単に開けてしまった。
 男が言った通り、硬貨収納箱の中には凉子が投入した百円玉が一枚転がっているだけだった。
 その百円玉を慌てて奪い取ろうとすると、男はそれを素早くポケットの中に入れてしまった。
「約束通りオマンコやらせろよ……この金はその後にくれてやるよ……」
 男は犯罪者特有の鋭い目で凉子を睨みながら言った。
 上野の空に響くパトカーのサイレンは益々激しくなっていた。

  男の後に従いながら上野公園の奥へと進んだ。既に公園には清掃のおばさん達が集まり始めており、遊歩道に散らばる葉っぱをせっせと拾い集めていた。
 そんなおばさん達も、いずれ警察から「不審な人物を見ませんでしたか」と聞き込みされるだろうと思った凉子は、できるだけ男との距離を取りながら歩いていた。
 男は遊歩道から森の中へと入っていくと、そっと後ろを振り向きながら「逃げるなよ卑弥呼さん」と睨んだ。
「もし今逃げたら、俺ぁこの百円玉持ってそこの交番に駆け込むからな」
 そう言いながら雑草の生い茂る薄暗い林の中に入って行く男は、「おめぇが何をしでかしたのかよくわかんねぇけどよ、このサイレンの音からして、よっぽどひでぇ事をしたんだろなぁ」とけらけら笑っていたのだった。

 男が足を止めたのは、動物園と東照宮の間にある林の中だった。そこが、彼を殺した現場からどのくらい離れているのかわからなかったが、今にもその林の中から警官隊が現れるような気がして、凉子は落ち着かなかった。
 男は大きな木の陰で、泥だらけのニッカズボンのベルトをカチャカチャと外し始めた。
「早くしろ。これだけパトカーが集まって来てっから、すぐに公園の一斉捜索が始まるぜ」
 男は真っ黒に汚れたペニスを凉子に見せつけながら笑った。
「……どうすればいいの……」
 男は抜けた前歯から真っ赤な舌先を突き出しながら、「とりあえずこっち来い。おめぇのケツの穴からオマンコまでベロベロに舐めてやっからよ」と下品に笑った。
 大きな木の下で、凉子はパンティーを下ろされた。男はパンティーを凉子の足首から抜き取ると、ギラギラと輝く目でその汚れた部分を見つめながらハァハァと荒い息を吐いた。
「随分と汚れてるじゃねぇか……おめぇ、誰かとヤって来たのか?」
 男はそう言いながら、体液がパリパリに乾いたクロッチをペロペロと舐めた。
「死体とヤってきたのよ……血まみれの死体を騎乗位で犯しまくってやったわ」
 そう男を睨みつけてやると、男はそれに動じる事なく、「本当だ、おめぇの太ももの裏、血がバリバリに乾いてらぁ」と、そこにしゃがんだ凉子の股間を覗き込みながら笑った。
「怖くないの?」
 凉子は更に男を睨みつけながら言った。それに脅えた男が身体を諦める事を、凉子は密かに祈っていた。
 しかし男はそれを笑い飛ばした。
「ノガミ(上野)の乞食を舐んじゃねぇよ。新聞にゃ載らねぇからおめぇらは知らねぇだろうけどよ、ここでは若い女が強姦されて殺さるなんてのは日常茶飯事なんだよ。最近の変質者ってのはよ、ヤっちゃった後、必ず殺しちまうからね。頭狂ってる奴多いからおっかねぇよ、まったく。でもな、俺たちはそんなキチガイ共がいるおかげでいい思いさせてもらってるのよ。へへへへ、デコスケが現場にやって来る前によ、その死体をヤっちまうんだよ……」
 男はそう笑いながら唾液でヌルヌルになったクロッチにペニスを擦り付けた。そして青ざめた凉子をジッと見下ろしながら、「ここじゃあ死体とヤるなんて当たり前なんだよ、だからそんな事で威張ってんじゃねぇぞ卑弥呼様」と、唾を飛ばしてゲラゲラ笑ったのだった。

 完全に脅えてしまった凉子は、そのまま男の言いなりになってしまっていた。しゃがんでいた顔にペニスを突きつけられ、それを問答無用でしゃぶらされた。男のペニスは異常な獣臭を放ち、亀頭には赤い湿疹が無数に広がっていた。
「どうだ……俺のチンポすげぇ臭せぇだろ……この間、みんなとそこのヤギ園から雌ヤギをかっぱらってきて中出ししてから洗ってねぇからな……まぁ、この間っつっても去年の冬だけどな」
 そんな気味の悪い話を聞かされながらも、凉子は必死に男のペニスをしゃぶった。一刻も早くこの男をイかせてこの場から立ち去らねば危険なのだ。

 男は濃厚な凉子のフェラに身を震わせていた。
 しかし、すぐに「ああ、もうダメだ出ちまうよ」と笑いながら凉子の口からペニスを抜くと、慌てて凉子をその場に立たせた。
 凉子は大きな木に両手をつかされた。男は凉子の足下にスッと腰を下ろすと、ミニスカートから突き出た尻にむしゃぶりついた。
 生暖かい男の舌が肛門から膣へと這い回ると、ふと、つい数時間前にも、あのラオコーン像に両手を付かされて彼に陰部を舐められていた事を思い出した。
 彼の顔が浮かんだ瞬間、凄まじい恐怖と悲しみが凉子に襲いかかってきた。あの時は異常興奮していたため、さほど恐怖を感じなかったが、しかし今となってあの時の恐怖が鮮明に蘇ってきた。
(最後に見たあの血の噴水は……いったい何だったんだろう……)
 ドボドボドボっというあの時の血の噴水の音が蘇り、凉子は身が凍るほどの恐怖を感じた。
「なんだよ……死体とオマンコしてたってちゅうド変態の割には、全然濡れてこねぇじゃねぇか……てめぇ、もうちょっと気を入れろよ、俺ぁ、てめぇの恩人なんだぞ……」
 そうぼやきながら立ち上がった男は、突き出た凉子の尻を平手でパンパンと叩きながら、凉子の腰を支えた。
 勃起したペニスが凉子の尻の谷間でゴリゴリと蠢いていた。男は凉子の胸を背後から鷲掴みにしながら「ほら、早く感じろよ、もっとヌルヌルに濡らすんだよ」と、乾いた裂け目に亀頭を乱暴に押し付けてきた。
 男は凉子の尻の谷間で腰をモゾモゾさせながら「ところでよ……さっき言ってた三十万円なんだけど、それはいつ貰えるんだ……」と聞いてきた。
「後で二百万あげるわ……だから当分の間、そのお金でフィリピンに行ってて欲しいの……」
「二百万か……それだけあればフィリピンで五年は遊んで暮らせるな……」
 男は満更でもない口調でそう呟いた。
「パスポートがないならこっちで手配するわ。向こうで生活する家もこっちで用意しておく。だからお願い、すぐにフィリピンに行って」
 武田のルートを使えば、偽造パスポートくらいいくらでも手に入った。それにフィリピンだったら、武田プロダクションのフィリピン支社もある。凉子はそれらのツテを使ってこの男を海外に高飛びさせようと考えた。が、しかし、男は一筋縄では行かなかった。
「まぁ、いずれ考えてやってもいいよ。ただ、今はまだダメだぜ。せっかく世界の卑弥呼様という性奴隷を手に入れたんだ、これからたっぷりとブルジョアの世界を堪能させてもらわねぇとな」
 男は凉子の耳元で、ききききききっと猛禽類のような声で笑うと、背後から凉子の耳をベロベロと舐めたのだった。

 凉子は、そんな奇怪な笑い声を聞きながら、やっぱりそうか……と落胆した。
 目の前の大きな木から茶色い蜜がどろりと溢れ、それが練り飴のように固まっていた。その蜜をめがけて無数の蟻が地面から這い上がってきていた。蟻の大群は見事に一列に並び、その列は延々と続いていた。
 凉子は、いきなりその蟻を一匹一匹指で潰し始めた。
(欲深いと損をするわよ……もうこのくらいでやめておきなさい)
 そうブツブツと呟きながら、蜜に群がる蟻をプチプチと潰しまくった。そして、(この男も……)と思った瞬間、突然、凉子の中で何かが吹っ切れた。

 凉子の黒髪の匂いを嗅ぎながら、尻の谷間でもぞもぞと腰を振っていた男が、凉子の耳元で「おお……」っと唸った。
「すげぇなぁ、いきなりドロっと濡れてきたぜ……へへへへ、どうなってんだよこりゃ、いよいよ変態の本領発揮か?」
 そう唸る男の亀頭が凉子の裂け目を掻き分け、穴の奥へとヌルヌル侵入してきた。
「おおお……すげぇな、穴がチンポを吸い込んでるじゃねぇか……さすがは女王卑弥呼様のオマンコだよ」
 男はスコスコと腰を振りながら酒臭い息を凉子のうなじに吹きかけた。
「あぁぁぁん、凄い、凄く感じてきちゃった、もっと激しく動かして」
 凉子は、いつも豚親父達に囁いているいやらしい口調でそう囁きながら、自らも腰を振った。
「おお、おお、まて、まて、そんなに激しくするな、まだだ、まだだよ、まだもったいねぇよ!」
 そう叫ぶ男の声を聞きながら大きな木にしがみつく凉子はニヤリと微笑んだ。
(おまえは蟻だ。欲深い蟻なんだ。どうせ残り少ない人生だ、今のうちに思う存分楽しむがいいさ……)
 そう怪しく微笑む凉子の背後で、男は「うっ!」と低い唸り声をあげた。ヤギを犯した不浄なペニスが、死体を犯した罪深い穴の中でピクンっと跳ね上がり、大量の汚物を撒き散らした。
 男は唸った。まるで地獄の底でもがき苦しむ餓鬼のように「おぉぉぉぉぉぉぉぉ……」と唸った。
 凉子はそんな薄汚い呻き声を聞きながら、必死に蟻を潰していたのだった。

(つづく)

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