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危険なアソビ1

2012/12/02 Sun 00:00

危険なアソビ



 瞳は危険な遊びが好きだった。
 大人が「危ない」と言う事を、敢えて好んで行った。
 それは小学生の頃からだった。

 四年生の時、授業中に無人の理科室に忍び込み、棚に並んでいるアルコールランプ十二個に火を点け、そのまま立ち去った。
 五年生の時は、コッペパンの中に短く切ったカッターナイフの刃をいくつも埋め込み、それを同じクラスの中村結花ちゃんの三歳の妹に与えた。
 六年生になると、布袋の中に数十本の牛乳瓶を押し込み、それを石で粉々に砕いて粉末にした『ガラスの粉』を、夜中にこっそりプールに撒いては、翌日のプールを平然と見学していた。
 中学生になると、給食室にこっそり忍び込み、シチューが入っている食缶にキンチョールを一缶全部吹きかけた。
 中二の時には、上野夢子さんの家に遊びに行き、上野夢子さんがトイレに行っている隙に、トイプードルの『ポポ』の舌先を素早くハサミで切り落としてやった。
 そしてその舌先を上野夢子さんの食べかけのピザの中に紛れ込ませ、何も知らずにそれを食べている上野夢子さんを、快楽に満ちた表情で眺めていた。

 瞳はそんな少女だった。
 それらは、瞳にとって「遊び」であった。
 大人にバレたら大変な事になる、とっても「危険な遊び」だった。
 しかし、未だ一度もそれがバレた事はなかった。
 皆、まさか瞳がそんな「遊び」をしているとは夢にも思っていなかったのだった。

 そもそも、瞳が「危険な遊び」を始めたのは、幼い頃から厳しく育てられていたせいだった。
 同居する祖父は寺の住職で、両親は共に公務員だった。
 そんな家庭で一人娘として厳しく育てられた瞳は、当時大人気だった安室奈美恵をテレビで一度も見た事がなかった。
 その厳しさが瞳の性格を醜く歪ませてしまった。
 思春期になると、そんな歪んだ性格は、日に日に残酷性を帯びるようになり、常に「誰かが死ねばいい」と、本気でそう思っていた。
 但し、瞳は不良少女ではなかった。
 髪を染めたり、化粧をしたりと、派手な事をする度胸はなく、親や先生の前では優等生ぶっているくせに、裏では隠れてコソコソと悪事を働くといった卑怯者のレベルだった。

 そんな瞳がその男と出会ったのは、中学三年生の夏休みだった。
 バス停で突然を声を掛けて来たその男は、趣味の悪いリュックサックを背負った豚のような男だった。
 豚男は、バス停で並んでいた瞳に、いきなり「写真を撮らせてほしい」と言った。
 そしてなぜか瞳を見つめながらグスグスと泣き出した。
「どうして泣くんですか?」と尋ねると、豚男は鼻水をダラダラと垂らしながら「あなたが天使に見えたから」と呟き、そしてまたワンワンと声を出して泣くのだった。

 何がなんだかわからないまま、瞳は「写真だけならいいよ」と了承した。
 すると豚男は、駅裏にあるショッピングモールの駐車場まで瞳を連れて行った。
 そこまで来るとやっと豚男も泣きやんだ。
 豚男は涙とヨダレと鼻水でグシャグシャになった顔を瞳に向けながら、嬉しそうに「でへへへへへ」と笑った。
 そしておもむろにリュックの中から封筒を取り出すと、それを「はい」と瞳に突き付けた。
「なにこれ?……」
 中を見ると、中には一万円札が二枚入っていた。
「それ、差しあげます」
 豚男はそう言いながら「でへへへへへ」と嬉しそうに笑うと、そのままカチャカチャとデジカメをセットし始めた。
 瞳はすかさずその封筒を豚男のリュックの中に押し込んだ。
「お金なんていりません」
 瞳のその言葉に豚男は焦った。
「えっ、えっ、どうして、貰って下さいよ……」
 豚男は再び泣き出さんばかり瞳に詰め寄った。
「うん。写真は撮らせてあげるけど、でもお金はいらない」
「えっ?……ど、どうしてお金いらないの?……」
 豚男は嬉しさと不思議さに包まれながら、恐る恐るそう聞いた。
「別にお金なんて必要ないから……」
 そう呟く瞳に、豚男はこれ以上金の話しはしないほうがいいだろうと思い、不思議な気分のまま「わ、わかりました」と、素直にその金をリュックの中に戻したのだった。

 ショッピングモールの裏にある、巨大な貯水タンクの裏に行くと、そこには押し潰された段ボールが押し込められている倉庫があった。
 昔、このショッピングモールの清掃バイトをしていたと言う豚男は、「この時間は人が来ませんから」と、意味ありげに笑うと、手早くカメラをセットし始めた。
 瞳はそんな豚男を見つめながら、既に自分のアソコが濡れている事に気づいていた。
 瞳は、この豚のような醜い男に、密かに淫らな感情を抱いていた。
(この男を酷い目に遭わせてやりたい……)
 密かにそう思う瞳は、中学生にして既に変態性欲者なのであった。

 瞳にその変な性癖が芽生えたのは、中三になったばかりの頃だった。
 それは、友達から借りたファッション雑誌を父親に取り上げられた事がきっかけだった。
 瞳は、父親が会社に行っている隙にこっそり父親の寝室に忍び込みその雑誌を探した。
 そのとき瞳は、両親のベッドの下に、ラベル書きのないDVDが大量に保管されているのを発見した。
「怪しい……」
 そのうちの一枚を部屋に持ち帰った瞳は、さっそく自分の部屋のデッキで再生してみた。
 それは予想通りアダルトだった。
 しかも完全ノーカットで、そのほとんどがSMだった。

 今まで、まともにヌード写真すら見た事が無かった瞳に衝撃が走った。
 こんな不潔なモノを両親が隠し持っていたというショックと、そして、初めて目にする男性器や、生々しい結合シーンを見せつけられたショックで、瞳はその場にヘナヘナと腰を抜かした。
 そんな瞳の脳に強烈な嫌悪感と激しい好奇心が襲いかかった。
 野犬のように腰を振る男優がパパに見え、そして小便を漏らしながら喘ぎまくる女優がママに見えた。
 瞳は唇をブルブルと震わせたままベッドに顔を埋めた瞳は、腹の底から「妖怪共め!」と叫んだのだった。

 しかし、そう嫌悪をあらわにしていた瞳だったが、その翌日も、瞳は父親のベッドの下からDVDを一枚拝借した。
 両親が完全に寝静まったのを見計らい、それを見た。
 一人の女が数人の男に輪姦されるという内容のDVDだった。
 勃起したペニスが何本も登場した。
 ペットボトルのようにおっきなペニス。
 百円ライターのようにちっちゃなペニス。
 それらが一つの穴の中を順番にほじくり回していた。

 そんなペニスを代わる代わる男達に入れられ、更に口の中にまでペニスを押し込められる女を見つめながら、瞳はまるでホラー映画を観ているような感覚に取り憑かれ、急に背筋が寒くなってきた。

 と、その時、ふいに自分の股間がヌルヌルしている事に気付いた。
 パンツの中心がベットリと濡れ、それが冷たくなっているのだ。
 もしかしたら生理が始まったのかも知れない、とそう思った瞳は、慌ててパジャマのズボンの中を覗き、そしてパンツを引っ張っては股間の奥を覗き込んだ。

 それは生理の血ではなかった。パンツの裏側にヌルヌルとした透明の液が糸を引いていた。
(やだ……)
 瞳は、その透明の液が、画面に映る女のアソコからヌルヌルと出ている液と同じである事に気付いた。

 少し嬉しかった。
 この画面に映る変態女達と自分は同じなんだと思うと、なぜか妙にワクワクした。
 瞳はベッドの中で素早くパンツを脱いだ。
 そして、画面の男達が女のソコをそうしているように、瞳も自分のアソコに指を入れてみた。
 納豆のようにヌルヌルとしたソコは、瞳の細い指をすんなりと迎え入れた。
 何とも言えない快感が瞳の脳を痺れさせた。
 いつしか瞳は指を三本に増やし、画面と同様、指をピストンさせたりしていたのだった。

 それがオナニーだと言う事は知っていた。
 しかし、それまでそっち系には全く興味のなかった瞳は、オナニーは知っていてもそれをヤル事は一度もなかった。
 その快楽に目覚めた瞳は、毎晩のようにオナニーに耽った。
 最初は指を入れたり、クリトリスを弄ったりするだけだったのが、そのうちエスカレートして、DVDに映る女のマネをしては、自分の足首をタオルで縛り、それをベッドの脚に縛り付けては、まるで誰かに無理矢理縛られているかのように「やめて……やめて……」と呻いた。
 そして縛られた足をギュウギュウと引っぱってはアソコに指を入れて掻き回し、誰かに犯されているのを想像しながら失禁した。
 又、ある時には、ペニスの代りになるような物はないかと机の中を捜し回り、そこから『スティック糊』のプラスチィックの容器を見つけ出すと、迷う事なくソレをアソコに挿入したりもした。
 冷蔵庫からキュウリを持って来て、カッターナイフでイボイボを丁寧に削っては、ツルツルになったソレをアソコに出し入れした事もある。
 そして、クラスの男子の携帯に非通知で片っ端からかけまくり、キュウリが出し入れされる音や、卑猥な喘ぎ声を聞かせるという悪戯電話にハマっていたのだった。

 そんな異様なオナニーを繰り返していた瞳だったが、しかしまだ生身の男を知らない処女だった。
 その頃の瞳は、常に本物のペニスを見たいという願望を持っていた。
 しかもそれは勃起したペニスで、精液が飛び出す射精シーンも見てみたいと心から願っていた。
 そして、そんなペニスを、DVDの中のあの女達のように口の中でしゃぶったり、アソコに入れてピストンさせたりしてみたかった。

 そんな事を考えていた矢先、あの日突然、その豚男に声を掛けられたのだった……


               ※


 豚男は、薄暗い倉庫のコンクリートの床にペシャンコに潰れた段ボールを敷いた。
 そして、倉庫の隅に立っている瞳に向かって「どうぞ」と気味の悪い笑顔を浮かべた。
 瞳はそんな豚男をジッと見つめながら、そこに腰を下ろした。

 豚男は見れば見るほど醜い男だった。
 ボデッとしたその体型はびっくりするくらいに足が短かく、顔は大きく、首がなく、全体的に鏡餅のような体型だった。
 そんな頭の上部にはゴワゴワとした天然パーマ系の髪が爆発していたが、しかしなぜか襟足はスキっと刈り上げされていた。
 首なのか胴体なのか区別のつかない部分が刈り上げで青々しており、それが極端に薄気味悪かった。
 何よりも不気味だったのは、その爪楊枝のように細い目とツンっと上を向いた鼻だった。
 それは、まるで絵に描いたような豚顔だった。
 
 そんな醜い豚男は、段ボールの上にペシャンと座る瞳にレンズを向け、バシバシとデジカメのフラッシュを光らせた。
 フラッシュが光る度に薄暗い倉庫の中にパッと閃光が走り、それが何度も何度も繰り返されて行くうちに、瞳の脳がぼんやりとし始めてきた。
 それはまるで催眠術でもかけられたようなフワフワとした感じで、豚男が「もう少し右肩を下げて下さい……」などと囁くと、瞳の体は豚男の指示通りに勝手に動き始めた。
 豚男は、瞳の制服のミニスカートから伸びる脚や、制服のリボンが付いた胸元を何枚も取り終えると、そのデジカメの中にある写真を覗き込んでは満足そうに微笑んだ。
 そして「ぶひひひひひ」などと嬉しそうに頬の肉を揺らしながら、デジカメのスイッチをカチッと切ったのだった。

「ありがとう。おかげでとっても素晴らしい写真が撮れました」

 そう顔の肉を弛ませながら瞳に頭を下げる豚男に、瞳は「もういいの?」と呟いた。
 豚男は爪楊枝のような細い目を丸くさせながら、「はぁ?……」と小さく首を傾げた。
 そんな豚男の細い目を意味ありげに見つめていた瞳は、このまま撮影が終わってしまうのはつまらないと思った。
 この豚男に、あのDVDのような変態な事をさせてみたい。
 勃起したペニスから白い精液が飛び出す瞬間を見てみたい。
 そんな願望を抱いていた瞳は、豚男の目をジッと見つめながら、ペタンと座っていた右足をゆっくりと立てたのだった。

 豚男の細い目が「ギョッ」と開いた。
 右足を立てた制服のミニスカートの奥から、ピンク色のパンティーがモロに見えていた。
 豚男は愕然としながらも、ツンっと上を向いた鼻の穴から「フーーーーーッ」と大きな息を吐いた。
「撮ってもいいよ……」
 瞳は豚男の目を見つめながらそう呟いた。
 豚男は、再び先ほどの封筒を取り出した。
 そしてそれを瞳に差し出して来たが、瞳は小さく首を振りながら「いらないよ」と笑った。
 豚男がゴクリと唾を飲み込んだ瞬間、瞳は「ただ……」と呟いた。
「わかってます。絶対に身体に触ったりしませんから……」
 そう言いながらデジカメのスイッチを再び入れた豚男は、両手に握ったデジカメをブルブルと震わせた。
「違うの……もちろん触っては欲しくないんだけど……それとは別に……」
「な、なんですか。何でも言って下さい、僕にできる事なら何でもします……」
 その時の瞳は、不思議に全く怖くなかった。
 このままこの醜い男にレイプされてしまうのかも知れないと頭の片隅で思いながらも、しかし、あのDVDのようにもっともっといやらしい事がしたくて堪らなかった。

 それに……と、瞳は思った。
 この男だったらバレないだろう、と。
 学校の男子や、付き合ってくれとしつこく迫って来る高校生が相手だと、すぐに噂が広がり、それが厳しいパパの耳にも入りかねなかった。
 しかし、この男だったら噂が広まる恐れもなく、それに、たとえこの醜い男との噂が広まったとしても、誰も本気にはしないだろうと思った。
 瞳はそんな事を考えながら、もう片方の足をゆっくり立てて股をM字に開いてやったのだった。

「凄い……パンツが……濡れてる……」
 豚男は愕然とそこを見つめながら唸った。
 まさか汁がパンツまで染みているとは思ってもいなかった瞳は、恥ずかしさのあまりカーッと頭に血が上った。
 しかし、それでも瞳はDVDの中の痴女になりきった。
「見たい?……瞳のアソコ……見たい?……」
 そう呟きながら、あの痴女たちがやっていたように、更に大きく股を広げてピンクの布地がピッタリと張り付いた股間を豚男に向けて突き出した。
 豚男はハァハァと鼻息を荒くさせながら呟いた。
「見たいです、瞳ちゃんの濡れたオマンコ、凄く見たいです」と、まるで念仏を唱えるように何度も呟いた。
 瞳は、今にも「わあっ」と泣き出しそうな感情が胸に込み上げてきた。
 無意識に瞳の鼻と喉がヒクヒクと痙攣した。
 しかし、それは悲しみから来る感情ではなかった。
 そう、それは、オナニーをしている最中に込み上げて来るアノ感情と同じだった。

「見せてあげる……瞳のヌルヌルになったアソコを見せてあげる……その代わり……先にあなたのおちんちんを見せて……」

 瞳はクロッチの濡れた部分を指先でいやらしく撫でながら言った。
 すると豚男はコクンっと深く頷きながら、細い目をぎらりと輝かせた。

「お易い御用です。でも、ここでパンツを脱ぐのはまずいです……僕のアパートがすぐそこなんですけど……今から行きませんか?……」

 豚男のその言葉は、まるで呪文のようだった。
 男のアパートに行くのは絶対に危険だとわかっていた。
 しかし、危険な遊びが大好きな瞳は、無言で小さく頷いた。
(こうやってみんな変質者に殺されちゃうんだろうな……)
 そうふと思いながら、瞳は、その最も危険な遊びに背筋をゾクゾクさせていたのだった。


               ※


 豚男のアパートは、いかにも変質者が住んでいそうな薄気味悪い雰囲気を漂わせていた。
 まるでゴミ屋敷のように散らかった部屋の壁には、どこかの女子高生を盗撮した写真がずらりと張り巡らされ、危険な香りがプンプンした。
 その酷く汚れた部屋の隅に病院のようなパイプベッドがあった。
 そこに腰を下ろした瞳は、さっそくスカートの中にモゾモゾと手を入れパンティーを脱いだ。
 この危険な部屋の雰囲気が、更に瞳を異常にさせているらしく、瞳は一刻も早く勃起したペニスを見てみたかったのだ。

 スカートの中からピンクのパンティーをソッと抜き取ると、そのまま手の平の中にギュッと握った。
 そんな瞳を見下ろしていた豚男も、荒い息を吐きながらヨタヨタになってズボンを脱ぎ始めた。
 スカートの中のワレメが、おしっこを漏らしたように濡れているのがわかった。

 瞳は背筋をゾクゾクさせながら、ゆっくりと股を開いた。
 ズボンを太ももまで下げていた男が、そのままの体勢でピタリと止まった。
 凄まじい形相でノーパンの瞳の股間を睨みつけている。
 瞳は静かに指をそこに滑らせると、指でVサインを作りながら濡れたワレメをぱっくりと開いた。
 それと同時に豚男の口もパックリと開いたのだった。

 豚男は、目をギラギラと輝かせながら「中学生、中学生」とぶつぶつ唱えていた。
 そんな豚男のズボンがずるっと下がり、中から白くぶよぶよとした太ももがボテっと溢れ出た。

 まさに豚としか思えない贅肉だった。
 豚男は実に奇怪な空色のブリーフを履いていた。
 その股間部分を、芋虫のような指で横にズラしながら「へへへへへ」っと恥ずかしそうに笑った。

 「僕のちんちんは包茎さんですよ〜」

 豚男は中からそれを摘まみ出すと、なぜか嬉しそうに目を輝かせて笑ったのだった。

 それは、まさに象さんだった。
 そこに黒い点を二つと丸い耳を書き込めば、かつて瞳が通っていた棚橋保育園の「象さん組」の看板と同じだった。

 瞳はそのペニスを見て酷く失望した。
 その、わずか三センチ程の皮の塊は、あのDVDで見た野性的なペニスとは似ても似つかないのだ。
 強烈な怒りが瞳の中で沸々と湧いて来た。
 こんな事ならバスケ部の吉岡のペニスを見た方がましだった。
 バスケ部の吉岡というのは、瞳にストーカーをしている男で、瞳の命令なら何でも聞くという知能遅れだ。

 すると、そんな失望した瞳の表情に気づいたのか、豚男は慌てて言った。
「大丈夫、これ、まだ勃起してないから」
 豚男はそう言うと、慌ててその象さんペニスをシコシコとシゴき始めた。
 しかし、緊張しているのか、象さんは待てど暮らせど目を覚まさなかった。
 瞳はサッと股を閉じた。
「えっ」と慌てた豚男は、「見せてくれなきゃ勃起しないよぅ」、と情けない声を出した。
「その皮の中に、赤い丸いのはあるの?」
 股をギュッと閉じたまま瞳は聞いた。
 瞳の言うその『赤い丸いの』というのは亀頭の事だ。
「だ、大丈夫、ちゃんと剥けるから」
 そう焦りながら豚男はその皮をメラメラと剥き始めた。
 しかし、皮の中から出て来たのは真っ白な亀頭だった。
 なんと豚男の亀頭は、大量の恥垢にコーティングされていたのだ。
「全然赤くない!」
 瞳がプッと頬を膨らませた瞬間、二人の間に何やら異様な臭いがモワッと漂った。
「うっ!」と瞳が鼻と口を塞いだ。
 すると豚男の表情が一瞬にして豹変した。

「そう言う事するからだよ! 『うっ!』とかするから、余計緊張して立たないんだよ!」

 豚男は、そう感情的に叫ぶと、まるで小学生のように、いきなり「わっ」と泣き出した。

 瞳はそんな豚男にゾッとした。
 この時、改めて今のこの危険な遊びにゾッとした。

 瞳は、顔面を蒼白にしながら慌ててパンティーを履いた。
 そして「帰る」と言いながら立ち上がった。
「ふざけるな!」
 豚男の芋虫のような太い指が、瞳の細い腕を掴んだ。

 あっ、と思った。
 やっぱりこうやってみんな殺されていたんだ、と瞳は思った。
 そう思った瞬間、急激に(まだ殺されたくない!)という気持ちが爆発した。

「ごめんなさい!」

 そう叫びながら瞳が腰を抜かすと、豚男は、ぶしゅしゅしゅっと凄まじい音を立てて鼻水を啜りながら瞳を睨んだ。

「絶対に許しません」

 そう唸る豚男の口臭が鼻をかすめた。
 その口臭には、奥歯が膿んでいるような臭いが混じっていたのだった。

(つづく)

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