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ざまぁみさらせ!(1)

2012/12/02 Sun 00:00




 俺が住んでいるワンルームマンションの真正面には小さな児童公園がある。無職の俺はいつもその公園をぼんやりと眺め、バルコニーの前にある大きな楓の木から降り注いで来る爽やかな風を浴びながら、唯一生きている喜びを感じていた。
 金がなかった。生活保護も強制的に打ち切られ収入は0だった。
 働きたくても仕事がなかった。っていうか、例え働く場所があったとしても働らく気など更々なかった。
 三十八歳のフーテン。窃盗、公然わいせつ、住居不法侵入等々前科六犯。そんな俺をどこがまともに雇ってくれるというのだ。
 だからといってのんびりしているわけではない。そんな暇はない。今月中にこのマンションを出て行かなくてはならないからだ。
 しかし所持金は四百円しかなかった。これでは山谷の簡易ホテルにも泊まれず、また以前のように駅や公園で野宿するしかないのである。
 腹が減った。俺はそう呟きながら、幸せそうに公園を走り回る子供達を目で追った。
 ふと、俺にもあんな頃があったんだと思うと、ガキの頃に住んでいた家の裏に咲いていた赤いツツジの花を思い出し、おもわず泣き出しそうになった。
 昔を思い出して泣く事ほど辛い事はなく、俺は慌てて子供達から目をそらした。すると、そんな俺の目に見覚えのあるママが飛び込んで来たのだった。

 そのママは、公園に隣接した白い一軒家に住んでいる三十代前半の髪の長い女だった。雨の日以外は、ほぼ毎日のように子供達を連れてこの公園に来ている為、毎日公園を眺めている俺にとっては見覚えのあるママだった。
 そんなママは、砂場で二歳くらいの息子と遊んでいた。ママの横にあるベビーカーには男か女かわからない乳児が死んだように眠っている。
 ママは、砂で遊んでいる息子の手元を、前屈みになりながら覗いていた。そんなママの大きく開いた胸元からは、見事なまでに柔らかそうな乳が、ぷにゃっと潰れながら顔を覗かせていたのだった。

 さっそく俺はジャージのズボンの中からペニスを引っ張り出した。
 金も仕事も何もない俺だったが、しかし性欲だけは溢れんばかりに持ち合わせていた。
 俺はカーテンに身を隠しながら、ママの胸元から見える真っ白な乳肉を凝視した。
 まだ固くなっていない柔らかい肉棒をくにゃくにゃと弄り、仮性包茎の皮をペロリと剥くると、オイルのようなタラタラの汁が赤い亀頭を輝かせていた。
 ガスが止められていたため、かれこれ一週間以上も風呂に入っていなかった。その為、皮に密封されながら汗や小便や精液をじっくりと熟成させていた亀頭にはオイルのようにタラタラとした汁が溜まり、カリ首の裏には白い固形物までこしらえていたのだった。

 指に付着したその汁を恐る恐る嗅ぎ、そのあまりの臭さに顔を顰めた。
 ウンコ座りをしながら股を大きく開いているママの股間をジッと見つめながら、ママさんのアソコにもこんな匂いが溢れているのだろうかと思うと、柔らかかった肉棒が急速に膨れ上がり、一瞬にして石のように固くなった。
 俺のペニスというのは、俺が唯一他人に自慢できるモノのひとつだった。とにかくデカかった。調子のいい時にはバナナほどの長さと太さまでに膨張し、確実に女をイカせていた。そして何よりも自慢できたのが、その色つや形だった。男の俺が見ても惚れ惚れするようなフォルムであり、あるピンサロのババアなど、俺のこのペニスを見ては『リアルなディルドみたい』とそう例えたほどだった。
 俺はそんな自慢のイチモツを握りしめながら壁にもたれて両足を伸ばした。コリコリとする筋肉を上下に摩擦しながら、畳に両足の踵をスリスリと擦り付けた。
「はいママ、ホットケーキ、食べて」
 ピンクのプラスチックの皿の上に、砂をペタペタと丸くした物を息子がママに渡した。ママは「ありがとう」と満面の笑顔を浮かべながら、その砂のホットケーキをパクパクと食べる振りをした。
 そんなママの可愛い仕草を見ながら、ふいにあの巨大な乳に溜まっている母乳を残虐に絞り出してやりたいと思った。
 その瞬間、ぴゅーっと吹き出すママの母乳が頭に浮かび、俺の臭い亀頭からも白い液体がビュっと飛び出したのであった。

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 二日ぶりのオナニーは、それなりに快楽を与えてくれた。
 しかし、その快楽の分、すぐさま凄まじい嫌悪感が襲いかかって来た。
 太ももに飛び散った精液が午後の日差しに照らされていた。伸ばした両足の隙間の畳にも、それらは無秩序に飛び散っていた。
 しかし、畳のそれも太もものそれも拭き取る気はさらさらなかった。どうせもうすぐここを追い出されるのだし、畳なんてどうなったってかまやしないよと、俺はそのままゴロリと横になり、力ない放屁を捻った。
 バルコニーの屋根をカサカサとくすぐる楓の葉をぼんやり見つめていた。楓と紅葉の違いが未だわからない俺だったが、しかし、爽やかな午後の風に靡く楓の葉は、嫌悪に包まれた俺の気持ちを随分と和らげてくた。
 すると、ふいに公園から老婆の声が聞こえて来た。
「聡子さん! ちょっと買い物に出かけてきますからお留守番お願いしますよ! 鍵開けたままだから頼みますよ!」
 そんな老婆の叫び声の後、すかさず「はーい」という女の声が聞こえた。
 俺は何気にムクリと起き上がり窓の外を見た。先ほどのママが息子の手に付いた砂を素早く払っている。
 公園の奥の細い通路をヨタヨタと歩く老婆の後ろ姿が見えた。ママにズボンの砂を払われていた息子が、老婆の後ろ姿に向かって「おばあちゃんいってらっしゃーい!」と手を振ると、慌てて振り返った老婆が嬉しそうに手を振り返していた。
 俺はそんな幸せそうな風景に「ふん」と鼻を鳴らしながら再び寝転がろうとすると、「あら、奥さんお久しぶり」という、まるで猛禽類のような妙に甲高い声が聞こえた。
 その奇妙な声に釣られながらもう一度窓の外を見ると、オカマのかばちゃんのような大きなおばさんがママに向かって駆け寄ろうとしていたのだった。

 二人はそそくさと日陰になっているベンチへと移動し、立ち話を始めた。そのベンチは、俺の部屋のバルコニーの真下にあるため二人の話は筒抜けだった。
 おばさんは、しきりに「やっぱり我が家が一番やわぁ」と笑っていた。
 どうやらこのおばさんは、今まで旦那の出張で大阪に行っていたらしく、つい先日、二年ぶりにこの町に戻って来たようだった。
「どうしてたん。元気やった。あらら、ユウキ君大きなったなぁ、おばちゃんの事、覚えてるか?」
 たかが二年しか大阪にいなかったくせに、もはやそのおばさんの言葉はどっぷりと大阪弁だった。
 俺はそんなおばさんの頭上をそっと見下ろしながら、その頭に唾を垂らしたくてウズウズしていた。なぜならそのおばさんの脳天は妙に薄く、上から見ると円形状になった白い頭皮が透けて見えたからである。
 あの丸いスケスケの部分に唾を垂らしたかった。なぜだか無性に唾を垂らしたくてウズウズした。
 以前にも俺は、役所に生活保護の申請を出しに行った時にこれをやらかした。あの時、あまりにも待たされた為、俺は二階のベランダにある喫煙所に行き、灰皿に詰まったシケモクを漁っていた。
 珍しく長い洋モクが見つかり、喜び勇んでベランダの手すりに肘をつきながらそれを吸っていると、ふと真下の玄関にポツンッと立っているおっさんを見つけた。
 おっさんの脳天はズルムケだった。両サイドに生えている白髪まじりの毛が妙に卑猥だった。
 それを真上から見た俺は、すかさず「やめろ」と自分に言い聞かせた。しかし、既に俺の唇は尖っていた。まさに大便を捻り出す肛門の如く膨れ上がったその唇の先からは、白い泡にまみれた唾が投下されようとしている寸前だった。
 俺は自分に負けた。その欲求はそう簡単に止められるものではなかった。
 十円玉ほどの白い唾は、南風に煽られながらも、斜めの曲線を描いて落ちて行った。
 俺はその風さえも計算していた。見事に親父の卑猥なズルムケ頭に命中した俺の白い唾は、まるでカルピスのCMのようにその白い泡を四方に弾けさせた。
「わあっ!」と叫んだ親父が、唾液に濡れたズルムケ頭に右手をあてながら慌てて上を向いた。
 俺は笑っていた。笑いが止まらなかったため、すぐに身を隠す事ができなかったのだ。
 親父は、爆笑する俺を指差しながら必死に何かを叫んでいた。しかし親父が叫べば叫ぶだけその姿が滑稽に見え、俺は御丁寧にも小便をチビリと漏らしながら笑い崩れてしまったのだった。
 その後、俺は窓口のおっさんから、あのズルムケ親父が役所の助役だったと聞かされた。当然俺は、生活保護を受けられず門前払いを食らわされたのだった。
 そんな苦い経験があった俺だったが、しかし、今まさにレディースアートネーチャーのCMに出てきそうな薄い脳天を真上から見てしまった俺は、もはやその欲望を制止することはできなかった。そこに唾を命中させなければ一生悔やむ事になるとさえ本気で思っていた。
 俺の唇がニュッと尖り、その先からぷちゅっと泡だらけの唾が飛び出した。頬で風を読みながら少し斜めに体を傾け、おばさんの肩の辺りを狙って投下した。
 スッと白い塊が落ちて行った。既に俺の腹の中では笑いが爆発していた。たかだか二年大阪に行っただけで関西弁になってしまう貞操観念のない糞ババアめ、と思うとその笑いは更に膨れ上がった。
 俺の唾が見事にババアの薄いツムジに直撃した。瞬間、俺は必死に笑いを堪えながらそのまま後ろにひっくり返った。
 ドテッ! っと畳の上に倒れる音共に、窓の下から「あれれ?」という猛禽類のような甲高い声が聞こえた。
「なんやのコレ! 雨?」
 俺は両手で口を塞ぎながら七転八倒した。
「違う、コレ、雨ちゃうでぇ、あっ! なんやのコレ! 唾くっさ!」
 日本脳炎のように悶えていた俺のペニスから小便が溢れ、ジワーっという温もりが下半身を包み込んだ。
 俺は腹の底からおもいきり爆笑した。畳をどんどんと叩きながらキチガイのように笑い転げ、久しぶりの高揚感に身悶えていたのだった。 

 しかし、そんな高揚感もほんの数分で消え去ってしまった。三十を過ぎた無職男が窓から他人の頭に唾を垂らしては小便を漏らしながら喜んでいるシーンを客観的に思い浮かべると、そんな高揚感はすぐさま消え去り、代わりに凄まじい虚脱感が襲いかかって来た。
(俺は躁鬱病なのかもしれん……)
 そう思いながら脱ぎ捨ててあったパンツをつまみ上げ、小便でびしょ濡れになった畳をそれでせっせと拭いていると、ふとおばさんの声がバルコニーの下から聞こえてきた。
「久しぶりやしリンリン行こ。大阪のおもろい土産話も仰山あるし、それにこっちの状況もいろいろ聞きたいし。な、ユウキ君そうしよ、おばちゃんがリンリンのアップルパイおごったるわ」
 つい今しがた他人の唾を脳天に直撃されたというのに、このおばさんは全く凹んでいないようだった。
 俺はそんなおばさんのパワー溢れる声を聞きながらも、ふとリンリンのナポリタンを思い出し、再び激しい空腹感に襲われたのだった。

 そのリンリンというのは公園の裏手にある古い喫茶店だった。昭和の歌声喫茶時代から続いているその喫茶店は、手作りアップルパイと醤油味のナポリタンスパゲティが有名で、何度もテレビで取り上げられているほどの有名老舗店だった。
(俺にもナポリタンを食わせてくれ)
 俺はそう思いながら、そっと窓から外を見た。
 おばさんとユウキとかいうガキが手を繋ぎながら公園を出て行くのが見えた。そんなおばさん達の後を追うようにしてベビーカーを押すママが身障者用のスロープを下っていた。
 遠ざかって行く奴らを見つめながら、俺は「乞食共め」と呟き、またしてもその場にゴロリと横になった。
 あーあ腹減った、っと声に出しながら天井を眺め、このまま餓死するくらいならリンリンで食い逃げでもしてやろうかなどと自棄を起こしていると、ふと、買い物に行って来ると言っていた婆さんの後ろ姿が頭に浮かんだ。
(あのママさん、リンリンなんかで油を売ってると、後で姑さんに叱られるぞ……)
 そう思いながら窓のサッシに片足を上げた瞬間、いきなり(鍵開けたままだから頼みますよ!)という婆さんの声が俺の頭に蘇った。
 はっ! と気づいた俺は慌てて飛び起きた。無我夢中でTシャツを頭からかぶり、先週、コインランドリーでパクったジーンズのズボンを勢い良く履いた。

 俺は前科六犯の世捨て人だった。今更前科が一個や二個増えた所でどうって事はなかった。それに、もうすぐここを追い出される身だ、そんな俺にとっては雨露しのげる刑務所も好都合なのだ。
「とにかくメシだ!」と立ち上がった俺は、そのまま部屋を飛び出した。
 夏の暑い風がムッと俺の体を包み込んだ。非常階段を二段跳びしながら降りると、ホームセンターで買った二百円のサンダルがペタペタと鳴った。走り出した俺のTシャツの背中に、たちまち汗がじっとりと浮かんだ。頭の中で喜びの奇声を上げる俺は、欲望に目玉をギラギラと輝かせていた。

 泥棒はいつもこの瞬間が堪らなくおもしれぇ。

(つづく)

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